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第25話 ピアス=しるし
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夏休み。
はあ~やることねえ~。
勉強は~しねえ。
いっぱい寝ちゃったから眠くもなんねえし。
佐藤は趣味のフィギュア使ったジオラマ作りに夢中らしいし、中田は服屋でバイトだろ。
去年の夏休みってどうしてたっけ?
灰谷と~なんかダラダラダラダラしてた気がする。
『灰谷くん、夏休みに入ってからあんまり来ないわねえ~』
なんでさっき母ちゃんも言ってたけど。
「イタタッ」
寝返りを打つと、タオルケットにピアスが引っかかった。
あ、そうだ。
去年の夏休みだ、灰谷と二人で耳にピアス穴開けたのって。
オレは思い出した。
高校に入ったらピアスデビューしようと決めていた。
いちおう学校では禁止されてたから、延ばし延ばしで夏休みになったんだ。
ノリノリのオレに対して「カラダに穴あけるのはな~」なんて言っていた灰谷。
初めてのバイト料をもらうと灰谷引っ張ってピアスを見に行った。
「あっ」
二人で同時に目を止めたのがクロムハーツで。
片耳1個分でバイト料のほぼ全額だった。
「最初はもうちょっと安いの買って両耳にしようぜ」というオレに、「いや、あれがいい。オマエもあれにしろ。それならオレも穴を開ける」と灰谷が言ったのだ。
オレたちはデザイン違いを一個ずつ購入した。
で、本当なら穴も病院で開けたかったけど、お金もなく、ピアッサー代もケチったオレたちは、安全ピンで開けて安い医療用の透明樹脂のピアスをつけることにした。
これなら穴開いてても学校にもバレないし。
まずはオレから、っていうんで左の耳たぶに氷を押しあてた。
「当たり前だけど、冷てえ~。感覚がなくなるまでってどんくらい?」
オレは耳たぶを何度も触って確かめた。
「つうか感覚なんてなくなんないんだけど」
「そりゃあ、全くなくなるってことはないだろ。大体でいいんじゃないの?」
「そうかなあ。もう一回調べてくれよ灰谷」
「ん~男は思い切りだぞ真島」
「は?」
「耳たぶ消毒しろ」
言うと灰谷は安全ピンをライターの火で炙った。
「ほれ、耳よこせ」
「うげえ~こぇ~」
あらかじめマジックペンで目印をつけておいた。
「行くぞ」
ブツッ。
灰谷はためらいもなく一気にぶっ刺した。
「イッ……た!」
痛かった。
予想外に痛かった。
「ホレ、早く。透明のピアスつけないと。穴塞がる」
「そんなすぐ塞がんないだろ。つーか痛いよ~」
オレは半泣きだった。
「そんなに痛いか~」
「痛いよ~」
「オマエが開けたいって言ったんじゃん」
「言ったけど~痛いって~」
「そんなに?」
灰谷は疑うような顔をした。
「おう。オマエやめる?」
「なんで。やるよ。ピアス買っちゃったし」
「痛えぞ」
「それがなんだよ」
男だね~。オレは思った。
いや、オレも男だけど。痛いもんは痛い。
次はオレが灰谷の耳にぶっ刺す番だった。
氷で冷やさなくていいって言うから直接。
「行くぞ」
「おう」
灰谷の耳をつかんで安全ピンの先を目印に押し当てる。
まっすぐ刺さないと穴が曲がってしまう……。
「灰谷」
「ん?」
「オマエ自分でやってくれない?」
「は?なんで」
「なんか。人の耳に穴あけるとか怖い」
「あ~?自分は人にさせといてなんだよ」
「いやあ~でもさ~」
オレはシブった。
「やれ」
「え~」
「やれって」
「ん~」
「オレがオマエに穴開けたんだから、オマエがオレに開けんの当然だろ」
お互い穴を開けあう。
なんか……ヤらしいな~。
でもそうか。
灰谷がオレに穴を開ける。つうか開けた。
オレが灰谷に穴を開ける。
そんで多分、うまくすればずっと残る。
なんか……まるで『しるし』みたいじゃね?
オレはその時ひそかに思った。
「行くぞ」
「おう」
覚悟を決めて、プツッ、灰谷の耳たぶにピンを刺した。
肉のかなりの抵抗感。
うお~刺したはいいけど突き抜けねえ。
うぎゃ~。
ギュー、オレはピンを押しこんだ。
プツっと皮を一枚破ったような感触がして裏に突き抜けた。
怖かった。
あの時の、灰谷に開けられた左耳の小さな痛み。
そして灰谷の耳たぶに安全ピンを刺す時の、あの感触を今でもハッキリと思い出すことができた。
実際にクロムハーツのピアスをつけたのは穴ができあがった二ヶ月後、夏休みが終わって二学期が始まった頃だったんだけど。
その後、もう片方の耳にもお互い穴を開け、今年の春には両耳にピアスがはまった。
灰谷とお揃いのデザイン違いのクロムハーツのピアス。
『しるし』。
って……灰谷にはそんな感覚ないと思うけど。
灰谷……。
今日もデートかなあ明日美ちゃんと。
オレは明後日にならないと会えないんだよなあ。
ってまあ、オレが断ったんだけど……。
はあ~。
オレ……もう……なんか……。
心のピアス穴がジクジク痛んだ。
最近胸やら心やらあっちこっち凍るわ痛むわで……ホントしんどい。
ダメだ。
うちにいられねえ。
オレはガバリと飛び起きた。
はあ~やることねえ~。
勉強は~しねえ。
いっぱい寝ちゃったから眠くもなんねえし。
佐藤は趣味のフィギュア使ったジオラマ作りに夢中らしいし、中田は服屋でバイトだろ。
去年の夏休みってどうしてたっけ?
灰谷と~なんかダラダラダラダラしてた気がする。
『灰谷くん、夏休みに入ってからあんまり来ないわねえ~』
なんでさっき母ちゃんも言ってたけど。
「イタタッ」
寝返りを打つと、タオルケットにピアスが引っかかった。
あ、そうだ。
去年の夏休みだ、灰谷と二人で耳にピアス穴開けたのって。
オレは思い出した。
高校に入ったらピアスデビューしようと決めていた。
いちおう学校では禁止されてたから、延ばし延ばしで夏休みになったんだ。
ノリノリのオレに対して「カラダに穴あけるのはな~」なんて言っていた灰谷。
初めてのバイト料をもらうと灰谷引っ張ってピアスを見に行った。
「あっ」
二人で同時に目を止めたのがクロムハーツで。
片耳1個分でバイト料のほぼ全額だった。
「最初はもうちょっと安いの買って両耳にしようぜ」というオレに、「いや、あれがいい。オマエもあれにしろ。それならオレも穴を開ける」と灰谷が言ったのだ。
オレたちはデザイン違いを一個ずつ購入した。
で、本当なら穴も病院で開けたかったけど、お金もなく、ピアッサー代もケチったオレたちは、安全ピンで開けて安い医療用の透明樹脂のピアスをつけることにした。
これなら穴開いてても学校にもバレないし。
まずはオレから、っていうんで左の耳たぶに氷を押しあてた。
「当たり前だけど、冷てえ~。感覚がなくなるまでってどんくらい?」
オレは耳たぶを何度も触って確かめた。
「つうか感覚なんてなくなんないんだけど」
「そりゃあ、全くなくなるってことはないだろ。大体でいいんじゃないの?」
「そうかなあ。もう一回調べてくれよ灰谷」
「ん~男は思い切りだぞ真島」
「は?」
「耳たぶ消毒しろ」
言うと灰谷は安全ピンをライターの火で炙った。
「ほれ、耳よこせ」
「うげえ~こぇ~」
あらかじめマジックペンで目印をつけておいた。
「行くぞ」
ブツッ。
灰谷はためらいもなく一気にぶっ刺した。
「イッ……た!」
痛かった。
予想外に痛かった。
「ホレ、早く。透明のピアスつけないと。穴塞がる」
「そんなすぐ塞がんないだろ。つーか痛いよ~」
オレは半泣きだった。
「そんなに痛いか~」
「痛いよ~」
「オマエが開けたいって言ったんじゃん」
「言ったけど~痛いって~」
「そんなに?」
灰谷は疑うような顔をした。
「おう。オマエやめる?」
「なんで。やるよ。ピアス買っちゃったし」
「痛えぞ」
「それがなんだよ」
男だね~。オレは思った。
いや、オレも男だけど。痛いもんは痛い。
次はオレが灰谷の耳にぶっ刺す番だった。
氷で冷やさなくていいって言うから直接。
「行くぞ」
「おう」
灰谷の耳をつかんで安全ピンの先を目印に押し当てる。
まっすぐ刺さないと穴が曲がってしまう……。
「灰谷」
「ん?」
「オマエ自分でやってくれない?」
「は?なんで」
「なんか。人の耳に穴あけるとか怖い」
「あ~?自分は人にさせといてなんだよ」
「いやあ~でもさ~」
オレはシブった。
「やれ」
「え~」
「やれって」
「ん~」
「オレがオマエに穴開けたんだから、オマエがオレに開けんの当然だろ」
お互い穴を開けあう。
なんか……ヤらしいな~。
でもそうか。
灰谷がオレに穴を開ける。つうか開けた。
オレが灰谷に穴を開ける。
そんで多分、うまくすればずっと残る。
なんか……まるで『しるし』みたいじゃね?
オレはその時ひそかに思った。
「行くぞ」
「おう」
覚悟を決めて、プツッ、灰谷の耳たぶにピンを刺した。
肉のかなりの抵抗感。
うお~刺したはいいけど突き抜けねえ。
うぎゃ~。
ギュー、オレはピンを押しこんだ。
プツっと皮を一枚破ったような感触がして裏に突き抜けた。
怖かった。
あの時の、灰谷に開けられた左耳の小さな痛み。
そして灰谷の耳たぶに安全ピンを刺す時の、あの感触を今でもハッキリと思い出すことができた。
実際にクロムハーツのピアスをつけたのは穴ができあがった二ヶ月後、夏休みが終わって二学期が始まった頃だったんだけど。
その後、もう片方の耳にもお互い穴を開け、今年の春には両耳にピアスがはまった。
灰谷とお揃いのデザイン違いのクロムハーツのピアス。
『しるし』。
って……灰谷にはそんな感覚ないと思うけど。
灰谷……。
今日もデートかなあ明日美ちゃんと。
オレは明後日にならないと会えないんだよなあ。
ってまあ、オレが断ったんだけど……。
はあ~。
オレ……もう……なんか……。
心のピアス穴がジクジク痛んだ。
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ダメだ。
うちにいられねえ。
オレはガバリと飛び起きた。
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