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第3章
74話 開戦
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※今回はクリス視点(若干第3者視点)でお送りします。視点がコロコロ変わってすみません。
先の国際会議でまとまった人類初の4カ国軍事同盟に基づいて、ファーレン王都には多くの勢力が集結することとなった。皮肉なことにかつては争っていた国同士でも、帝国という大きな脅威の前では強固な同盟を結ばざるを得なかったのだ。
ファーレンは海を挟んで帝国を望む最も近い都市であり、なおかつ近くには陣を構えるだけの大きな平原がある。誰もが戦争になることを考えた時、帝国がもっとも近く戦力のあるファーレンを真っ先に攻撃することに疑いはなかった。
したがって、ファーレンが最初で最後の戦地であると判断した各国首脳たちはファーレン首都にそれぞれの国の戦力を結集した。大陸北方にあるギルデラン北方共和国、東部のカイレン連邦、西部のエルグランド魔法王国、そして大陸中央のファーレン王国。それぞれの軍勢が一堂に会している。この事態もこの世界で人類始まって以来のことだ。
「こうしてみると、なんとも負ける気がしないくらいの大軍勢だな。」
俺は王都の端にある物見櫓から、キーレンやベレッタとともに大挙した軍勢を見下ろしている。
ベレッタは最近ヘレンの意識が回復し、容体も安定してきたところで、彼女に尻を叩かれてやってきたらしい。
「お仲間が危険な時に私を構ってる場合じゃないでしょ!」だそうだ。
尻に敷かれているにもかかわらず、先ほどベレッタは事情を話していた時は嬉しそうだったが、大きな戦争の前夜に流石に顔を引き締めている。
「なんだか嫌な予感がするんだよね…。あんたたちの話を聞くに、その帝国の宰相は相当「キテ」るね。本当にあちらがまともに戦おうとしてるなんて信じない方がいいと思うよ。」
「確かにベレッタの言う通りだ。だが、この軍勢をみて帝国が戦いを思いとどまればよし、ダメなら戦うしかない。ここが最前線であり、最終防衛ラインでもある。各国の最高の戦力で戦ってダメならば、いずれにしてもダメってことだ。」
ベレッタの言うこともキーレンの言うことも正しいと思う。
帝国がまともに正面切ってそもそも戦うのだろうか?むしろそれは絶対にないだろう。
もし帝国が各国を支配下に収め安定させるつもりなら、どちらかが全滅するまで戦うような下手なことはしないはずだ。あまりに被害を出しすぎると帝国にとっても「うまみ」が減る。
だがそれは宰相が正常な判断力の持ち主であった場合の話だ。
あの宰相の目はすでに俺たちをみていなかった。
自分の中の何かと戦っていて、すでに正気ではないのかもしれない。そんな気がする。
だからおそらくは自分の部下の言葉も耳に入ることなく、淡々と自分の目的を果たすためになんでもするのだろう。
それでも、待ち受けるしかない。どのような攻撃に対しても、帝国が暴挙をなすことは絶対に許さない態度を示し、徹底的に戦うことでしか帝国を止めることはできない。
もしかしたら、我々の意思を感じた最前線の帝国兵士が撤収して、上層部に停戦を促す可能性もある。
戦って、交渉して…少しでも時間稼ぎをして、神であるタケルが本来の力を振るえるようになるのを待つ。
あのナビーという太古の妖精が言っていたように、先日やったことがうまくことを運ぶのを祈るしかない。
「タケルがどうしているのが気になる…。俺はここで待つことしかできないのが歯痒い。」
「まあ、そういうな。私たちにできることは全てやった。タケルにはタケルの、私たちには私たちの両分で最善を尽くすしかないんだ。何よりクリス。お前は「死ぬな」と神に厳命されていることを絶対に忘れるなよ。」
「わかっている。タケルにもう一度会うまでは死んでも死にきれない。」
「その息だよ。あたしもやっとヘレンに再会できたのに、こんなところでくたばるわけには行かないよ!」
「そうだな。一緒に生き残ろう!」
3人で拳をぶつけ合い、互いの健闘を祈る。決して死ぬわけにはいかない。
国際会議の後に各国に改めて送られてきた文書には、1週間後までに隷属するか否か決めるよう宣告があり、もし決裂するようであれば即時攻撃を仕掛ける旨が書かれていた。
今晩がその1週間目に当たる。そして0時を過ぎたその時から攻撃が始まることが予想されている。
深夜0時。攻撃に備えて平原では全ての兵士たちが固唾を飲んで、その時を迎えた。
しばらくして、静かになった平原のあちこちから悲鳴や必死に指揮をする声が聞こえてくる。
「ひ!急に現れた!なんだなんだこいつらは!」
「落ち着け、敵を取り囲み各個撃破せよ!」
どうやら転移によってこの平原に次々と帝国領にいるモンスターが送り込まれているらしい。
さまざまな姿のモンスターたちが平原に突如現れているのが俺の立っている場所からもわかる。
その様子にウーヌス村に大量のモンスターが送り込まれてきたことを思い出す。
「落ち着け!これはあいつらの常套手段だ!周囲を警戒しつつ各個撃破すれば問題ない!」
俺はそう兵士たちに声をかけながら、キーレンを守るために近くに現れたモンスターに剣を振るう。
キーレンは流石に国の重要人物であるから、俺とベレッタ、ジェレミアが常に近辺で彼を守護する。
しかしキーレンも黙って本陣にいるつもりはないらしく、近場に現れたモンスターを自ら討伐していく。
平原に次々と送り込まれてくるモンスターをあらかた討伐した頃、すでに東の空が明るくなりかけていた。
「ハアハア…とりあえず第1陣は凌いだってことかね?あたしも…ハアハアちょっと疲れた。」
「ベレッタ、お前は魔力切れを起こしかけているだろう。少し休め。」
「うん…そうさせてもらうよ…」
ベレッタは本陣近くにある救護テントへとフラフラ入っていった。
周囲を見渡すと大きな被害はないようだが、誰の顔にも疲弊の顔が見える。
指揮官が隊長の優れない者から随時休憩に入るよう指示を飛ばしている。
本陣では各国の代表者たちが集合し、朝食を取りながら今後の作戦について話し合っている。
キーレンも夜通し戦ったと言うのに話し合いに参加すると言って聞かなかった。
疲労よりも緊張感の方が先に立って、どっちにしても眠れないといっていたが、今や各国代表の意見を整理し、全体の作戦をまとめているキーレンが倒れたら一気に連合軍も瓦解するかもしれない。
あとでポーションを飲ませよう。
束の間の休息と思われた時間に俺も本陣近くで休憩していた時だった。
すでに明るくなったはずの空が雲もないのに急に暗くなり、平原で悲鳴が上がる。急な事態の変化に恐怖を感じた者が悲鳴をあげたようだ。
俺はキーレンのいる本陣に入り、キーレンの無事を確認する。
と、その時また外から悲鳴が聞こえたので外に出てみると、何かで投影された巨大な帝国宰相の顔が目の前にあった。
魔法で映し出しているのだろうが…正直気色悪い。
宰相の顔はこんなにも禍々しい顔をしていただろうか?
その目は以前会議であった時よりもさらに狂気の色を宿している。
「きひひひ。各国代表の皆さーん!聞こえていますかぁ?私です。帝国宰相のグラファイトですよぉ?最後通牒に参りましたよぅ?」
声も以前より狂気を増した宰相の声が、平原に響き渡る。
まはやこいつが正常な判断力を持っているとは思えない。俺は剣の柄をグッと握り込み、自分を鼓舞するために心の中でタケルの名を呼んだ。
先の国際会議でまとまった人類初の4カ国軍事同盟に基づいて、ファーレン王都には多くの勢力が集結することとなった。皮肉なことにかつては争っていた国同士でも、帝国という大きな脅威の前では強固な同盟を結ばざるを得なかったのだ。
ファーレンは海を挟んで帝国を望む最も近い都市であり、なおかつ近くには陣を構えるだけの大きな平原がある。誰もが戦争になることを考えた時、帝国がもっとも近く戦力のあるファーレンを真っ先に攻撃することに疑いはなかった。
したがって、ファーレンが最初で最後の戦地であると判断した各国首脳たちはファーレン首都にそれぞれの国の戦力を結集した。大陸北方にあるギルデラン北方共和国、東部のカイレン連邦、西部のエルグランド魔法王国、そして大陸中央のファーレン王国。それぞれの軍勢が一堂に会している。この事態もこの世界で人類始まって以来のことだ。
「こうしてみると、なんとも負ける気がしないくらいの大軍勢だな。」
俺は王都の端にある物見櫓から、キーレンやベレッタとともに大挙した軍勢を見下ろしている。
ベレッタは最近ヘレンの意識が回復し、容体も安定してきたところで、彼女に尻を叩かれてやってきたらしい。
「お仲間が危険な時に私を構ってる場合じゃないでしょ!」だそうだ。
尻に敷かれているにもかかわらず、先ほどベレッタは事情を話していた時は嬉しそうだったが、大きな戦争の前夜に流石に顔を引き締めている。
「なんだか嫌な予感がするんだよね…。あんたたちの話を聞くに、その帝国の宰相は相当「キテ」るね。本当にあちらがまともに戦おうとしてるなんて信じない方がいいと思うよ。」
「確かにベレッタの言う通りだ。だが、この軍勢をみて帝国が戦いを思いとどまればよし、ダメなら戦うしかない。ここが最前線であり、最終防衛ラインでもある。各国の最高の戦力で戦ってダメならば、いずれにしてもダメってことだ。」
ベレッタの言うこともキーレンの言うことも正しいと思う。
帝国がまともに正面切ってそもそも戦うのだろうか?むしろそれは絶対にないだろう。
もし帝国が各国を支配下に収め安定させるつもりなら、どちらかが全滅するまで戦うような下手なことはしないはずだ。あまりに被害を出しすぎると帝国にとっても「うまみ」が減る。
だがそれは宰相が正常な判断力の持ち主であった場合の話だ。
あの宰相の目はすでに俺たちをみていなかった。
自分の中の何かと戦っていて、すでに正気ではないのかもしれない。そんな気がする。
だからおそらくは自分の部下の言葉も耳に入ることなく、淡々と自分の目的を果たすためになんでもするのだろう。
それでも、待ち受けるしかない。どのような攻撃に対しても、帝国が暴挙をなすことは絶対に許さない態度を示し、徹底的に戦うことでしか帝国を止めることはできない。
もしかしたら、我々の意思を感じた最前線の帝国兵士が撤収して、上層部に停戦を促す可能性もある。
戦って、交渉して…少しでも時間稼ぎをして、神であるタケルが本来の力を振るえるようになるのを待つ。
あのナビーという太古の妖精が言っていたように、先日やったことがうまくことを運ぶのを祈るしかない。
「タケルがどうしているのが気になる…。俺はここで待つことしかできないのが歯痒い。」
「まあ、そういうな。私たちにできることは全てやった。タケルにはタケルの、私たちには私たちの両分で最善を尽くすしかないんだ。何よりクリス。お前は「死ぬな」と神に厳命されていることを絶対に忘れるなよ。」
「わかっている。タケルにもう一度会うまでは死んでも死にきれない。」
「その息だよ。あたしもやっとヘレンに再会できたのに、こんなところでくたばるわけには行かないよ!」
「そうだな。一緒に生き残ろう!」
3人で拳をぶつけ合い、互いの健闘を祈る。決して死ぬわけにはいかない。
国際会議の後に各国に改めて送られてきた文書には、1週間後までに隷属するか否か決めるよう宣告があり、もし決裂するようであれば即時攻撃を仕掛ける旨が書かれていた。
今晩がその1週間目に当たる。そして0時を過ぎたその時から攻撃が始まることが予想されている。
深夜0時。攻撃に備えて平原では全ての兵士たちが固唾を飲んで、その時を迎えた。
しばらくして、静かになった平原のあちこちから悲鳴や必死に指揮をする声が聞こえてくる。
「ひ!急に現れた!なんだなんだこいつらは!」
「落ち着け、敵を取り囲み各個撃破せよ!」
どうやら転移によってこの平原に次々と帝国領にいるモンスターが送り込まれているらしい。
さまざまな姿のモンスターたちが平原に突如現れているのが俺の立っている場所からもわかる。
その様子にウーヌス村に大量のモンスターが送り込まれてきたことを思い出す。
「落ち着け!これはあいつらの常套手段だ!周囲を警戒しつつ各個撃破すれば問題ない!」
俺はそう兵士たちに声をかけながら、キーレンを守るために近くに現れたモンスターに剣を振るう。
キーレンは流石に国の重要人物であるから、俺とベレッタ、ジェレミアが常に近辺で彼を守護する。
しかしキーレンも黙って本陣にいるつもりはないらしく、近場に現れたモンスターを自ら討伐していく。
平原に次々と送り込まれてくるモンスターをあらかた討伐した頃、すでに東の空が明るくなりかけていた。
「ハアハア…とりあえず第1陣は凌いだってことかね?あたしも…ハアハアちょっと疲れた。」
「ベレッタ、お前は魔力切れを起こしかけているだろう。少し休め。」
「うん…そうさせてもらうよ…」
ベレッタは本陣近くにある救護テントへとフラフラ入っていった。
周囲を見渡すと大きな被害はないようだが、誰の顔にも疲弊の顔が見える。
指揮官が隊長の優れない者から随時休憩に入るよう指示を飛ばしている。
本陣では各国の代表者たちが集合し、朝食を取りながら今後の作戦について話し合っている。
キーレンも夜通し戦ったと言うのに話し合いに参加すると言って聞かなかった。
疲労よりも緊張感の方が先に立って、どっちにしても眠れないといっていたが、今や各国代表の意見を整理し、全体の作戦をまとめているキーレンが倒れたら一気に連合軍も瓦解するかもしれない。
あとでポーションを飲ませよう。
束の間の休息と思われた時間に俺も本陣近くで休憩していた時だった。
すでに明るくなったはずの空が雲もないのに急に暗くなり、平原で悲鳴が上がる。急な事態の変化に恐怖を感じた者が悲鳴をあげたようだ。
俺はキーレンのいる本陣に入り、キーレンの無事を確認する。
と、その時また外から悲鳴が聞こえたので外に出てみると、何かで投影された巨大な帝国宰相の顔が目の前にあった。
魔法で映し出しているのだろうが…正直気色悪い。
宰相の顔はこんなにも禍々しい顔をしていただろうか?
その目は以前会議であった時よりもさらに狂気の色を宿している。
「きひひひ。各国代表の皆さーん!聞こえていますかぁ?私です。帝国宰相のグラファイトですよぉ?最後通牒に参りましたよぅ?」
声も以前より狂気を増した宰相の声が、平原に響き渡る。
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