24 / 154
第24話 夏休み
しおりを挟む
夏休みに入った。
オレはバイトのシフトで予定をバンバン埋めた。
ただ一つ明日美ちゃんとは一緒にならないようにだけは気をつけて。
先手必勝。
時間がありすぎるとロクなことを考えない。
この夏は金を稼ぐ!と決めた。
何より働いていれば灰谷の事も、灰谷と明日美ちゃんの事も考えずにいられる。
オレ自身の事も。
その日は久々の休みで、オレは部屋で惰眠をむさぼっていた。
あ~よく寝た~って起きたらもう午後でベッドから下りようとしたらなんか踏んづけた。
なんだっけコレ?紙袋に世界一有名なネズミキャラクター。
明日美ちゃんからもらったおみやげのチョコクランチだった。
灰谷と明日美ちゃんはデートであちこち遊びに行ってるみたいだった。
しかし……ランドとはね。
夏休みで混み混みだろうに。
灰谷ああいうの好きじゃないだろ。
でもいっしょに行ってあげちゃうんだな、と思えば気持ちも沈む。
突然、オレの部屋にヨーデルが鳴り響いた。
♪ヨロロロロリホ ヤヒホリヨホホ ヨロロロロリホヤ ラリホリヨ~
電話の着信音。
――灰谷からだ。
ペーター灰谷の着メロをマジサトナカ(オレ・佐藤・中田)の三人はヨーデルにしたからだった。
LINEのグループ名は『ペーター灰谷と搾乳隊』に変更された。
まあ実際に搾乳するのはペーター灰谷だけなんだけど。
灰谷が嫌がって元の『サトナカマジハイHiHiHi』に戻そうとするが、三人で阻止している。
『ペーター灰谷と搾乳隊』よりウケるやつじゃないとムリだろうな。
しかし荘厳だなあ~ヨーデル。
ハハハハハハ。
乾いた笑いが出る。
「ウィ~、ペーター灰谷」
『ペーターやめろ。つうか着メロ変えてグループ名を戻せ』
「やだね」
ん~今の時間、灰谷バイトじゃねえの?休み時間か。
「んで何?あふ~」
『寝てたのか?』
「うん」
『つうかめずらしく明日もバイト休みだろ。映画行こうぜ』
「いや、入ってる」
『え?』
「遅番代わったから」
チョコクランチを一個口に放りこむ。
ウマッ。
『じゃあ明後日は』
「シフト。オマエも一緒だろ確か」
『そっか。じゃあその次の日は』
「さっき多田さんに頼まれて遅番変わった」
『多田さん?』
電話の向こうで灰谷がイラッとしたのがわかった。
『なんか今月の多田さんのシフト、ほぼ真島が出てねえか?』
「あ~なんか実家のお母さんが入院するとかで付き添いに行くんだってさ」
『あ~そりゃ……。でも、オマエばっか、代わんなくてもいいだろ。店長いるんだし』
「まあそうだけど。金になるし」
もう一個口にポイッ。
『金金ってなんでそんなに金いるんだよ』
「バイク」
『それ夏休み前から言ってねえ?』
「言ってるね」
『……』
灰谷が押し黙った。
オレはもう二つチョコクランチを口に放りこむ。
ん~口の中チョコレート~。
『オマエ、もしかしてオレと遊びたくねえの?』
「……」
今度はオレが黙る番だった。
『黙んなよ。冗談なのに』
「いや、別に。オマエ、乳搾り、いや、デートで忙しいだろ」
『んなことねえよ』
「まあオレ、今年の夏は金稼ぐからさ、灰谷は青春しろよ」
『なんだそれ』
「ワリぃ、まだ眠いから切るよ」
『おい真島。いつなら映画行けんだよ』
「映画はDVDでいい。人混みキライだし。明日美ちゃんと行けよ。じゃな」
『真島……』
なんか言いかけてたみたいだけど切っちまった。
ビニールの包み紙が山になっていた。
オレはかき集めてゴミ箱に捨てる。
オレ断ったし、映画、明日美ちゃんと行くんだろうな……。
あ~ウジウジウジウジ。
やんなるわ!
腹も減った……。
お菓子じゃ埋まんねえ。
階段を降りて一階へ。
「母ちゃ~ん」
母ちゃんの姿はなく、台所の机の上に、ラップがかかった焼きそばとメモがあった。
パートか。
”レンジでチンして食べなさい。母”
レンジでチンとか言い回し古っ。昭和か!
焼きそば食べた後はゲームやってDVD見て。
またちょっとウトウトして。
夕方になって帰ってきた母ちゃんと夕飯食ってテレビ見て。
んでまたゲームやって……って不毛~。
オレはコントローラーを放り出して、ベッドに寝転んだ。
オレはバイトのシフトで予定をバンバン埋めた。
ただ一つ明日美ちゃんとは一緒にならないようにだけは気をつけて。
先手必勝。
時間がありすぎるとロクなことを考えない。
この夏は金を稼ぐ!と決めた。
何より働いていれば灰谷の事も、灰谷と明日美ちゃんの事も考えずにいられる。
オレ自身の事も。
その日は久々の休みで、オレは部屋で惰眠をむさぼっていた。
あ~よく寝た~って起きたらもう午後でベッドから下りようとしたらなんか踏んづけた。
なんだっけコレ?紙袋に世界一有名なネズミキャラクター。
明日美ちゃんからもらったおみやげのチョコクランチだった。
灰谷と明日美ちゃんはデートであちこち遊びに行ってるみたいだった。
しかし……ランドとはね。
夏休みで混み混みだろうに。
灰谷ああいうの好きじゃないだろ。
でもいっしょに行ってあげちゃうんだな、と思えば気持ちも沈む。
突然、オレの部屋にヨーデルが鳴り響いた。
♪ヨロロロロリホ ヤヒホリヨホホ ヨロロロロリホヤ ラリホリヨ~
電話の着信音。
――灰谷からだ。
ペーター灰谷の着メロをマジサトナカ(オレ・佐藤・中田)の三人はヨーデルにしたからだった。
LINEのグループ名は『ペーター灰谷と搾乳隊』に変更された。
まあ実際に搾乳するのはペーター灰谷だけなんだけど。
灰谷が嫌がって元の『サトナカマジハイHiHiHi』に戻そうとするが、三人で阻止している。
『ペーター灰谷と搾乳隊』よりウケるやつじゃないとムリだろうな。
しかし荘厳だなあ~ヨーデル。
ハハハハハハ。
乾いた笑いが出る。
「ウィ~、ペーター灰谷」
『ペーターやめろ。つうか着メロ変えてグループ名を戻せ』
「やだね」
ん~今の時間、灰谷バイトじゃねえの?休み時間か。
「んで何?あふ~」
『寝てたのか?』
「うん」
『つうかめずらしく明日もバイト休みだろ。映画行こうぜ』
「いや、入ってる」
『え?』
「遅番代わったから」
チョコクランチを一個口に放りこむ。
ウマッ。
『じゃあ明後日は』
「シフト。オマエも一緒だろ確か」
『そっか。じゃあその次の日は』
「さっき多田さんに頼まれて遅番変わった」
『多田さん?』
電話の向こうで灰谷がイラッとしたのがわかった。
『なんか今月の多田さんのシフト、ほぼ真島が出てねえか?』
「あ~なんか実家のお母さんが入院するとかで付き添いに行くんだってさ」
『あ~そりゃ……。でも、オマエばっか、代わんなくてもいいだろ。店長いるんだし』
「まあそうだけど。金になるし」
もう一個口にポイッ。
『金金ってなんでそんなに金いるんだよ』
「バイク」
『それ夏休み前から言ってねえ?』
「言ってるね」
『……』
灰谷が押し黙った。
オレはもう二つチョコクランチを口に放りこむ。
ん~口の中チョコレート~。
『オマエ、もしかしてオレと遊びたくねえの?』
「……」
今度はオレが黙る番だった。
『黙んなよ。冗談なのに』
「いや、別に。オマエ、乳搾り、いや、デートで忙しいだろ」
『んなことねえよ』
「まあオレ、今年の夏は金稼ぐからさ、灰谷は青春しろよ」
『なんだそれ』
「ワリぃ、まだ眠いから切るよ」
『おい真島。いつなら映画行けんだよ』
「映画はDVDでいい。人混みキライだし。明日美ちゃんと行けよ。じゃな」
『真島……』
なんか言いかけてたみたいだけど切っちまった。
ビニールの包み紙が山になっていた。
オレはかき集めてゴミ箱に捨てる。
オレ断ったし、映画、明日美ちゃんと行くんだろうな……。
あ~ウジウジウジウジ。
やんなるわ!
腹も減った……。
お菓子じゃ埋まんねえ。
階段を降りて一階へ。
「母ちゃ~ん」
母ちゃんの姿はなく、台所の机の上に、ラップがかかった焼きそばとメモがあった。
パートか。
”レンジでチンして食べなさい。母”
レンジでチンとか言い回し古っ。昭和か!
焼きそば食べた後はゲームやってDVD見て。
またちょっとウトウトして。
夕方になって帰ってきた母ちゃんと夕飯食ってテレビ見て。
んでまたゲームやって……って不毛~。
オレはコントローラーを放り出して、ベッドに寝転んだ。
0
あなたにおすすめの小説
その首輪は、弟の牙でしか外せない。
ゆずまめ鯉
BL
養子ゆえに、王位継承権を持たないオメガで長男のレイン(24)は、国家騎士団として秘密裏に働き、ただ義弟たちを守るためだけに生きてきた。
第一継承権を持つアルファで次男のリオール(19)は、そんな兄に「ごく潰し」と陰口を叩く連中を許せなかった。自分を犠牲にしてまで守る価値はないと思っていた。なにかと怪我の多い国家騎士団を辞めさせたかった。
初めて訪れた発情期のとき。約束をすっぽかされたリオールが不審に思い、兄の部屋へ行くと、国家騎士団の同僚──グウェンソード(28)に押し倒されるところを目撃して激高する。
「今すぐ部屋から出ろ!」
独占欲をあらわにしたリオールは、グウェンソードを部屋から追い出し、兄であるレインを欲望のままに抱いた。
翌朝、差し出されたのは特注の首輪──外せるのはリオールのみ。
「俺以外に触らせるな」
そう囁かれたレインは、何年も首輪と弟の執着に縛られ続けてきた。
弟には婚約者がいるのに、こんな関係を続けてもいいのか。
本当にこのままでもいいのか。
ひたすら執着して独占したがる弟と、罪悪感に苛まれる兄。
その首輪は、いつか弟の牙で血に染まるのか──。
どうにかしてレインを落としたいリオールと、弟との関係に悩むレインのオメガバースです。
リオール・グランケット(19)×レイン・グランケット(24)
※この作品は2015年頃に本文を書き、2017年頃にオメガバースに改稿、さらに2026年に手直しした作品になります。読みにくいかもしれません。ご了承ください。
三人称ですが攻めだったり受けだったり視点がよくかわります。攻め視点多めです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か
雪兎
BL
第二性が存在する世界。
Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。
しかし入学初日、彼の前に現れたのは――
幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。
成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。
だが湊だけが知っている。
彼が異常なほど執着深いことを。
「大丈夫、全部管理してあげる」
「君が困らないようにしてるだけだよ」
座席、時間割、交友関係、体調管理。
いつの間にか整えられていく環境。
逃げ場のない距離。
番を拒みたいΩと、手放す気のないα。
これは保護か、それとも束縛か。
閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。
邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ
零
BL
鍛えられた肉体、高潔な魂――
それは選ばれし“供物”の条件。
山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。
見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。
誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。
心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。
一夜の過ちで懐妊したら、幼なじみの冷酷皇帝に溺愛されました
由香
恋愛
没落貴族の娘・柳月鈴は、宮廷で医官見習いとして働いていた。
ある夜、皇帝即位の宴で酒に酔い、幼なじみだった皇帝・李景珩と再会する。
遠い存在になったはずの彼。
けれど、その夜をきっかけに月鈴の運命は大きく動き出す。
冷酷と恐れられる皇帝が、なぜか彼女だけには甘すぎて――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる