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【閑話休題】手マンカラオケ編
第二十六話
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◇
「……はあ」
私は柚子が歌っていた曲をなんとか思い出しながら小声で歌って、そうして大きく息を吐いた。有名な曲ではあったものの、サビまでの流れしか知らなかったから、途中でわからない部分は散々だった。だから、点数に自信はなかったけれど、それでも柚子が残してしまった『採点不可』よりも幾分かましだろう。
私は歌い終わってようやく表示されようとする採点画面を見て、すぐに隣で呆然自失としている柚子の肩を揺らしてみる。
「お姉ちゃん、お姉ちゃん。点数、点数出たよっ」
きっと、普通なら気を失うようにしていた時間の長さから、本当は自身が歌っていないことに気づくかもしれないけれど、それにしたって真っ白になり過ぎている柚子になら誤魔化せると思った。そうして彼女の肩を揺らせば「う、ううん……」と艶っぽい声を吐き出して、なんとか目の前にある画面を眺めようとする柚子の姿。
表示された点数は七十八点。身体をいじられて、途中で歌唱をやめてしまった柚子にしては高いと思える点数。
(……ちょっと高くしすぎたかな)
この後、私が攻められるという立場に立つのであれば、この点数を超えることはできるのだろうか。そんな不安が湧きたってしまう。
私は柚子に身体を弄ばれながらも、その上で勝利を手にしたい。今後やりたいプレイが山ほどあるからこそ、きちんとここで勝利をしておかなければいけないのだけれど、それにしては点数が少し高いような気がした。
別に、私は不感症というわけでもない。柚子は私の身体に触りなれていないから、きっとそこそこのくすぐったさのようなものしか感じられないかもしれない。けれど、それでも反応はしてしまう。きちんと音程は取れるだろうか、きちんと歌詞を歌えるだろうか、点数を稼ぐテクニックを行えるだろうか。そんな不安が先行するけれど、それでもひとまず安心する自分がいた。
とりあえず、これで同じ土俵で戦える。
先ほどの状況であれば、ほぼ不戦勝のような形になるだろう。不感症ではないけれど、それでも柚子が私に歌わせている間、どれだけ刺激をしても私が採点不可になるほど歌えない状況になるわけがない。そうなれば、柚子も諦めて私の身体には触れてはくれないだろうし、その上での勝負なんて何も楽しくない。
だから、これでいい。これでいいのだ、と自分を落ち着ける。
「……いつもより、点数低い」
「……まあ、私に触られてたからね」
本当は私が歌ったうえでの点数だったから、一瞬だけ嫌味かな、と思う自分がいたけれど、そんな言葉は飲み込んでおく。ここからは私にとって楽しいだけの時間がやってくるだけなのだから。
◇
一旦小休止、というわけでもないけれど、喉が渇いていたらしい柚子はドリンクバーへと自分の飲み物を取りに行った。私は如何せん喉が渇いていることはなかったけれど、なんとなく彼女の様子が気になって、一応その後ろをついていく。
……まあ、後ろう姿を見ても、いつも通りの柚子でしかない。どこかうつらうつらとしている様子は拭えないけれど、それでも私たちを知らない誰かが覗いても、普通の女子高生に見えるだろう。
(でも、さっきまでめちゃくちゃ潮吹いてたんだよなぁ)
こんなに普通の振舞いをしているけれど、柚子はさっきまで私の指でイかされていた。それを思うと、今普通のように振舞っている姿、うつらうつらとしている様子は心にぐっと来るものがある。性的なことをしていたのを隠しているような、それでいて隠せていないような、そんなもどかしい気持ち。
本当にお姉ちゃんは可愛いな。
そんな感慨を抱きながら、私たちはカラオケのルームに戻ってきた。
◇
「それじゃあ次は、私の番、だね」
私はそう言葉を発しながら、機械を操作して自らが歌う曲を考えながら選んでみる。
柚子に身体を遊んでもらう機会はそうそうない。そうであるのならば時間の長い曲を選んで、柚子の遊びに期待するのも悪くはない。
けれど、それで高得点はとれるだろうか。私の望みとしては、柚子に身体へと触れられながら、彼女へと優位に立てるような完全な勝利。そうであるのならば、長い曲を選択するのは得策ではないかもしれない。
……でも。
(別に私が負けても、今更柚子はえっちしない、とか言い始めないだろうしな)
結局のところ、柚子は私の指先に抗うことができない。
この前まで行っていた禁欲行為が彼女の頭の中に残っているからか、もう性行為を止めるような行為はしてこないし、してきていない。なんなら、触れられることを少しだけ私のせいにしながら、その体を私に委ねてくる。そんな彼女が今さら、姉妹の関係だとか、女性同士だとか、そのような言葉を紡ぐことはないだろう。
