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5章 エルフの森
複合魔石爆弾
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起爆装置を持った俺は、道が塞がれているという場所までやって来た。
かなり大きな丸太が横倒しに道を塞いでいるのが見えるが、この辺りは背は高めとはいえ草原地帯で、馬車が通れないほどの木などどこにも無い。
丸太の近くには既にアリーセが来ていて、周囲を気にしている。
「おっす、撤去しに来たぞー」
「今回は多少派手にやっても良いから、出来るだけ早くお願いするわ」
アリーセは先程から油断なく弓を構えたまま、俺の方を全く見ない。
「やっぱり人為的な感じなのか?」
「こんな、警戒して下さいと言わんばかりの方法をとって、貴族の馬車がを襲撃する盗賊なんてゴブリン並みの知能だとは思うけど、前の時みたいにコリンナ様を狙っている可能性もあるから油断しないで」
ああそうか、盗賊の仕業と見せかけて第二王子の時みたいなこともあり得るわけか。
どちらにせよさっさと撤去してしまおう。
専門家ではないので、効率良く爆破するように設置する事はできないが、お許しが出ているので景気良く行こう。
等間隔に3つほど地面と丸太の間に起爆装置を取り付けた火と風の魔石を設置する。
風の魔石1つで大体トロールが吹き飛ぶくらいだから、火の魔石との同時使用で爆発力を高めたこいつならば、大木程度、木っ端微塵にしてくれるだろう。
種類にもよるが木というのは意外と衝撃などに強く木っ端微塵にしようとするとコンクリートよりも難しいのである。
まあ、切ったり折ったり燃やしたりするだけならばそんなに難しくはないのであるが、時間を掛けずに、馬車を通すだけの空間を空けないといけないとなると、やはり爆破するのが手っ取り早い。
暫定名称魔石爆弾は確実性を考えて有線式にしたかったのだが、ダンジョンに穴を空けた時の失敗から、遠距離からでも起爆できるように魔力を使ったリモコン式にしてある。
起爆装置も魔石爆弾も魔導銃のパーツを流用しいるのでリモコンは銃のグリップとトリガーだけというようなデザインだ。
「爆破するから、離れてくれ」
「わかったわ、気配を隠す魔道具か何かを使ってるみたいで、何処から来るかわからないから、イオリも警戒は怠らないで」
「あいあいまむ」
馬車も俺たちも十分に距離をとる。
一応パーティメンバーは全員馬車から下りて周囲を警戒している。
エーリカが気休めと言いつつ、風で壁を作ってくれる。
ストームランパートとか言っていたけど、空間が歪んで見えるくらい圧縮された空気の壁のようだ。透明なので分かりにくいが壁に触れた草が物凄い勢いで粉々になって飛び回っているので、相当な気流があるようだ。
気休めと言いつつも結構本気で護っているな。
では爆破をしよう、となった所で、俺らを囲むように汚らしいおっさん達が、背の高い草の間からにょきにょきと生えて来た。
「金目の物と女……」
「ふぁいやほー、ふぁいやほー、ふぁいやほー!」
「ああ?なんだこいつ……」
あいかわらず発音は壊滅的だが、爆破の時にはこれを言わねばならない。
これから爆破するぞーと警告だからな。
すっかり慣れっこのようになってしまったうちらのメンツは、手で耳をしっかり抑えて口を開けている。
警告だと知らない汚らしいおっさん達の事は知ったことでは無いので、俺は静かにリモコンのトリガーを引いた。
一瞬の閃光が走ったと思った次の瞬間に腹の底に響くような音が聞こえてくる。
エーリカのストームランパートで音の伝達は大分緩和されているようであるが、地響きまでは緩和できない。
「うわああああああああ!?」
「な、何が起きやがった」
「みみがああああああ!」
数百メートル先で小さめのキノコ雲が上がっているのが見え、汚らしいおっさん達が慌てふためいている。
「そおい!」
アイテムボックスから、魔石のグレードを大分落とした風の魔石爆弾をぽいぽいと投擲する。
ぽんぽんと軽快な音を立ててぽんぽんと汚らしいおっさん達が弾むように飛んでいく。
「うわあ!」
「ぎゃあ!」
「みみがああああああ!」
俺が自爆した時は10倍以上は吹き飛んだのにたいして飛んではいないなツマラン。
「やる事無いわね」
「まあ、馬車の中に居るとはいえコリンナ様に殺伐とした所を見せなくて済んで良かったんじゃ無いでしょうか?」
グレイさんが抜刀していた剣を早くも鞘に収めて事の成り行きを見守る体制に入った。
「よし、じゃあマルも手伝ってくれ」
「もっきゅー!」
マルに魔石爆弾をいくつか渡すと、全身をうまく使って器用にぽいぽいと投げて汚らしいおっさん達を吹き飛ばしていく。
「おお、なんぞ楽しそうでは無いか、我にもやらせよ」
「え、しょーがねーなー。 アリーセ、あと何処にいるかわかるか?」
「あそこの低木の陰に3人、後ろの方に5人ね」
「じゃあそこにうまく投げてくれ、ちょうど地面に落ちるくらいの強さで投げるんだぞ?」
「心得た、しかしぶつかる前にこれが発動すれば良いのだろう?」
パールが足を真上に高々とあげ、投球フォームで魔石爆弾を投げると、パアンという破裂音と草原が真っ二つに割れ汚らしいおっさん達が潜んでいるであろう場所で空気の爆発が起こる。
続け様に、もう一箇所の方にも同じように魔石爆弾を投げる。
「ふふふ、どうだ直前で起爆してみたぞ」
「しれっと音速を超えて物を投げないように」
俺が音速で剣を振った時は反作用で大変な目にあったが、パールぐらい重量があれば問題なくぶっ放せるようだ。
「それじゃあ拘束していきましょうか、一番偉そうなのに背後関係とか聞き出さないといけませんし」
「うーん、ロープ足りないんじゃ無い?」
グレイさんがロープを用意してくれたが汚らしいおっさん達が全部で何人居るのか把握する前に問答無用で吹き飛ばしたので正確な人数はわからないが、手持ちのロープで全員縛るには足りない。
「そういう事ならこのアンドレア・ワトスン・ポリツィスト・レーベンスベルーフにおまかせあれー」
ワトスンがそう言って鞄から金属のインゴットと取り出すと、例のグニグニと粘土のように加工出来る錬金術のスキルで、次々と手枷を作成してくれた。
手枷が出来た端から総出で、気絶したり悶絶したりしている汚らしいおっさん達を次々に拘束していく。
「さて、ただの馬鹿だったのか、目的があって狙ってきたのかはっきりさせないとねー」
「くっそう、怪しげな魔道具を使いやがって、こんな事をしてタダで済むと思うなよ!」
早々に意識を取り戻したお頭っぽいおっさんが威勢良く威嚇をしてくる。
「ほう、どう済まないと言うんだよ?今無様にやられて捕まってるじゃないか」
「俺たちは『鉄オーガ団』だぞ!騎士達ですら俺らに恐れをなして逃げ帰るんだ!」
「ふむ、その名前聞いたことがありますわね」
「ほう知っているのか雷電?」
「雷電?それはわかりませんが、国内を荒らし回っていた盗賊団ですわね、貴族だろうが何だろうが手当たり次第に襲うので騎士団による討伐隊が組まれたようなのですが、根城が帝国との国境を僅かに越えた場所にあったらしく、渋々引き上げる事になったそうですわ」
あー、それでなんか勘違いしちゃった系かー……。
かなり大きな丸太が横倒しに道を塞いでいるのが見えるが、この辺りは背は高めとはいえ草原地帯で、馬車が通れないほどの木などどこにも無い。
丸太の近くには既にアリーセが来ていて、周囲を気にしている。
「おっす、撤去しに来たぞー」
「今回は多少派手にやっても良いから、出来るだけ早くお願いするわ」
アリーセは先程から油断なく弓を構えたまま、俺の方を全く見ない。
「やっぱり人為的な感じなのか?」
「こんな、警戒して下さいと言わんばかりの方法をとって、貴族の馬車がを襲撃する盗賊なんてゴブリン並みの知能だとは思うけど、前の時みたいにコリンナ様を狙っている可能性もあるから油断しないで」
ああそうか、盗賊の仕業と見せかけて第二王子の時みたいなこともあり得るわけか。
どちらにせよさっさと撤去してしまおう。
専門家ではないので、効率良く爆破するように設置する事はできないが、お許しが出ているので景気良く行こう。
等間隔に3つほど地面と丸太の間に起爆装置を取り付けた火と風の魔石を設置する。
風の魔石1つで大体トロールが吹き飛ぶくらいだから、火の魔石との同時使用で爆発力を高めたこいつならば、大木程度、木っ端微塵にしてくれるだろう。
種類にもよるが木というのは意外と衝撃などに強く木っ端微塵にしようとするとコンクリートよりも難しいのである。
まあ、切ったり折ったり燃やしたりするだけならばそんなに難しくはないのであるが、時間を掛けずに、馬車を通すだけの空間を空けないといけないとなると、やはり爆破するのが手っ取り早い。
暫定名称魔石爆弾は確実性を考えて有線式にしたかったのだが、ダンジョンに穴を空けた時の失敗から、遠距離からでも起爆できるように魔力を使ったリモコン式にしてある。
起爆装置も魔石爆弾も魔導銃のパーツを流用しいるのでリモコンは銃のグリップとトリガーだけというようなデザインだ。
「爆破するから、離れてくれ」
「わかったわ、気配を隠す魔道具か何かを使ってるみたいで、何処から来るかわからないから、イオリも警戒は怠らないで」
「あいあいまむ」
馬車も俺たちも十分に距離をとる。
一応パーティメンバーは全員馬車から下りて周囲を警戒している。
エーリカが気休めと言いつつ、風で壁を作ってくれる。
ストームランパートとか言っていたけど、空間が歪んで見えるくらい圧縮された空気の壁のようだ。透明なので分かりにくいが壁に触れた草が物凄い勢いで粉々になって飛び回っているので、相当な気流があるようだ。
気休めと言いつつも結構本気で護っているな。
では爆破をしよう、となった所で、俺らを囲むように汚らしいおっさん達が、背の高い草の間からにょきにょきと生えて来た。
「金目の物と女……」
「ふぁいやほー、ふぁいやほー、ふぁいやほー!」
「ああ?なんだこいつ……」
あいかわらず発音は壊滅的だが、爆破の時にはこれを言わねばならない。
これから爆破するぞーと警告だからな。
すっかり慣れっこのようになってしまったうちらのメンツは、手で耳をしっかり抑えて口を開けている。
警告だと知らない汚らしいおっさん達の事は知ったことでは無いので、俺は静かにリモコンのトリガーを引いた。
一瞬の閃光が走ったと思った次の瞬間に腹の底に響くような音が聞こえてくる。
エーリカのストームランパートで音の伝達は大分緩和されているようであるが、地響きまでは緩和できない。
「うわああああああああ!?」
「な、何が起きやがった」
「みみがああああああ!」
数百メートル先で小さめのキノコ雲が上がっているのが見え、汚らしいおっさん達が慌てふためいている。
「そおい!」
アイテムボックスから、魔石のグレードを大分落とした風の魔石爆弾をぽいぽいと投擲する。
ぽんぽんと軽快な音を立ててぽんぽんと汚らしいおっさん達が弾むように飛んでいく。
「うわあ!」
「ぎゃあ!」
「みみがああああああ!」
俺が自爆した時は10倍以上は吹き飛んだのにたいして飛んではいないなツマラン。
「やる事無いわね」
「まあ、馬車の中に居るとはいえコリンナ様に殺伐とした所を見せなくて済んで良かったんじゃ無いでしょうか?」
グレイさんが抜刀していた剣を早くも鞘に収めて事の成り行きを見守る体制に入った。
「よし、じゃあマルも手伝ってくれ」
「もっきゅー!」
マルに魔石爆弾をいくつか渡すと、全身をうまく使って器用にぽいぽいと投げて汚らしいおっさん達を吹き飛ばしていく。
「おお、なんぞ楽しそうでは無いか、我にもやらせよ」
「え、しょーがねーなー。 アリーセ、あと何処にいるかわかるか?」
「あそこの低木の陰に3人、後ろの方に5人ね」
「じゃあそこにうまく投げてくれ、ちょうど地面に落ちるくらいの強さで投げるんだぞ?」
「心得た、しかしぶつかる前にこれが発動すれば良いのだろう?」
パールが足を真上に高々とあげ、投球フォームで魔石爆弾を投げると、パアンという破裂音と草原が真っ二つに割れ汚らしいおっさん達が潜んでいるであろう場所で空気の爆発が起こる。
続け様に、もう一箇所の方にも同じように魔石爆弾を投げる。
「ふふふ、どうだ直前で起爆してみたぞ」
「しれっと音速を超えて物を投げないように」
俺が音速で剣を振った時は反作用で大変な目にあったが、パールぐらい重量があれば問題なくぶっ放せるようだ。
「それじゃあ拘束していきましょうか、一番偉そうなのに背後関係とか聞き出さないといけませんし」
「うーん、ロープ足りないんじゃ無い?」
グレイさんがロープを用意してくれたが汚らしいおっさん達が全部で何人居るのか把握する前に問答無用で吹き飛ばしたので正確な人数はわからないが、手持ちのロープで全員縛るには足りない。
「そういう事ならこのアンドレア・ワトスン・ポリツィスト・レーベンスベルーフにおまかせあれー」
ワトスンがそう言って鞄から金属のインゴットと取り出すと、例のグニグニと粘土のように加工出来る錬金術のスキルで、次々と手枷を作成してくれた。
手枷が出来た端から総出で、気絶したり悶絶したりしている汚らしいおっさん達を次々に拘束していく。
「さて、ただの馬鹿だったのか、目的があって狙ってきたのかはっきりさせないとねー」
「くっそう、怪しげな魔道具を使いやがって、こんな事をしてタダで済むと思うなよ!」
早々に意識を取り戻したお頭っぽいおっさんが威勢良く威嚇をしてくる。
「ほう、どう済まないと言うんだよ?今無様にやられて捕まってるじゃないか」
「俺たちは『鉄オーガ団』だぞ!騎士達ですら俺らに恐れをなして逃げ帰るんだ!」
「ふむ、その名前聞いたことがありますわね」
「ほう知っているのか雷電?」
「雷電?それはわかりませんが、国内を荒らし回っていた盗賊団ですわね、貴族だろうが何だろうが手当たり次第に襲うので騎士団による討伐隊が組まれたようなのですが、根城が帝国との国境を僅かに越えた場所にあったらしく、渋々引き上げる事になったそうですわ」
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