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3章 ダンジョンアタック
冒険の仲間達
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厨房と食堂を行ったり来たり忙しそうなクーリアおばさんが近くを通る度にこちらを見張っている中、3人とも床に正座してスコットのおっさんに話を聞いた。
基本的にはクーリアおばさんの話の補足的な話ではあったが、聞いているとやはりモンスターの痕跡が多い辺りが怪しい。
「ま、俺からはこんなもんだな。一応、王都の方の学者先生方が出した結論は、特殊な魔素溜まりがそこにあったんじゃねーかって事になってるらしいぞ、俺らは信じちゃいねーがな」
「なるほど、ありがとう助かったわ」
「とりあえずは、捜索系の魔道具とか発注してあるから、その怪しい辺りに持ち込んで調べていくのが良さそうだな」
「へぇ、そんなものがあるのかい?」
朝食のラッシュがひと段落したクーリアおばさんも、話に混ざってきた。
「捜索のスキルだけでなく、他のアプローチがあったほうが良いかと思いまして。 ダンジョン自体は独特な魔力を放っているそうなので、それを検知する魔道具を作成してもらっているんですよ」
「ほお、その為だけに魔道具を作ろうなんて、よくそういう事を思いつくもんだね」
「まったくだな、頭ん中見てみたいぜ」
「なんで考え無し動くことがあるのかが、本当に不思議なだわ」
何故だろう、褒められている流れなはずだが、褒められている気がしない……。
「あんた達ならアッサリ見つけてくれそうな気がするよ、もし見つかったら、あたしにも教えとくれよ?」
「もちろんですよ」
情報としては、十分集まったといえるが、クーリアおばさんが信頼をおいていたパトリックさんの話も聞いておきたい。
便利に使ってただけのような気もしないでもないが。
「それじゃあ、ギルドへ行ってきますね」
「あいよ、頑張ってきな!」
クーリアおばさんとスコットのおっさんに見送られ、白兎亭を出た。
「クーリアおばさんがAランクだったなんて驚いたわ」
「確かになー、しかもバリバリの前衛だったみたいだし」
「今度稽古でもつけて貰おうかしら?」
道中、依頼のとこではなく、クーリアおばさんの話題ばかり話しながらギルドへと向かう。
「何だありゃ?」
ギルドに着くと、ギルドの入り口を遠巻きに見ている、冒険者達がたくさん居た。
冒険者達は何やらヒソヒソと話し合ったり、指を指したりして中に入る気配がない。
何かあったのだろうか?
「どうしたの? 乱闘でもあったの?」
アリーセがヒソヒソと話し合っている冒険者を捕まえて、事情を聞く。
「ん、アリーセとイオリか? お前らに関係した事だよ、お待ちかねのようだから早く行ってくれ。 俺達もどうしたら良いかわかんねーんだよ」
「どういうことだ?」
「中に入りゃあわかる」
それ以上教えて貰えそうになかったので、俺とアリーセは顔を見合わせて、恐る恐るギルドに足を踏み入れた。
中に入ると、仮面をつけた金髪のサラサラロングヘアーの人物が優雅にお茶を飲んでいた。
皆、この人物を遠巻きにしており、どうしたら良いか戸惑っている様子だったので、仕方なく俺が声をかけることにした。
「こんな所で何をしているんですか? ジークフリード様」
そう、仮面は着けているが、何処からどう見てもジークフリード様だったのだ。
ヴァルターさんもそばに居るし、エーリカまで所在なさげに一緒の席に座っているとなれば、確定だろう。
「なんの事だ? 私は領主のジークフリードではないぞ」
フッと笑い否定をする。
ちなみに遠巻きにしている冒険者からは、ヒソヒソと「あれ領主様だよな?」とか「領主様が一体何しに来たんだ?」とか言っている声が聞こえている。
「今の私はCランク冒険者、ジークフリードX!」
「隠す気0かい!」
思わず突っ込んでしまった。
「ダンジョン捜索の為の仲間を探して居るのだろう? 私達が一緒に行こうではないか!」
俺のツッコミを華麗にスルーされ、一方的に要件を告げられた。
え、なにこれ、断れない流れ?
思わずアリーセの方を見るが、ダメだ、固まっていて使い物になりそうもない!
戸惑う俺にヴァルターさんがそっと耳打ちをしてくる。
「申し訳ありませんが、しばらくお付き合い下さい」
「それってダンジョンの捜索に着いてくるって事ですよね? 何かあったら責任とか取れないんですけど」
「それ故、表向きは冒険者として来ております。 公式の記録には残りませんのでご安心を」
安心できねぇ。
「それ、どさくさで暗殺とかされたらエラいことになりませんか?」
「その辺りの根回しは既に済んでおりますので、ご心配には及びません」
なんの根回しですかねぇ!? 怖くて聞けない。
「そ、それに、執務や領地運営を放り出して良いんですか?」
「ジークフリード様は、少々後ろ向きな部分はございますが、大変優秀な方です。 数週間程度休まれましても問題ない程度には、執務等の仕事は終わらせておいでです。 むしろ、いい加減休みを取って頂かないと、下の者達が休めませんので」
「もしかして、最初からそのつもりで、仲間が集まりにくいこの時期に依頼を出したんですか?」
「流石はイオリ殿ですな、話が早くて助かります」
初めから仕組まれた断れない流れだったー。
「パトリック殿を通して正式に冒険者登録もされておりますので、ギルドでは通常通りの手続き等が可能ですので、その点もご安心ください」
冒険者ギルド権力に負けてるじゃないかー!?
「なに、イオリ殿がそうであるように、スタンピードなどの緊急事態で頭角を表した者が飛び級的に高ランクに上がることは珍しくはありませんし、DランクからCランクに上がるための紹介制度もしっかり行ってCランクとなっておりますので、ギルドの規定に背くような不正なことは一切行っておりません」
「その紹介した人というのは、もしかして……」
「これは申し遅れました。 Gランク新人冒険者のヴァルター・フォーレルトン、ジョブはバトラーです。 駆け出しではございますがなにとぞよろしくお願い致します」
初老の駆け出し冒険者まで誕生していた。
あとで聞いた話だが、冒険者登録としては最高齢だったそうだ。
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ヴァルター・フォーレルトンさん 57歳!!
基本的にはクーリアおばさんの話の補足的な話ではあったが、聞いているとやはりモンスターの痕跡が多い辺りが怪しい。
「ま、俺からはこんなもんだな。一応、王都の方の学者先生方が出した結論は、特殊な魔素溜まりがそこにあったんじゃねーかって事になってるらしいぞ、俺らは信じちゃいねーがな」
「なるほど、ありがとう助かったわ」
「とりあえずは、捜索系の魔道具とか発注してあるから、その怪しい辺りに持ち込んで調べていくのが良さそうだな」
「へぇ、そんなものがあるのかい?」
朝食のラッシュがひと段落したクーリアおばさんも、話に混ざってきた。
「捜索のスキルだけでなく、他のアプローチがあったほうが良いかと思いまして。 ダンジョン自体は独特な魔力を放っているそうなので、それを検知する魔道具を作成してもらっているんですよ」
「ほお、その為だけに魔道具を作ろうなんて、よくそういう事を思いつくもんだね」
「まったくだな、頭ん中見てみたいぜ」
「なんで考え無し動くことがあるのかが、本当に不思議なだわ」
何故だろう、褒められている流れなはずだが、褒められている気がしない……。
「あんた達ならアッサリ見つけてくれそうな気がするよ、もし見つかったら、あたしにも教えとくれよ?」
「もちろんですよ」
情報としては、十分集まったといえるが、クーリアおばさんが信頼をおいていたパトリックさんの話も聞いておきたい。
便利に使ってただけのような気もしないでもないが。
「それじゃあ、ギルドへ行ってきますね」
「あいよ、頑張ってきな!」
クーリアおばさんとスコットのおっさんに見送られ、白兎亭を出た。
「クーリアおばさんがAランクだったなんて驚いたわ」
「確かになー、しかもバリバリの前衛だったみたいだし」
「今度稽古でもつけて貰おうかしら?」
道中、依頼のとこではなく、クーリアおばさんの話題ばかり話しながらギルドへと向かう。
「何だありゃ?」
ギルドに着くと、ギルドの入り口を遠巻きに見ている、冒険者達がたくさん居た。
冒険者達は何やらヒソヒソと話し合ったり、指を指したりして中に入る気配がない。
何かあったのだろうか?
「どうしたの? 乱闘でもあったの?」
アリーセがヒソヒソと話し合っている冒険者を捕まえて、事情を聞く。
「ん、アリーセとイオリか? お前らに関係した事だよ、お待ちかねのようだから早く行ってくれ。 俺達もどうしたら良いかわかんねーんだよ」
「どういうことだ?」
「中に入りゃあわかる」
それ以上教えて貰えそうになかったので、俺とアリーセは顔を見合わせて、恐る恐るギルドに足を踏み入れた。
中に入ると、仮面をつけた金髪のサラサラロングヘアーの人物が優雅にお茶を飲んでいた。
皆、この人物を遠巻きにしており、どうしたら良いか戸惑っている様子だったので、仕方なく俺が声をかけることにした。
「こんな所で何をしているんですか? ジークフリード様」
そう、仮面は着けているが、何処からどう見てもジークフリード様だったのだ。
ヴァルターさんもそばに居るし、エーリカまで所在なさげに一緒の席に座っているとなれば、確定だろう。
「なんの事だ? 私は領主のジークフリードではないぞ」
フッと笑い否定をする。
ちなみに遠巻きにしている冒険者からは、ヒソヒソと「あれ領主様だよな?」とか「領主様が一体何しに来たんだ?」とか言っている声が聞こえている。
「今の私はCランク冒険者、ジークフリードX!」
「隠す気0かい!」
思わず突っ込んでしまった。
「ダンジョン捜索の為の仲間を探して居るのだろう? 私達が一緒に行こうではないか!」
俺のツッコミを華麗にスルーされ、一方的に要件を告げられた。
え、なにこれ、断れない流れ?
思わずアリーセの方を見るが、ダメだ、固まっていて使い物になりそうもない!
戸惑う俺にヴァルターさんがそっと耳打ちをしてくる。
「申し訳ありませんが、しばらくお付き合い下さい」
「それってダンジョンの捜索に着いてくるって事ですよね? 何かあったら責任とか取れないんですけど」
「それ故、表向きは冒険者として来ております。 公式の記録には残りませんのでご安心を」
安心できねぇ。
「それ、どさくさで暗殺とかされたらエラいことになりませんか?」
「その辺りの根回しは既に済んでおりますので、ご心配には及びません」
なんの根回しですかねぇ!? 怖くて聞けない。
「そ、それに、執務や領地運営を放り出して良いんですか?」
「ジークフリード様は、少々後ろ向きな部分はございますが、大変優秀な方です。 数週間程度休まれましても問題ない程度には、執務等の仕事は終わらせておいでです。 むしろ、いい加減休みを取って頂かないと、下の者達が休めませんので」
「もしかして、最初からそのつもりで、仲間が集まりにくいこの時期に依頼を出したんですか?」
「流石はイオリ殿ですな、話が早くて助かります」
初めから仕組まれた断れない流れだったー。
「パトリック殿を通して正式に冒険者登録もされておりますので、ギルドでは通常通りの手続き等が可能ですので、その点もご安心ください」
冒険者ギルド権力に負けてるじゃないかー!?
「なに、イオリ殿がそうであるように、スタンピードなどの緊急事態で頭角を表した者が飛び級的に高ランクに上がることは珍しくはありませんし、DランクからCランクに上がるための紹介制度もしっかり行ってCランクとなっておりますので、ギルドの規定に背くような不正なことは一切行っておりません」
「その紹介した人というのは、もしかして……」
「これは申し遅れました。 Gランク新人冒険者のヴァルター・フォーレルトン、ジョブはバトラーです。 駆け出しではございますがなにとぞよろしくお願い致します」
初老の駆け出し冒険者まで誕生していた。
あとで聞いた話だが、冒険者登録としては最高齢だったそうだ。
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ヴァルター・フォーレルトンさん 57歳!!
応援ありがとうございます!
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