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4章 王都
服を買いに行こう
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俺自身の身の安全はとりあえず置いておいて、一通り学園内を案内してもった後、学園内の冒険者ギルドへ寄って、そこで護衛する場所と出来ない場所での対処方法などを話し合った。
寮の施設を利用出来るのは入学試験の前日からだそうなので、宿泊施設に戻りコリンナ様と合流する。
高級ホテルに慣れないアリーセが、コリンナ様達とは別々であるにも関わらず飯を食うだけでもいたたまれないくらい緊張していた。
「一本いっとく?」
いつものハイコンディションポーションを渡そうとする。
「それ、効果が切れたあとの反動が凄いのよね……。 それに私もいい加減こういうの慣れて行かないと駄目だと思うから要らないわ」
俺は使っても別にそういう事態にはなっていないし、ジークフリード様からも特に問題があったという報告は聞いていない。
追加注文はあったが、常習性も中毒性も無かったはずだ、そもそも中毒症状すら治してしまうのだから。
まあ、アリーセ場合、お忍びとはいえ領主にタメ口とか、後でどうなるか考えないで行動するから効果が切れた後に悶えるハメになってるだけではないだろうか?
酔った勢いで無礼講だろうといって社長のヅラをむしり取って、酔が冷めた時に記憶がしっかりあって、ヤバイどうしよう!? って焦るのと同じだな。
コリンナ様に対しては多少慣れたというか、ジークフリード様の影響かコリンナ様自身が平民に対しても普通に接して居るし、基本的に素直な良い子なので、あまり貴族ということを意識しないで済むから、そこまで意識しないで済んでいるようだが。
俺も庶民といえば庶民だが、食事のグレードは食に関しては変態レベルのこだわりを持つ日本と比べれば、正直なところそれほどでも無いし、給仕をされるのも会社の同僚の結婚式に行ったときの披露宴か何かだと思えば、緊張する程のモノでも無いと思う。
正直なところ、ちょっと高級路線のファミレスレベルなのだが、この辺りは過剰サービスが当たり前な日本と比べてはいけない気がしないでもない。
「ワトスンは、こういう所平気なのか?」
「んー? 僕はお父さんがギルドの副マスターとかやってるからね、なんだかんだと偉い人のパーティーだとかに連れて行かれる事が多かったんだよねー。 冒険者登録はさせてくれなかったのに、礼儀作法とかそういう講習は子供のころ冒険者ギルドでやらされたなー」
職権乱用じゃないのかそれ?
「エーリカなんか、領主様のところで普通に仕事しているし、この中で私だけ礼儀作法やマナーが苦手とか、緊張しちゃって普段通り動けないとか流石にマズイと思うのよね……」
「確かにBランクでそれは困ってしまいますわね」
エーリカが頬にてをあて首をかしげて、少し考えるような仕草でそう応えた。
「う……だよねぇ……」
「とはいえ、アリーセさんはCランクに上がってすぐにBランク上がってしまったわけですから、慣れていないのも仕方がありませんわ。 こういうのは慣れの問題ですから、すぐに慣れてしまうと思いますわよ」
「慣れるかなぁ?」
エーリカの経験から来るのであろうアドバイスをもらうが、アリーセは不安げだ。
「ええ、嫌でも慣れると思いますわよ。 これから毎日のようにコリンナ様のご学友になる他の貴族の方とも顔を合わせるわけですからね」
アリーセの顔色が一気に悪くなり、取り出したは良いがしまえなくなったので手にそのまま持っていたハイコンディションポーションを俺からむしり取って一気飲みした。
翌日、ポーションの力で冷静になったアリーセの提案で、護衛の際の服を買いに行く事になった。
学園には平民の生徒の方が圧倒的に多いし、冒険者の護衛は実用性重視なので見た目に関しては特に決まりは無いのだが、コリンナ様が貴族で、しかも王家の血筋ということになると、どうしても周りには貴族の生徒が集まるだろうから、普段の服装では駄目なんじゃないだろうか? と、アリーセが領主の館に招かれた時のことを思い出して気にしていたのだ。
その話を、グレイさんに相談したところ、そんな規定も規則も無いので現状でも問題はないが、可能ならばその方が護衛がし易いので、お願いしたい。 という返事を貰った。
可能ならばというのは、服装を変えて護衛としての動きが鈍ってしまうような服装は本末転倒なので、そういう服を着るくらいなら、そのままの方が好ましいという意味だ。
一応、服を借りることも可能だったが、女性用はメイドの服しかないということだったので、では、買いに行こう! となったわけである。
ちなみにメイド服でも良いんじゃね? という俺の意見は非常に冷たい目を向けられると共に即座に却下された。
昨日に引き続き、挨拶回りに行くコリンナ様達と別れ、俺ら冒険者組は王都の繁華街へと向かった。
平民の普段の服ならともかく、礼服のような服だとオーダーメイドになって、何日もかかってしまうんじゃないかと思ったのだが、そこは王都というだけあって既製品のような礼服を扱う服飾店がいくつも存在した。
俺らのように、貴族との面会等で急に必要になった冒険者や、外から来た商人達に対してなど、そこそこ需要があるようだ。
既製品とはいえ、元の世界の大量生産品と違い、一つ一つが手作りなのでデザインは良いがサイズが合わない、サイズはぴったりだがデザインが微妙という事態にはなるようであるが。
そんなわけで数ある店の中でも一番大きく、種類も豊富だとヘンリエッテさんに教えてもらった「ゴルドズィルバー服飾店」という店にやってきて、現在物色中だ。
「この服なんて良いかと思いますわ!」
「うーん、でもこの位置にフリルがあると、足が引っかかってしまうわね」
「これなんか見た目も可愛いし動きやすそうだよー?」
「えー、すこし肩と背中が出すぎじゃないかな?」
はっきり言って、女性の買い物など蚊帳の外も良いところである。
というか、流れで着いてきてしまったが、なんで俺も連れてこられたのだろう?
場違い感が半端ない。
店の端っこの方にソファーが幾つか置いてあるので、どっこいしょと座って待つことにしたら、俺と同じように座って暇そうにしている男性客が何人か居た。
なんとなく「お互い大変ですね~」的な視線が行き来する。
「そちらも、女性のお付き合いでこちに?」
恰幅のよい人の良さそうな口ひげのおじさんが話しかけてきた。 耳が尖っているが種族まではわからない。
「ええ、そうです。 正直なんで連れてこられたのかと考えていたところです」
スマホがあるわけでもないし、待っているだけでは暇なので、このおじさんと話をするのも良いだろう。
「はっはっは、私も似たようなものですな。 妻と娘に連れられてたまにココに来るのですが、意見を聞かれても私の意見など通った試しが無いですし、荷物も届けてくれるので、荷物持ちの役もないのですよ」
「あー、ありますねーそういうこと」
ほとんど中身の無い会話が続くが、暇は大分と緩和されている気がする。
それは、向こうもそのようで、会話は止めることもなく続いている。
「ねえ、イオリはどっちが良いと思う?」
実のない会話を楽しんでいたら、アリーセが服を2つ持って俺の意見を聞きに来た。
「アリーセはどっちが良いと思ってるんだ?」
「んー、そうだなー、私はこっちの方が動きもあんまり阻害されないし、デザインも新しいから良いかなーって思ってるんだけど」
「俺も、そっちが良いと思うな」
「そう? ありがとう。 じゃあこれにしようかなぁ?」
よし、乗り切った! 初めてゴブリンと戦った時よりも緊張したかもしれん。
えーと、確かこういう時女性はすでにどちらが良いかが決まっているんで良かったよな? と、俺は会社の同僚だった、自称百戦錬磨のナンパ師のチャラ男のS君が熱く語ってくれた、女性の心理の話を思い出していた。
全部ネットで一字一句変わりがない文面を見つけたが……。
「ほうほう。 なかなか良い切り返しでしたねぇ。 私も真似してみようかな?」
知り合いの受け売りなんですけどね、と、少しだけ実のある話に変わった話を再開するが、さらにこの後1時間程待つ事になるのであった。
寮の施設を利用出来るのは入学試験の前日からだそうなので、宿泊施設に戻りコリンナ様と合流する。
高級ホテルに慣れないアリーセが、コリンナ様達とは別々であるにも関わらず飯を食うだけでもいたたまれないくらい緊張していた。
「一本いっとく?」
いつものハイコンディションポーションを渡そうとする。
「それ、効果が切れたあとの反動が凄いのよね……。 それに私もいい加減こういうの慣れて行かないと駄目だと思うから要らないわ」
俺は使っても別にそういう事態にはなっていないし、ジークフリード様からも特に問題があったという報告は聞いていない。
追加注文はあったが、常習性も中毒性も無かったはずだ、そもそも中毒症状すら治してしまうのだから。
まあ、アリーセ場合、お忍びとはいえ領主にタメ口とか、後でどうなるか考えないで行動するから効果が切れた後に悶えるハメになってるだけではないだろうか?
酔った勢いで無礼講だろうといって社長のヅラをむしり取って、酔が冷めた時に記憶がしっかりあって、ヤバイどうしよう!? って焦るのと同じだな。
コリンナ様に対しては多少慣れたというか、ジークフリード様の影響かコリンナ様自身が平民に対しても普通に接して居るし、基本的に素直な良い子なので、あまり貴族ということを意識しないで済むから、そこまで意識しないで済んでいるようだが。
俺も庶民といえば庶民だが、食事のグレードは食に関しては変態レベルのこだわりを持つ日本と比べれば、正直なところそれほどでも無いし、給仕をされるのも会社の同僚の結婚式に行ったときの披露宴か何かだと思えば、緊張する程のモノでも無いと思う。
正直なところ、ちょっと高級路線のファミレスレベルなのだが、この辺りは過剰サービスが当たり前な日本と比べてはいけない気がしないでもない。
「ワトスンは、こういう所平気なのか?」
「んー? 僕はお父さんがギルドの副マスターとかやってるからね、なんだかんだと偉い人のパーティーだとかに連れて行かれる事が多かったんだよねー。 冒険者登録はさせてくれなかったのに、礼儀作法とかそういう講習は子供のころ冒険者ギルドでやらされたなー」
職権乱用じゃないのかそれ?
「エーリカなんか、領主様のところで普通に仕事しているし、この中で私だけ礼儀作法やマナーが苦手とか、緊張しちゃって普段通り動けないとか流石にマズイと思うのよね……」
「確かにBランクでそれは困ってしまいますわね」
エーリカが頬にてをあて首をかしげて、少し考えるような仕草でそう応えた。
「う……だよねぇ……」
「とはいえ、アリーセさんはCランクに上がってすぐにBランク上がってしまったわけですから、慣れていないのも仕方がありませんわ。 こういうのは慣れの問題ですから、すぐに慣れてしまうと思いますわよ」
「慣れるかなぁ?」
エーリカの経験から来るのであろうアドバイスをもらうが、アリーセは不安げだ。
「ええ、嫌でも慣れると思いますわよ。 これから毎日のようにコリンナ様のご学友になる他の貴族の方とも顔を合わせるわけですからね」
アリーセの顔色が一気に悪くなり、取り出したは良いがしまえなくなったので手にそのまま持っていたハイコンディションポーションを俺からむしり取って一気飲みした。
翌日、ポーションの力で冷静になったアリーセの提案で、護衛の際の服を買いに行く事になった。
学園には平民の生徒の方が圧倒的に多いし、冒険者の護衛は実用性重視なので見た目に関しては特に決まりは無いのだが、コリンナ様が貴族で、しかも王家の血筋ということになると、どうしても周りには貴族の生徒が集まるだろうから、普段の服装では駄目なんじゃないだろうか? と、アリーセが領主の館に招かれた時のことを思い出して気にしていたのだ。
その話を、グレイさんに相談したところ、そんな規定も規則も無いので現状でも問題はないが、可能ならばその方が護衛がし易いので、お願いしたい。 という返事を貰った。
可能ならばというのは、服装を変えて護衛としての動きが鈍ってしまうような服装は本末転倒なので、そういう服を着るくらいなら、そのままの方が好ましいという意味だ。
一応、服を借りることも可能だったが、女性用はメイドの服しかないということだったので、では、買いに行こう! となったわけである。
ちなみにメイド服でも良いんじゃね? という俺の意見は非常に冷たい目を向けられると共に即座に却下された。
昨日に引き続き、挨拶回りに行くコリンナ様達と別れ、俺ら冒険者組は王都の繁華街へと向かった。
平民の普段の服ならともかく、礼服のような服だとオーダーメイドになって、何日もかかってしまうんじゃないかと思ったのだが、そこは王都というだけあって既製品のような礼服を扱う服飾店がいくつも存在した。
俺らのように、貴族との面会等で急に必要になった冒険者や、外から来た商人達に対してなど、そこそこ需要があるようだ。
既製品とはいえ、元の世界の大量生産品と違い、一つ一つが手作りなのでデザインは良いがサイズが合わない、サイズはぴったりだがデザインが微妙という事態にはなるようであるが。
そんなわけで数ある店の中でも一番大きく、種類も豊富だとヘンリエッテさんに教えてもらった「ゴルドズィルバー服飾店」という店にやってきて、現在物色中だ。
「この服なんて良いかと思いますわ!」
「うーん、でもこの位置にフリルがあると、足が引っかかってしまうわね」
「これなんか見た目も可愛いし動きやすそうだよー?」
「えー、すこし肩と背中が出すぎじゃないかな?」
はっきり言って、女性の買い物など蚊帳の外も良いところである。
というか、流れで着いてきてしまったが、なんで俺も連れてこられたのだろう?
場違い感が半端ない。
店の端っこの方にソファーが幾つか置いてあるので、どっこいしょと座って待つことにしたら、俺と同じように座って暇そうにしている男性客が何人か居た。
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「そちらも、女性のお付き合いでこちに?」
恰幅のよい人の良さそうな口ひげのおじさんが話しかけてきた。 耳が尖っているが種族まではわからない。
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スマホがあるわけでもないし、待っているだけでは暇なので、このおじさんと話をするのも良いだろう。
「はっはっは、私も似たようなものですな。 妻と娘に連れられてたまにココに来るのですが、意見を聞かれても私の意見など通った試しが無いですし、荷物も届けてくれるので、荷物持ちの役もないのですよ」
「あー、ありますねーそういうこと」
ほとんど中身の無い会話が続くが、暇は大分と緩和されている気がする。
それは、向こうもそのようで、会話は止めることもなく続いている。
「ねえ、イオリはどっちが良いと思う?」
実のない会話を楽しんでいたら、アリーセが服を2つ持って俺の意見を聞きに来た。
「アリーセはどっちが良いと思ってるんだ?」
「んー、そうだなー、私はこっちの方が動きもあんまり阻害されないし、デザインも新しいから良いかなーって思ってるんだけど」
「俺も、そっちが良いと思うな」
「そう? ありがとう。 じゃあこれにしようかなぁ?」
よし、乗り切った! 初めてゴブリンと戦った時よりも緊張したかもしれん。
えーと、確かこういう時女性はすでにどちらが良いかが決まっているんで良かったよな? と、俺は会社の同僚だった、自称百戦錬磨のナンパ師のチャラ男のS君が熱く語ってくれた、女性の心理の話を思い出していた。
全部ネットで一字一句変わりがない文面を見つけたが……。
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