11 / 19
2.純白と赤色
帰ったら
しおりを挟む
デイジーが目の前から消えて、もうずいぶん経つ。サンザシはクリフの小屋の前で切り株に座り込んでいた。
彼女が戻ってきたときのために、ここで待っているべきだとサンザシに言ったのはクリフだった。彼は自分の方がこの山に詳しいからとデイジーの捜索を買って出た。こんなにも無力さを感じるのは、二年前のあの夜以来だった。
デイジーは突拍子の無い事ばかりするが、行方がまるでわからなくなるのは初めての事だ。それもただ姿を消した訳ではない。彼女の身に何が起こっているのかまるで予想も付かないだけに、どうすればいいのかサンザシは悩み続けていた。
太陽が傾き始めている。この夕日が沈んだら、もう待つのは止めよう。
――キュウ。
少し遠くでなにかの鳴き声がする。サンザシは顔を上げて立ち上がった。耳を済ませると話し声が近付いてくるのがわかった。
「キュー? ハク? シロちゃん? え、どれもだめ?」
森の奥から純白の鳥のようなものが飛んでくるのが見える。目を凝らすと、それは小さいが確かに龍の形をしていた。
サンザシが眉を寄せると、白色の向こうに見慣れた栗毛が見えた。
「――あ、サンザシ!」
デイジーはサンザシを見つけるとにっこりと破顔して駆け寄ってきた。少し見なかった間に、顔のあちこちを泥で汚して服もボロボロになっている。腰まである美しい長髪もあちこちが絡まり広がって艶を失っている。
呆然として立ち尽くしているサンザシに、デイジーはお構いなしに口を開く。
「ねえ、どう思う? この子の名前。キューかハクか、シロか……サンザシ?」
緑色の目がしきりに瞬きする。華奢な指先が、頬に伸びてくる。
何も言わないサンザシにデイジーは首を傾げて、その横で小さな白い龍も同じように首を傾けた。
サンザシは頬に触れるデイジーの手に自分の手を重ねた。体温の高い彼女は、指の先まで暖かい。
「どうして私の前から消えたりするんですか」
「……ええっと」
デイジーはうーんと唸って考え込んでしまった。それから何か言いたげにしてみせて、結局下を向いた。
「ごめん」
「戻ってこないかと思いました。何度……」
言いかけて、サンザシは口を閉ざした。デイジーはサンザシの顔を覗き込むとにやりと口角をつり上げる。
「でも戻ってきたよ。ただいま」
「なんで得意気なんですか」
「それより、サンザシに話したいことがたっくさんあるの。聞いてくれる? ――あ、その前に」
「なんです」
「ただいま、の返事は?」
デイジーはサンザシの頬から手を離して腰に両手をあてた。威厳のある物言いとすっかりくたびれた出で立ちが不釣り合いで、サンザシは力が抜けてしまう。
「……おかえりなさいませ、姫様」
わざとらしく堅い口調で言うとデイジーは腕を組んで笑った。サンザシは彼女には勝てないのだと思い知らされた気分だった。
少しするとデイジーを探しに行ってくれていたらしいクリフが戻ってきた。彼は白龍を見て大層に驚き、デイジーはやっぱりサンザシの反応がおかしいのだと心の中で頷いた。驚くよね、普通。
経緯をかいつまんで説明すると、クリフはほっとしたようだった。
「白龍様はアンゼリカにお怒りだったんじゃなかったんだ」
「すごく優しそうな方だったよ。これで安心して帰れるよね。日が落ちきる前に行こうよ。クリフも一緒に!」
暗くなり始めた空を見上げてデイジーが提案する。高い所を白龍が飛び回っている。夜の山は恐ろしいがクリフがいればどうにかなるだろう。
上機嫌なデイジーに対して、クリフは申し訳なさそうに首を横に振った。
「君たちだけで戻ってくれ。僕は彼女に会わせる顔がないんだ」
「え? そんなの、その顔で十分だと思うけど」
「その顔?」
「心の底から申し訳なく思っていて、でも許して欲しいとも思ってる顔」
声色にからかいを混ぜるとクリフは頭を掻いた。
また勝手に話を進めてゆくデイジーの耳朶に、サンザシが唇を寄せた。
「あの龍、連れて行くんですよね? 私たちは村へは行かない方がいいのでは。アンゼリカさんや村の人たちに見られたら、何されるかわかったものではないですよ」
どうやらサンザシは、白龍の事を案じているようだった。確かに、守り神のような存在である白龍を、巣から連れ帰った挙げ句に旅の共にしようとしているなんて知られたら反対されてしまうやもしれない。
デイジーはアンゼリカとワイルドストロベリーを摘んだ時のことを脳裏に浮かべた。サンザシの言うことはいつでも、もっともだ。アンゼリカは一度卵の中の白龍を殺そうとした。だけど彼女の、本当の姿はそっちではないと思うのだ。ハーブの成長を心から喜べるような、彼女の。
「大丈夫だよ。アンはもう、あの子を傷つけたりしない」
サンザシに囁き返してから、荷物を取りに行こうとデイジーは小屋に向かった。扉に手を掛けようとした瞬間、背後から腕を引かれる。
「小屋から離れて下さい」
訳の分からないまま、サンザシに引っ張られて走る。広場から出て木の陰に隠れた。サンザシに呼ばれたクリフも小屋から離れてこちらへ小走りにやってくる。
瞬間、爆発音が響き渡った。突風に背を押されてクリフが転ぶ。
サンザシに抱きすくめられていたデイジーは、おずおずと木の幹ごしに振り返った。
小屋から大きな炎が上がっている。窓ガラスが割れて、ドアは吹き飛びバチバチと音をたてながら。
みるみるうちに炎は燃え広がって、小屋を飲み込んでゆく。
「さささサンザシ! 燃えてる! 魔術で消せないの?」
「僕の腕前では周囲に火が移らないように押さえるのが限界です」
「そ、そっか。頑張って!」
「おそらく、昼間の火が消えきってなかったんでしょう。燃え続けた所にガラスが割れて外の空気が入って急に燃え広がり、小屋の中にあった燃料に引火した、という所でしょうね」
状況の飲み込めないデイジーを一瞥して、サンザシは至って沈着に解説する。
白龍はデイジーを見つけると勢いよく胸の中に飛び込んだ。
「……痛ってえ」
起き上がったクリフが背後を顧みて唖然とする。どうやら一番状況が飲み込めていないのは、彼のようだ。
燃えてゆく小屋を眺めるクリフに、デイジーは思わず開口する。
「流石に帰らざるを得なくなったね」
村へ着いた時にはとうに日は沈んでいた。人目に付かないように回り道をしてアンゼリカの家を目指す。
デイジーはもう疲弊しきっていて、見覚えのある家の灯りが見えると力なく歓声を上げた。
「やったあ……」
今にも倒れそうなデイジーの横で、クリフは緊張した面持ちで玄関の扉を睨めつけている。
「睨んでいても開きませんよ」
クリフの背をサンザシが軽く押す。すると同時に扉が開いた。
「――クリフ」
呟いて、アンゼリカは溢れんばかりに目を見開いた。そしてそのまま固まって動かなくなる。
微動だにしなくなったアンゼリカに、クリフは目を泳がせた。
「えっと、その、アンゼリカ、聞いて欲しいんだけど」
「聞かない」
「え」
「まだ何も聞きたくない。先に、言うべきことがあるでしょう」
「ご、ごめん?」
アンゼリカは静かに首を横に振った。
謝罪するクリフの背をサンザシが小突く。小声で何かアドバイスしているようだ。
「えっと……ただいま、アンゼリカ」
クリフが言うと、アンゼリカの目に涙が滲んだ。白龍がデイジーの腕の中で、祝福するように両翼を羽ばたかせた。
彼女が戻ってきたときのために、ここで待っているべきだとサンザシに言ったのはクリフだった。彼は自分の方がこの山に詳しいからとデイジーの捜索を買って出た。こんなにも無力さを感じるのは、二年前のあの夜以来だった。
デイジーは突拍子の無い事ばかりするが、行方がまるでわからなくなるのは初めての事だ。それもただ姿を消した訳ではない。彼女の身に何が起こっているのかまるで予想も付かないだけに、どうすればいいのかサンザシは悩み続けていた。
太陽が傾き始めている。この夕日が沈んだら、もう待つのは止めよう。
――キュウ。
少し遠くでなにかの鳴き声がする。サンザシは顔を上げて立ち上がった。耳を済ませると話し声が近付いてくるのがわかった。
「キュー? ハク? シロちゃん? え、どれもだめ?」
森の奥から純白の鳥のようなものが飛んでくるのが見える。目を凝らすと、それは小さいが確かに龍の形をしていた。
サンザシが眉を寄せると、白色の向こうに見慣れた栗毛が見えた。
「――あ、サンザシ!」
デイジーはサンザシを見つけるとにっこりと破顔して駆け寄ってきた。少し見なかった間に、顔のあちこちを泥で汚して服もボロボロになっている。腰まである美しい長髪もあちこちが絡まり広がって艶を失っている。
呆然として立ち尽くしているサンザシに、デイジーはお構いなしに口を開く。
「ねえ、どう思う? この子の名前。キューかハクか、シロか……サンザシ?」
緑色の目がしきりに瞬きする。華奢な指先が、頬に伸びてくる。
何も言わないサンザシにデイジーは首を傾げて、その横で小さな白い龍も同じように首を傾けた。
サンザシは頬に触れるデイジーの手に自分の手を重ねた。体温の高い彼女は、指の先まで暖かい。
「どうして私の前から消えたりするんですか」
「……ええっと」
デイジーはうーんと唸って考え込んでしまった。それから何か言いたげにしてみせて、結局下を向いた。
「ごめん」
「戻ってこないかと思いました。何度……」
言いかけて、サンザシは口を閉ざした。デイジーはサンザシの顔を覗き込むとにやりと口角をつり上げる。
「でも戻ってきたよ。ただいま」
「なんで得意気なんですか」
「それより、サンザシに話したいことがたっくさんあるの。聞いてくれる? ――あ、その前に」
「なんです」
「ただいま、の返事は?」
デイジーはサンザシの頬から手を離して腰に両手をあてた。威厳のある物言いとすっかりくたびれた出で立ちが不釣り合いで、サンザシは力が抜けてしまう。
「……おかえりなさいませ、姫様」
わざとらしく堅い口調で言うとデイジーは腕を組んで笑った。サンザシは彼女には勝てないのだと思い知らされた気分だった。
少しするとデイジーを探しに行ってくれていたらしいクリフが戻ってきた。彼は白龍を見て大層に驚き、デイジーはやっぱりサンザシの反応がおかしいのだと心の中で頷いた。驚くよね、普通。
経緯をかいつまんで説明すると、クリフはほっとしたようだった。
「白龍様はアンゼリカにお怒りだったんじゃなかったんだ」
「すごく優しそうな方だったよ。これで安心して帰れるよね。日が落ちきる前に行こうよ。クリフも一緒に!」
暗くなり始めた空を見上げてデイジーが提案する。高い所を白龍が飛び回っている。夜の山は恐ろしいがクリフがいればどうにかなるだろう。
上機嫌なデイジーに対して、クリフは申し訳なさそうに首を横に振った。
「君たちだけで戻ってくれ。僕は彼女に会わせる顔がないんだ」
「え? そんなの、その顔で十分だと思うけど」
「その顔?」
「心の底から申し訳なく思っていて、でも許して欲しいとも思ってる顔」
声色にからかいを混ぜるとクリフは頭を掻いた。
また勝手に話を進めてゆくデイジーの耳朶に、サンザシが唇を寄せた。
「あの龍、連れて行くんですよね? 私たちは村へは行かない方がいいのでは。アンゼリカさんや村の人たちに見られたら、何されるかわかったものではないですよ」
どうやらサンザシは、白龍の事を案じているようだった。確かに、守り神のような存在である白龍を、巣から連れ帰った挙げ句に旅の共にしようとしているなんて知られたら反対されてしまうやもしれない。
デイジーはアンゼリカとワイルドストロベリーを摘んだ時のことを脳裏に浮かべた。サンザシの言うことはいつでも、もっともだ。アンゼリカは一度卵の中の白龍を殺そうとした。だけど彼女の、本当の姿はそっちではないと思うのだ。ハーブの成長を心から喜べるような、彼女の。
「大丈夫だよ。アンはもう、あの子を傷つけたりしない」
サンザシに囁き返してから、荷物を取りに行こうとデイジーは小屋に向かった。扉に手を掛けようとした瞬間、背後から腕を引かれる。
「小屋から離れて下さい」
訳の分からないまま、サンザシに引っ張られて走る。広場から出て木の陰に隠れた。サンザシに呼ばれたクリフも小屋から離れてこちらへ小走りにやってくる。
瞬間、爆発音が響き渡った。突風に背を押されてクリフが転ぶ。
サンザシに抱きすくめられていたデイジーは、おずおずと木の幹ごしに振り返った。
小屋から大きな炎が上がっている。窓ガラスが割れて、ドアは吹き飛びバチバチと音をたてながら。
みるみるうちに炎は燃え広がって、小屋を飲み込んでゆく。
「さささサンザシ! 燃えてる! 魔術で消せないの?」
「僕の腕前では周囲に火が移らないように押さえるのが限界です」
「そ、そっか。頑張って!」
「おそらく、昼間の火が消えきってなかったんでしょう。燃え続けた所にガラスが割れて外の空気が入って急に燃え広がり、小屋の中にあった燃料に引火した、という所でしょうね」
状況の飲み込めないデイジーを一瞥して、サンザシは至って沈着に解説する。
白龍はデイジーを見つけると勢いよく胸の中に飛び込んだ。
「……痛ってえ」
起き上がったクリフが背後を顧みて唖然とする。どうやら一番状況が飲み込めていないのは、彼のようだ。
燃えてゆく小屋を眺めるクリフに、デイジーは思わず開口する。
「流石に帰らざるを得なくなったね」
村へ着いた時にはとうに日は沈んでいた。人目に付かないように回り道をしてアンゼリカの家を目指す。
デイジーはもう疲弊しきっていて、見覚えのある家の灯りが見えると力なく歓声を上げた。
「やったあ……」
今にも倒れそうなデイジーの横で、クリフは緊張した面持ちで玄関の扉を睨めつけている。
「睨んでいても開きませんよ」
クリフの背をサンザシが軽く押す。すると同時に扉が開いた。
「――クリフ」
呟いて、アンゼリカは溢れんばかりに目を見開いた。そしてそのまま固まって動かなくなる。
微動だにしなくなったアンゼリカに、クリフは目を泳がせた。
「えっと、その、アンゼリカ、聞いて欲しいんだけど」
「聞かない」
「え」
「まだ何も聞きたくない。先に、言うべきことがあるでしょう」
「ご、ごめん?」
アンゼリカは静かに首を横に振った。
謝罪するクリフの背をサンザシが小突く。小声で何かアドバイスしているようだ。
「えっと……ただいま、アンゼリカ」
クリフが言うと、アンゼリカの目に涙が滲んだ。白龍がデイジーの腕の中で、祝福するように両翼を羽ばたかせた。
0
あなたにおすすめの小説
はじめまして、私の知らない婚約者様
有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。
見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。
けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。
ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。
けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。
この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。
悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに?
※他サイトにも掲載しています。
大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!
古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。
その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。
『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』
昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。
領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。
一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――
【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?
愛していました。待っていました。でもさようなら。
彩柚月
ファンタジー
魔の森を挟んだ先の大きい街に出稼ぎに行った夫。待てども待てども帰らない夫を探しに妻は魔の森に脚を踏み入れた。
やっと辿り着いた先で見たあなたは、幸せそうでした。
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
どうも、死んだはずの悪役令嬢です。
西藤島 みや
ファンタジー
ある夏の夜。公爵令嬢のアシュレイは王宮殿の舞踏会で、婚約者のルディ皇子にいつも通り罵声を浴びせられていた。
皇子の罵声のせいで、男にだらしなく浪費家と思われて王宮殿の使用人どころか通っている学園でも遠巻きにされているアシュレイ。
アシュレイの誕生日だというのに、エスコートすら放棄して、皇子づきのメイドのミュシャに気を遣うよう求めてくる皇子と取り巻き達に、呆れるばかり。
「幼馴染みだかなんだかしらないけれど、もう限界だわ。あの人達に罰があたればいいのに」
こっそり呟いた瞬間、
《願いを聞き届けてあげるよ!》
何故か全くの別人になってしまっていたアシュレイ。目の前で、アシュレイが倒れて意識不明になるのを見ることになる。
「よくも、義妹にこんなことを!皇子、婚約はなかったことにしてもらいます!」
義父と義兄はアシュレイが状況を理解する前に、アシュレイの体を持ち去ってしまう。
今までミュシャを崇めてアシュレイを冷遇してきた取り巻き達は、次々と不幸に巻き込まれてゆき…ついには、ミュシャや皇子まで…
ひたすら一人づつざまあされていくのを、呆然と見守ることになってしまった公爵令嬢と、怒り心頭の義父と義兄の物語。
はたしてアシュレイは元に戻れるのか?
剣と魔法と妖精の住む世界の、まあまあよくあるざまあメインの物語です。
ざまあが書きたかった。それだけです。
処刑台の皇妃、回帰して復讐を誓う ~冷酷公爵と偽りの婚約者~ おまえたちは許さない!
秦江湖
ファンタジー
皇妃エリアーナは、夫である皇帝アランと、たった一人の親友イザベラの策略により、無実の罪で処刑される。
民衆に罵られ、アランの冷酷な目とイザベラの嘲笑を「始まりの景色」として目に焼き付けながら絶命した彼女は、しかし、処刑の記憶を持ったまま三年前の過去に回帰する。
「おまえたちは許さない」
二度目の人生。
エリアーナの目的はただ一つ、自分を陥れた二人への完璧な復讐。
彼女はまず、アラン(皇太子)からの婚約内示を拒絶。そして、アラン最大の政敵である「北の冷血公爵」ルシアン・ヴァレリウスに接触する。
1周目で得た「未来の知識」を対価に、エリアーナはルシアンに持ちかける。
「貴方様には帝国の覇権を。わたくしには復讐の舞台を。そのための『契約婚約』を――」
憎悪を糧に生きる皇妃と、氷の瞳を持つ公爵。
二人の偽りの婚約の行く末は……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる