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俺の婚約者が可愛くない
6.俺の婚約者が可愛すぎる
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◇◇◇
「じゃあ、なんで俺との婚約を解消してまでマリアナに譲ろうと思ったか、理由を聞かせてくれる?」
俺が真剣なのが伝わったのか、ソレイユも背筋をしっかりと伸ばして見つめてくる。
「私がお嫁に行ってしまったら、またお婆様が気落ちしてしまうんじゃないかって、ずっと気になってて。そんなとき、可愛い妹のマリアナがカイル様と結婚したいってお手紙をくれたので心が揺れてしまって……ごめんなさい」
ソレイユは、優しい。うん、本当に優しい良い子だ。でも、
「酷いなソレイユ。そりゃあお婆様もマリアナも大切なのはわかるけどさ。俺だってソレイユから捨てられたら泣くよ?」
そう。俺だって、ソレイユが俺から離れていくなんて嫌だ。
「ご、ごめんなさいっ!」
俺がわざと頬を膨らませて拗ねた表情を見せると、ソレイユは慌てて謝ってくれた。
「今度悩んだら、一人で決めないで俺に相談してよ。もしソレイユがいなくなってお婆様が寂しく思うなら、寂しくないように一緒にこの城で暮らそう。ライト伯爵家には頼もしい跡取りの叔父上がいるだろ?」
「はい」
「マリアナも寂しくなったら一緒に暮らしていい?」
「いいよ。この城は広いからなっ。せっかく来たんだ。なんならしばらく泊まっていくか?」
「お泊まりっ!お姉さまも!?」
「ソレイユも泊まっていけば?離宮にマリアナと一緒の客室用意するぞ」
「え、いえ、それは……お、お婆様に相談しないと!」
ちぇっ、さすがソレイユ。流されないな。今回のことで俺は思い知った。自惚れていたのだ。てっきりソレイユも俺と同じくらい俺のこと好きなんだと思っていた。いくら可愛い妹だからって、譲られてしまうなんて正直ショックだ。
だが、俺はソレイユを逃がす気はない。時間はまだまだたっぷりある。いつかソレイユが俺と同じくらい俺のことを好きになって、俺と離れたくないって思ってくれたらいいんだが。間違っても、二度と他の女をあてがおうなんて思わないで欲しい。
「でも、本当は……カイル様が、私じゃなきゃ駄目だって言ってくれて凄く嬉しかったんです。私、可愛くないでしょう?気が利いたことも言えないし、可愛いドレスも似合わないし。ずっと、自分に自信がなくて。カイル様に相応しくないって、いつも思ってました」
ソレイユが?いつだって、完璧な淑女のソレイユが?
「カイル様。私もっと、カイル様のために可愛くなります。だから、ずっと一緒にいてくれますか?」
うるっとした瞳で言われたら……俺の婚約者が可愛くない?そんなわけない。
だって俺は、これほど可愛い生物を今まで見たことがないから。
「マリアナももっと可愛くなる!」
「一緒に可愛いレディになりましょうね」
これ以上俺を惚れさせてどうする気なんだ。
いつだって彼女は俺の想像の上を行く。彼女といると退屈しない。そんな俺の彼女が可愛くない。訳がないだろ?
物語はいつだって最後まで読まないと分からない。そう、冒険王ビートの大冒険のように。ちなみに冒険王ビートは俺のお祖父様がモデルだったらしい。次の主役は叔父上。何やってたんだあんたら。俺の涙を返せ。
えーと、なんだっけ。とにかく、俺はソレイユが大好きで、ソレイユも俺が好き。だから俺たちは両想いでこれからも幸せに暮らせるってことだな。俺は幸せを噛み締めた。
◇◇◇
「カイル様!こっちですよ」
「カイル兄さま!早く早く~!」
貴族学園に入学した俺たちは相変わらず仲良く過ごしている。幼年学校から貴族学園に通うことにしたマリアナも、友だちが沢山できて楽しそうだ。
ただ一つ困ったのは、ソレイユが可愛すぎて、求婚者が後を絶たないこと。完璧なソレイユは、可愛いの研究も完璧だった。サラサラと風に揺れる蜂蜜色の髪。夢見るようなすみれ色の瞳。貴族学園の制服に身を包み、ふんわりと微笑むソレイユは、天使よりも可愛い。
ああ。ソレイユの可愛いは俺だけのもので良かったのに。いや、でも可愛いソレイユを見ているだけで楽しい。それになにより、ソレイユが幸せそうだからいいか。
日々、可愛いソレイユに寄ってくる狼どもを追い払うため、俺がますます鍛練に力を入れたのは言うまでもない。
おしまい
「じゃあ、なんで俺との婚約を解消してまでマリアナに譲ろうと思ったか、理由を聞かせてくれる?」
俺が真剣なのが伝わったのか、ソレイユも背筋をしっかりと伸ばして見つめてくる。
「私がお嫁に行ってしまったら、またお婆様が気落ちしてしまうんじゃないかって、ずっと気になってて。そんなとき、可愛い妹のマリアナがカイル様と結婚したいってお手紙をくれたので心が揺れてしまって……ごめんなさい」
ソレイユは、優しい。うん、本当に優しい良い子だ。でも、
「酷いなソレイユ。そりゃあお婆様もマリアナも大切なのはわかるけどさ。俺だってソレイユから捨てられたら泣くよ?」
そう。俺だって、ソレイユが俺から離れていくなんて嫌だ。
「ご、ごめんなさいっ!」
俺がわざと頬を膨らませて拗ねた表情を見せると、ソレイユは慌てて謝ってくれた。
「今度悩んだら、一人で決めないで俺に相談してよ。もしソレイユがいなくなってお婆様が寂しく思うなら、寂しくないように一緒にこの城で暮らそう。ライト伯爵家には頼もしい跡取りの叔父上がいるだろ?」
「はい」
「マリアナも寂しくなったら一緒に暮らしていい?」
「いいよ。この城は広いからなっ。せっかく来たんだ。なんならしばらく泊まっていくか?」
「お泊まりっ!お姉さまも!?」
「ソレイユも泊まっていけば?離宮にマリアナと一緒の客室用意するぞ」
「え、いえ、それは……お、お婆様に相談しないと!」
ちぇっ、さすがソレイユ。流されないな。今回のことで俺は思い知った。自惚れていたのだ。てっきりソレイユも俺と同じくらい俺のこと好きなんだと思っていた。いくら可愛い妹だからって、譲られてしまうなんて正直ショックだ。
だが、俺はソレイユを逃がす気はない。時間はまだまだたっぷりある。いつかソレイユが俺と同じくらい俺のことを好きになって、俺と離れたくないって思ってくれたらいいんだが。間違っても、二度と他の女をあてがおうなんて思わないで欲しい。
「でも、本当は……カイル様が、私じゃなきゃ駄目だって言ってくれて凄く嬉しかったんです。私、可愛くないでしょう?気が利いたことも言えないし、可愛いドレスも似合わないし。ずっと、自分に自信がなくて。カイル様に相応しくないって、いつも思ってました」
ソレイユが?いつだって、完璧な淑女のソレイユが?
「カイル様。私もっと、カイル様のために可愛くなります。だから、ずっと一緒にいてくれますか?」
うるっとした瞳で言われたら……俺の婚約者が可愛くない?そんなわけない。
だって俺は、これほど可愛い生物を今まで見たことがないから。
「マリアナももっと可愛くなる!」
「一緒に可愛いレディになりましょうね」
これ以上俺を惚れさせてどうする気なんだ。
いつだって彼女は俺の想像の上を行く。彼女といると退屈しない。そんな俺の彼女が可愛くない。訳がないだろ?
物語はいつだって最後まで読まないと分からない。そう、冒険王ビートの大冒険のように。ちなみに冒険王ビートは俺のお祖父様がモデルだったらしい。次の主役は叔父上。何やってたんだあんたら。俺の涙を返せ。
えーと、なんだっけ。とにかく、俺はソレイユが大好きで、ソレイユも俺が好き。だから俺たちは両想いでこれからも幸せに暮らせるってことだな。俺は幸せを噛み締めた。
◇◇◇
「カイル様!こっちですよ」
「カイル兄さま!早く早く~!」
貴族学園に入学した俺たちは相変わらず仲良く過ごしている。幼年学校から貴族学園に通うことにしたマリアナも、友だちが沢山できて楽しそうだ。
ただ一つ困ったのは、ソレイユが可愛すぎて、求婚者が後を絶たないこと。完璧なソレイユは、可愛いの研究も完璧だった。サラサラと風に揺れる蜂蜜色の髪。夢見るようなすみれ色の瞳。貴族学園の制服に身を包み、ふんわりと微笑むソレイユは、天使よりも可愛い。
ああ。ソレイユの可愛いは俺だけのもので良かったのに。いや、でも可愛いソレイユを見ているだけで楽しい。それになにより、ソレイユが幸せそうだからいいか。
日々、可愛いソレイユに寄ってくる狼どもを追い払うため、俺がますます鍛練に力を入れたのは言うまでもない。
おしまい
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