13 / 29
第13話
見るともなくテレビを見ながら中田が作ってくれたトーストをかじり、目玉焼きを食べ、コーヒーを飲む。
すぐに食べ終わる。
中田はたまにオレの方をチラっと見ながらコーヒーばかり飲んで食事に手をつけていない。
「中田、お前それ、食わねえの?」
「うん。食欲ねえわ」
「んじゃ、ちょうだい」
「いいよ」
なんだかひどく腹がへっている。なんでだろう。
トーストに目玉焼きをのせて、ワシワシと食べる。
「コーヒーもっと飲むか?」
「うん」
中田がオレのカップにコーヒーを注ぐ。
「つうか中田。お前ってホント、オカンみてえな」
「は?」
「着替えさせてくれて、メシ作ってくれて。佐藤がよく言ってっけど。当たってるわ」
「やめろ。つうか口元、卵ついてんぞ」
シュッシュッとティッシュを二枚引き抜いてオレの方に放ってよこす。
「ハハハッ。ほら、オカン」
「や~め~ろ!」
その時、不意に感じる違和感。
なんだろう…違和感を感じる。
何に?何が違う?
この違和感は…なんだ?
♪ポヨーン
LINEの着信音。
スマホをチェックすると佐藤からLINEが三件来ていた。
昨日
佐藤『真島~寝てんの?始業式来ねえの?』8:15
佐藤『中田に聞いた~具合ワリぃんだって?おーい大丈夫かあ~』14:13
今日
佐藤『母ちゃんが真島と中田の分も弁当作ってくれたぜ~。今日は来いよ~』7:13
「何?佐藤?」
「うん。おばさんがオレ達の分も弁当作ってくれたってさ」
「ああ。唐揚げ弁当だな、きっと」
「うん。あれ、うんまいよね。ただずーっとニンニクくせえけど」
「だな」
「中田、お前は家帰らなくてよかったのか」
「いまさら…。大丈夫だよ。昨日は深夜勤だったから多分まだ帰ってねえよ」
「そっか」
夏休みの間、中田と佐藤、三人で遊び倒した。
そうだな、いまさらか。
中田の家は看護婦の母親と二人きりだ。
そのせいもあってか家事全般が得意で面倒見がいい。
怒ったところなんて見たことがなくて、とにかく懐が深い。
佐藤の家は大家族。
末っ子の佐藤はヤンチャで少々ガサツだが裏表のないイイやつだ。
オレはといえば、一人っ子で少々人見知り。
境遇も性格もてんで違う三人だけど、なぜか仲良くつるんできた。
中田がメシ作って、オレと佐藤が食う。
幾度となく、くり返された光景だった。
今はただ佐藤がいないだけだ。
…それなのになぜだろう。この違和感は。
まるで何もかもがよそよそしく、一枚薄皮をかぶったような。
見える景色は同じなのに、ふいに違う世界にいるような気になるのは。
オレ自身の中身がごっそりと変わってしまったような…感覚…。
「真島、オマエ、大丈夫?」
顔を上げれば中田が心配そうな顔で見つめている。
「え?何が?」
「いやその…」
中田が口ごもる。
ヘンなやつ。
「べつに大丈夫だよ」
「そっか。ならいいんだけど…」
そうこうしているうちに学校に行く時間が近づいていた。
「オマエ、どうする?今日も休むか」
「なんで?」
「いや…体調万全じゃないみたいだし」
「昨日休んじゃったからな。唐揚げ弁当待ってるし、行かねえとダメだろう」
「まあな」
中田が食器を洗ってくれてる間に制服に着替える。
「んじゃ、そろそろ行くか」
声を掛けると中田が言いにくそうに言う。
「あのさ…スカーフとか持ってねえの?」
「なんで?」
「いや、首…」
「ん?」
ああ。首の痕か。
オレは別にいいんだけど、色々聞かれてもめんどくさいか。
でも夏にスカーフっておかしくね?
ガタガタとテレビ台についている引き出しをかき回す。
あった。湿布。前に捻挫した時の。
これを貼っちまえ。喉もまだ少し痛いしちょうどいいや。
鏡をのぞきこみ、痕を隠すようにベタベタと貼りつける。
すんげえ首こってて痛い人風…って無理あるか。
まあいいや。
「行こうぜ」
中田はオレの湿布姿を見てまたなんか言いたそうだったけど言わなかった。
かわりに小さくため息をついた。
言えばいいのに。
なんだそれ、ダサッ!でもいいのに。
オレは中田と登校した。
すぐに食べ終わる。
中田はたまにオレの方をチラっと見ながらコーヒーばかり飲んで食事に手をつけていない。
「中田、お前それ、食わねえの?」
「うん。食欲ねえわ」
「んじゃ、ちょうだい」
「いいよ」
なんだかひどく腹がへっている。なんでだろう。
トーストに目玉焼きをのせて、ワシワシと食べる。
「コーヒーもっと飲むか?」
「うん」
中田がオレのカップにコーヒーを注ぐ。
「つうか中田。お前ってホント、オカンみてえな」
「は?」
「着替えさせてくれて、メシ作ってくれて。佐藤がよく言ってっけど。当たってるわ」
「やめろ。つうか口元、卵ついてんぞ」
シュッシュッとティッシュを二枚引き抜いてオレの方に放ってよこす。
「ハハハッ。ほら、オカン」
「や~め~ろ!」
その時、不意に感じる違和感。
なんだろう…違和感を感じる。
何に?何が違う?
この違和感は…なんだ?
♪ポヨーン
LINEの着信音。
スマホをチェックすると佐藤からLINEが三件来ていた。
昨日
佐藤『真島~寝てんの?始業式来ねえの?』8:15
佐藤『中田に聞いた~具合ワリぃんだって?おーい大丈夫かあ~』14:13
今日
佐藤『母ちゃんが真島と中田の分も弁当作ってくれたぜ~。今日は来いよ~』7:13
「何?佐藤?」
「うん。おばさんがオレ達の分も弁当作ってくれたってさ」
「ああ。唐揚げ弁当だな、きっと」
「うん。あれ、うんまいよね。ただずーっとニンニクくせえけど」
「だな」
「中田、お前は家帰らなくてよかったのか」
「いまさら…。大丈夫だよ。昨日は深夜勤だったから多分まだ帰ってねえよ」
「そっか」
夏休みの間、中田と佐藤、三人で遊び倒した。
そうだな、いまさらか。
中田の家は看護婦の母親と二人きりだ。
そのせいもあってか家事全般が得意で面倒見がいい。
怒ったところなんて見たことがなくて、とにかく懐が深い。
佐藤の家は大家族。
末っ子の佐藤はヤンチャで少々ガサツだが裏表のないイイやつだ。
オレはといえば、一人っ子で少々人見知り。
境遇も性格もてんで違う三人だけど、なぜか仲良くつるんできた。
中田がメシ作って、オレと佐藤が食う。
幾度となく、くり返された光景だった。
今はただ佐藤がいないだけだ。
…それなのになぜだろう。この違和感は。
まるで何もかもがよそよそしく、一枚薄皮をかぶったような。
見える景色は同じなのに、ふいに違う世界にいるような気になるのは。
オレ自身の中身がごっそりと変わってしまったような…感覚…。
「真島、オマエ、大丈夫?」
顔を上げれば中田が心配そうな顔で見つめている。
「え?何が?」
「いやその…」
中田が口ごもる。
ヘンなやつ。
「べつに大丈夫だよ」
「そっか。ならいいんだけど…」
そうこうしているうちに学校に行く時間が近づいていた。
「オマエ、どうする?今日も休むか」
「なんで?」
「いや…体調万全じゃないみたいだし」
「昨日休んじゃったからな。唐揚げ弁当待ってるし、行かねえとダメだろう」
「まあな」
中田が食器を洗ってくれてる間に制服に着替える。
「んじゃ、そろそろ行くか」
声を掛けると中田が言いにくそうに言う。
「あのさ…スカーフとか持ってねえの?」
「なんで?」
「いや、首…」
「ん?」
ああ。首の痕か。
オレは別にいいんだけど、色々聞かれてもめんどくさいか。
でも夏にスカーフっておかしくね?
ガタガタとテレビ台についている引き出しをかき回す。
あった。湿布。前に捻挫した時の。
これを貼っちまえ。喉もまだ少し痛いしちょうどいいや。
鏡をのぞきこみ、痕を隠すようにベタベタと貼りつける。
すんげえ首こってて痛い人風…って無理あるか。
まあいいや。
「行こうぜ」
中田はオレの湿布姿を見てまたなんか言いたそうだったけど言わなかった。
かわりに小さくため息をついた。
言えばいいのに。
なんだそれ、ダサッ!でもいいのに。
オレは中田と登校した。
あなたにおすすめの小説
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
従僕に溺愛されて逃げられない
大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL!
俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。
その傍らには、当然のようにリンがいる。
荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。
高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。
けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。
当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。
居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。
さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。
主従なのか、恋人なのか。
境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。
従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。