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2章 冒険者としての生活
依頼達成報告
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すっかり日が落ち街に帰り着くと、賑やかな喧騒が聞こえてくる。
いつものように、城壁の通用門に向かうと守衛達が慌ただしく動いているのが見えた。
「なにかあったのかしら?」
アリーセが首を傾げている。
冒険者証を見せて通用門を通ると、スコットのおっさんが居たので何かあったのか聞いてみることにした。
「おっす、なんか騒がしいけど何かあったのか?」
「おう、イオリとアリーセか。 いやなに、街の近くにゴブリンが何匹か出やがってな、うちの若いのが仕留めたんだが、他にもいるんじゃねーかって見回りしてんだよ」
「街の近くにゴブリンが出るのは珍しいことなのか?」
「どうなんだろう? 気にした事がなかったわ」
「あいつら森に住んでるからな、はぐれが単独で見つかることはあっても、複数ってことは滅多に無いな」
これも異変ってやつだろうか?
「それは、ご苦労様だな、ちょうどこれからギルドに行くからついでに報告しとくよ」
「おう、よろしく頼むわ」
スコットのおっさんは、ひらひらと手を振って忙しそうに行ってしまった。
夜とはいえ、まだまだ宵の口だ、賑やかなメインストリートを抜け冒険者ギルドに向かう。
ギルドに着くと、いつもならこの時間はそこまで人が多い時間ではないが、結構な数の冒険者達が居た。
「こんな時間に珍しいわね」
アリーセが顔見知りだろう若い戦士風の男に声をかけた。
「ん? ああ、アリーセか、なんか街の近くにモンスターが複数居たって話でな、情報もらいに来たんだよ」
「ああ、それならゴブリンだったみたいで、守衛の方で対処したみたいだったぞ」
「なんだよゴブリンだったのかよ、なんかやけに騒いでるから何かと思ったぜ。 情報ありがとな。 おーい、出たのゴブリンだってよー」
集まっていた他の冒険者達に今の情報を伝えに行った。
「とりあえず、報告しちゃいましょ」
「アイアイマム」
アリーセにうながされて、窓口のあるエリアへ向かう。
こちらにもチラホラと人が居て並んでこそいないが窓口で話を聞いているようだ。
アリーセが迷わずいつもエマがいる窓口に向うが、今は誰も居ないようだ。
「エマー居るー?」
アリーセが窓口に頭を突っ込んで中に声をかけた。
今日はこの時間にしては珍しく他にも空いてる窓口があるので、そっちに行けば良いように思えるのだが、エマじゃないと駄目なんだろうか?
「あ、おかえりなさいアリーセさん」
アリーセがカウンターの窓口頭を突っ込んでいるせいでよく見えないが、エマが居たようでパタパタと走ってくる音が聞こえた。
「すみませんお待たせしました。 今朝の依頼の調査報告でしょうか?」
「そうよ、普段見かけない大型モンスターが複数居たから、早めに切り上げて来たのよ。 あと、街の近くに出たモンスターはゴブリンだったらしいわ、守衛の方で対処済みみたいよ」
切り上げようとしてからしばらく弓で荒野を作る簡単なお仕事に勤しんでたけどな。
「ん? 何よ何か言いたい事でも?」
「なんにもないぞ」
アリーセが首を回してジト目で聞いてきたので、なにも思っていない風を装っておく。
「報告ありがとうございます。 それで、調査の方で発見したのはどうのようなモンスターでしたか?」
「トロールの亜種が3体居たわ、イオリが鑑定した限りではダンジョン産ってことらしいわ」
「ダンジョン産のトロールが森に居たんですか!?」
エマが驚いて声を上げる。 周り居た他の職員や冒険者達が一斉にこちらを向く。
「トロールだって?」
「マジかよ、俺らじゃ厳しいぞ」
「ダンジョン産とか言ってなかったか?」
「トロールってなんだ? 強いのか?」
途端に場がざわざわとしだした。
「す、すみませんでしたー! まだ不確定情報ですー!」
エマが周りに向かって謝罪を入れるが、皆こちらに注目しているのが分かる。
「もう、しっかりしてよねー」
「す、すみません……」
アリーセはあまり怒っている様子では無いが、エマはちょっと落ち込んでしまったようだ。
「実際にダンジョン産かはわからんが、居たのはケイブトロールとか言うダンジョンに住んでいるはずのトロールの亜種だったな、ゴブリンぶっ飛ばしてたぞ」
「け、ケイブッ……モガッ」
俺の話を聞いて、また声が大きくなりそうだったところで、すかさずアリーセがエマの口を塞いだ。
「はい、落ち着いてー。 素数とかいうのを数えると落ち着くらしいわよ? はい、1、3、5、7、9…」
俺が雑談で教えた事をアリーセが優しくエマに教えているが、それは素数じゃなくて奇数だ。
「す、すみませんでした。 もう大丈夫です。 新たに討伐依頼を出さないといけませんね……」
「一応、見かけた3体は倒してきたから確認と素材の換金してもらっても良いかしら?」
「二人だけでケイブトロールを3体も倒したんですか!? しかも無傷じゃないですか! さ、流石はドラゴンを倒されるだけのことはありますね」
「まあねー」
アリーセは、ふふんと得意げだ。 ドラゴンを倒したのは俺なんだけど……。
「まあ、トロールの討伐部位とか素材になる部分がわからなくて適当に持ってきたから、使えないのがあるかもしれないけどな」
素材受け渡し用に着いているカウンター下の引き出しに、剥ぎ取ってきたトロールの素材を詰め込んでいく。
「はい、ではモンスターの種別等も含めて詳しい者に精査させますのでしばらくお待ちください」
俺とアリーセは、精査の間備え付けのベンチに腰掛けて待つことにした。
「おう、アリーセ、さっきトロールとか聞こえたんだが、確かなのか?」
ギルドに来た時にアリーセが声をかけた戦士風の男が話しかけてきた。
「本当よ、私は詳しく知らないけど、ケイブトロールとかいうトロールの亜種だったわ」
「ん? 詳しく知らないのに亜種かどうかまでわかったのか?」
「ああ、イオリが鑑定持ちだから一緒に行ってもらったのよ」
戦士風の男が俺の方に顔を向ける。
「えーと確か、アリーセが引きずってきた兄ちゃんだったよな?」
「アリーセが他に誰か引きずって来てなければ多分そうだ」
「おう、俺はウッツ、Cランクのファイターだ。前衛が必用だったらいつでも声をかけてくれ」
C ランクと言えばけっこうなベテランである。
ウッツはくすんだグレーの髪を短く刈り上げた気さくそうな青年で、魔獣の皮だと思われるゴツい鎧を着て背中にグレイブと呼ばれる薙刀に似た長柄の武器を背負っている。
「イオリだ、Cランク(仮)のノービス……で良いのかな?」
「C ランクでノービス!? あ、ジョークだよな? あぶねぇ、本気にするところだったぜ。 鑑定持ちなら、マーチャントとかシーフ系だろ? ま、ジョブを聞いただけである程度手の内が解っちまうから特殊なジョブだと隠して別の職業を言うってのは俺にも分かるけどよ。 いくらなんでもノービスとか謙虚すぎんだろー」
わははと笑いながら俺の肩をバンバン叩いてくる。
本当にノービスなので、嘘はいっていないのだが冗談だと思われたようだ。
ウッツを交えてしばし雑談をしていたら、しばらくしてエマから呼び出しが掛かった。
「すみません、中の商談室の方へ回って頂けますか? 副ギルドマスターがお話を伺いたいとのことです」
いつものように、城壁の通用門に向かうと守衛達が慌ただしく動いているのが見えた。
「なにかあったのかしら?」
アリーセが首を傾げている。
冒険者証を見せて通用門を通ると、スコットのおっさんが居たので何かあったのか聞いてみることにした。
「おっす、なんか騒がしいけど何かあったのか?」
「おう、イオリとアリーセか。 いやなに、街の近くにゴブリンが何匹か出やがってな、うちの若いのが仕留めたんだが、他にもいるんじゃねーかって見回りしてんだよ」
「街の近くにゴブリンが出るのは珍しいことなのか?」
「どうなんだろう? 気にした事がなかったわ」
「あいつら森に住んでるからな、はぐれが単独で見つかることはあっても、複数ってことは滅多に無いな」
これも異変ってやつだろうか?
「それは、ご苦労様だな、ちょうどこれからギルドに行くからついでに報告しとくよ」
「おう、よろしく頼むわ」
スコットのおっさんは、ひらひらと手を振って忙しそうに行ってしまった。
夜とはいえ、まだまだ宵の口だ、賑やかなメインストリートを抜け冒険者ギルドに向かう。
ギルドに着くと、いつもならこの時間はそこまで人が多い時間ではないが、結構な数の冒険者達が居た。
「こんな時間に珍しいわね」
アリーセが顔見知りだろう若い戦士風の男に声をかけた。
「ん? ああ、アリーセか、なんか街の近くにモンスターが複数居たって話でな、情報もらいに来たんだよ」
「ああ、それならゴブリンだったみたいで、守衛の方で対処したみたいだったぞ」
「なんだよゴブリンだったのかよ、なんかやけに騒いでるから何かと思ったぜ。 情報ありがとな。 おーい、出たのゴブリンだってよー」
集まっていた他の冒険者達に今の情報を伝えに行った。
「とりあえず、報告しちゃいましょ」
「アイアイマム」
アリーセにうながされて、窓口のあるエリアへ向かう。
こちらにもチラホラと人が居て並んでこそいないが窓口で話を聞いているようだ。
アリーセが迷わずいつもエマがいる窓口に向うが、今は誰も居ないようだ。
「エマー居るー?」
アリーセが窓口に頭を突っ込んで中に声をかけた。
今日はこの時間にしては珍しく他にも空いてる窓口があるので、そっちに行けば良いように思えるのだが、エマじゃないと駄目なんだろうか?
「あ、おかえりなさいアリーセさん」
アリーセがカウンターの窓口頭を突っ込んでいるせいでよく見えないが、エマが居たようでパタパタと走ってくる音が聞こえた。
「すみませんお待たせしました。 今朝の依頼の調査報告でしょうか?」
「そうよ、普段見かけない大型モンスターが複数居たから、早めに切り上げて来たのよ。 あと、街の近くに出たモンスターはゴブリンだったらしいわ、守衛の方で対処済みみたいよ」
切り上げようとしてからしばらく弓で荒野を作る簡単なお仕事に勤しんでたけどな。
「ん? 何よ何か言いたい事でも?」
「なんにもないぞ」
アリーセが首を回してジト目で聞いてきたので、なにも思っていない風を装っておく。
「報告ありがとうございます。 それで、調査の方で発見したのはどうのようなモンスターでしたか?」
「トロールの亜種が3体居たわ、イオリが鑑定した限りではダンジョン産ってことらしいわ」
「ダンジョン産のトロールが森に居たんですか!?」
エマが驚いて声を上げる。 周り居た他の職員や冒険者達が一斉にこちらを向く。
「トロールだって?」
「マジかよ、俺らじゃ厳しいぞ」
「ダンジョン産とか言ってなかったか?」
「トロールってなんだ? 強いのか?」
途端に場がざわざわとしだした。
「す、すみませんでしたー! まだ不確定情報ですー!」
エマが周りに向かって謝罪を入れるが、皆こちらに注目しているのが分かる。
「もう、しっかりしてよねー」
「す、すみません……」
アリーセはあまり怒っている様子では無いが、エマはちょっと落ち込んでしまったようだ。
「実際にダンジョン産かはわからんが、居たのはケイブトロールとか言うダンジョンに住んでいるはずのトロールの亜種だったな、ゴブリンぶっ飛ばしてたぞ」
「け、ケイブッ……モガッ」
俺の話を聞いて、また声が大きくなりそうだったところで、すかさずアリーセがエマの口を塞いだ。
「はい、落ち着いてー。 素数とかいうのを数えると落ち着くらしいわよ? はい、1、3、5、7、9…」
俺が雑談で教えた事をアリーセが優しくエマに教えているが、それは素数じゃなくて奇数だ。
「す、すみませんでした。 もう大丈夫です。 新たに討伐依頼を出さないといけませんね……」
「一応、見かけた3体は倒してきたから確認と素材の換金してもらっても良いかしら?」
「二人だけでケイブトロールを3体も倒したんですか!? しかも無傷じゃないですか! さ、流石はドラゴンを倒されるだけのことはありますね」
「まあねー」
アリーセは、ふふんと得意げだ。 ドラゴンを倒したのは俺なんだけど……。
「まあ、トロールの討伐部位とか素材になる部分がわからなくて適当に持ってきたから、使えないのがあるかもしれないけどな」
素材受け渡し用に着いているカウンター下の引き出しに、剥ぎ取ってきたトロールの素材を詰め込んでいく。
「はい、ではモンスターの種別等も含めて詳しい者に精査させますのでしばらくお待ちください」
俺とアリーセは、精査の間備え付けのベンチに腰掛けて待つことにした。
「おう、アリーセ、さっきトロールとか聞こえたんだが、確かなのか?」
ギルドに来た時にアリーセが声をかけた戦士風の男が話しかけてきた。
「本当よ、私は詳しく知らないけど、ケイブトロールとかいうトロールの亜種だったわ」
「ん? 詳しく知らないのに亜種かどうかまでわかったのか?」
「ああ、イオリが鑑定持ちだから一緒に行ってもらったのよ」
戦士風の男が俺の方に顔を向ける。
「えーと確か、アリーセが引きずってきた兄ちゃんだったよな?」
「アリーセが他に誰か引きずって来てなければ多分そうだ」
「おう、俺はウッツ、Cランクのファイターだ。前衛が必用だったらいつでも声をかけてくれ」
C ランクと言えばけっこうなベテランである。
ウッツはくすんだグレーの髪を短く刈り上げた気さくそうな青年で、魔獣の皮だと思われるゴツい鎧を着て背中にグレイブと呼ばれる薙刀に似た長柄の武器を背負っている。
「イオリだ、Cランク(仮)のノービス……で良いのかな?」
「C ランクでノービス!? あ、ジョークだよな? あぶねぇ、本気にするところだったぜ。 鑑定持ちなら、マーチャントとかシーフ系だろ? ま、ジョブを聞いただけである程度手の内が解っちまうから特殊なジョブだと隠して別の職業を言うってのは俺にも分かるけどよ。 いくらなんでもノービスとか謙虚すぎんだろー」
わははと笑いながら俺の肩をバンバン叩いてくる。
本当にノービスなので、嘘はいっていないのだが冗談だと思われたようだ。
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