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3章 ダンジョンアタック
話が進まなかったり
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クーリアおばさんから解放され、スコットのおっさんと、パトリックさんに話を聞きに行きたいところだが、非番がいつかわからないし、パトリックさんがギルドに帰って来ているかも不明だ。
こういうとき、電話や電子メールが無い不便を強く感じてしまうな。
「スコットをおっさんには昼間会ってるから、知ってたら話を聞けたのにな」
「そうだったんだ、まあ、よくある話だよね」
よくある話だと、このあとちっともスコットのおっさんが捕まらないで、時間ばかり過ぎていくパターンになるが、口にするとフラグになりそうなので、言わないでおく。
「スコットなら、最近は毎日ここで朝食を食べに来てるから、早目に起きてくりゃ居ると思うよ」
フラグを立てなかったおかげか、クーリアおばさんがそのように教えてくれたので、スコットのおっさんには明日の朝に話を聞く事にした。
「あとはパトリックさんがいつ戻ってくるかなんだけど、戻ってるとしても時間的に、もうギルドには居ないかな?」
「なんだったら、パトリックのやつを呼びつけてやるよ?」
「あ、いえ、流石にそこまでしていただくわけには……」
「そうかい? 今すぐでも大丈夫だけどねぇ」
いやそれは、流石に……。
副ギルドマスターを呼びつけるとか、どうなんだろう?
「あ、そうそうエーリカは連絡先聞いてないから、確認とれなかった」
ふと思い出したので、そのことをアリーセに告げると、ため息をつかれた。
「そんな気がしてたから、他の人に声をかけるついでにエマに伝言を頼んでおいたわよ」
「マジか、アリーセさんマジ有能!」
「イオリが考えや配慮が足りないだけだと思うわ。 いろんなこと知ってるし頭も良いのに、残念仕様よね」
「酷い言われよう!」
ひとまず、今日できる事はもうないだろうということで、俺達は部屋に戻って休むことにした。
なにげに今日一番時間がかかったのは、クーリアおばさんの旦那さんの馴れ初め話であったのは言うまでもない。
翌朝、いつもよりすこし早起きをして、食堂でスコットのおっさんが来るのを待つ。
アリーセといつもの奥の席で朝食をとっていると、ほどなくしてスコットのおっさんがやってきた。
「おう、クーリアうまい朝飯たのまあ」
「うちのはいつだってうまいだろ? そうそう、イオリとアリーセが10年前のダンジョン探しの時の話が聞きたいってさ」
「10年前の? なんだ、また、探そうってのか?」
「領主様からの指名依頼だってさ、ほら、あたしらも無関係じゃないだろ? 補佐してやっとくれよ」
「クーリアに頼まれたんじゃしゃーねーな」
スコットのおっさんは、一言二言クーリアおばさんと話して、朝食を受け取って俺達の方にやってきた。
一応、話を聞かせてもらう立場なので席を立って迎える。
「あんちゃんのそういうの自然にやるところが、ほんと俺らと同じ平民か!?って疑いたくなるんだけどな」
「バリバリの平民だ! ってもランクが上がれば冒険者でもマナー講習みたいなのうけるだろ?」
「え、あ、そうか、それ普段からやるものなんだ……」
アリーセが、取り繕ったように、スコットのおっさんを出迎える。 小声で手順みたいなのを口ずさみながらで、ものすごくぎこちない感じだ。
「ほら見ろ、こうなるだろ?」
スコットのおっさんがアリーセを指差して勝ち誇ったように言ってくる。
アリーセの顔がちょっと赤いような気がする。
「そうか、実は俺東方諸国で宰相の職についてて少し礼儀作法にはうるさ……」
「いままでのご無礼をお許しくだせい!」
「土下座すんな! っつか、前も同じようなことやったろ!? ワザとか!? って、アリーセも一緒になって土下座すんな!?」
何度目になるかわからない、このやり取りを経て、なんとか二人を宥めて席に座ってもらった。
「俺らみたいな下っ端の兵士は、上下関係が完全に刷り込まれているんだよ。 俺も若くはないし心臓に悪いから、本当に違うならそういう冗談は止めてくれ。 お忍びでうろつくお貴族さまも居るから、俺らからすると真実味がありすぎんだよ」
「ノリでやってるわけじゃなかったのか……」
「それによ、昨日もらったポーションだが、恐ろしいほどの効き目だったぞ? あんなのぽんと渡しやがって、使ってやった若いやつが、そんな高級品のポーションを使うことに気後れして怪我してたときより青い顔してたんだからな、軽傷なやつらなんか全員ポーションの使用を辞退したんだ」
みんな小心者か!?
「なんなら千本くらい届けるぞ?」
「俺らの精神力がもたねーから止めてくれ! それに、その効果が当たり前になっても困るからな」
まあ流通しているわけじゃないしな。
「しょうがないな、じゃあこっちなら良いだろ? 情報料の前渡しってことで」
どん、と『本みりん』と『スピリタス』をテーブルの上に出す。
「そっちだったら、今日はこの後非番だし、いくらでもいただく! って、こっちの水みてーなのも酒だよな?」
「かなり強いやつだから、ドワーフでもなければ水や果汁で薄めて飲んでくれ、それとこいつを傷とかにかければ化膿しないで済むぞ」
「それは、ポーションの一種なんじゃねーのか?」
「むしろ純粋にもっとも近い酒だな。 酒精が強すぎて傷につく悪いものが祓われるって思ってくれれば良い」
「そんなもん、飲めんのか?」
訝しげに『スピリタス』を見てい。
「今日は非番なんだろ? ちょっとだけ、飲んでみれば良いさ」
「そりゃあ、話がわかるってもんだな、じゃあさっそく……」
「飲むなら話が終わってからにしな! イオリもこの宿六に酒なんか渡さなくても良いんだよ! 話が進まないからアリーセもぼーっと見てないでコイツラを止めな!」
様子を見に来たクーリアおばさんから、ごもっともツッコミが入った。
「「「はい、すみません!」」」
三人の声がハモった。
こういうとき、電話や電子メールが無い不便を強く感じてしまうな。
「スコットをおっさんには昼間会ってるから、知ってたら話を聞けたのにな」
「そうだったんだ、まあ、よくある話だよね」
よくある話だと、このあとちっともスコットのおっさんが捕まらないで、時間ばかり過ぎていくパターンになるが、口にするとフラグになりそうなので、言わないでおく。
「スコットなら、最近は毎日ここで朝食を食べに来てるから、早目に起きてくりゃ居ると思うよ」
フラグを立てなかったおかげか、クーリアおばさんがそのように教えてくれたので、スコットのおっさんには明日の朝に話を聞く事にした。
「あとはパトリックさんがいつ戻ってくるかなんだけど、戻ってるとしても時間的に、もうギルドには居ないかな?」
「なんだったら、パトリックのやつを呼びつけてやるよ?」
「あ、いえ、流石にそこまでしていただくわけには……」
「そうかい? 今すぐでも大丈夫だけどねぇ」
いやそれは、流石に……。
副ギルドマスターを呼びつけるとか、どうなんだろう?
「あ、そうそうエーリカは連絡先聞いてないから、確認とれなかった」
ふと思い出したので、そのことをアリーセに告げると、ため息をつかれた。
「そんな気がしてたから、他の人に声をかけるついでにエマに伝言を頼んでおいたわよ」
「マジか、アリーセさんマジ有能!」
「イオリが考えや配慮が足りないだけだと思うわ。 いろんなこと知ってるし頭も良いのに、残念仕様よね」
「酷い言われよう!」
ひとまず、今日できる事はもうないだろうということで、俺達は部屋に戻って休むことにした。
なにげに今日一番時間がかかったのは、クーリアおばさんの旦那さんの馴れ初め話であったのは言うまでもない。
翌朝、いつもよりすこし早起きをして、食堂でスコットのおっさんが来るのを待つ。
アリーセといつもの奥の席で朝食をとっていると、ほどなくしてスコットのおっさんがやってきた。
「おう、クーリアうまい朝飯たのまあ」
「うちのはいつだってうまいだろ? そうそう、イオリとアリーセが10年前のダンジョン探しの時の話が聞きたいってさ」
「10年前の? なんだ、また、探そうってのか?」
「領主様からの指名依頼だってさ、ほら、あたしらも無関係じゃないだろ? 補佐してやっとくれよ」
「クーリアに頼まれたんじゃしゃーねーな」
スコットのおっさんは、一言二言クーリアおばさんと話して、朝食を受け取って俺達の方にやってきた。
一応、話を聞かせてもらう立場なので席を立って迎える。
「あんちゃんのそういうの自然にやるところが、ほんと俺らと同じ平民か!?って疑いたくなるんだけどな」
「バリバリの平民だ! ってもランクが上がれば冒険者でもマナー講習みたいなのうけるだろ?」
「え、あ、そうか、それ普段からやるものなんだ……」
アリーセが、取り繕ったように、スコットのおっさんを出迎える。 小声で手順みたいなのを口ずさみながらで、ものすごくぎこちない感じだ。
「ほら見ろ、こうなるだろ?」
スコットのおっさんがアリーセを指差して勝ち誇ったように言ってくる。
アリーセの顔がちょっと赤いような気がする。
「そうか、実は俺東方諸国で宰相の職についてて少し礼儀作法にはうるさ……」
「いままでのご無礼をお許しくだせい!」
「土下座すんな! っつか、前も同じようなことやったろ!? ワザとか!? って、アリーセも一緒になって土下座すんな!?」
何度目になるかわからない、このやり取りを経て、なんとか二人を宥めて席に座ってもらった。
「俺らみたいな下っ端の兵士は、上下関係が完全に刷り込まれているんだよ。 俺も若くはないし心臓に悪いから、本当に違うならそういう冗談は止めてくれ。 お忍びでうろつくお貴族さまも居るから、俺らからすると真実味がありすぎんだよ」
「ノリでやってるわけじゃなかったのか……」
「それによ、昨日もらったポーションだが、恐ろしいほどの効き目だったぞ? あんなのぽんと渡しやがって、使ってやった若いやつが、そんな高級品のポーションを使うことに気後れして怪我してたときより青い顔してたんだからな、軽傷なやつらなんか全員ポーションの使用を辞退したんだ」
みんな小心者か!?
「なんなら千本くらい届けるぞ?」
「俺らの精神力がもたねーから止めてくれ! それに、その効果が当たり前になっても困るからな」
まあ流通しているわけじゃないしな。
「しょうがないな、じゃあこっちなら良いだろ? 情報料の前渡しってことで」
どん、と『本みりん』と『スピリタス』をテーブルの上に出す。
「そっちだったら、今日はこの後非番だし、いくらでもいただく! って、こっちの水みてーなのも酒だよな?」
「かなり強いやつだから、ドワーフでもなければ水や果汁で薄めて飲んでくれ、それとこいつを傷とかにかければ化膿しないで済むぞ」
「それは、ポーションの一種なんじゃねーのか?」
「むしろ純粋にもっとも近い酒だな。 酒精が強すぎて傷につく悪いものが祓われるって思ってくれれば良い」
「そんなもん、飲めんのか?」
訝しげに『スピリタス』を見てい。
「今日は非番なんだろ? ちょっとだけ、飲んでみれば良いさ」
「そりゃあ、話がわかるってもんだな、じゃあさっそく……」
「飲むなら話が終わってからにしな! イオリもこの宿六に酒なんか渡さなくても良いんだよ! 話が進まないからアリーセもぼーっと見てないでコイツラを止めな!」
様子を見に来たクーリアおばさんから、ごもっともツッコミが入った。
「「「はい、すみません!」」」
三人の声がハモった。
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