ナツノヒカリ ~親友への片思いをこじらせるDK真島くんのひと夏の物語~

カノカヤオ

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第128話 グダグダのウダウダ

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ふがっ。

オレは目を覚ました。

マットレスに大の字だった。
背中に当たる本の感触。

起き上がってみれば部屋の中はグチャグチャ。
本があっちこっちに散乱している。

あふ~。
あくびをしながら立ち上がって窓の外をのぞけば、もしかしてもう午後?


あれから……最高な夢を見て起きた後、眠れなくなってしまった。

夢があまりに強力で幸せすぎた。
思い出す度にボーっとした。

オレは両親と一緒に住みたいと思っていたのかな、とか。
やっぱり認められたいと思っていたのかな、とか。
やっぱ寝たいんだな、とか。
乙女かオレは、とか。

とかとかとかとか。

スーツ姿の灰谷はカッコよかったな、とか。
イチャイチャしてるのがたまらなかったな、とか。

とかとか……。

んな事グダグダ思いながら、もうグダグダのウダウダ。


あ~何してんだろう。
ダメダメじゃねえオレ。


三日?今日入れて四日か、暮らしてみたけど、城島さんはこの空っぽの部屋で一体どんな風に過ごしていたのかな。

スゴイ精神力だな、と思う。
友達とも家族とも知り合いとも連絡をとらず。
冷蔵庫もない。
部屋にあるのは音の無いテレビ画面と想い出の写真一枚。

一人の人をそんな風に何もかも捨てて想えるものかと。

祈りに近い気がした。
まるで求道者。
愛の求道者。

でも、あれが城島さんなりの人の愛し方なのかもしれない。


人が人を想う。

オレはどんな風に灰谷を想えるのか。
これから想い続けて行けるのか。


ん~。

愛し方……。
愛……。

いや、愛ってなんてこう、恥ずかしい言葉だろうね。
愛とか、愛するとか、よくわからないけど灰谷を好きだと言うこの気持ち。

好きだ、でしか表せないこの気持ち。
それは確かにオレの中にある……。


果たして真島信は、好きだ、を伝えることができるのだろうか。

アハハハハ。

ウケる~。
いやウケねえけど。


グゥ~。
腹が鳴った。

またか。
この部屋に来てから、食べても食べても腹が減る。

多分、まともなもの食べてないせい。
栄養が足りないのかもな。

……コンビニ行くか。


一人遊びもそろそろ飽きてきたみたいだ。


自転車でコンビニに向かう。

もしかしたらもう夕方近いのかも?
もう睡眠時間がガタガタだし、あの部屋には時計がないしで、よくわかんない。

城島さんの部屋に冷蔵庫がないのはお酒を飲み過ぎてしまうからかも知れないな、とふと思う。
まるで水みたいにビールやチューハイを飲んでいたっけ。
本人は酔ったって言ってたけど全然そんな風に見えなかったし。
際限なく飲めちゃうから、だからその都度、面倒でも買いに行ってたんだろうな。

城島さんの癒やしはお酒とタバコ。
そして本当にオレ、だったのかも。

オレが離れていても城島さんを思うように、城島さんもオレの事を思い出して、あの孤独な生活のある部分を埋めていたのかも。

だと、良いんだけど。
だったら、良かったんだけど。


夏の夜。

セミがミンミン鳴いて、蒸し暑い。

家々には灯りが灯っている。

ただいまって帰れる場所か……。
そんな事考えたこともなかったな。

あ、カレーの匂い。
このうちは今日カレーかあ。

家に帰れば母ちゃんが「おかえり」って言って。
あったかいメシができてるのにな、なんて思う。


店の前に自転車を止めて、コンビニの中ぐるぐる。
あ~なんかマトモなもん食いてえ~。
オムライスとかオムライスとかオムライスとか?

あ、あった。
けど……。
ふわとろでデミグラか。

薄焼き卵にケチャップだよな、オムライスは。
黄色に赤。
あ~母ちゃんのオムライス食べて~。
なんだかな。

サンドイッチとアメリカンドックでいいか。
あと水。

このループ飽きたな。

つうかもう家帰ろうぜオレ。
このまま走って行けばすぐ帰れるんだし。

そうなんだけど……。
う~ん。

オレは会計を済ませると自転車にまたがり、家ではなく、また城島さんの部屋に向かった。
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