魂は細部に宿る

ごはんがススム

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エピローグ

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私は小さな村に生まれて百姓として生きてきた。毎日汗水垂らして働き、泥の様に眠る。そんな日々だったが、私は満足していた。

ある時腹が出ているのがわかった。親に相談しても食べすぎたんだべっと笑って返された。

それを聞いて私はイラッとした。こんな事で腹の立つ自分に驚いた。今まではこんな事なかったのに。





月日が流れ、二心創開と名乗る集団が村に押しかけてきた。彼らは無理やり村に住み着いた。

私を見つけ、感嘆の声を上げる者がいた。そして、腹のことで質問され、それに答えると無理やり連れていかれた。

両親は泣くことしか出来なかった。

この人たちは頭がおかしい。そう思った。

長らしき男は私を即身仏にすると言った。彼らは何も疑うことはなかった。なにせ伝承にしたがっているだけなのだから。とかそんなことを言っていた。

即身仏が何かは分からなかったが、どうしようもなく怖いことだと直感的に理解していた。

私は泣いた。泣きながら抵抗した。しかし、どうしようもなかった。

即身仏は身体の無駄な部分を削ぎ落とす以外では傷つけてはならないとかなんとか言っているのが聞こえた。気づけば奴らは私を井戸の水に無理やり入れ込んでいた。

私は抵抗した。しかし、1人でも敵わない男に3人がかりで抑えつけられていた。どうする事も出来なかった。

なんでと思った。腹がでかいだけで、なぜこんな事になるのだろう。私が何かしたのだろうか。両親に会いたい。またまずいふやけた麦飯を食べたい。

死ぬ前に一つだけ強く思った。他の事は考えられなかった。




こんな奴ら、滅んでしまえばいい。




女はぴくりとも動かなくなった。




翌日、村は火に包まれていた。





男は逃げていた。他の二心創開の信徒達と共に。

信徒のほとんどが追い付かれ、少しずつ人数は少なくなっていった。殺される日々は刻一刻と迫ってきていると一人一人がそう思っていた。

その男は現二心創開のリーダーであった。

彼はひどく後悔していた。

彼は自分が間違えている事を理解した。村の娘を無理やり、即身仏にした事で、災いが降りかかったたのだと、伝えなければならない。伝承の言い伝えは間違いである事。

誰かに、誰かに伝えなければ、あれは間違いなのだ。

いや、違う。間違いなどではない。あってはならない事だ。人として、やってはいけないことを我々はしたのだ。これは災いなのではなく、天罰なのだ。

そう思った時には彼は酷く疲弊していた。一心不乱に逃げている間に気づけば1人も味方はいなかったのだ。

水もなく、ただおぼつかない足取りで山道をあてもなく彷徨っていた。

彼は自分が立っているのかすら分からなかった。しかし、薄れゆく意識の中、教えの洗脳が解けていた。

こんな馬鹿な事は二度と起こしてはらない。

二心創開などあってはならないのだ。

そう思い至った時には彼は、もはや狂気の目に満ちた村人達に追いつかれていた。

彼は悲痛な声をあげた。

その声はもう誰にも届かない。
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