45 / 154
第45話 オレのこと見てた?
しおりを挟む
昼のファミレスにペーター灰谷と搾乳隊=サトナカマジハイが集まった。
学校の休み時間みたいにダラダラ話す。
「フィギュア買いすぎた~カネねえ~」
佐藤がボヤく。
「オレもカネない」
「なんでだよ、中田は服屋で朝から晩までバッチリ働いてるんだし、あるだろ?」
「給料日まだなんだよ。初給料でアレ買ってコレ買ってって杏子にプレッシャーかけられてるし。残んないんじゃねえの?」
「うお~まるで恐妻家だな。尻に敷かれてるじゃん」
「つうか休みの日は疲れて寝てるし、夏休みだっていうのにどこにも連れて行ってやれてねえし、しょうがねえかなあと」
「そんなもん?」
「そんなもんだろう~。女の尻には敷かれたほうがいいんだよ」
「中田~オマエ十代で達観してんな~」
正面でくり広げられるサトナカのやりとりを聞くともなく聞きながらオレはLINEのメッセージを確認する。
……来てないか。
あれから……。
灰谷と明日美ちゃんと遭遇してから、城島さんとは会えていない。
約束したのに残業が入ったからって会えなくなったのが二回。
避けられているのかなと思う。
オレの気持ちが少し城島さんに傾いているのを感じて重荷になったのかもしれない。
あの人にとってオレはただのセフレで。
で、きっと過去の自分の幻影で。
ただのセフレに親友やらその彼女まで現れて面倒くさくなったのかもしれない。
でもオレ、あの人がいたから……。
城島さんがいたから、灰谷への気持ちに整理をつけることができたんだ。
あの人がいなかったら……きっとすぐに戻ってしまう。
まるで形状記憶みたいに、住み慣れた地獄に戻ってしまう。
そんな気がする……。
「……真島……おい真島……真島ったら!」
「え?」
「何ボーっとしてんだよ。夏バテか?」
「いや、ワリぃ。で、なんだよ」
「だから~この後みんなでこのまんまどっか行かねえ?カラオケとかさ」
「中田はデートだろ?」
「だから空いてるって」
めずらしく中田が言う。
残念だけどオレはダメだった。
「オレ、バイト入ってるわ。この後」
「なあんで、そんなにバイトしてんだよ真島は」
「いや、バイク欲しくてさ」
「それ夏休み前から言ってねえ?まだ貯まんないの」
「んあ~使っちゃうから貯まんねえんだよ」
「ダメじゃん」
「灰谷は?カラオケ」
そういえば灰谷はさっきからスマホの画面ばかり見つめている。
「ああ、オレ、夜は当分ダメだと思う」
「アスミルク?」
「ああ。じゃねえアスミルクって言うな」
「ペーターはアスミルクの搾乳で忙しいんですのよ」
「搾乳もやめろ」
「じゃあ乳搾り?」
「なんだよマジハイ、付き合いワリぃなあ」
めずらく中田がスネる。
「まあまあ中田くん、お乳のおいしいお年頃なんですのよ」
「乳言うな」
「佐藤どうした、な~んかオマエさっきから余裕あんなぁ。童貞のくせに。ムカつくわ」
「大いにムカつきたまえ中田くん。僕はいままでの佐藤ではないのだよ。くくくくく」
そういえば今日は佐藤が話したいことがあるっていうんで集まったんだった。
忘れてた。
「ジャカジャ~ン。佐藤、女子のケー番・LINEID、ゲットしました~!!」
「おおっ!佐藤。どうした佐藤。佐藤のくせにどうした佐藤」
「ありがとう中田」
「やったな佐藤。やったぞ佐藤。ヤるのか佐藤」
「ありがとう真島」
佐藤が灰谷を見つめた。
「何?」
「灰谷、オマエはボケんのか~い」
「オチ無理だってオレ」
「まあいいや、昨日偶然出会った子でさ。話したら気があってさ~」
「へえ、どんな子?なんて名前?」
「それがね、ようこちゃん。桜の子って書いてようこ。キレイな名前だろ。山下桜子ちゃん」
ブッ!――中田がアイスコーヒーを吐き出した。
「なんだよ中田、汚いねえ」
「おい、佐藤、いますぐその子から手を引け!」
「なんでだよ」
「桜子ちゃんは杏子の妹だ」
「妹?杏子ちゃんの?」
「スマホ貸せ」
「へ?」
「データ削除する」
「何言ってんだやめろ」
「杏子の妹なんてダメだ。やめろ」
「なんでだよ~。つうか逆に協力してくれよ~」
「ぜってえヤダ」
中田の彼女の妹と佐藤が?世の中せまいなあ~。
「面白え~。オマエら将来兄弟になんだわ。何それ少女マンガじゃん」
「ならねえよ!」
「お兄さ~ん、仲良くしましょうよ~」
「ヤダって」
ん?灰谷のやつ静かだな?と見れば、目が合った。
「ん?なんだよ灰谷」
「別に」
バツの悪そうな顔をして目をそらした。
なんだなんだ?
♪~
LINEの通知音。
灰谷のスマホからだった。
「なに灰谷、アスミルク?」
「佐藤、話は終わってない」
「アスミルク言うな。つうかオレ行くわ」
「え~灰谷もう行くのかよ~。聞いてよオレと桜子ちゃんの運命の出会いを」
「ワリぃ。また今度聞くわ。これ、オレの分」
お金を置いて灰谷が立ち上がった。
隣りに座っていた灰谷を通すためにオレも立ち上がる。
「明日美ちゃんによろしく言っといて。佐藤くんから」
「ああ」
「じゃな~」
灰谷はさっさと店を出ていく。
こっちを見たらいつものように乳搾りのジェスチャーをして、からかってやろうと思ったのにオレとは目を合わせなかった。
めずらしい。
なんなの?あいつ。
「あっ、返せよ中田~」
「オマエらなんかあった?マジハイ」
中田が佐藤からとうとうスマホを取り上げてオレに聞く。
「あ?なんで?」
「佐藤、パスワードは?」
「言うかよ。返せよ」
「どうせ、誕生日とかだろ、オマエ単純だから。っていつだったっけ」
「違えし、誕生日じゃねえし」
「じゃあ誕生日いつだよ」
「……教えねえ。誕生日じゃねえから。って返せよ中田」
「誕生日だな。で?真島」
「別に。なんもねえよ」
「そういえば灰谷ほとんどしゃべんなかったな」
そうだった。
話に加わらないし、ほとんどしゃべらなかったと今更ながら気がついた。
「んでも、あいつが四人でいる時、あんまりしゃべんないのなんていつものことだろ。搾乳の段取りでも考えてたんじゃねえの?五月二十三日だったよな佐藤、誕生日」
「うん。ってお~い真島~」
「ハハハッ」
「0523と。あ、開いた」
「お~い!」
「うるさい佐藤。ステイ。真島」
「ん?」
「灰谷はオマエのこと見てたよ」
「え?」
「返せよ~」
灰谷がオレのこと見てた?
なんで?
なんかバレた?まさかな……。
学校の休み時間みたいにダラダラ話す。
「フィギュア買いすぎた~カネねえ~」
佐藤がボヤく。
「オレもカネない」
「なんでだよ、中田は服屋で朝から晩までバッチリ働いてるんだし、あるだろ?」
「給料日まだなんだよ。初給料でアレ買ってコレ買ってって杏子にプレッシャーかけられてるし。残んないんじゃねえの?」
「うお~まるで恐妻家だな。尻に敷かれてるじゃん」
「つうか休みの日は疲れて寝てるし、夏休みだっていうのにどこにも連れて行ってやれてねえし、しょうがねえかなあと」
「そんなもん?」
「そんなもんだろう~。女の尻には敷かれたほうがいいんだよ」
「中田~オマエ十代で達観してんな~」
正面でくり広げられるサトナカのやりとりを聞くともなく聞きながらオレはLINEのメッセージを確認する。
……来てないか。
あれから……。
灰谷と明日美ちゃんと遭遇してから、城島さんとは会えていない。
約束したのに残業が入ったからって会えなくなったのが二回。
避けられているのかなと思う。
オレの気持ちが少し城島さんに傾いているのを感じて重荷になったのかもしれない。
あの人にとってオレはただのセフレで。
で、きっと過去の自分の幻影で。
ただのセフレに親友やらその彼女まで現れて面倒くさくなったのかもしれない。
でもオレ、あの人がいたから……。
城島さんがいたから、灰谷への気持ちに整理をつけることができたんだ。
あの人がいなかったら……きっとすぐに戻ってしまう。
まるで形状記憶みたいに、住み慣れた地獄に戻ってしまう。
そんな気がする……。
「……真島……おい真島……真島ったら!」
「え?」
「何ボーっとしてんだよ。夏バテか?」
「いや、ワリぃ。で、なんだよ」
「だから~この後みんなでこのまんまどっか行かねえ?カラオケとかさ」
「中田はデートだろ?」
「だから空いてるって」
めずらしく中田が言う。
残念だけどオレはダメだった。
「オレ、バイト入ってるわ。この後」
「なあんで、そんなにバイトしてんだよ真島は」
「いや、バイク欲しくてさ」
「それ夏休み前から言ってねえ?まだ貯まんないの」
「んあ~使っちゃうから貯まんねえんだよ」
「ダメじゃん」
「灰谷は?カラオケ」
そういえば灰谷はさっきからスマホの画面ばかり見つめている。
「ああ、オレ、夜は当分ダメだと思う」
「アスミルク?」
「ああ。じゃねえアスミルクって言うな」
「ペーターはアスミルクの搾乳で忙しいんですのよ」
「搾乳もやめろ」
「じゃあ乳搾り?」
「なんだよマジハイ、付き合いワリぃなあ」
めずらく中田がスネる。
「まあまあ中田くん、お乳のおいしいお年頃なんですのよ」
「乳言うな」
「佐藤どうした、な~んかオマエさっきから余裕あんなぁ。童貞のくせに。ムカつくわ」
「大いにムカつきたまえ中田くん。僕はいままでの佐藤ではないのだよ。くくくくく」
そういえば今日は佐藤が話したいことがあるっていうんで集まったんだった。
忘れてた。
「ジャカジャ~ン。佐藤、女子のケー番・LINEID、ゲットしました~!!」
「おおっ!佐藤。どうした佐藤。佐藤のくせにどうした佐藤」
「ありがとう中田」
「やったな佐藤。やったぞ佐藤。ヤるのか佐藤」
「ありがとう真島」
佐藤が灰谷を見つめた。
「何?」
「灰谷、オマエはボケんのか~い」
「オチ無理だってオレ」
「まあいいや、昨日偶然出会った子でさ。話したら気があってさ~」
「へえ、どんな子?なんて名前?」
「それがね、ようこちゃん。桜の子って書いてようこ。キレイな名前だろ。山下桜子ちゃん」
ブッ!――中田がアイスコーヒーを吐き出した。
「なんだよ中田、汚いねえ」
「おい、佐藤、いますぐその子から手を引け!」
「なんでだよ」
「桜子ちゃんは杏子の妹だ」
「妹?杏子ちゃんの?」
「スマホ貸せ」
「へ?」
「データ削除する」
「何言ってんだやめろ」
「杏子の妹なんてダメだ。やめろ」
「なんでだよ~。つうか逆に協力してくれよ~」
「ぜってえヤダ」
中田の彼女の妹と佐藤が?世の中せまいなあ~。
「面白え~。オマエら将来兄弟になんだわ。何それ少女マンガじゃん」
「ならねえよ!」
「お兄さ~ん、仲良くしましょうよ~」
「ヤダって」
ん?灰谷のやつ静かだな?と見れば、目が合った。
「ん?なんだよ灰谷」
「別に」
バツの悪そうな顔をして目をそらした。
なんだなんだ?
♪~
LINEの通知音。
灰谷のスマホからだった。
「なに灰谷、アスミルク?」
「佐藤、話は終わってない」
「アスミルク言うな。つうかオレ行くわ」
「え~灰谷もう行くのかよ~。聞いてよオレと桜子ちゃんの運命の出会いを」
「ワリぃ。また今度聞くわ。これ、オレの分」
お金を置いて灰谷が立ち上がった。
隣りに座っていた灰谷を通すためにオレも立ち上がる。
「明日美ちゃんによろしく言っといて。佐藤くんから」
「ああ」
「じゃな~」
灰谷はさっさと店を出ていく。
こっちを見たらいつものように乳搾りのジェスチャーをして、からかってやろうと思ったのにオレとは目を合わせなかった。
めずらしい。
なんなの?あいつ。
「あっ、返せよ中田~」
「オマエらなんかあった?マジハイ」
中田が佐藤からとうとうスマホを取り上げてオレに聞く。
「あ?なんで?」
「佐藤、パスワードは?」
「言うかよ。返せよ」
「どうせ、誕生日とかだろ、オマエ単純だから。っていつだったっけ」
「違えし、誕生日じゃねえし」
「じゃあ誕生日いつだよ」
「……教えねえ。誕生日じゃねえから。って返せよ中田」
「誕生日だな。で?真島」
「別に。なんもねえよ」
「そういえば灰谷ほとんどしゃべんなかったな」
そうだった。
話に加わらないし、ほとんどしゃべらなかったと今更ながら気がついた。
「んでも、あいつが四人でいる時、あんまりしゃべんないのなんていつものことだろ。搾乳の段取りでも考えてたんじゃねえの?五月二十三日だったよな佐藤、誕生日」
「うん。ってお~い真島~」
「ハハハッ」
「0523と。あ、開いた」
「お~い!」
「うるさい佐藤。ステイ。真島」
「ん?」
「灰谷はオマエのこと見てたよ」
「え?」
「返せよ~」
灰谷がオレのこと見てた?
なんで?
なんかバレた?まさかな……。
0
あなたにおすすめの小説
その首輪は、弟の牙でしか外せない。
ゆずまめ鯉
BL
養子ゆえに、王位継承権を持たないオメガで長男のレイン(24)は、国家騎士団として秘密裏に働き、ただ義弟たちを守るためだけに生きてきた。
第一継承権を持つアルファで次男のリオール(19)は、そんな兄に「ごく潰し」と陰口を叩く連中を許せなかった。自分を犠牲にしてまで守る価値はないと思っていた。なにかと怪我の多い国家騎士団を辞めさせたかった。
初めて訪れた発情期のとき。約束をすっぽかされたリオールが不審に思い、兄の部屋へ行くと、国家騎士団の同僚──グウェンソード(28)に押し倒されるところを目撃して激高する。
「今すぐ部屋から出ろ!」
独占欲をあらわにしたリオールは、グウェンソードを部屋から追い出し、兄であるレインを欲望のままに抱いた。
翌朝、差し出されたのは特注の首輪──外せるのはリオールのみ。
「俺以外に触らせるな」
そう囁かれたレインは、何年も首輪と弟の執着に縛られ続けてきた。
弟には婚約者がいるのに、こんな関係を続けてもいいのか。
本当にこのままでもいいのか。
ひたすら執着して独占したがる弟と、罪悪感に苛まれる兄。
その首輪は、いつか弟の牙で血に染まるのか──。
どうにかしてレインを落としたいリオールと、弟との関係に悩むレインのオメガバースです。
リオール・グランケット(19)×レイン・グランケット(24)
※この作品は2015年頃に本文を書き、2017年頃にオメガバースに改稿、さらに2026年に手直しした作品になります。読みにくいかもしれません。ご了承ください。
三人称ですが攻めだったり受けだったり視点がよくかわります。攻め視点多めです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か
雪兎
BL
第二性が存在する世界。
Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。
しかし入学初日、彼の前に現れたのは――
幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。
成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。
だが湊だけが知っている。
彼が異常なほど執着深いことを。
「大丈夫、全部管理してあげる」
「君が困らないようにしてるだけだよ」
座席、時間割、交友関係、体調管理。
いつの間にか整えられていく環境。
逃げ場のない距離。
番を拒みたいΩと、手放す気のないα。
これは保護か、それとも束縛か。
閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。
邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ
零
BL
鍛えられた肉体、高潔な魂――
それは選ばれし“供物”の条件。
山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。
見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。
誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。
心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。
一夜の過ちで懐妊したら、幼なじみの冷酷皇帝に溺愛されました
由香
恋愛
没落貴族の娘・柳月鈴は、宮廷で医官見習いとして働いていた。
ある夜、皇帝即位の宴で酒に酔い、幼なじみだった皇帝・李景珩と再会する。
遠い存在になったはずの彼。
けれど、その夜をきっかけに月鈴の運命は大きく動き出す。
冷酷と恐れられる皇帝が、なぜか彼女だけには甘すぎて――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる