25 / 29
〈はじめて〉の話。アフターストーリー ~夢で逢えたら~
第2話
しおりを挟む
人気の途絶えた深夜の街。
灰谷と手をつないで歩く。
カラダがふわふわする。
そういえばオレたちは並んで歩くのも初めてだった。
お互い相手が気がつかないように見つめているだけだったから。
灰谷の手をギュッと握った。離れないように。
灰谷がオレを見て微笑む。
オレも笑う。
ゆっくりゆっくり歩く。
灰谷の体温を感じながら。
「灰谷」
「ん~?」
オレは灰谷の名を呼ぶ。
「灰谷」
「おう」
「灰谷ぃ~」
「なんだよ」
「灰谷って」
「だからなんだよ」
いじわるしてるな。
「なんでもない」
灰谷がオレの顔をのぞきこむ。
「なんか怒ってるか?」
「別に」
「ククク。お前」
「いじわるしてんな」
「わかったか」
「わかるよ」
「真島。真島真島真島」
優しい顔でオレの名を呼んだ。
「これでいいか」
「これでいいかは余計だよ」
やっと聞けた。灰谷がオレの名前を呼ぶ声。
「お前も言えよ」
「さっき言った」
「もっと言えよ」
「いじわるしたくせに」
「いじめたくなるんだよな」
「小学生か」
「言えよ真島」
「…」
灰谷が耳元でささやいた。
「真島 真島 真島」
耳がくすぐったい。
思わず顔がほころんでしまう。
「灰谷灰谷灰谷」
オレも灰谷の耳元でささやいた。
「ぐわっ、オマエの声、腰に来る」
「なんだそれ」
笑いながらオレたちは歩く。
「元気だったか」
「うん」
「灰谷は?」
「ああ?オレはもう、別に変わんねえよ」
「そっか」
お互いの手のぬくもりだけを感じながらオレたちはだまって歩く。
ただ手をつないで歩いているだけで幸せすぎて何も浮かばない。
灰谷に逢ったら話したいこと、聞きたいこといっぱいあったはずなのに。
あっそうだ。
「灰谷。そういえば、この間おじいさんに会ったよ」
「おじいさん?」
「犬連れて深夜にうちの前を散歩してるおじいさん」
「あ!」
灰谷はちょっと気まずそうな顔をした。
「…花子元気だった?」
「花子?ああ、ワンちゃん。元気だったよ。灰谷になついてたんだって?」
「ああ」
「最近見かけないから花子が淋しがってるって言ってた」
「そうか」
「柴犬カワイイよな」
「おう」
オレは灰谷の顔をのぞきこむ。
「灰谷ぃ~。オマエ、オレの事すんげえ好きな?」
「やめろ」
灰谷の顔が赤くなった。
フフフ。カワイイ。
「でも全然気づかなかったな。灰谷がそんなにちょくちょくオレんちの前でバイク止めてペプシ飲んでたなんて」
「やめろ」
「しかも深夜に一人で、ガードレールに腰かけて、オレの部屋の明かりを見つめながら」
「そんなことまでジジイに話してないぞ」
「やっぱそうなんだ」
オレは顔がニヤけてしまう。
「あ!引っかけたな」
「灰谷ぃ~カ~ワイ~」
「クソっ。チャカすな」
「なんだよう。いつからそんな事してたんだよ」
「別に毎日じゃねえぞ。たまに、ペプシ買いにそこのコンビニ行った時だけだぞ」
その時ちょうど灰谷が事故った交差点にあるコンビニが見えてきた。
「灰谷んちの方にもコンビニあるじゃん。わざわざこっちまで原付に乗って来てたんだ」
「…うちの近所のは買いつくしたんだよ」
「ほほう」
ウソ、ヘタか!
「…ひょっとしたらオマエにバッタリ会えるかなって思ったんだよ」
「え?」
「なんてな。おっ本気にした?」
「つうか、本気だろ」
「うん」
あ、素直だ。
「もう~…会えたらよかったのにな」
「…だな」
もし、会えてたら…。
もし、どっちかが早く告白してたら…。
「つうか、オレの部屋、訪ねてくれれば良かったじゃん」
「行けるかよ」
「来たじゃん」
「あれは…もうさ…」
「…だね」
お互いに言葉を飲みこんで歩く。
コンビニ前の電柱には花やお菓子やペプシが供えてあった。
「ちょと座るか」
「うん」
ガードレールに二人並んで腰掛けた。
空を見上げた。
星がやけにキレイにチカチカ光って見えた。
灰谷と別れたのは夏の終わりだったけどもう秋。冬のはじまり。
「灰谷、寒くない?」
「ん、大丈夫」
灰谷はあの時のままTシャツだった。
「オマエは?」
「ん?大丈夫」
オレは灰谷の肩に頭をもたせかけた。
灰谷もオレの頭に頭をくっつける。
こうやってただ手をつないでカラダをくっつけて、いつまでもそばにいたかった。
灰谷と手をつないで歩く。
カラダがふわふわする。
そういえばオレたちは並んで歩くのも初めてだった。
お互い相手が気がつかないように見つめているだけだったから。
灰谷の手をギュッと握った。離れないように。
灰谷がオレを見て微笑む。
オレも笑う。
ゆっくりゆっくり歩く。
灰谷の体温を感じながら。
「灰谷」
「ん~?」
オレは灰谷の名を呼ぶ。
「灰谷」
「おう」
「灰谷ぃ~」
「なんだよ」
「灰谷って」
「だからなんだよ」
いじわるしてるな。
「なんでもない」
灰谷がオレの顔をのぞきこむ。
「なんか怒ってるか?」
「別に」
「ククク。お前」
「いじわるしてんな」
「わかったか」
「わかるよ」
「真島。真島真島真島」
優しい顔でオレの名を呼んだ。
「これでいいか」
「これでいいかは余計だよ」
やっと聞けた。灰谷がオレの名前を呼ぶ声。
「お前も言えよ」
「さっき言った」
「もっと言えよ」
「いじわるしたくせに」
「いじめたくなるんだよな」
「小学生か」
「言えよ真島」
「…」
灰谷が耳元でささやいた。
「真島 真島 真島」
耳がくすぐったい。
思わず顔がほころんでしまう。
「灰谷灰谷灰谷」
オレも灰谷の耳元でささやいた。
「ぐわっ、オマエの声、腰に来る」
「なんだそれ」
笑いながらオレたちは歩く。
「元気だったか」
「うん」
「灰谷は?」
「ああ?オレはもう、別に変わんねえよ」
「そっか」
お互いの手のぬくもりだけを感じながらオレたちはだまって歩く。
ただ手をつないで歩いているだけで幸せすぎて何も浮かばない。
灰谷に逢ったら話したいこと、聞きたいこといっぱいあったはずなのに。
あっそうだ。
「灰谷。そういえば、この間おじいさんに会ったよ」
「おじいさん?」
「犬連れて深夜にうちの前を散歩してるおじいさん」
「あ!」
灰谷はちょっと気まずそうな顔をした。
「…花子元気だった?」
「花子?ああ、ワンちゃん。元気だったよ。灰谷になついてたんだって?」
「ああ」
「最近見かけないから花子が淋しがってるって言ってた」
「そうか」
「柴犬カワイイよな」
「おう」
オレは灰谷の顔をのぞきこむ。
「灰谷ぃ~。オマエ、オレの事すんげえ好きな?」
「やめろ」
灰谷の顔が赤くなった。
フフフ。カワイイ。
「でも全然気づかなかったな。灰谷がそんなにちょくちょくオレんちの前でバイク止めてペプシ飲んでたなんて」
「やめろ」
「しかも深夜に一人で、ガードレールに腰かけて、オレの部屋の明かりを見つめながら」
「そんなことまでジジイに話してないぞ」
「やっぱそうなんだ」
オレは顔がニヤけてしまう。
「あ!引っかけたな」
「灰谷ぃ~カ~ワイ~」
「クソっ。チャカすな」
「なんだよう。いつからそんな事してたんだよ」
「別に毎日じゃねえぞ。たまに、ペプシ買いにそこのコンビニ行った時だけだぞ」
その時ちょうど灰谷が事故った交差点にあるコンビニが見えてきた。
「灰谷んちの方にもコンビニあるじゃん。わざわざこっちまで原付に乗って来てたんだ」
「…うちの近所のは買いつくしたんだよ」
「ほほう」
ウソ、ヘタか!
「…ひょっとしたらオマエにバッタリ会えるかなって思ったんだよ」
「え?」
「なんてな。おっ本気にした?」
「つうか、本気だろ」
「うん」
あ、素直だ。
「もう~…会えたらよかったのにな」
「…だな」
もし、会えてたら…。
もし、どっちかが早く告白してたら…。
「つうか、オレの部屋、訪ねてくれれば良かったじゃん」
「行けるかよ」
「来たじゃん」
「あれは…もうさ…」
「…だね」
お互いに言葉を飲みこんで歩く。
コンビニ前の電柱には花やお菓子やペプシが供えてあった。
「ちょと座るか」
「うん」
ガードレールに二人並んで腰掛けた。
空を見上げた。
星がやけにキレイにチカチカ光って見えた。
灰谷と別れたのは夏の終わりだったけどもう秋。冬のはじまり。
「灰谷、寒くない?」
「ん、大丈夫」
灰谷はあの時のままTシャツだった。
「オマエは?」
「ん?大丈夫」
オレは灰谷の肩に頭をもたせかけた。
灰谷もオレの頭に頭をくっつける。
こうやってただ手をつないでカラダをくっつけて、いつまでもそばにいたかった。
10
あなたにおすすめの小説
BL 男達の性事情
蔵屋
BL
漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。
漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。
漁師の仕事は多岐にわたる。
例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。
陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、
多彩だ。
漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。
漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。
養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。
陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。
漁業の種類と言われる仕事がある。
漁師の仕事だ。
仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。
沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。
日本の漁師の多くがこの形態なのだ。
沖合(近海)漁業という仕事もある。
沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。
遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。
内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。
漁師の働き方は、さまざま。
漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。
出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。
休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。
個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。
漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。
専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。
資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。
漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。
食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。
地域との連携も必要である。
沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。
この物語の主人公は極楽翔太。18歳。
翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。
もう一人の主人公は木下英二。28歳。
地元で料理旅館を経営するオーナー。
翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。
この物語の始まりである。
この物語はフィクションです。
この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
【完結】 男達の性宴
蔵屋
BL
僕が通う高校の学校医望月先生に
今夜8時に来るよう、青山のホテルに
誘われた。
ホテルに来れば会場に案内すると
言われ、会場案内図を渡された。
高三最後の夏休み。家業を継ぐ僕を
早くも社会人扱いする両親。
僕は嬉しくて夕食後、バイクに乗り、
東京へ飛ばして行った。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる