4 / 143
第一章 灰色の現実
1-3 君、今日から魔法使いね
しおりを挟む
銀色の長髪、白衣のようなものを着ている眼鏡の大人。見た目からすれば三十ほどの齢なのに、声とのギャップでどこか動揺を覚えさせる、そんな人間が目の前にいる。
……というかベッドの上?なぜ?
「……ずっとそこにいたんですか?」
「そうだけど?」
男は、というか立花さんはそう答えた。さも当たり前とでも言わんばかりに。
……突っ込みどころが多すぎる。銀色の髪だとか、目の前に彼がいる状況だとか、なんかもう本当によくわからない。ファンタジーの世界なのだろうか、ここは。
……さっきからわからないということしか思考できていないような気がする。とりあえず、落ち着こう。
まず状況の把握に努めなければいけない……のだが、さっきからそれを阻害しているのはこいつらなんだよな。……それでも考えなければいけない。
「……それで、輸血とかってなんですか?」
「ん?輸血知らない?ほら、他人の血を他人に流すという背徳的な行為」
「それは分かるんですけど」
というか背徳的な行為ってなんだよ。その理論なら献血なんて背徳感のオンパレードじゃねぇか。
「……魔法、じゃないんですか?葵が僕を助けた方法って」
「んや?魔法だよ。前段階ではね」
……この男は僕に理解できるように話していない。だから理解できるわけもないが、それでも話を聞いてみる。
「彼女は君の四肢欠損の状態を魔法で治癒したのは本当だ。まず、この保健室に転移を行い、そして治療を──」
「──転移?治療?」
というか今この男、普通に保健室って言ったぞ。ここ保健室なの?ていうかなんで保健室?
「……こほん。説明を続けるよ。
それで君の体は修復することができたけれど、それでも君の心臓は鼓動を始めなかった。そりゃあそうだよね。鼓動を始めるための血液量も足りてないし、見た目が完璧に修復されていたとしても、完全に君は死んでいたのだから」
「……」
……わからないけど、とりあえず、話、聞く。
「それで彼女がとった手段は輸血だよ。輸血。背徳的な行為ナンバーワンの輸血。魔法使いの血液は特殊でね。例え死んでも生き返れるくらいには治癒力がある。彼女はそうして君に輸血をしたんだよ」
魔法使いには血液型とかないから容易かっただろうねぇ、と付け足しながらそう言った。
……完全に死んでいて、そして葵が魔法使いで、魔法使いの血を輸血されたから生き返った、っていうことだろうか。
まとめようとするけれど、それでもただ単語の整列をするくらいしかできない。
「……でも、それって何がだめなんですか。葵は人の……、僕の命を救ってくれたんですよ?」
「ああ、別にそれは否定しないよ。だから理解するって言っているじゃないか。だが、それを一般人である人間ごときに秘匿である魔法を見せて、そして魔法使いの血液を君に輸血した。
いやあ、背徳だね。背徳そのものだ。倫理観が壊れているといっても過言ではないくらいに背徳で官能的だよ」
「……だから、それの何が悪いって──」
「──悪いんだよ」
低い声で、立花さんは語る。
「魔法使いというのは秘匿される存在だ。だから魔法を一般の人間に見せるのは愚か、婚姻なんて許されるわけもない。
輸血なんて魔法使いにとっては婚姻も同じだ。子どもを作る上で血が混じりあう、そんな行為を行っているのだから。
だが、そんな行為を魔法使いではない人間に、──君に行った。それは、こちらの世界では大罪だ。処刑をするほどにね」
「──は?処刑?」
意味が分からなかったけれど、それでも飲み込めない部分に反論する。
葵は、特に何も反論することはなく、受け入れるように、バツが悪そうに佇んでいる。
「そう、処刑だよ処刑。犯罪のようなものを犯したんだ。処刑されて当然だろう?」
……この男は何を言っているのだろう。
「……僕は一般人の感覚で生きているので、魔法使いの大罪とか犯罪とかよくわからないですけど、処刑するほどのことですか?僕が黙っていればいいだけの話ではないのですか?」
「──ああ、安心してくれ。君は完全に沈黙するはずだから大丈夫だよ」
続けて話す。
「君も死ぬことになるし」
「……は?」
◇
「魔法使いの血液は確かに治癒力の塊ではある。だけれども、今まで輸血された人間は大概が死んでいる」
「……」
「……まあ、死ぬっていうと語弊があるかな。結果的にはそうなるから同じようなもんだけれど。
治癒力が高いっていうことは、概念的に巻き戻る性質が高い、ということだ。魔法使いは概念に対して耐性があるからともかく、一般の人間がその巻き戻しを食らったらどうなるか?想像してみなよ」
想像してみなよ、って言われても……。概念がどうとかよくわからないのですが。
「……子どもに戻るとか?」
「お、正解。君、素質あるんじゃないかなぁ」
立花さんはそのまま話を続ける。
「そうだ、子どもに戻るんだ。巻き戻しに対して耐性が存在しないのだから、普通の人間なら徐々に身体の時間軸が巻き戻って、そうして子どもになり、赤ん坊になり、そして胎児になって、最後には無に還元される。
記憶も巻き戻るから、なんで若返るかもわからないまま、死んでいく。
君に用意されている結末なんてそんなものなんだよ」
立花は、そう語る。
「──でも、少しおかしいんだよなぁ。
もう輸血されて一時間ほど経過しているけれど、なぜか君は巻き戻ることがなく、記憶がおぼつかない状態になることもなく、そして魔法使い同士でしか認識できない会話を君は聞き取ることができた。うん、実に不思議だ。興味深い」
ふむふむ、と立花は頷きながら、そしてベッドからぴょんと飛び降りた。
「君、右手の甲を見せてみて」
彼はそう言う。事態が飲み込めないので促されるままに見せようとするけれど、先ほど感じた電流のような痛みが走って上手く上がらない。そんな様子を見て、葵がしぶしぶというような雰囲気で右手を立花に見せた。
「……ないか。そりゃそうか」
勝手に一人で納得している。何が知りたいんだろう。
「それじゃあ、左手にはどうかなぁ?」
そう呟きながら、今度は左手を彼は拝借していく。
そして、見るや否や。
「ははー、これは凄い。こんなことがあるんだねぇ」
驚きと喜びを混じらせた声をあげている。その声につられて葵も僕の左手を覗くのだけれど、彼女も見るや否や、信じられないものでも見るように動揺を隠せない。
「……それで、どういうことなんですか?」
事態がわからないから、僕はそう聞くと、立花は嬉々とした表情で答える。
「──ええとね。君、今日から魔法使いね」
「……はい?」
意味が分からないまま、彼はそんなことを言って笑った。
……というかベッドの上?なぜ?
「……ずっとそこにいたんですか?」
「そうだけど?」
男は、というか立花さんはそう答えた。さも当たり前とでも言わんばかりに。
……突っ込みどころが多すぎる。銀色の髪だとか、目の前に彼がいる状況だとか、なんかもう本当によくわからない。ファンタジーの世界なのだろうか、ここは。
……さっきからわからないということしか思考できていないような気がする。とりあえず、落ち着こう。
まず状況の把握に努めなければいけない……のだが、さっきからそれを阻害しているのはこいつらなんだよな。……それでも考えなければいけない。
「……それで、輸血とかってなんですか?」
「ん?輸血知らない?ほら、他人の血を他人に流すという背徳的な行為」
「それは分かるんですけど」
というか背徳的な行為ってなんだよ。その理論なら献血なんて背徳感のオンパレードじゃねぇか。
「……魔法、じゃないんですか?葵が僕を助けた方法って」
「んや?魔法だよ。前段階ではね」
……この男は僕に理解できるように話していない。だから理解できるわけもないが、それでも話を聞いてみる。
「彼女は君の四肢欠損の状態を魔法で治癒したのは本当だ。まず、この保健室に転移を行い、そして治療を──」
「──転移?治療?」
というか今この男、普通に保健室って言ったぞ。ここ保健室なの?ていうかなんで保健室?
「……こほん。説明を続けるよ。
それで君の体は修復することができたけれど、それでも君の心臓は鼓動を始めなかった。そりゃあそうだよね。鼓動を始めるための血液量も足りてないし、見た目が完璧に修復されていたとしても、完全に君は死んでいたのだから」
「……」
……わからないけど、とりあえず、話、聞く。
「それで彼女がとった手段は輸血だよ。輸血。背徳的な行為ナンバーワンの輸血。魔法使いの血液は特殊でね。例え死んでも生き返れるくらいには治癒力がある。彼女はそうして君に輸血をしたんだよ」
魔法使いには血液型とかないから容易かっただろうねぇ、と付け足しながらそう言った。
……完全に死んでいて、そして葵が魔法使いで、魔法使いの血を輸血されたから生き返った、っていうことだろうか。
まとめようとするけれど、それでもただ単語の整列をするくらいしかできない。
「……でも、それって何がだめなんですか。葵は人の……、僕の命を救ってくれたんですよ?」
「ああ、別にそれは否定しないよ。だから理解するって言っているじゃないか。だが、それを一般人である人間ごときに秘匿である魔法を見せて、そして魔法使いの血液を君に輸血した。
いやあ、背徳だね。背徳そのものだ。倫理観が壊れているといっても過言ではないくらいに背徳で官能的だよ」
「……だから、それの何が悪いって──」
「──悪いんだよ」
低い声で、立花さんは語る。
「魔法使いというのは秘匿される存在だ。だから魔法を一般の人間に見せるのは愚か、婚姻なんて許されるわけもない。
輸血なんて魔法使いにとっては婚姻も同じだ。子どもを作る上で血が混じりあう、そんな行為を行っているのだから。
だが、そんな行為を魔法使いではない人間に、──君に行った。それは、こちらの世界では大罪だ。処刑をするほどにね」
「──は?処刑?」
意味が分からなかったけれど、それでも飲み込めない部分に反論する。
葵は、特に何も反論することはなく、受け入れるように、バツが悪そうに佇んでいる。
「そう、処刑だよ処刑。犯罪のようなものを犯したんだ。処刑されて当然だろう?」
……この男は何を言っているのだろう。
「……僕は一般人の感覚で生きているので、魔法使いの大罪とか犯罪とかよくわからないですけど、処刑するほどのことですか?僕が黙っていればいいだけの話ではないのですか?」
「──ああ、安心してくれ。君は完全に沈黙するはずだから大丈夫だよ」
続けて話す。
「君も死ぬことになるし」
「……は?」
◇
「魔法使いの血液は確かに治癒力の塊ではある。だけれども、今まで輸血された人間は大概が死んでいる」
「……」
「……まあ、死ぬっていうと語弊があるかな。結果的にはそうなるから同じようなもんだけれど。
治癒力が高いっていうことは、概念的に巻き戻る性質が高い、ということだ。魔法使いは概念に対して耐性があるからともかく、一般の人間がその巻き戻しを食らったらどうなるか?想像してみなよ」
想像してみなよ、って言われても……。概念がどうとかよくわからないのですが。
「……子どもに戻るとか?」
「お、正解。君、素質あるんじゃないかなぁ」
立花さんはそのまま話を続ける。
「そうだ、子どもに戻るんだ。巻き戻しに対して耐性が存在しないのだから、普通の人間なら徐々に身体の時間軸が巻き戻って、そうして子どもになり、赤ん坊になり、そして胎児になって、最後には無に還元される。
記憶も巻き戻るから、なんで若返るかもわからないまま、死んでいく。
君に用意されている結末なんてそんなものなんだよ」
立花は、そう語る。
「──でも、少しおかしいんだよなぁ。
もう輸血されて一時間ほど経過しているけれど、なぜか君は巻き戻ることがなく、記憶がおぼつかない状態になることもなく、そして魔法使い同士でしか認識できない会話を君は聞き取ることができた。うん、実に不思議だ。興味深い」
ふむふむ、と立花は頷きながら、そしてベッドからぴょんと飛び降りた。
「君、右手の甲を見せてみて」
彼はそう言う。事態が飲み込めないので促されるままに見せようとするけれど、先ほど感じた電流のような痛みが走って上手く上がらない。そんな様子を見て、葵がしぶしぶというような雰囲気で右手を立花に見せた。
「……ないか。そりゃそうか」
勝手に一人で納得している。何が知りたいんだろう。
「それじゃあ、左手にはどうかなぁ?」
そう呟きながら、今度は左手を彼は拝借していく。
そして、見るや否や。
「ははー、これは凄い。こんなことがあるんだねぇ」
驚きと喜びを混じらせた声をあげている。その声につられて葵も僕の左手を覗くのだけれど、彼女も見るや否や、信じられないものでも見るように動揺を隠せない。
「……それで、どういうことなんですか?」
事態がわからないから、僕はそう聞くと、立花は嬉々とした表情で答える。
「──ええとね。君、今日から魔法使いね」
「……はい?」
意味が分からないまま、彼はそんなことを言って笑った。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに
千石
ファンタジー
「絶対生きて帰ってくる。その時は結婚しよう」
「はい。あなたの帰りをいつまでも待ってます」
許嫁と涙ながらに約束をした20年後、英雄と呼ばれるまでになったルークだったが生還してみると死亡扱いにされていた。
許嫁は既に結婚しており、ルークは絶望の只中に。
上官の陰謀だと知ったルークは激怒し、殴ってしまう。
言い訳をする気もなかったため、全ての功績を抹消され、貰えるはずだった年金もパー。
絶望の中、偶然助けた子が許嫁の娘で、
「ルーク、あなたに惚れたわ。今すぐあたしと結婚しなさい!」
何故か求婚されることに。
困りながらも巻き込まれる騒動を通じて
ルークは失っていた日常を段々と取り戻していく。
こちらは他のウェブ小説にも投稿しております。
最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした
新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。
「もうオマエはいらん」
勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。
ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。
転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。
勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。
【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜
KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。
~あらすじ~
世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。
そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。
しかし、その恩恵は平等ではなかった。
富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。
そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。
彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。
あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。
妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。
希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。
英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。
これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。
彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。
テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。
SF味が増してくるのは結構先の予定です。
スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。
良かったら読んでください!
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる