125 / 154
第125話 月に吠える
しおりを挟む
腹、減ったな。
アメリカンドッグ……。
バイト帰りに自転車を走らせていた灰谷は急にアメリカンドッグが食べたくなった。
買って帰ればよかった。
でもアメリカンドッグはうちの店よりあっちのがウマイんだよな。
真島んちの方のコンビニ。
行くか。
灰谷は方向転換した。
ちょっと遠回りになるけれど、ついでに真島が帰ってないか、のぞいてみようとも思った。
真島家の前で自転車を停める。
二階の真島の部屋の窓は暗かった。
いつも自転車を止めていた駐車場スペースに真島の自転車はなかった。
帰っていないらしい。
真島がいなくなって何度目だろう。
スマホを開く。
既読なし。
着信なし。
まだ帰ってないか……。
コンビニでペプシとアメリカンドッグを購入して、あの日、真島とアイスを食べた公園に向かう。
ひょっとしたらと思ったが公園のベンチに真島の姿はなかった。
って当たり前か。
こんな所にいるわけないか。
ベンチに腰を下ろし、アメリカンドッグをかじり、ペプシを飲む。
本当にあいつ、どこにいるんだろう。
中田が言ってたみたいにまた一人でグルグル考えて狭い所に入りこんで周りが見えなくなったりしてるんじゃないだろうな。
余計な事考えてないで帰ってくればいいのに。
いや、余計なことじゃねえよな、あいつにとっては。
「暑ちぃ」
日も暮れたというのにまだ暑い。
キャーキャー。
声のする方を見れば子供たちが親といっしょに花火をしている。
花火か。
真島んちで焼き肉食べた後にみんなでしてたな。
オレは見てるだけだったけど。
そういえばあの時も、真島、オレの事見てたよな。
明日美と話しているオレの事を見ていた。
……なんで、今まで何も気が付かなかったんだろうなあ。
今年の夏は真島とほとんど遊ばなかった。
映画に誘っても断られるし。
海にも行ったし焼き肉も食べたけど、なんかお互いギスギスしてた。
殴り合いのケンカもした。
登校日の帰りにチャリ買いに行ったぐらいか。
後はオレが無理やり家に押しかけて話したぐらいじゃん。
つうかまあ、オレが彼女作ったってのが一番の理由か。
断る理由がないから、ってそれだけの始まりで。
真島にしてみたら、たまんなかっただろうな。
アスミルクなんていってチャカしてたけど。
見たくなかったのかもしれないな。
オレと明日美が一緒にいる所。
バイトのシフトもすぐに変えてたし。
でも……んなのわかんねえよ。
わかるかよ。
真島がオレを、なんて。
想像もしなかったよ。
はあ~。
灰谷は小さくため息をついた。
ミンミンと夏の名残を惜しむかのようにセミが鳴いている。
ふいに何かに呼ばれたような気がして空を見上げた。
夜空に月が輝いていた。
キレイな大きな丸い月だった。
真島もきっと見ている、なぜかそう思った。
そう思ったら……。
「チクショウ!」
灰谷は自分でもわからないが、ものすごく腹が立ってきた。
スマホを取り出しカメラのアプリを立ち上げると月に向かってシャッターを切った。
次にアメリカンドッグを口に咥えて自撮りした。
その写真を真島宛に送ると、続けてメッセージも送る。
『月はキレイだ。ドッグはウマイ。真島、帰ってこい』
そうだ真島、帰ってこい。
オレの事ああだとかこうだとか、それもあるだろうけど、この夏、オマエと全然遊べてねえ。
遊びたい。
夏が終わっちまう。
なんでもいいから早く帰って来い。
オマエが帰って来ないっていうなら探しに行く。
オマエが行く所なんてタカが知れてる。
クサレ縁を舐めるな。
待ってろよ真島。
そうか課題。
課題終わらせればあとは自由だ。
妙な怒りと決意を胸に灰谷は立ち上がった。
アメリカンドッグ……。
バイト帰りに自転車を走らせていた灰谷は急にアメリカンドッグが食べたくなった。
買って帰ればよかった。
でもアメリカンドッグはうちの店よりあっちのがウマイんだよな。
真島んちの方のコンビニ。
行くか。
灰谷は方向転換した。
ちょっと遠回りになるけれど、ついでに真島が帰ってないか、のぞいてみようとも思った。
真島家の前で自転車を停める。
二階の真島の部屋の窓は暗かった。
いつも自転車を止めていた駐車場スペースに真島の自転車はなかった。
帰っていないらしい。
真島がいなくなって何度目だろう。
スマホを開く。
既読なし。
着信なし。
まだ帰ってないか……。
コンビニでペプシとアメリカンドッグを購入して、あの日、真島とアイスを食べた公園に向かう。
ひょっとしたらと思ったが公園のベンチに真島の姿はなかった。
って当たり前か。
こんな所にいるわけないか。
ベンチに腰を下ろし、アメリカンドッグをかじり、ペプシを飲む。
本当にあいつ、どこにいるんだろう。
中田が言ってたみたいにまた一人でグルグル考えて狭い所に入りこんで周りが見えなくなったりしてるんじゃないだろうな。
余計な事考えてないで帰ってくればいいのに。
いや、余計なことじゃねえよな、あいつにとっては。
「暑ちぃ」
日も暮れたというのにまだ暑い。
キャーキャー。
声のする方を見れば子供たちが親といっしょに花火をしている。
花火か。
真島んちで焼き肉食べた後にみんなでしてたな。
オレは見てるだけだったけど。
そういえばあの時も、真島、オレの事見てたよな。
明日美と話しているオレの事を見ていた。
……なんで、今まで何も気が付かなかったんだろうなあ。
今年の夏は真島とほとんど遊ばなかった。
映画に誘っても断られるし。
海にも行ったし焼き肉も食べたけど、なんかお互いギスギスしてた。
殴り合いのケンカもした。
登校日の帰りにチャリ買いに行ったぐらいか。
後はオレが無理やり家に押しかけて話したぐらいじゃん。
つうかまあ、オレが彼女作ったってのが一番の理由か。
断る理由がないから、ってそれだけの始まりで。
真島にしてみたら、たまんなかっただろうな。
アスミルクなんていってチャカしてたけど。
見たくなかったのかもしれないな。
オレと明日美が一緒にいる所。
バイトのシフトもすぐに変えてたし。
でも……んなのわかんねえよ。
わかるかよ。
真島がオレを、なんて。
想像もしなかったよ。
はあ~。
灰谷は小さくため息をついた。
ミンミンと夏の名残を惜しむかのようにセミが鳴いている。
ふいに何かに呼ばれたような気がして空を見上げた。
夜空に月が輝いていた。
キレイな大きな丸い月だった。
真島もきっと見ている、なぜかそう思った。
そう思ったら……。
「チクショウ!」
灰谷は自分でもわからないが、ものすごく腹が立ってきた。
スマホを取り出しカメラのアプリを立ち上げると月に向かってシャッターを切った。
次にアメリカンドッグを口に咥えて自撮りした。
その写真を真島宛に送ると、続けてメッセージも送る。
『月はキレイだ。ドッグはウマイ。真島、帰ってこい』
そうだ真島、帰ってこい。
オレの事ああだとかこうだとか、それもあるだろうけど、この夏、オマエと全然遊べてねえ。
遊びたい。
夏が終わっちまう。
なんでもいいから早く帰って来い。
オマエが帰って来ないっていうなら探しに行く。
オマエが行く所なんてタカが知れてる。
クサレ縁を舐めるな。
待ってろよ真島。
そうか課題。
課題終わらせればあとは自由だ。
妙な怒りと決意を胸に灰谷は立ち上がった。
0
あなたにおすすめの小説
その首輪は、弟の牙でしか外せない。
ゆずまめ鯉
BL
養子ゆえに、王位継承権を持たないオメガで長男のレイン(24)は、国家騎士団として秘密裏に働き、ただ義弟たちを守るためだけに生きてきた。
第一継承権を持つアルファで次男のリオール(19)は、そんな兄に「ごく潰し」と陰口を叩く連中を許せなかった。自分を犠牲にしてまで守る価値はないと思っていた。なにかと怪我の多い国家騎士団を辞めさせたかった。
初めて訪れた発情期のとき。約束をすっぽかされたリオールが不審に思い、兄の部屋へ行くと、国家騎士団の同僚──グウェンソード(28)に押し倒されるところを目撃して激高する。
「今すぐ部屋から出ろ!」
独占欲をあらわにしたリオールは、グウェンソードを部屋から追い出し、兄であるレインを欲望のままに抱いた。
翌朝、差し出されたのは特注の首輪──外せるのはリオールのみ。
「俺以外に触らせるな」
そう囁かれたレインは、何年も首輪と弟の執着に縛られ続けてきた。
弟には婚約者がいるのに、こんな関係を続けてもいいのか。
本当にこのままでもいいのか。
ひたすら執着して独占したがる弟と、罪悪感に苛まれる兄。
その首輪は、いつか弟の牙で血に染まるのか──。
どうにかしてレインを落としたいリオールと、弟との関係に悩むレインのオメガバースです。
リオール・グランケット(19)×レイン・グランケット(24)
※この作品は2015年頃に本文を書き、2017年頃にオメガバースに改稿、さらに2026年に手直しした作品になります。読みにくいかもしれません。ご了承ください。
三人称ですが攻めだったり受けだったり視点がよくかわります。攻め視点多めです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か
雪兎
BL
第二性が存在する世界。
Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。
しかし入学初日、彼の前に現れたのは――
幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。
成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。
だが湊だけが知っている。
彼が異常なほど執着深いことを。
「大丈夫、全部管理してあげる」
「君が困らないようにしてるだけだよ」
座席、時間割、交友関係、体調管理。
いつの間にか整えられていく環境。
逃げ場のない距離。
番を拒みたいΩと、手放す気のないα。
これは保護か、それとも束縛か。
閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。
邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ
零
BL
鍛えられた肉体、高潔な魂――
それは選ばれし“供物”の条件。
山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。
見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。
誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。
心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。
一夜の過ちで懐妊したら、幼なじみの冷酷皇帝に溺愛されました
由香
恋愛
没落貴族の娘・柳月鈴は、宮廷で医官見習いとして働いていた。
ある夜、皇帝即位の宴で酒に酔い、幼なじみだった皇帝・李景珩と再会する。
遠い存在になったはずの彼。
けれど、その夜をきっかけに月鈴の運命は大きく動き出す。
冷酷と恐れられる皇帝が、なぜか彼女だけには甘すぎて――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる