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第12話
次に気がつくとオレはベッドの上だった。
窓の外は明るい。
朝…かな。
カラダを起こす。
疲労感も痛みもいくらかはラクになっている。
まだダルイけど。
おでこに冷えピタが貼ってある。
ベッドの下では中田が大きなカラダを小さく丸めて眠っていた。
頭がぼーっとする。
オレ…。
「真島…起きたか」
中田が目を覚ました。
「ああ」
オレの顔を心配そうに見つめて言う。
「大丈夫か」
何がだろう。
「覚えてないか?オマエ、気を失って倒れたんだ」
倒れた?頭が回んない。
「病院に連れて行こうかもと思ったけど、オマエ、何度か目を開けては、その度に大丈夫って言ってきかねえし」
オレ、そんなこと言ったっけ?
言った気もする。
「…水、飲むか?」
声出すのめんどくさい。オレはうなずく。
「ほら」
中田が差し出してくれたグラスの水を飲む。
うまい。カラダの隅々に染みこんでいくようだ。
ぷはぁ~。一気に飲み干して息を吐く。
「ん」
中田が手を出すから、グラスを渡す。
「大丈夫そうか?」
「……うん」
ぼーっとする。
あれ、オレ、こんなカッコだったっけ。
新しいTシャツにスウェット。
オレの視線に気がついたんだろう、中田が言う。
「ワリぃ、カラダふいて着替えさせた。覚えてないか」
そういえば、誰かにそんなことされたような気もする。
細切れの記憶が浮かんでは消える。
「勝手に悪かった」
すまなそうな顔。
「…いいよ。なんであやまんだよ。汚いことさせて悪かった。ありがとう」
「いや…オマエ…本当に大丈夫か」
「何が?」
「何がって…」
その時、腹がグーっと鳴った。猛烈な空腹感。
「腹へったぁ~」
あれ?オレ、最後にメシ食ったのっていつだっけ。
つうか今日っていつ?
「真島」
「あ?」
「シャワー浴びてこいよ。その間にメシ、なんか用意しとくから」
「…ああ。うん。頼む」
風呂場で服を脱ぐ。
洗面台の鏡にオレの上半身が映る。
首筋、胸にそれはある。
腕の内側。腹。
視線を落とせば太もも。ふくらはぎ。
カラダをひねって背中を映せば背にも腰にも尻にも。
どこもかしこもまるで想いを封じこめるように、オレのカラダ中に灰谷がつけた〈しるし〉がある。
「痛っ」
肩口に水が染みる。灰谷に噛まれたところだ。
オレはシャワーを浴びながら、カラダに残る一つ一つの〈しるし〉を撫でた。
灰谷。灰谷。灰谷。
はやく会いたいよ灰谷。
顔、見てえ。
触りてえ。
キスしてえ。
オマエの目に見つめられたい。
そして、オレにつけたこの〈しるし〉をオマエにもう一度なぞって欲しい。
風呂場の中は湯気がこもって暑い。
下着とスウェットだけ身につけ、首からタオルをかけて風呂場を出る。
ぬれた髪をタオルでガシガシとふく。
台所で目玉焼きを焼いていた中田がオレの上半身を見てギョっとした顔をする。
何か言いたそうにも見えたが、ただこう言った。
「メシ、できるよ」
「ありがとう」
なんとなくまた新しいTシャツを出して着る。
テレビをつける。
つまらない朝の情報番組。
日常が流れはじめた。
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