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第1章
1話 ゲームを始める俺
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購入してその日のうちに出品者の人は発送手続きをしてくれた。
そのおかげで購入して2日後には商品が届いた。
ゲームが到着したらすぐに開始できるように、届くまでの間俺はゲームの内容を予習していた。
ゲームの内容はこうだ。
『あなたも神になれる』がキャッチコピーの「To Be the God」はジャンルとしては街づくり要素のあるRPGゲームだ。
それも最新の人工知能や量子コンピュータを用いた高速演算で、人類の発生から滅亡までをゲーム上で体験できる。
神の視点でゲーム上の人類に奇跡の力で介入したりすることもできるし、実際にゲーム内にログインして街の人々と交流したり冒険したりすることもできる…。とまあ実際に自分の裁量で仮想世界を作り、そこで冒険ができるゲームだ。
こんなゲームが発売されたものだから、発売された当初は世界中に大きな話題となった。ネット上でも連日このゲームの情報がトレンドに登り、このゲームの楽しみ方が奥深いものであることもまた人気に拍車をかけた。
ところが、発売されてから1か月すると、今度はこのゲームの負の部分も表に現れ始めた。
購入した人たちの一部が、ゲーム内の人々をいたぶる様子が配信されるようになってしまった。
以前のゲームならNPCといって、人格も何もない、同じ言葉しか喋れないキャラクターしかいなかった。
しかしこのゲームは違うのだ。このゲーム内で生まれ、生活しているキャラクターたちはそれぞれがそれぞれの自我を持っている。
キャラクターたちがそれぞれ人格を持って会話をし、生活する。そんな人々をゲーム上のデータだからといって、神の気まぐれのように彼らをいたぶる様子が次々と配信されるようになってしまった。
普通に自分の考えをもった人々を、ゲームのデータとはいえ、いたぶる様子はことの他残虐に人々の目に映った。
数々の非道な行いにこのゲームに対する批判は日に日に高まっていたし、俺自身このゲームにいい印象はなかった。
そういったアカウントの動画はもちろん早々に停止されてはいるらしいが、このゲームがあまりにリアルでなんでもできてしまうことが教育上良くないのではないか、と批判されるまでそう時間は掛からなかった。
世界でのそうした動きに続き、日本でも批判や反対運動などが沸き上がり、ついにはこのゲームを制作している会社が春でのサービス終了と新規アカウントの作成停止を打ち出す。
それからは徐々に「To Be the God」への人々の関心は薄れ、ここ最近では話題になることもだいぶなくなったのだ。
早速包装を解き、中身を確認してディスクをPCに差し込んでインストールを開始した。
インストールが終了し、VR機器を接続する。目の前に広がるスクリーン上で新たに現れた「To Be the God」のアイコンを手でタップする。
すると目の前に宇宙が広がった。
「To Be the Godにようこそ、創造者様。これから基本設定を始めさせていただきます。」
目の前に立つ妖精姿のキャラクターが話しかけてくる。
そのキャラクターの指示通りに名前の設定やこのゲーム内での容姿を決定する。
自分の容姿は現実のものと大差ないものにしておく。身長は平均よりちょっと低め、黒髪で黒目、目下のほくろも再現…と。この作業はややめんどくさいが、後々修正するには課金が必要となる。あとで後悔しないよう念入りに作り込む。
そこまでしてようやく妖精姿のキャラクター、ナビゲーターのナビーがこのゲームでの目的を説明する。
「創造者タケル様。あなた様の目的はこの世界に人類をもたらし、正しく繁栄の道に導くことです。そのためにどれくらいの加減で人類に手を加えるかは、あなたの自由となります。何も手を出さず眺めるもよし、手をかけてお気に入りを作るもよしです。おすすめは何事もほどほどにされておくことです。」
ふむふむ。なるほど。
「何もしないでずっとみてるってことはできるの?」
「はいできます。ただ、そうすると割と早期に滅亡します。」
「手をかけすぎると?」
「神への依存が高過ぎて、これまた割と早期に滅亡します。」
ナビーにも最新の人工知能が備わっていて、簡単な会話ならオートで反応を返してくれる。
それにしても手を加えるのにはなかなか加減が難しそうだ。
「世界の設定は?」
「これから進めますが、目的の説明はこれで終了してよろしいですか?」
「いいよ。」
「では世界の設定に進みます。こちらの設定は後からの変更ができませんのでご注意ください。」
ナビーの横に世界設定と上部に書かれたウインドウが立ち上がる。
ここでは世界の広さ、人種・亜人種の種類、魔法要素のON・OFFなどが決められるようだ。
しかし、その下には???と書かれた項目も並んでいる。
「この???っていうのは?」
「はい。こちらは世界の繁栄が一定の基準を越えると解放されるオプションになります。内容は解放されるまでのお楽しみということで。」
「ふーん。世界の広さって?」
「はい。文字通りこれから想像する世界の広さについての設定です。このゲームの作業可能な範囲内で自由に設定することができます。ただあまり広く作り過ぎると処理が重くなりますのでご注意ください。」
むむむ。って言ってもどれくらいが適当なんだかさっぱりわからん。なので陸地は推奨の「地球の4分の1」くらいにしておく。海はこの2倍くらい。あまり広くてもこっちが把握しにくいし、そんなものでいいか。
その後、人種は人類と魔族、エルフとドワーフが鉄板だからこの辺を入れて、魔法は当然ONにした。やっぱりファンタジー世界を楽しみたいしね。
「タケル様お疲れ様でした。このままチュートリアルを進めますか?」
「う~んとりあえずゲーム進めたいから、必要に応じて説明を加えてくれる?」
「了解しました。それでは必要な時には「ナビー」と呼んでいただければ説明に参りますので。」
そう言って一礼するとナビは視界の端にすうっと消えていった。
そのおかげで購入して2日後には商品が届いた。
ゲームが到着したらすぐに開始できるように、届くまでの間俺はゲームの内容を予習していた。
ゲームの内容はこうだ。
『あなたも神になれる』がキャッチコピーの「To Be the God」はジャンルとしては街づくり要素のあるRPGゲームだ。
それも最新の人工知能や量子コンピュータを用いた高速演算で、人類の発生から滅亡までをゲーム上で体験できる。
神の視点でゲーム上の人類に奇跡の力で介入したりすることもできるし、実際にゲーム内にログインして街の人々と交流したり冒険したりすることもできる…。とまあ実際に自分の裁量で仮想世界を作り、そこで冒険ができるゲームだ。
こんなゲームが発売されたものだから、発売された当初は世界中に大きな話題となった。ネット上でも連日このゲームの情報がトレンドに登り、このゲームの楽しみ方が奥深いものであることもまた人気に拍車をかけた。
ところが、発売されてから1か月すると、今度はこのゲームの負の部分も表に現れ始めた。
購入した人たちの一部が、ゲーム内の人々をいたぶる様子が配信されるようになってしまった。
以前のゲームならNPCといって、人格も何もない、同じ言葉しか喋れないキャラクターしかいなかった。
しかしこのゲームは違うのだ。このゲーム内で生まれ、生活しているキャラクターたちはそれぞれがそれぞれの自我を持っている。
キャラクターたちがそれぞれ人格を持って会話をし、生活する。そんな人々をゲーム上のデータだからといって、神の気まぐれのように彼らをいたぶる様子が次々と配信されるようになってしまった。
普通に自分の考えをもった人々を、ゲームのデータとはいえ、いたぶる様子はことの他残虐に人々の目に映った。
数々の非道な行いにこのゲームに対する批判は日に日に高まっていたし、俺自身このゲームにいい印象はなかった。
そういったアカウントの動画はもちろん早々に停止されてはいるらしいが、このゲームがあまりにリアルでなんでもできてしまうことが教育上良くないのではないか、と批判されるまでそう時間は掛からなかった。
世界でのそうした動きに続き、日本でも批判や反対運動などが沸き上がり、ついにはこのゲームを制作している会社が春でのサービス終了と新規アカウントの作成停止を打ち出す。
それからは徐々に「To Be the God」への人々の関心は薄れ、ここ最近では話題になることもだいぶなくなったのだ。
早速包装を解き、中身を確認してディスクをPCに差し込んでインストールを開始した。
インストールが終了し、VR機器を接続する。目の前に広がるスクリーン上で新たに現れた「To Be the God」のアイコンを手でタップする。
すると目の前に宇宙が広がった。
「To Be the Godにようこそ、創造者様。これから基本設定を始めさせていただきます。」
目の前に立つ妖精姿のキャラクターが話しかけてくる。
そのキャラクターの指示通りに名前の設定やこのゲーム内での容姿を決定する。
自分の容姿は現実のものと大差ないものにしておく。身長は平均よりちょっと低め、黒髪で黒目、目下のほくろも再現…と。この作業はややめんどくさいが、後々修正するには課金が必要となる。あとで後悔しないよう念入りに作り込む。
そこまでしてようやく妖精姿のキャラクター、ナビゲーターのナビーがこのゲームでの目的を説明する。
「創造者タケル様。あなた様の目的はこの世界に人類をもたらし、正しく繁栄の道に導くことです。そのためにどれくらいの加減で人類に手を加えるかは、あなたの自由となります。何も手を出さず眺めるもよし、手をかけてお気に入りを作るもよしです。おすすめは何事もほどほどにされておくことです。」
ふむふむ。なるほど。
「何もしないでずっとみてるってことはできるの?」
「はいできます。ただ、そうすると割と早期に滅亡します。」
「手をかけすぎると?」
「神への依存が高過ぎて、これまた割と早期に滅亡します。」
ナビーにも最新の人工知能が備わっていて、簡単な会話ならオートで反応を返してくれる。
それにしても手を加えるのにはなかなか加減が難しそうだ。
「世界の設定は?」
「これから進めますが、目的の説明はこれで終了してよろしいですか?」
「いいよ。」
「では世界の設定に進みます。こちらの設定は後からの変更ができませんのでご注意ください。」
ナビーの横に世界設定と上部に書かれたウインドウが立ち上がる。
ここでは世界の広さ、人種・亜人種の種類、魔法要素のON・OFFなどが決められるようだ。
しかし、その下には???と書かれた項目も並んでいる。
「この???っていうのは?」
「はい。こちらは世界の繁栄が一定の基準を越えると解放されるオプションになります。内容は解放されるまでのお楽しみということで。」
「ふーん。世界の広さって?」
「はい。文字通りこれから想像する世界の広さについての設定です。このゲームの作業可能な範囲内で自由に設定することができます。ただあまり広く作り過ぎると処理が重くなりますのでご注意ください。」
むむむ。って言ってもどれくらいが適当なんだかさっぱりわからん。なので陸地は推奨の「地球の4分の1」くらいにしておく。海はこの2倍くらい。あまり広くてもこっちが把握しにくいし、そんなものでいいか。
その後、人種は人類と魔族、エルフとドワーフが鉄板だからこの辺を入れて、魔法は当然ONにした。やっぱりファンタジー世界を楽しみたいしね。
「タケル様お疲れ様でした。このままチュートリアルを進めますか?」
「う~んとりあえずゲーム進めたいから、必要に応じて説明を加えてくれる?」
「了解しました。それでは必要な時には「ナビー」と呼んでいただければ説明に参りますので。」
そう言って一礼するとナビは視界の端にすうっと消えていった。
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