【完結】【R18】幼妻は寡黙な最強軍人夫に初夜されたい

魯恒凛

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11.秘策

「じゃあ、とりあえず閨事を知っておきましょう。娼館ならではの立体模型をお見せするわ。……練習用の玩具なんだけど」
「なんですか? この木彫りのキノコたち」
「これはペニスの模型です」
「……」

 ダニエラは、シャルロッテたちがびっくりしないように、親指サイズから中指サイズのかわいらしい模型を手渡した。

「大きさは男性によって異なるの。だから、これよりもう少し大きい人もいるし、ここの傘が大きい人も小さい人もいるし、だいたいこんな感じだけど、形状も異なるってことを覚えておいてね」
「……はいっ」
「でね。これが女性の中に入って子種を吐き出すことで、タイミングが合うと子供ができます」
「……!」
「だから閨は子作りとも呼ばれるわ。う~ん、愛や快楽目的ですることもあります」
「へぇ……」
「じゃあ、簡単にだけど、これで閨事がどんなものなのかもわかったわよね? シャルロットちゃん、頑張ってね」

 艶やかにほほ笑むダニエラに、シャルロッテは首を傾げる。

「え? ダニエルさん、これでおしまいなんですか? これじゃ旦那様にどうやって触ってもらったらいいのかわかりません」
「だけどここは娼館よ? あなたたち、娼婦と話をするの嫌じゃないの?」

 シャルロッテとオリビアは顔を見合わせた。

「えっと、娼婦というのはダニエラさんのことなんでしょうか? ……私たち、そこから既につまずいてまして。ダニエラさんはすごく綺麗だし、優しいし、話すのが嫌なんてことはありません」
「私も図々しくお嬢様のおまけでいさせていただいていますが、もっとお話を聞きたいです」

 ──男をたぶらかす下賤な女め! 主人を返してちょうだい!
 ──花を売るような女とはもう友達じゃないわ。ダニエラ、伯爵令嬢から見事に落ちぶれたわね

 実家が没落して娼館に売られたダニエラは、貴族が娼婦をどう思っているのかよく知っていたし、直接言われたこともある。何も知らない2人が慕ってくれるのは悪くない心地だったが、この子たちも娼館がどんなところか知ったら、二度と来ることはないだろうと思っていた。

「……あらあら、こまった子猫ちゃんたちねえ。……娼館というのは娼婦と呼ばれる私たち女が、男と体を合わせるところよ。ペニスを膣に入れたり、快楽のための閨やいやらしいことをたくさんする場所なのよ」
「へえ……」

 ダニエラはシャルロッテたちが嫌悪で顔を歪めるのではないかと思うと、その顔を見るのが怖かった。

「……こんな純粋な子たちにまで蔑まれるなんて」

 ぼそっと呟いたダニエラが顔を上げると、2人は笑顔のままだった。シャルロッテがなるほど、聞いたことがあると口にする。

「軍人が言ってました! 血の気が収まらない時は性欲も高まるから、男は欲を吐き出すために娼館に行くのだと。そういうことですよね?」
「え? え、ええ。まあ、確かに、そういうことなんだけど……」
「確かに。お相手がいない男性は娼館がないと困りますものね」
「あんたたち……。ぐすっ、……よし、私がひと肌脱ごうじゃないの」

 ダニエラは恋をしているが、複雑な恋で叶いそうもない。自分の分までシャルロッテが全力で思いをぶつけてくれたらいいと思ったのだ。

「オリビアちゃんは相手ができた時のための予習ってことで、まずはシャルロッテちゃんね」

 そうね、と言いながらダニエラはシャルロッテをじっと観察する。しばらくしてから、大きく頷いた。

「清楚な容姿を逆手にとって驚かせましょう」

 そう言うと、ダニエラはオーナーを部屋に連れてきた。相変わらず面白そうに笑っている。

「お嬢さんたち、魅力的なお尻の作り方は教わったの? で、俺は何で呼ばれたの? お尻を見てあげたらいいの?」
「いいえ。モデルになっていただこうと思って。シャルロッテちゃん、オリビアちゃん。魅力的なお尻は自然に作られていきます。ただし……」

 真剣な顔で、ダニエラの次の言葉を待つ2人。

「常にお尻が見られていると思って過ごすこと。あなたの旦那様や周りの男すべての視線が注がれていると思って、緊張感をもって過ごしてみて」
「「はいっ」」

 きらきらとした瞳でダニエラを見つめる二人に、オーナーがへえ、と面白そうに笑う。

「では、今からシャルロッテちゃんにとっておきの秘策を授けます。絶対効果的よ……縛り方を教えてあげる」

 そういうと、ダニエラは丸椅子に座ったオーナーを後ろ手にし、服の上から縛り上げた。

「ほら。こうやって縛ると大の男でも身動き取れなくなるの。こうして手足の自由を奪って、好き勝手するのよ」
「うわあ……すごい!」

 シャルロッテとオリビアは立ち上がると縛られたオーナーの周りをぐるぐると回り、その拘束力を賞賛した。

「ダニエルさんのような華奢な女性でも、このようにしっかりと結ぶことができるんですね! これはすごい!」
「えっと……ありがとう。だけど、そこじゃない」

 どうやらシャルロッテは縛る技術に興味を持ってしまったようだ。

「シャルロッテちゃん、見せたいのはここからなのよ」

 その後しばらく、デモンストレーションとしてオーナーへの責めを見せられた2人。オリビアの口から紡がれる卑猥な言葉と悦に入ったオーナーの荒い息遣いが耳に残る。
 あわあわとしながらも、うっとりとしたオーナーの表情に、シャルロッテはアランを重ねてときめいた。

「ふぅ、だいたいこんな感じよ。いい? 言葉責めは言葉選びのセンスが重要だからね。日頃からたくさん本を読んで語彙力を伸ばすことをおすすめするわ」
「はい……!」
「じゃあ、今日は縛り方を覚えて帰ってね」

 シャルロッテは呆けているオーナーを相手に縛る手順を教わり、汗だくになりながら決してほどけない頑丈な拘束術を教わったのだった。

 今日の講義が終わり、裏口から馬車に乗り込んだ2人は口数が少なく。 「どうだった?」と聞くレイの股の間をじっと見つめる2人に、レイは慌てて足を閉じた。

「ちゃんと教わったみたいだな。だけど、そんな風に男の股間を見てはダメだ。シャルロッテ、おまえは特に! ぜっっっったいに! アラン様にそんな視線を向けるなよ?」

 レイは怒り狂うアランの姿を想像して震えた。娼館に連れて行ったなんて知られたら殺される。アランがシャルロッテを溺愛していることは、ラーゲルレーヴ邸で働く者にとって公然の事実なのだ。いかんせん、本人があまりにも無口過ぎてシャルロッテに伝わっていないことを、周囲は気をもみながら見守っている最中なのである。
 そんなレイをよそに、シャルロッテとオリビアは衝撃を受けすぎて、屋敷へ戻る最中も、戻ってからも、口数が少なかった。アランは帰りが深夜になるとのことで、シャルロッテは1人で食事をとり、入浴を済ませ、いよいよ就寝という時にぽつりとこぼした。

「オリビア……衝撃的な1日だったわね」
「はい、シャルロッテ様……。なんだか、大人になった気がしますね」
「……うん」

 こうして、この日。2人の閨知識は基本をすっ飛ばして上昇し、一般教養レベルを突き抜けたのだ。

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