10 / 14
番外編 本編後すぐ①
ぼたぼたと、夏の夕立にも負けないくらい大粒の滴を流す新君に駆け寄った僕は、真っ先に彼の両手をギュウッと包み込むように握った。
「わ、別れない!別れないよ!別れたくない!
僕も、小学生の頃からずっと新君だけが好きだから!!」
『別れるとか言うな』
『手を繋ごうとするのを避けるな』
どうやって慰めたらいいのか咄嗟に思い浮かばなくて、安直だが新君がさっき言ってくれた分かりやすい要望を叶えてみる。だけど新君はそんな僕の行動に一瞬目を見開いただけで、その後「あ゛ぁ゛あ゛あ゛~~」と喉が詰まった鶏のような唸り声を出しながら更に泣き出してしまった。
ああそんなに泣いて可哀想に新君…。どうしよ。僕も泣きたい。
犬の散歩をしつつ僕達の横を通り過ぎるご近所さんの目が痛い。多分明日には僕は「灰被さんちの息子を泣かせた極悪非道極まりない人間」としてここら一帯で名を馳せてしまっていることだろう。
やっぱり急に手を握ったのが悪かったかとゆっくり離そうとすると、「ギ!」と絶妙なファのシャープの音程で唸られたのでそれは違うらしい。寧ろこれは握っておかないと危ういやつだ。僕の第六感がそう言ってる。ついでに新君からの涙混じりの鋭い眼光もそう言ってる。
先程まで硬く握りしめられていたからか、それともただ単に外気温が冷たいからか、新君の手の平は酷く冷たかった。僕の手もそこまで温かいわけじゃなかったけど、その熱を少しでも分けてあげられるようにギュウッと力を込めて皮膚を触れ合わせる。
「…好きだよ。新君が好き」
想いを口にするたびに、身体の奥から痛いくらいに熱い何かが広がっていくのが分かる。
「大好き。一番好き。誰よりも、何よりも君が好き」
そしてそれが通じ合っていることを、徐々に温かみを増していく合わさった手の熱が伝えてくれていた。
新君がまだ泣いている最中だというのに、僕はじわじわと実感出来てきたそれが嬉しくて仕方が無くて、
幸福が形になったような声が喉を震わせるのを堪えることが出来なかった。
あなたにおすすめの小説
恋人なのはこの場だけ
斯波良久@出来損ないΩの猫獣人発売中
BL
従姉妹の姫ちゃんに誕生日プレゼントとしてねだられたのは幸運リボンだった。喫茶『みぇるふぇん』で恋人限定ラブラブパフェを注文した人しかもらえないというリボンはその名の通り、幸運をもたらしてくれるらしい。姫ちゃんが見せてくれたSNSの検索画面にはいくつものご利益コメントが載せられていた。てっきり姫ちゃんと行くのだとばかり思っていたのだが、二組の隼人君と行くように伝えてきて――。
嘘をついたのは……
hamapito
BL
――これから俺は、人生最大の嘘をつく。
幼馴染の浩輔に彼女ができたと知り、ショックを受ける悠太。
それでも想いを隠したまま、幼馴染として接する。
そんな悠太に浩輔はある「お願い」を言ってきて……。
誰がどんな嘘をついているのか。
嘘の先にあるものとはーー?
きみが隣に
すずかけあおい
BL
いつもひとりでいる矢崎は、ある日、人気者の瀬尾から告白される。
瀬尾とほとんど話したことがないので断ろうとすると、「友だちからでいいから」と言われ、友だちからなら、と頷く。
矢崎は徐々に瀬尾に惹かれていくけれど――。
〔攻め〕瀬尾(せお)
〔受け〕矢崎(やざき)
そんな拗らせた初恋の話
椿
BL
高校生で許婚の二人が初恋拗らせてるだけの話です。
当て馬と受けが一瞬キスしたりします。
Xのツンデレ攻め企画作品でした!
https://twitter.com/tsubakimansyo/status/1711295215192121751?t=zuxAZAw29lD3EnuepzNwnw&s=19
幼馴染がいじめるのは俺だ!
むすめっすめ
BL
幼馴染が俺の事いじめてたのは、好きな子いじめちゃうやつだと思ってたのに...
「好きな奴に言われたんだ...幼馴染いじめるのとかガキみてーだって...」
「はっ...ぁ??」
好きな奴って俺じゃないの___!?
ただのいじめっ子×勘違いいじめられっ子
ーーーーーー
主人公 いじめられっ子
小鳥遊洸人
タカナシ ヒロト
小学生の頃から幼馴染の神宮寺 千透星にいじめられている。
姉の助言(?)から千透星が自分のこといじめるのは小学生特有の“好きな子いじめちゃうヤツ“だと思い込むようになり、そんな千透星を、可愛いじゃん...?と思っていた。
高校で初めて千透星に好きな人が出来たことを知ったことから、
脳破壊。
千透星への恋心を自覚する。
幼馴染 いじめっ子
神宮寺 千透星
ジングウジ チトセ
小学生の頃から幼馴染の小鳥遊 洸人をいじめている。
美形であり、陰キャの洸人とは違い周りに人が集まりやすい。(洸人は千透星がわざと自分の周りに集まらないように牽制していると勘違いしている)
転校生の須藤千尋が初恋である