アメイジングノービス ~異世界でチートツールが使えたけど物理法則さんが邪魔をする~

逢須 かた丸

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3章 ダンジョンアタック

デモリッションインファントリー

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 専用の規格の弾丸を使用する近代的な銃と違い、先込め式の銃は銃身に入れられれば、とりあえずなんでも飛ばせるので強引に魔晶石を魔導銃に詰め込んだ。
 またドラゴンとか来ても困るので、結界石で作ったロープの『注連縄しめなわ』で周りを囲っておく事も忘れない。
 表層に置いて使うより、埋めた方が良いだろうと、地面にアサルトランスのパイルバンカーを地面に打ち込み穴を掘った。


「ヤバイ、これ楽しい」


 1発でそこそこの太さのある杭が地面に突き刺さると言うのが、なんとも楽しい。
 調子に乗って、無意味に穴を増やしてしまったが、本来の目的を思い出し、一番きれいに掘れた穴に、下向きに魔導銃を埋めて石等を利用して固定、引き金トリガーに紐を通して離れた場所から引けるようにした。
 どうせ爆発するだろうから、手に持って撃ったら自爆してしまうだろうしな。


「これ、起爆装置取り付ければ、普通に強力な爆弾として使えそうだな。 TNTの何倍になるんだろうか」


 採算(自重)度外視すればスタンピードで使ったトラップの何倍も強力な色々と物騒な代物が作れそうではある。
 今回のこれも、実験を兼ねているようなものなので、結果次第では作っても良いかもしれない。
 まあ、作っても誰にも見せられないだろうが。




  最上級の品質の魔石で数メートルを巻き込む程度の爆発だったので、安全マージンををとって150mくらい離れる。
 さらに安全確保の為なんとかラートアーを最大出力で設置する。
 正直コイツがあるからこそ、安心して爆破実験ができるというものだ。
 なんだろうな、爆破実験ってワクワクするな。
 実験結果を見て、場所を変えながら何回か爆破を繰り返せば、この辺り一帯を更地にできるだろう。


「ふぁいあいんざほー、ふぁいあいんざほー、ふぁいあいんざほー!」


 テンションがだんだん上がってきて壊滅的な発音でアメリカ的に爆破時の注意喚起の声掛けをして、一気に魔導銃の引き金トリガーに結んだ紐を引っ張った。


 その瞬間、目の前が真っ白になる程の光と衝撃を受け、俺の意識はそこで途絶えた。












「……り………おき………ぶ……」


 おぼろげな意識の中で誰かが何かを言っている。
 これは、もしかしたら夢枕に神様とか女神様とかそういう類のものが出てきて、この世界に召喚した理由とかを説明してくれる的なやつだろうか?
 もしそうなら、あれやこれやの新しいチート能力を頂かなくてはならないな!
 




「イオリ! 大丈夫!?」


 意識が急激に浮上し、目を開けると至近距離にアリーセの顔があった。


「なんだアリーセか、女神様かと思ったのに……」


「私で悪かったわね!」


 声をかけていたのはアリーセだったようだ。 まあ、今までなんども気絶しているのに、そういうことは一度も無いから解ってたけどな……。


「あ、いや、そういう意味じゃ無いんだ、すまん」


 心配して損した!とぷりぷり怒っているアリーセに寝たまますぐに謝罪する。


 盲目的に信頼してしまっていたが、よく考えてみれば、結界といえど光や音、それと空気は普通に通していたので、飛んでくる破片等は防げても光などは素通しだったようだ。
 人は電球の明るさで言えば18kwキロワット相当の明るさで意識を失ってしまうし、ジェットエンジンの16倍程度の音で前後不覚に陥ってしまう。
 さらに、爆発の衝撃波は、言うなれば空気の振動であるため、結界では防げなかったということなのだろう。
 山のように大きなモンスターすら止めてみせたのに、衝撃波などは通ってしまうとは……。


「HPを上げていなかったら即死だった……」


「ほんと、よく死ななかったわね、一体今度は何をやらかしたのよ……」


「ちょっと、魔石の代わりに魔晶石を使っただけなんだが予想以上に効果がでかくて……いや、一応ちゃんと安全も確保してやったんだよ」


 目線をそらしながら言い訳をする。


「あー、そうだ他の人達は?」


「十分に離れてたからね、皆なんともないわよ。 ものすごい音と地響きがしたから、とりあえず私だけ先に様子を見に来たってわけよ」


 皆、一応俺が無事なのか心配してくれているらしいので、後で謝っとくように言われた。
 心配されているうちが華だと思うので、後で皆にも謝っておこう。 


 起き上がってどのようになったのか、周りを見回してみると、底が見えない直径300mほどの大きな穴が地面に空いていた。
 すり鉢状のクレーターになると想像していたので、これは完全に予想外である。
 魔導銃がある程度、爆発せずに発射に耐えたのかもしれない。
 下向きに指向性を持って発射されて直径300mの穴が開くとか、普通に爆発していたら、流石に死んでいたかもしれなかったと思い至り、自重するように念を押してくれたアリーセには感謝せねばならないだろう。
 2~3個いっぺんに使おうとか思ってたし……。


 余談ではあるが原爆実験では、地下で爆破して地上に1.6kmとかいう規模でクレーターが出来るので、魔晶石爆弾(仮称)は、そこまでの威力は無さそうである。
 研究して、効率よく爆発に特化させていったり大量に魔晶石を投入したら、追いつく可能性も無きにしもあらずだし、それでも十分過ぎる威力だとも言えるが。


 穴の外周を見回すが、なんとかラートアーが破片すら見当たらない。 爆心地からは離れていたし、金属製の大型の魔道具なので、破片も残さずに跡形も無く吹き飛んだとは考えにくいので、多分この穴に落ちてしまったのだろう。


 穴の中を落ちないようにそっと覗き込んでみると、穴の側面に多少崩れてはいるが人工的な四角い断面の横穴や部屋か何かだったであろう窪みがいくつも見えた。
 随分と風通しが良くなってしまったが、たぶん、第二階層以降のダンジョンだろう。
 穴の底がどこまで続いているかはわからないが、見える範囲の壁面を見る限りでは100m以上はありそうだ。
 ある程度までの深さから下は、もうもうと漂う塵で今は見えない。


「方法はともかく、ダンジョンの下の階層への入り口は見つかったみたいね。 入り口って言い方が正しいかどうかは疑問だけど」


「ダンジョンコアとか撃ち抜いてないと良いけど……、ダンジョンって危険もあるけど利用価値も高いんだろ?」


「ここが崩壊しているようには見えないから、それは大丈夫だと思うわ、ダンジョンコアが無くなると急速にダンジョンが縮小していくらしいからすぐわかるそうよ」


 それは良かった。 折角のダンジョンがアレで消滅していたらどうしようかと思っていたところだ。


「で、今度はなんて言って誤魔化すの?」


「あっ」
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