140 / 154
第140話 ギクシャク
しおりを挟む
サトナカとは明日、真島家に集合って事になった。
「ふわぁ~」
真島が大きなあくびをした。
「眠い?」
「あ~なんか家帰ってきたら途端に眠い。タオルケット~」
「んじゃオレ帰るわ。また明日な」
「え?帰んの?」
真島は本当に帰っちゃうの?とでも言うようなひどく無防備な顔をした。
こんな顔を見るのは長い付き合いで初めてかもしれない。
どちらかと言えば、今までは、え~泊まるのかよ~って感じだった気がする。
まああれも気持ちを隠すため、だったのかも知れない。
カワイイ……と思わなくもない……。
いやいや。流されるなオレ。
でもな……。
「泊まって欲しいか?」
「え?…いや。帰れ帰れ。そういうんじゃねえし」
「泊まってもいいか」
「いいよ。ムリすんなよ」
真島は灰谷に背を向けた。
スネる真島も珍しかった。
灰谷は真島が横になったベッドにドスンと腰を下ろした。
「つうか誰かさんのせいでいっぱい走って疲れてるし。家帰るのダルいんだけど」
「そりゃ悪かったな。じゃあ……泊まってけよ」
「おう」
素直じゃねえ~。
まあでもそこもなんか……。
「布団敷くわ」
真島がガバリと起き上がった。
*
「そっち」
「おう」
シーツの端と端をそれぞれ持って、ふわりと布団にかけ、シワを伸ばして下に折りこむ。
いつもの事なので二人とも慣れたものなのだが、どうにもいつもと何かが違う。
ぎこちなさがつきまとっていた。
一階の洗面所で二人並んで歯を磨く。
これもいつもの事なのでどうってことないはずなのだが、なぜだか今日はお互い妙にテレくさい。
それを隠したくていつも通りにしようと思えば思うほど、ぎこちなくなってしまう……そんな感じがしていた。
「信~母さんたちもう寝るね~」
パジャマ姿の節子が声を掛けて来た。
「うん」
「灰谷くん、泊まってくでしょ?」
「はい」
「明日、中田くんと佐藤くん来るなら、お昼はミートソースにするね」
「やった!食いたかったん……あ……」
「オマっ…口から垂れてる」
灰谷が真島にタオルを渡す。
「おう。サンキュ」
「フフフ」
節子が笑った。
「なんだよ母ちゃん」
「別に~。なんでもない」
「母ちゃん、朝は甘い卵焼き作って」
「卵焼き?わかった。じゃあおやすみ」
「母ちゃんおやすみ」
「おやすみなさい節子」
「は~い…フフフ」
節子が二人を見てまた意味ありげに笑った。
「なんだよ」
「あんたたち、そうしてるとまるで新婚夫婦。あ、夫と夫でフフか。新婚夫夫みたい。フフフフフ」
言うだけ言って節子が消えた。
「……」
「……」
気まずさのメーターの針がビューンと跳ね上がった。
「チッ」
灰谷が黙ったまま歯を磨いていると真島が舌打ちした。
そしてガラガラと大きな音を出して口をゆすぐと、先に行ってしまった。
ん~。
なんでだ気まずい……。
新婚夫夫……。
告白マジックか?
どっかそういうのがオレ達からモレちゃってるとか?
オレは別に平気だけど帰った方が良かったかな。
真島、なんかテレてるし。
いや、でも、帰んの?ってあん時の顔はなあ。
帰れねえよ。
「ん~。ムズイ」
灰谷はつぶやいた。
*
部屋に戻ると真島はタオルケットにくるまって目を閉じ、例の指で挟んでスリスリするやつ、をやっていた。
眠いのかな。
灰谷も布団に横になった。
しばらくして真島が言った。
「……しねえから」
「は?」
「襲ったりしねえから」
「何?」
「無理やり襲ったりしねえから、オレ」
灰谷は真島を見た。
真島が叱られる前の子供みたいな顔をして灰谷を見つめていた。
「フッッ……」
灰谷は思わず笑ってしまう。
「笑うなよ」
「いや、そんな事気にしてたのか」
「……」
気にしていた顔だった。
「襲わせねえし。……油断するなよとか言ってたくせに」
「……」
真島の顔をみていたら、少しいじめたくなった。
「キスとかしたくせに」
「……ワリぃ」
泣きそうな顔?
「オマエホント……」
カワイイな、という言葉を灰谷は飲みこんだ。
「ホント、なんだよ」
「忘れた」
「は?」
「まあいいじゃん。寝ようぜ。明日は朝から課題みっちりやるぞ」
「おう」
「で、あいつらにしっかりタカユキしろよ」
「うん」
「もちろんオレにも」
「おう」
「電気消して」
「うん」
「おやすみ」
「…おやすみ」
真島が電気を消した。
「ふわぁ~」
真島が大きなあくびをした。
「眠い?」
「あ~なんか家帰ってきたら途端に眠い。タオルケット~」
「んじゃオレ帰るわ。また明日な」
「え?帰んの?」
真島は本当に帰っちゃうの?とでも言うようなひどく無防備な顔をした。
こんな顔を見るのは長い付き合いで初めてかもしれない。
どちらかと言えば、今までは、え~泊まるのかよ~って感じだった気がする。
まああれも気持ちを隠すため、だったのかも知れない。
カワイイ……と思わなくもない……。
いやいや。流されるなオレ。
でもな……。
「泊まって欲しいか?」
「え?…いや。帰れ帰れ。そういうんじゃねえし」
「泊まってもいいか」
「いいよ。ムリすんなよ」
真島は灰谷に背を向けた。
スネる真島も珍しかった。
灰谷は真島が横になったベッドにドスンと腰を下ろした。
「つうか誰かさんのせいでいっぱい走って疲れてるし。家帰るのダルいんだけど」
「そりゃ悪かったな。じゃあ……泊まってけよ」
「おう」
素直じゃねえ~。
まあでもそこもなんか……。
「布団敷くわ」
真島がガバリと起き上がった。
*
「そっち」
「おう」
シーツの端と端をそれぞれ持って、ふわりと布団にかけ、シワを伸ばして下に折りこむ。
いつもの事なので二人とも慣れたものなのだが、どうにもいつもと何かが違う。
ぎこちなさがつきまとっていた。
一階の洗面所で二人並んで歯を磨く。
これもいつもの事なのでどうってことないはずなのだが、なぜだか今日はお互い妙にテレくさい。
それを隠したくていつも通りにしようと思えば思うほど、ぎこちなくなってしまう……そんな感じがしていた。
「信~母さんたちもう寝るね~」
パジャマ姿の節子が声を掛けて来た。
「うん」
「灰谷くん、泊まってくでしょ?」
「はい」
「明日、中田くんと佐藤くん来るなら、お昼はミートソースにするね」
「やった!食いたかったん……あ……」
「オマっ…口から垂れてる」
灰谷が真島にタオルを渡す。
「おう。サンキュ」
「フフフ」
節子が笑った。
「なんだよ母ちゃん」
「別に~。なんでもない」
「母ちゃん、朝は甘い卵焼き作って」
「卵焼き?わかった。じゃあおやすみ」
「母ちゃんおやすみ」
「おやすみなさい節子」
「は~い…フフフ」
節子が二人を見てまた意味ありげに笑った。
「なんだよ」
「あんたたち、そうしてるとまるで新婚夫婦。あ、夫と夫でフフか。新婚夫夫みたい。フフフフフ」
言うだけ言って節子が消えた。
「……」
「……」
気まずさのメーターの針がビューンと跳ね上がった。
「チッ」
灰谷が黙ったまま歯を磨いていると真島が舌打ちした。
そしてガラガラと大きな音を出して口をゆすぐと、先に行ってしまった。
ん~。
なんでだ気まずい……。
新婚夫夫……。
告白マジックか?
どっかそういうのがオレ達からモレちゃってるとか?
オレは別に平気だけど帰った方が良かったかな。
真島、なんかテレてるし。
いや、でも、帰んの?ってあん時の顔はなあ。
帰れねえよ。
「ん~。ムズイ」
灰谷はつぶやいた。
*
部屋に戻ると真島はタオルケットにくるまって目を閉じ、例の指で挟んでスリスリするやつ、をやっていた。
眠いのかな。
灰谷も布団に横になった。
しばらくして真島が言った。
「……しねえから」
「は?」
「襲ったりしねえから」
「何?」
「無理やり襲ったりしねえから、オレ」
灰谷は真島を見た。
真島が叱られる前の子供みたいな顔をして灰谷を見つめていた。
「フッッ……」
灰谷は思わず笑ってしまう。
「笑うなよ」
「いや、そんな事気にしてたのか」
「……」
気にしていた顔だった。
「襲わせねえし。……油断するなよとか言ってたくせに」
「……」
真島の顔をみていたら、少しいじめたくなった。
「キスとかしたくせに」
「……ワリぃ」
泣きそうな顔?
「オマエホント……」
カワイイな、という言葉を灰谷は飲みこんだ。
「ホント、なんだよ」
「忘れた」
「は?」
「まあいいじゃん。寝ようぜ。明日は朝から課題みっちりやるぞ」
「おう」
「で、あいつらにしっかりタカユキしろよ」
「うん」
「もちろんオレにも」
「おう」
「電気消して」
「うん」
「おやすみ」
「…おやすみ」
真島が電気を消した。
0
あなたにおすすめの小説
その首輪は、弟の牙でしか外せない。
ゆずまめ鯉
BL
養子ゆえに、王位継承権を持たないオメガで長男のレイン(24)は、国家騎士団として秘密裏に働き、ただ義弟たちを守るためだけに生きてきた。
第一継承権を持つアルファで次男のリオール(19)は、そんな兄に「ごく潰し」と陰口を叩く連中を許せなかった。自分を犠牲にしてまで守る価値はないと思っていた。なにかと怪我の多い国家騎士団を辞めさせたかった。
初めて訪れた発情期のとき。約束をすっぽかされたリオールが不審に思い、兄の部屋へ行くと、国家騎士団の同僚──グウェンソード(28)に押し倒されるところを目撃して激高する。
「今すぐ部屋から出ろ!」
独占欲をあらわにしたリオールは、グウェンソードを部屋から追い出し、兄であるレインを欲望のままに抱いた。
翌朝、差し出されたのは特注の首輪──外せるのはリオールのみ。
「俺以外に触らせるな」
そう囁かれたレインは、何年も首輪と弟の執着に縛られ続けてきた。
弟には婚約者がいるのに、こんな関係を続けてもいいのか。
本当にこのままでもいいのか。
ひたすら執着して独占したがる弟と、罪悪感に苛まれる兄。
その首輪は、いつか弟の牙で血に染まるのか──。
どうにかしてレインを落としたいリオールと、弟との関係に悩むレインのオメガバースです。
リオール・グランケット(19)×レイン・グランケット(24)
※この作品は2015年頃に本文を書き、2017年頃にオメガバースに改稿、さらに2026年に手直しした作品になります。読みにくいかもしれません。ご了承ください。
三人称ですが攻めだったり受けだったり視点がよくかわります。攻め視点多めです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か
雪兎
BL
第二性が存在する世界。
Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。
しかし入学初日、彼の前に現れたのは――
幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。
成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。
だが湊だけが知っている。
彼が異常なほど執着深いことを。
「大丈夫、全部管理してあげる」
「君が困らないようにしてるだけだよ」
座席、時間割、交友関係、体調管理。
いつの間にか整えられていく環境。
逃げ場のない距離。
番を拒みたいΩと、手放す気のないα。
これは保護か、それとも束縛か。
閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。
邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ
零
BL
鍛えられた肉体、高潔な魂――
それは選ばれし“供物”の条件。
山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。
見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。
誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。
心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。
一夜の過ちで懐妊したら、幼なじみの冷酷皇帝に溺愛されました
由香
恋愛
没落貴族の娘・柳月鈴は、宮廷で医官見習いとして働いていた。
ある夜、皇帝即位の宴で酒に酔い、幼なじみだった皇帝・李景珩と再会する。
遠い存在になったはずの彼。
けれど、その夜をきっかけに月鈴の運命は大きく動き出す。
冷酷と恐れられる皇帝が、なぜか彼女だけには甘すぎて――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる