勇者追放

椿

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小話2 媚薬(ザジ×ユーリ)

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勇者追放 ザジ×ユーリ 媚薬ネタ
理性崩壊グチャドロセッ(が出来ているかは不明)

※まだ旧勇者パーティーが解散していない頃の過去話IFです。
 こんな過去があったかもしれないしなかったかもしれない、ぐらいのあやふやな感じでご覧ください。





「……にしても、変な部屋に閉じ込められちゃったな…」

 ──勇者と戦士は『媚薬を全て飲みきらないと出られない部屋』に閉じ込められてしまった!
 壁の上部に、誰かがサラリと書いたような字でそんな表記がされてあった。
 いや、「閉じ込められてしまった!」っていうのは閉じ込めたそっちじゃなくて、どちらかといえばこっちが言う側だろ。などという現実逃避もそこそこに、ユーリの左側で衝撃音が鳴った。一拍遅れて大きな舌打ちが聞こえる。
 視線を向けてみると、苛立ったような顔のザジがこちらに戻ってきているところだった。
 彼が先程まで剣を打ち付けていたであろう唯一の扉には、相変わらず傷一つついてない。

 気が付いた時には、オレ達はこの白一色の無機質な部屋に居た。
 ここはどこなのか、何故こんな場所に居るのか、以前の記憶は不思議とモヤがかかったように思い出せない。
 現状を理解した後、真っ先に二人で扉を壊して脱出する方法を試みたが、オレの聖剣では歯が立たなかったし、ザジでも駄目なら、きっと物理攻撃が及ばない何かしらの理由があるということなのだろう。
 やはり、ここに書かれた方法を試すしかないみたいだ。

 剣を仕舞って隣に並んだザジと共に、ユーリは再度上を見上げる。

「媚薬って何か分かる?」
「……あれだろ。前ヤヒロがうねうねした魔物に飲まされてたやつ」
「ああ、ヤヒロが飲まされてたやつか…」

 過去の可哀想なそれを思い返しつつ、ユーリは後ろを振り向いた。
 部屋に物は少ない、というかほぼない。唯一その存在を主張していたのは、男二人が寝ても余るほどの大きなベッド。そしてそのシーツの海に沈むように並べられた、合計10個ほどのピンクの小瓶だった。
 中にはなみなみと液体が詰まっているのが見て取れる。あれが媚薬なのだろう。

「寝具だけあって、食べ物とか飲み物とかがないのおかしいよな?便所もないし。優先度違くない?」
 脳直の疑問に、ザジはベッドを見つめたまま何も答えなかった。もう会話する気力もないのかもしれない。
 そうだよな。もう驚くのもあたふたするのも疲れたよな。まあその役目を一身に担っていたのはオレだけど。
 ザジはいつも冷静だ。今回も淡々と状況確認を済ませると、即座に扉に剣を打ち付けるだけの存在になった。
 それはそれで怖かったけどな。何の合図もなく剣振りだすんだもん。何かに取り憑かれたのかと思った。報連相しろよ。もう慣れてるけど。
 ベッドに近づいたザジはおもむろに小瓶を手に取ると、中身を確認するよう数回傾ける。
 そしてその後、手の中の瓶をこちらに差し向けたかと思うと、

「お前飲め」
「絶対に嫌だ」

 部屋は無音だ。二人が黙ると、怖いくらいシーンと空間が静まり返って、何となく肌寒いくらいだった。
 ザジが腕を動かす布擦れの音がやけに大きく聞こえる。
 彼は小瓶の蓋を開けると、少し匂いを嗅いだ後、それを持ってユーリの方へ近づいた。

「飲め」
「嫌だ」
「「……」」
「いいから飲めッッ!!」
「ギャー!!無理矢理反対無理矢理反対!!ザジが飲めばいいだろ!?」
「飲めるかこんな得体のしれないもの!」
「飲ますなそんな得体のしれないもの!!」

 しばし小瓶を互いの顔に押し付け合う攻防があったが、決着がつかず休戦。
 互いが息を乱す中、「ちょ、一旦落ち着こう」というユーリの言葉で、建設的な話し合いが始まった。

「食料も水もない。長居すると確実に餓死だ。だからオレ達は出来るだけ早くここから出たい」
「ああ、そのためにお前が媚薬を飲め」
「力圧しは無理だったから、ここに書かれたことに従うのがいいんだと思う。そうするとオレ達はこの媚薬を全部飲む必要がある」
「そうだ。お前が飲め」
「でもこの媚薬にヤヒロがいつか飲まされたアレみたいな強い効果があったら、動けなくなる可能性が高いよな。二人共が飲むよりかは、どっちか一方だけが飲んで、動ける人間を残しておく方が良いと思うんだ」
「お前にしては頭使ったな。飲め」
「問題はどっちがその媚薬を飲むかだけど…」
「お前」
「何でそう自分勝手なのお前ッッ!?」
「勇者だろ」
「勇者っていったらオレが何でもすると思ったら大間違いだからな!?ああもう…っ、ザジがそんなだからいつまでたっても解決しないんだろ!?」
「お前が飲めば全部解決」
「それお互い様だから!?……分かった、ここは公平にじゃんけんで決めよう!」
「おまえが、」
「一発勝負で文句なしな!負けた方が媚薬っ!じゃんけん──」



「……俺の方がお前より強いから俺が正気を保ってた方が絶対にいい」
「文句なしって言っただろ。飲めよ」

 勝負を制したのはユーリだ。
 多少強引に持ちかけた勝負だったが、何にしても、勝者の優位性はその発言権を強くする。

「大丈夫。ザジが動けなくなってもオレが絶対に守るから!」
「……」

 どうにも納得していないような顔で渋るザジだったが、このまま問答を続けても埒があかないと思ったのか、深いため息のあと、自身が手に持つ、既に蓋の開いたその小瓶を煽った。
 ザジの男らしく出っ張った喉仏が上下に動いて、嚥下を知らせる。

「……ぅげ、甘ったる…」
「大丈夫か?はい次の瓶」
「……覚えてろよお前」

 次の媚薬を進めると、恨みが籠った暗い目で睨まれた。怖い。でもじゃんけんに勝ったのはオレなので…。
 ザジは文句を言いながらも、順調に小瓶を消費していった。
 意識を失ったり、などという危険な効果は今の所見られないようだが、心なしか血色が良くなり、話しかけた時の反応も鈍くなっている気がする。
 それに、
 ふと彼の下半身を見ると、兆した一物がズボンを押し上げていた。
 ユーリは咄嗟に目を逸らす。
 しっかり効くところには効いているようだ。

 それから少しあって、ようやく最後の一本をザジが煽る。

「うおお!本当にありがとうザジ!」
「……」

 まだ口内の液体を飲み込めないでいるのか、口を閉じたまま何とも言えない表情で黙るザジ。
 その頭をわしゃわしゃと犬か何かみたいに撫でたユーリは、早速出口へと駆けた。開放されているかの確認をするためだ。
 しかし、

「あれ?」

 ドアノブをいくら捻ってみても、それは開く様子を見せない。
 先程までと同じだ。鍵が閉まっていた。
 何故だ。媚薬は全て飲んだ筈なのに。まだザジが飲み込み切れていないからか?
 確認のために、退出の条件が書かれていた例の表記をもう一度見上げる。
 するとそこには、先程までの条件は綺麗さっぱり消え失せ、代わりとでもいうように、信じがたいことが書かれていた。

『時間切れ!セックスしないと出れない部屋になっちゃった!いそげー!』

 時間制限とかあったのこれ!?というか何かすげぇムカつく文字!!
 …ってそこじゃなくて!
 条件が変わるのか!という事はもしかして、達成しやすい条件が出るまで待つって方法も…、いや、でも挑戦しなかったことで何かしらの罰があったりしたらまずいしな…。
 だとしても、セックスは男同士じゃできない。今回の条件は時間切れまで待つしかなさそうだ。

 その時、背後から足音。振り向くと、ザジが近くまできていた。出口が開いていると思って歩いてきたのかもしれない。
 息遣いは荒く、フラフラと足元は覚束ない。媚薬が効いてるのだろう。
 こんな状態になってまで飲み干してくれたのに、それが無効って、もうちょっと、こう、あっただろ!温情!頑張ってくれたザジに「媚薬飲んでも無駄だったみたーい」って言うの、可哀想過ぎるだろ!

「あ、あの、ザジ、何か、セックスしないと出られない部屋に変わったみたいで…」
「……」

 どこか焦点の合わない、据わった目をしたザジが一歩距離を縮めてきた。
 何となく圧に押されて後退りすると、次の瞬間、勢いよく頭を掴まれ唇同士がぶつかる。

「!?」

 すぐ後ろは壁だった。身体ごと間に挟まれ逃げられなくされた直後、ぬるりと唇を割った舌と共に、とろみのある液体が流れ込む。
 媚薬だ。最後の一本、ずっと呑み込んでなかったんだ。
 こ、こいつ、オレも道連れにしようとしてる!
 口内に感じた甘ったるい味に、嫌悪から咄嗟に顔を逸らす。しかし唇は離れず、それどころかよりしっかり密着するように押しつけられ、
 ユーリはついにその液体を飲み込んでしまった。

「ぶはあっ!…っげほ、げほっ!お、おまっ、」

 すぐさまザジに苦言を呈そうとする。
 が、しかし。それはブワリ、と瞬く間に全身を侵食した熱により、言葉にならないまま消えた。
 力が、抜け…っ、

「ぁ、あ、?」

 ガクガク、足が細かく震える。立っていられず、壁伝いにずり落ちていると、その途中で腕を掴まれた。ザジだ。
 お、お前、こんなのよく何本も飲めたな…!?
 熱い手の平がユーリの手首をしっかり一周していた。そのまま引っ張られると、もうユーリには抵抗のしようがない。

「ちょ…、まっ」

 ずりずり、引きずられるようにベッド付近まで移動させられ、ポイッと雑に放られる。そのまま後を追うようにシーツを這い、上から覆い被さってきたザジに息を呑んだ。

「ザ、ザジ…?」

 圧が怖くて咄嗟に目の前の胸板を押すが、びくともしない。ユーリが媚薬を飲んで力が入っていないにしても、ザジはその9倍以上の量の媚薬を飲んでいるのだ。色々と辻褄が合わない。
 動揺している内に、ザジの手がユーリの服の下へと潜り込んできた。

「え、うわっ、ちょっ!」

 ごつごつとした大きな手の平が、ユーリの肌を隅々まで堪能するように、あちこち規則性なく這いまわる。
 ユーリの身体も敏感になっているようで、好き勝手に撫で回された場所が一段と熱を持ち、呼吸が勝手に荒くなった。

「は、ぁ、やめっ、…っ!」

 身を捩ったその時、必然か偶然か、硬いものが腰に触れる。それはザジの一物だった。ズボンの中でキツそうに張り詰めたそれが、ずりずりとユーリの身体に擦り付けられる。
 驚いて目の前を顔を見ると、そこには、眉間に深く皺を寄せ、苦しそうな表情のザジが居た。食いしばった歯の隙間から、フーッ、フーッ、と獣のような荒い息が漏れている。
 それを見て、ユーリは唖然とした。
 いや、媚薬の効果は身をもって分かっていたはずだ。しかし、ザジなら大丈夫だろう、とどこか盲目的に信頼しきっているところがあった。
 だがそうではない。
 いや、たとえそうだったとしても、きついのはザジだって同じだ。
 逆にあれだけ飲んでよく耐えてるよ!?
 ユーリは覆い被さるザジの背に手を添え、そしてぐっ、と近くへ抱き寄せる。
 媚薬を飲んでもらう代わりに、ザジが働けなくなっても守るって言ったのはオレじゃないか。

「ザジ、大丈夫だからな。オレが絶対、何とかするから」

 安心させるように告げ、労りを込めて近くにある頭を撫でた。
 といっても、具体的にどうするべきか。媚薬を飲まされたせいで、ザジ程じゃないにしろ身体は熱を持ち、あらぬところが反応している…。
 思考の途中、抱き寄せていたザジが、ユーリの耳元で告げた。

「──じゃあ抱かせろ」

 脳髄に響いた低い声に、身体の芯がゾクゾクッと粟立つ。
 ザジはユーリの手を簡単に振り払うと、性急にベルトに手をかけて、ズボンを脱がそうとしてきた。

「ま、待て待て正気に戻れ!セックスはこっ、子作りだろ!?男同時じゃ無理だ!」
「……無理じゃない、尻に入れる」
「馬鹿なの!?ねえ馬鹿なの!?」
「ちんこを下半身の穴に入れて擦って射精すればそれはもうセックスなんだよ」
「嘘だああ!!」

 無理矢理下穿きが取り払われたかと思うと、ザジは自身のそれもくつろげ、立派な男根を外気に晒す。
 効果音はボロン、ではなく、ブォルンッッ!!という感じだった。
 でかい。死んだ。
 ユーリの脳を真っ先に掠めたのはそれだ。
 パーティーメンバー全員で身体を洗うこともあるので、完全初見というわけでもない筈なのだが、え、こ、こんな??こんな血管浮いてる感じの、バキバキに膨れた怖いやつだったっけ??戦士はこんなところも力強くなきゃいけないのか??
 待って、これが尻に?むりむりむりむり無理だって。
 そもそもそれがセックス認定されるかも分からないのに??

 ……でも、ザジは今も苦しそうだ。
 オレが、痛みに堪えればいいだけの話なのかもしれない。
 尻が切れて、内臓とかちょっと傷ついても即死ってわけじゃないし、それならヤヒロに治してもらえる。
 現状、部屋を出る手段はこれしかないわけだし、……それに、ザジはさっきの脱出条件で媚薬を全部飲んでくれたんだ。
 次はオレが身体を張るのが筋ってものだろう。

 ユーリは覚悟を決めると、真っ直ぐにザジを見て告げる。

「分かった。……ザジと、セックス、する」

 直後、噛み付くようなキスをされた。
 というか、もうほぼ噛み付かれていた。

「んん゛っ!?」

 勢いよくぶつかった唇同士が、その力強さにまかせてぐにぐに変形する。
 かと思えば急に舌も入ってきて驚いた。しかし、口内で好き勝手に暴れ回る分厚いそれは、媚薬で敏感になったユーリの粘膜には気持ちが良くて、本能のままに拙く舌を絡ませる。
 キスってこんなに気持ちがいいんだ。初めて知った。

「ふ…っ、…はぁっ、あっ!?」

 くちっ、くちゅ…っ
 舌同士が擦れ合う気持ちよさにぼーっと浸っていた時、剥き出しの尻をわしづかまれた。それと同時、尻の穴にザジの手が触れる。
 ぐにぐにと指先を食い込ませようとするようなその動きに、ザジが何をやろうとしているのか何となく理解した。
 もしかして穴を慣らしてくれようとしてる?でも、指で慣らしたところで、裂けるのは免れそうにないしな…。

「…っはぁ、ザジ、そこ触んなくていいからっ、も、挿れて」
「煽るな…心配しなくてもすぐ挿れてやる」

 ザジは興奮したように言うと、乾いた入り口へと性急に指を突き入れてきた。 引き攣れるような痛みに思わず顔が歪む。

「ザジ、ザジっ、どうせ切れるから、そのまま使ってくれていい。オレも一思いにやってもらった方がいいし、その方が早く終わるだろ?」
「──は?」
「やりやすいように後ろ向くから、ちょっと退いて」
「おい、待て、お前……」

 ザジの動きが止まった。どこか呆然とした表情の後、グッと顔を歪めて舌打ちする。「っざけんなよ…」という吐き捨てるような暴言も聞こえた。
 何か気に食わないことでもあるんだろうか。もしかして、心配してくれてるとか?

「大丈夫。オレは勇者だから、痛いのとか我慢できるし!」
「……」

 やや大袈裟に胸を張って言うと、ザジの表情はより苦悶に満ちたものになる。
 あれ……言葉選び失敗した?
 不穏な沈黙に戸惑いを感じていると、しばらく後、据わった目をしたザジが、地を這うような低い声で告げた。

「……分かった。じゃあ気持ちよくすればいいんだろ。それで『使う』とか、二度とそんなふざけた事言えない身体にしてやる」
「え?…っあ!?」

 ザジは突然にユーリの中心へと手を伸ばす。
 少量でも媚薬を飲んだからか、そこはまだ当然のように芯を持って立ち上がっていた。
 それをザジの大きな掌で、上から優しく全体を揉み込むようにされて、反射的に体がびくつく。

「ちょ、ちょっ、ザジ!?オ、オレのはしなくていいって、」
「勘違いすんな」
「は?」
「お前を抱くのは性欲処理のためじゃない。ここに閉じ込められたのが他のヤツなら俺は死を選んだし、……別にこんな状況じゃなくても、いずれ俺はお前を抱いた」
「……ぁ、え?ど、どういう意味…?」
「……」

 急所を揉み込みながら言われたもので、上手く理解できず聞き返すと、とてつもなく渋い顔をされた。
 そ、そんな怒らなくても…。
 その顔は段々こちらへと近づいてきて、少し左に傾けられた後、重なる。
 キスだ。

「んっ」

 さっきした時のような勢いは無かった。口を閉じたまま、何度かちゅ、ちゅっ、と唇をついばまれる。しかしそれもまたすぐにぐわっ、と大口を開けて噛み付かれ、深い繋がりを求められた。
 気持ちいいことだと分かっていたため避ける気も起こらず、ユーリはぬる、と入り込んで来た舌を受け入れて好きにさせる。
 ぞくぞくとした微弱な快感が背筋を伝って、脳を犯すのがわかった。互いの隙間を満たす呼吸が熱く、荒くなり、徐々に難しいことが考えられなくなる。

「あ、ふっ、…っはぁ、はぁ…」
「……お前、誰にでもキスするのかよ」
「? し、しない…。ザジが、はじめて…」
「……。ここで、俺以外のヤツが、……、いや、はぁあーー…」

 キスの合間にザジは何かを言おうとして、しかし途中で諦めたようだった。
 というか媚薬の効果で、いい加減話をしている余裕がなかったのかもしれない。
 ザジはやわやわと揉み込んでいたユーリの陰茎から手を離すと、そこに自身の怒張を重ねた。
 それは色も、大きさも、まるっきり違う別物だった。
 オレのは少し皮を被っていて、生っ白くて…、勃起していても大きさは控えめな方だ。でも、ザジのは…。
 雄としての格の違いを見せつけられているようで、ユーリは居た堪れず目を逸らす。
 ずしりと重いそれは、何度かユーリの性器をすり潰すようにぞりぞりと動いてから、その後、ザジの手の中でひとまとめにされた。
 一物が持ち上げられる感覚を不思議に思っていると、ザジは並んだそれを上下に擦り始める。

「あっ」

 敏感な場所をゴシゴシと容赦なく擦りあげられ、その強すぎる刺激にビクンッ!とユーリの足が伸びた。

「う、あ…っ、やっ、待って、やだっ!激し…っ!」
「激しいって…、大体こんなもんだろ。自分でやる時」
「し、知らない!やったことないっ」
「は、」

 ザジが手を止めたタイミングで、ユーリははぁはぁと乱れた息を整える。無理矢理擦られた陰茎が、慣れない摩擦でじんじんと熱を持っていた。

「……お前一人でシたことないのか?」
「あ、あるけど!ある…けど、……そ、そんな強く擦ったことはない。……い、痛くない…?」

 は??と訳のわからないものを見る顔をされて、ユーリはもしかして自分の方が普通じゃないのか?と一気に赤面する。

「べっ、別にやり方とか人それぞれだろ!……なに、ザジは…、い、いつもそんな感じで、強めにこすってんの……?」

 羞恥を隠すための反抗心が湧き上がるものの、興味はあって、ユーリは恐る恐る伺うように聞いた。
 すると、ザジは何故か怒ったような顔をして、再び二人分の陰茎を強く擦り出す。

「っ!?はっ、話聞いてた!?まっ、やっ、やだ…っ!いたいっ!いたいってザジ!うぁっ、あ…っ、つよいのっ、こわいぃ…っ」

 互いの先走りが混じって滑りが良くなり、にちゅにちゅ、卑猥な水音を立てて擦り合わされる一物。
 強い刺激に耐えられなかったユーリの方が一足先にイッた。
 並べられた小さい勃起がビクビクと震え、一丁前に白濁を吐き出す。それは服が捲れ上がったユーリの腹を汚した。

「はぁっ、はぁっ…、」

 一気に登り詰めさせられた快感に身体が追いつかず、真っ赤に染まった身体をびくつかせる。
 ユーリが脱力したまま必死に乱れた呼吸を整えている一方、ザジは自分の肉棒だけを持ち直すと、先程よりも更に激しく擦り始めた。
 目の前で幼馴染の自慰を見せられるなんて、多分きっと、おかしいことだ。変な気分になる。
 それなのにユーリは、目の前の痴態から目が逸らせなかった。

「フーッ、フー…ッ」

 荒い息を吐きながら、夢中で自身を刺激するザジ。
 そんなに激しくして、い、痛くないのかな…。
 思わず顔を見ると、同じようにザジもこちらを見ていた。快感に歪められた雄臭いその表情に、ドキッ、と心臓が跳ねる。
 そんなユーリの身体を、ザジは頭の先から足の先までじっくり目線を動かして堪能し、最後に舌なめずりをした。
 その仕草に、ゾク…ッとユーリの全身が炙られたみたいに熱くなる。
 それから少しして、ザジは一瞬息を詰めたかと思うと勢いよく射精した。凄まじい量の精液が回数を分けてユーリの腹に散らされ、溢れて留まりきれなかったそれは、肌を伝ってシーツに吸い込まれていく。
 わ、…す、すご…、こんなに出るんだ…。
 ユーリは、自身の腹の上に乗った白濁の量に慄いていた。
 そして、これだけ出しても尚、ザジの勃起は収まる様子を見せない。

 そろそろ挿れるよな、と察したユーリは、後ろ向きに体勢を変えようとした。しかしザジはまるでそれを拒むみたく、ユーリの腹に手をついて、ベッドへと押し戻す。

「ぁっ、」

 二人分の精液が塗されたそこをにちゃにちゃと混ぜられていた。その卑猥な仕草に、先程のザジの全身を炙るような視線が思い出されて、じわ、と顔が熱くなる。
 ぬめった体液を纏う手は、そのままユーリの下半身へと降ろされた。
 窄まりに指が添えられる。

「だっ、だから、指はしなくていいって…」

 言葉での抵抗を他所に、ザジの指はぬるっ、と滑りを借りて中へと入り込んだ。

「ゔ、……っ」

 初めてちゃんと感じる異物感に、反射で顔が歪む。
 何故ザジはそうまでして尻に指を入れたがるんだろう。解さなくて良いって言ってるのに。……うんこがないか確かめてるのか…??
 ぬめりがある分、先程よりは痛くないからいいが、もう早く終わらせて欲しい。……そもそも他人に尻触られるとか恥ずかしいし。

 ぐねぐねと中で折られる指が少しずつ範囲を広げていく。顔を顰めつつそれに耐えている時、不意にザジの指がある一点を掠めた。
 瞬間、ビクンッ、と何故だか無意識に身体が反応する。

「っ?、??」

 何か、今……?
 自分でも理解が及んでいなかったその反応は、ザジにも伝わったらしい。「ここか」と小さく呟いたかと思うと、彼はもう一度そこに触れた。

「──っぁ」

 力強い指でグッ、と押されて、途端に背筋をゾワゾワとした刺激が走る。痛みではないそれを快感と理解するのには少々時間を要した。
 未知の感覚に、身体が勝手に逃げをうとうとする。しかしザジがそれを許すはずもなく、身を捩るユーリを押さえつけて、その場所を執拗にこねてきた。
 圧迫されるたびに、びくっびくっと淫らに腰が揺れ、鼻にかかったような変な声が漏れ出る。
 そうなっていやでも理解した。
 オレ、尻の中で気持ち良くなってる…?

「っ、あ、あ……っ」

 指が増えていき、狭かったそこが広げられていく。快楽は痛みを凌駕する麻酔だった。
 よくわからないまま準備だけが進んでいくことに、ユーリの頭だけが追いつかず混乱する。展開が早い。

「ざ、ザジっ、おかっ、おかし…っ」
「何が」
「なんか、あっ、はぅっ、…っ、まって」
「痛いか」
「ちがくて…っ、でも…」
「……気持ちいいか」
「!……っ、き、きも、ち…っ、」

 言葉にした瞬間、ザジの手付きが激しくなった。
 今までじんわりと指圧するような刺激だったのが、中の粘膜を引っ掻くような動きに変わる。急に訪れた絶え間ない別種の快楽に、ユーリは我慢できず悲鳴を上げた。
 足が何度もシーツを蹴って、後ろ頭がぐしゃぐしゃに痛むくらいベッドへと擦り付けられる。
 ガクガク、腰と内股が震えていた。

「はぁっ!はぁっ!……ン゛ッ…あっ!あっ!ま、まって、くるっ、なんか、ぅ、」

 うわごとのように言って、絶頂。

「~~~ッッ!」

 全身に力が入っていた。それは後ろの穴も例外ではなく、みっちり埋まったザジの指をぎゅ、ぎゅ~~!と熱く潤んだ肉襞で食い締める。
 触ってもいない陰茎からは、びゅっびゅっ、とはしたなく精液が飛び出ていた。
 すぐに身体は弛緩し脱力するが、絶頂の余韻で上下にカクつく腰はどうすることもできない。

「はっ!は…っ!はあっ、は、ぁう…っ」

 全てが終わった後になって、ユーリはやっとイッたことを理解できた。
 なんだこれ…。心臓、バクバクしてる…。頭、ふわーっとして…、射精はしたけど、何だか、ずっと重だるい感じが下半身に溜まっていっているような…。
 ユーリが必死に身体と心を落ち着けているところで、ずるり、と後孔から指が抜け出ていく。
 その刺激にすら「あぅ…っ」と身を震わせていた時、不意に、首元に熱く湿った感覚を覚えた。
 視線をやると、そこにはザジの頭が。

「……、え、なに…?なんでなめる…?」
「……汗かいてた」

 汗かいてたら舐めるのお前…。初めて知ったんだけど…。
 そのまま残っていた全ての服が剥ぎ取られていくが、快感の余韻もあって、ユーリに抵抗する気力は残っていなかった。
 されるがまま、脱ぐ時に腕を上げさせられて、そこで晒された脇も舐められる。
 くすぐったさと恥ずかしさに首を振るが、ザジは止めてくれなかった。
 徐々に顔は下がっていき、そして、胸の尖りに辿り着く。

「ぁ、はっ、やだっ、そこ…っ」

 色が変わっている部分を舐められて、下半身程ではないが、確かな快感があった。

「ザジ、そんななめたら、ふやける」
「どこが。……舐められて興奮して、ビンビンに勃ってんだろうが」

 ツン、と硬く立ち上がってしまっていた乳首を何だか卑猥なもののように言われて、一気に恥ずかしくなる。

「はっ、うぅ…っ」

 ザジは余計に吸いついてきて、舌先で凝った尖りをしつこく転がした。舐められていない方は指の先を擦り合わせるように捏ねられて、どんどん感覚が鋭くなっていく。
 背筋を伝って下半身に重く積もっていく快感は、確かな疼きを伴って孔をひくつかせた。それを見越したように、ドクンドクンと脈動するザジの肉棒が股の間へ擦り付けられる。
 限界まで射精を我慢して張り詰め、ボコボコ怖いくらいに血管の浮いた凶器とも言っていい代物。それなのに、ユーリは恐怖とは別のところで、自然とそれに何かを期待するような熱いため息が漏れた。
 オレの身体、媚薬のせいでおかしくなっちゃったかな…。このままサジのを尻に入れて、もし気持ちよくなったりしたら、なんかそれ、処理って感じじゃ済まなくないか…?
 お互い擦るのとかは、恥ずかしさはあったけど、まあ緊急事態だったし、自慰の延長みたいなものだし…。でも、今からお互いの身体を使って気持ちよくなってしまうのは、自慰とは違って、二人でしか出来ないことで。
 それが世間一般でどう表現されるかっていうと、それは、セックス…なんじゃないか?
 子作りでも、愛し合う相手がするようなものでもないけど、セックスなのかもしれない。
 意識してしまうと、何だか急に照れくささが襲ってくる。

 乳首を舐めるのをやめたザジは、ついにユーリの後孔に狙いを定めた。
 入口の襞を伸ばすように、両手の親指でぐっ…、と広げ、そして、いきり立った肉棒の先端を食い込ませる。
 今にも突き刺されそうなその瞬間、ユーリはザジの腕を掴んで動きを止めた。
 汗ばんで少し湿ったザジの腕は熱い。その生々しさが、更にユーリの羞恥を押し上げる。

「ま、待って、サジ。これ、……セックス、かも」

 少しだけ、考えを整理する時間が欲しかった。ザジにも一緒に考えて欲しくて。
 しかし、

「──最初からそうだろ」
「え」

 ザジはもう待てなかったみたいだ。
 ぐふ、と亀頭が埋め込まれると、後は一瞬だった。

「──ぉ゛っ」

 すぶぶ…っ、めりめりめり…っ
 一息に貫かれる。その衝撃に息が詰まって、呼吸が出来なくなった。
 指が届かず広がりきらなかった場所にもねじ込まれ、我が物顔でハマり込む肉棒。入り口の襞は赤く伸び切って、みちッ…みちッ…と音がしそうなくらい隙間なく密着し、その巨根に縋り付いていた。異物を押し返す人体の防衛機構だろうか。自分を貫いてるのがどんなに恐ろしく卑猥な形をしているのか、これから自分を気持ちよく乱すのが誰のものなのか、全身で分からされにいっているみたいだ。
 切れてはいないと思う。しかしもうそんなことはどうでもよかった。痛い。熱い。それなのに、敏感な場所に食い込む肉棒が確かな快感を伝えてくることだけが、今ユーリの頭の中を占領してしまっていた。

 フーッ!フーッ!
 獣のような興奮の息遣いがこめかみ辺りに吹きかけられる。そのままザジは腰を引く動きを見せた。

「……ッ、ゆっ、くり…!ざじっ、ゆっくり…っ!」

 慌てて懇願するユーリだったが、しかし、それが聞き届けられる前にサジの怒張は弾けた。

 低い唸り声をあげながら、どびゅっ、びゅっ!びゅーーっ!とユーリの中に熱い体液が打ち付けられる。あまりの勢いのよさに、腹の奥に意識を集中させたユーリはギュッと目を閉じ、睫毛を振るわせながらその衝撃に耐えた。
 長い射精だった。
 きっと、少し前にユーリの腹に散らされたものと同じくらいの量の精液が、今中に出されているのだろう。
 その光景を想像して、何故か無意識にぎゅ、と穴が締まった。
 ザジもあんなに張り詰めていたし、もう限界だったんだ。少しの刺激でもイッてしまうくらいに。それ程媚薬の効果がすごかったということだ。
 ザジの呼吸が落ち着いてきたのを察して、ユーリは感謝といたわりの気持ちを込め、彼の背をポンポンと叩いた。

「ありがとうな、ザジ。……あは、オレが女だったら、なんか、一発で孕んでそう…」

 そんな冗談も言えるくらい、ユーリも落ち着いていた。というか安心していた。自分がザジのものであられもなく感じてしまう前に行為が終わったから。何となく、男としての矜持が守れた気がしたのだ。
 これでセックス出来た判定にならないだろうか?いや、もしこれで扉が開かなかったとしても、それはそれでやっぱり男同士では無理だって事が分かるから、その時は別の条件が出るまで待つしか──、
 そんなことを思っていたら、微かにカチャ…という金属音がした。
 二人以外から生み出された音に、ユーリは鍵が開いたのでは!?と反射的に振り向いて。
 しかし扉が視界に入る前に、ザジによってガッと両手で頭を抑えつけられ、キスをされる。

「んッ、む…っ」

 呼吸を貪るような、ただ勢い任せに押し付けて乱暴に口の中を犯す、そんな知性の欠片もない口づけだった。ユーリは息継ぎのタイミングで無理矢理顔を逸らしてから、また口を塞ごうとするザジへと伝える。

「ぷあ…っ!さじっ、とびら…っ、とびら、開いたかも、」
「いや、開いてない」
「え?」

 ザジは言い切るとまたキスをして、──律動を始めた。

「ンン゛ッ!?……っは、ぁんむ…っ!んぅっ!」

 もう終わった、と油断していた中を叩き起こすように肉棒が擦り上げる。
 ついさっき出したばかりだが、やはりと言うべきか、ザジの勃起は治まっていなかった。最初に挿れられた時と何ら変わりのない怒張が、じゅぼじゅぼと中に出された精液のぬめりを借りて肉襞をかき分けていく。
 その度、指とは比べ物にならない程の質量が敏感な場所を絶えずごっ!ごっ!と抉って、強烈な快感に息もままならず身悶えた。

「ぁ゛っ、はぁっ、ま、待って、さっき音、したから…っ、かくに、ン゛ッッ!」
「開いてない」

 苛立ちをぶつけるようにピストンが早くなる。ガクガクと身体を揺さぶられる激しい律動に、抵抗は意味をなさなかった。
 もう覚えられてしまった気持ちのいい場所を徹底的にいじめられて、ユーリは急速に高められる絶頂感に抗えないまま、びっくん!と大きく痙攣し声もなく果てる。それでまた中がきつく締まったのか、ほぼ同じタイミングでザジもイッたみたいだった。

「…ぁー…ッ、…あっ、は、…ぅ゛っ…」

 じんじんと快感に熱を持つ中に、またびしゃびしゃと精液を注がれる感覚がリアルだった。
 痛いのは耐えられると思っていたが、快感が混じるとまずいかもしれない。色んな意味で頭がおかしくなりそうだ。
 まだ正気を保てている内に、早く、ここから出なきゃ。
 ザジと、助からなきゃ。

「も、もう、あいたんじゃ…」
「開いてない」

 またそう言って、身体を起こしたザジの目が見える。

「ひ…っ」

 熱い情欲が迸る興奮しきった目が、ユーリだけを捉えていた。
 思わず悲鳴に近い声が出る。
 反射的に抵抗しようと伸ばした手は簡単にまとめられ、シーツへと押し付けられた。
 外そうとしても、力が強くてびくともしない。逃げられないことを理解して、恐怖で喉が震えた。

「あ…っ、まって、やっ、やだっ、やだぁ…っ、──あ、あ゛ぁっ!」

 また始まった激しい突き上げに、視界が大きくぶれる。

「痛くっ、ないだろっ」
「~~~ッ、ぅあっ、なっ、ない゛…っ、ない゛、けどぉ…っ」
「気持ちいいんだろうがっ!」

 どちゅん!と勢いよく奥を突かれて、内臓が押し上げられる感覚に本能的な嗚咽が出た。
 しかしそれとは別に、耐えがたく危険な快楽も確かにあって、網膜にチカチカ閃光が舞う。

「~~~ふぎッッ」
「突かれて、気持ちよくなってんだろ。俺に中出しされて、孕む想像までして…っ。セックスだろ、これ。なあ、ユーリ。お前は俺と今、セックスしてんだよ…っ、分かってんのか、なあッ!!」
「はっ、はぁっ!あ゛ぁア…ッ!わか…っ、でる゛!ザジと…っ、せっくす、してる゛~~…ッ」
「他のヤツと、すんなよ…っ」
「し、ないっ、しな゛い゛っ、んあ゛…ッ!……あっ、こ、こんなの、ざじと、しかっ、~~ッ」

 乱暴なキスをされた。欲望が全面に出た、目の前の獲物を喰らって、所有を示すためのキス。
 舌を引っ張り出されて、ただ震えていると従順を促すように噛み付かれる。痛みに拙なく舌を吸って、互いの呼吸と唾液を分け合った。
 上も下も、熱い粘膜同士がぐちゃぐちゃに混じり合って一緒の温度になり、お互いの境目がわからなくなる。

「…っはあ、キスするのも、俺とだけだ…」
「ッ、あっ、はあっ、だめっ、イく、ひっ、イく…っ」
「返事しろ!」
「あ゛~~~ッ!っ、はひっ、はっ、ざじっ、ざじだけっ…ッぁ゛、~~~いッ、ぐぅ…ッッ」

 降り積もった快感が一気に弾けた。
 ぴゅ…っ!と申し訳程度に精子が飛んで、それ以上に腰がベットの上でガクガク、制御できずに暴れる。

「は、はぁっ、……ん、……うあっ!?ぁ、ひぃっ、ん゛っ、や、やあ゛っ!イった!もうイったから゛!」
「俺がまだイってない…ッ」
「~~~ッッ」

 がつ!がつ!がつ!
 ザジはユーリの腰を強引に掴み、動けないよう固定してから、絶頂に震えるそこを剛直で休みなく掻き回した。

「あぁあっ、あ゛ーーっ!!ぁ゛っだめっ、すご…っ、ひ、またいくっいくっイッ、~~~ッッ!!」

 連続して強制的に押しつけられる快楽に、ユーリは脳の処理が追いつかない。
 ぎゅっ、ぎゅう…っ、とザジの肉棒を締め付けるために勝手に力が入ってしまう、疲れ切った筋肉による下腹の痛みだけで何とか意識を保っているような状態だった。

「ぁ、ひ…ぁ…っ」
「ああくそ…っ、入りきらねぇ…ッ」

 ザジの理性は極限まで溶け、自身の欲を満たすために躊躇がなかった。
 ユーリの限界などお構いなしで、行き止まりの更に奥を目指すようにごちゅん!ごちゅん!とち◯ぽを使った乱暴なノックをしてくる。

「ぉ゛っ、ひ、ぎ、ぅっ、もお、あいたっ?ま、まだ?あぅ゛っ、~~もぉ゛、いくの、やだ…ッ!きっ、つ、……っも、でたいっ!だしてっ、ざじっ!ざじ…っ!」

 何とかザジの気を逸らそうと話しかけるユーリ。
 というより、もうこれは命乞いだ。
 しかし、ザジはその声で逆に興奮したように一層深く肉棒を突き入れてから、気持ちよさそうに唸って奥へと射精した。
 ビュルッ!ドビュルル…ッ!!
 容赦なく内壁に叩きつけられるそれに、ひいっと声にならない悲鳴をあげながら、ユーリも淫らに腰を振り乱して絶頂する。

「…ぁ、はぅ……っ、」

 がくっがくっ、へこへこへこ…っ
 激しい痙攣にザジの肉棒がずるんっ、と滑り出たのを良いことに、ユーリは咄嗟に後ろを向き、息絶え絶えにベッドの上を這いずる。
 しかしその決死の逃亡計画も虚しく、後ろから覆い被さられて身体ごと押さえつけられると、またすぐに怒張をハメ込まれた。散々中に出した精液を一滴たりとも漏らさせないよう、卑猥に腰を回してみっちり奥まで仕舞われる。

「──まだ、開いてない」

 背後から告げられた絶望の宣言に、じわあ、と涙が溢れた。

 パンパンパン!
 うつ伏せのまま背後からのしかかられて、めちゃくちゃに突かれる。

「…ぉ゛ーッ、…あっ、あ゛っ…、」

 ユーリは涙と鼻水、涎、汗、色んな体液に濡れた顔をシーツに擦りつけ、くぐもった唸り声を上げた。押しつぶされた身体一つで、逃がせない快感を全て受け止める。
 ごちゅん!と勢いよく亀頭で奥を抉られて、まるでそんな玩具かのように身体が仰け反った。

 ──その一瞬、星が舞い散る視界で、扉が微かに開いているのを見る。

 え、

 もしかすると、絶頂の最中で壊れた頭が見せた願望かもしれない。でも確かにこの目で見た。
 扉は、開いていた。
 媚薬に侵され、躍起になってユーリの中を犯し尽くすザジはまだ気付いてないのかもしれない。それならば早く教えてやって、この行為を終わらせたかった。
 これ以上続いたら壊れてしまう…。

「さじ…、あっ、あいてる…っ、とびらっ、ぁ、あいて…、」

 なんとか気力を振り絞って告げた言葉。
 しかし次の瞬間、ユーリの両目はザジの手で覆われ、
 耳元で声がした。

「うるさい。開いてない」

 その言葉を最後に、やや乱暴に掴まれたユーリの片腕が後方へと引かれる。
 それを支点にして、
 ぐぽんっ
 最奥の何かを守っていた弁が、力づくで抜かれた。
 頭が真っ白に染まる。

「あ…、ああ…っ、」

 気づいた時には震えが止まらなくなっていた。
 ガチガチと寒くもないのに歯が鳴って、重力に任せて口内に留まりきらなかった涎がとろーっと糸を引いて溢れる。明らかに正常じゃない痙攣。ぶしゅ、ぶしゅっ。何かが漏れ出ているのにも気付けぬまま、ユーリはただ自分の制御下にない身体の反応が早く収まってくれることを願った。

「あ゛ーー……やっと全部入った…」

 満足そうに言って微かに笑ったザジは、まるでそこが閉じ切るのを許さないみたいに、亀頭を往復させ、無理やり押し広げる。

「──……ぉ、」

 息ができない。苦しい。酸欠のせいか、ユーリの顔は真っ赤だった。
 それでもザジはぐぽぐぽと奥で遊ぶのを辞めない。そしてゆっくり、存分にそこを楽しみきると、遂に大きく腰を打ち付けた。

「──ッッ…!!」

 ユーリの首が申し訳程度にびんっ、と伸びて、哀れに震える。
 ずるる、と肉襞をまとわりつかせながらギリギリまで抜かれた怒張が、次の瞬間には一気に根元まで差し込まれた。一瞬で暴いては駄目なところまで暴いて、全てを蹂躙する。そんな情け容赦など一切ない、酷い高速ピストンがユーリを襲った。
 さっきまでのも相当だったが、その比じゃない。
 痛い、気がした。しかしもう分からない。それ以上の快感で塗りつぶされて、頭にじんわり墨が滲むみたいに思考が死んでいく。
 突かれる度、くたびれた陰茎の先からぶしゅ、ぶしゅ、と透明な体液が漏れていた。
 ずっと、イっていた。
 しかしそれを表現する言葉はどうやったって出てこなくて、ザジに何も伝えられないまま、うー、とかあー、とか、動物みたいに鳴いていた。
 惨めだった。
 これは獣の交尾よりも余程過激な、理性を失った交わりだ。

「ユーリ…っ、ハァッ、ユーリッ」

 ばつんばつん、と中を無理やり犯し尽くすような律動の中、必死な声で名前呼ばれ、あちこち噛まれる。
 それに答えられるような、ましてや抵抗できるような知能も体力も、もう残ってはいなかった。
 ドピュッ!!ビューーッ、ドピュ…ッ!!
 簡単には出てこれないだろう奥の奥に、当初から全く減らない量の精液を出される。それなのに更に奥にやろうとしてるのか、必死に腰を押しつけられるものだから、体液で濡れた恥部が隙間なく合わさってぐちゃぐちゃと酷い音を立てていた。

「はぁっ、…一番奥に出したぞ、分かるか」

 熱い吐息と共に囁かれるが、白飛びした頭では何も理解できない。
 ただ、ずっとザジの肉棒を咥えて擦っている穴の入り口は敏感で、付近に打ち付けられる陰嚢がまだパンパンなのは分かった。それを知らしめるようにぐりぐり押し込まれて、まだまだこれだけお前の中に出すからな、と言外に宣言されてるようで、ゾクゾクとせり上がる恐怖と期待に眩暈がした。

 またパンパンと強く尻を叩くようにして腰を打ち付けられる。
 いつ終わるか分からない交わりに、目の前が白くぼやける感覚があった。

 *

「………ぶべらっ!!」
「あ、起きた」
「オイ大丈夫かユーリ!」
「けほっ!げほ…っ!、っ!?」

 目覚めて早々、鼻に入った水の不快な感覚に思わず咳込む。
 顔面をあらゆる体液で濡らしながら状況を理解するために顔を上げると、そこには心配そうな表情のヤヒロと、「良かったー」と言いながら魔法で水を出すフィンク、そして隣には、びちゃびちゃと顔に水を浴びせられる、まだ意識のないザジの姿があった。
 フィンク、お前か。オレの鼻に水を入れたのは…。
 直後、ザジもごはあっ!と目を覚まして激しく咳込みだす。
 もうちょっと優しい起こし方はないものか。

「お前らが二人ともやられるとか、相当ヤバい敵だったんだろ?何があったんだ」

 神妙な顔のヤヒロに、しかしユーリは何も答えられなかった。というか、覚えてないのだ。
 今ユーリ達が居るのは森の中、……だが、そもそもここに来た記憶がない。
 ユーリの記憶はどう思い返しても、久しぶりの清潔な宿のベッドで幸せに入眠する時のそれまでだ。それはザジも同様なようだった。
 しかしヤヒロが言うには、オレ達は揃って魔物退治に行くのだ、と朝早くから宿を出て行ったのだと。宿の朝食も食べず。
 ええ…?全く覚えてない。そして多分オレ達は魔物退治より朝食を優先すると思う。

「もしかすると、昨日の時点で何かしらの呪いにかけられてたのかもな。指定の時間にこの場所に来るように、とか」
「何それ怖っ!?」
「ああ、めちゃくちゃ怖ぇ。被害にあったのが俺じゃなくて本当に良かった」

 正直すぎるセリフに半眼を向けると、「回復はしてやったんだし良いだろ」と気まずげに機嫌を取られた。素直にそれはありがたいので礼をいうが。
 ユーリ達は見かけ上目立った外傷はなかったようだが、中までは分からなかったため一応全体を回復してくれたらしい。そのおかげか身体のどこにも異常はない。むしろ逆に清々しい気すらする。
 結局何が起こったのか分からずじまいだが、まあ身体が無事なら良しとしよう。覚えていないわけだし、これ以上どうすることもできないというのが本音だが。
 さて、じゃあ次の街を目指しますかーと立ち上がった時、フィンクに世間話みたく「二人共、お腹に変なの入ってたからとっておいたよ」と言われたことでユーリは動きを止めた。
 彼は更に重ねて言う。

「ユーリは尻にもなんか入ってた」
「こわーー!?!なっ、何!?何が入ってたのオレの尻に!?」
「多分うんこだと思う」
「何だうんこか…」

 パーティーメンバー兼幼馴染に排泄物の処理をさせてしまったという事実には蓋をしつつ、ただ危険なものではなかった事に安堵した。
 驚かせやがって……。

「というかフィンク、そんなこと出来るんだな!すげー!」
「うーん、細かいのはむずかしくて、ちょっと内臓こそげ取れちゃったけど」
「二度とするな!?」
「えー?うんこ出してあげたのに」
「うんこはほっといたら自然に出るものだから!」
「内臓も回復しといたから問題ねーよ」
「ヤヒロ…!お前何でも回復できるからって人としての感覚なくしちゃったら駄目だって…!」

 鬱陶しそうな顔をしたまま先に進みだすヤヒロ。それを追いかけようとした時、ふと違和感。
 あれ…?ベルトの向きがいつもと違う。
 余った先端部分が普段と逆側にあるのを見て不思議に思っていると、その俯いた鼻先からザジの匂いがした。
 近くにいるかと思えばそうでもなかったため、ユーリは自らザジに近づき、スン、とその匂いを嗅ぐ。
 装備を確認していたらしいザジは怪訝な顔でこちらを見た。

「なんだよ」
「いや、なんかオレからザジの匂いがした気がして確認した。やっぱザジの匂いだ。近くに倒れてたから移ったのかな」
「は…お前人の匂いとか覚えてんのかよ。キモ」 
「えっ、い、いや、覚えたくて覚えたんじゃなくて、一緒に居たら何となくわかるだろ?オレ結構ザジの匂い好きだし。何か安心する匂いって感じで」
「離れろ変態」
「酷くない!?」

 戯れもそこそこに、「何してんだー!置いてくぞー!」というヤヒロの呼びかけに促され、ユーリは返事をしつつそちらに足を向ける。
 距離があいた後、ザジが自身の服の匂いを嗅いでいたことは誰にも気付かれなかった。
 そこから、自身の体臭とは異なる、温かく懐かしい陽だまりの香りがしたことも。

 おわり
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