そうであるのならば、彼女はこの勝負で勝ったら何を願うのだろうか。
(……いや、別にどうでもいっか)
どうしようもなくなった時には策がある。もし嫌な雰囲気を感じ取ったときには、ずるいけれど策を講じてしまえばいい。
柚子には悪いけれど、この勝負は勝たせてもらう。
そう心に決意しながら、私は選んだ曲を機械に送信した。
◇
「ほ、本当にやるの……?」
ピッ、という電子音がなり、私がマイクを手に持つと柚子は不安そうな顔で私にそう聞いてくる。
「やるよー? だって、お姉ちゃんもやったわけだし、私がやらなかったら平等じゃないじゃん?」
「それは、そうかもだけど……」
柚子はやはり不安そうな表情で私のことを見てくる、責めることに慣れていないからこそ、彼女は不安なのだろう。
「もしやらなかったら、私が不戦勝っていうことになるけど──」
「……それは、その」
柚子はそれでもためらう様子を見せてくる。結局、私がお姉ちゃんに勝ってもやることは柚子の快楽に繋がっていく。だから、彼女にとっては勝っても負けてもご褒美、という具合なのかもしれない。
そうであるのならば、きちんと柚子が勝負に参加できるように条件を整えなければいけない。彼女が嫌がるような、そんな条件を差し出せば、自ずと積極的に私を責めてくれることに注力してくれるだろう。
「──もし、私が勝ったらね、この前よりももーっとお姉ちゃんには我慢してもらおうかなー?」
「えっ──」
「ほら、我慢した後にイくの、めちゃくちゃ気持ちよかったでしょ? だから、このままだとお姉ちゃんに我慢してもらうことになるけれど──」
実際、私がお姉ちゃんに勝ったらしようとしていることは、それとほぼ同じようなことだ。
──ポリネシアンセックス。一週間、焦らしに焦らすだけのプレイ、最後には快楽を解放されて、身も心も温かさに支配されるような、そんな一週間。
だから、嘘はついていない。ついていない、けれど。
「──それは、だめっ」
私の言葉を聞いて、柚子は反発するように勢いよく言葉を挙げる。
「あれは、だめ、だめだもん……」
お姉ちゃんは私が予想したとおりというべきか、曇った表情を浮かべながらそう言葉を続ける。実際に私が勝ったら似たようなことをするから、結局は覚悟をしてもらわないといけないのだけれど──。
「──それなら、やらなきゃ、ね?」
私の言葉に、柚子は視線を私の目に向けてくる。
覚悟が決まったような、そんな目。
私を責める、という決意が滲んでいる、背徳的な視線。
お姉ちゃんがそんな視線をして、表情を浮かべて、私のことを見ているのだ。
それだけで、私は高ぶる気持ちを抑えられるような気がしないほど興奮していった。
「……はあ」
私は柚子が歌っていた曲をなんとか思い出しながら小声で歌って、そうして大きく息を吐いた。有名な曲ではあったものの、サビまでの流れしか知らなかったから、途中でわからない部分は散々だった。だから、点数に自信はなかったけれど、それでも柚子が残してしまった『採点不可』よりも幾分かましだろう。
私は歌い終わってようやく表示されようとする採点画面を見て、すぐに隣で呆然自失としている柚子の肩を揺らしてみる。
「お姉ちゃん、お姉ちゃん。点数、点数出たよっ」
きっと、普通なら気を失うようにしていた時間の長さから、本当は自身が歌っていないことに気づくかもしれないけれど、それにしたって真っ白になり過ぎている柚子になら誤魔化せると思った。そうして彼女の肩を揺らせば「う、ううん……」と艶っぽい声を吐き出して、なんとか目の前にある画面を眺めようとする柚子の姿。
表示された点数は七十八点。身体をいじられて、途中で歌唱をやめてしまった柚子にしては高いと思える点数。
(……ちょっと高くしすぎたかな)
この後、私が攻められるという立場に立つのであれば、この点数を超えることはできるのだろうか。そんな不安が湧きたってしまう。
私は柚子に身体を弄ばれながらも、その上で勝利を手にしたい。今後やりたいプレイが山ほどあるからこそ、きちんとここで勝利をしておかなければいけないのだけれど、それにしては点数が少し高いような気がした。
別に、私は不感症というわけでもない。柚子は私の身体に触りなれていないから、きっとそこそこのくすぐったさのようなものしか感じられないかもしれない。けれど、それでも反応はしてしまう。きちんと音程は取れるだろうか、きちんと歌詞を歌えるだろうか、点数を稼ぐテクニックを行えるだろうか。そんな不安が先行するけれど、それでもひとまず安心する自分がいた。
とりあえず、これで同じ土俵で戦える。
先ほどの状況であれば、ほぼ不戦勝のような形になるだろう。不感症ではないけれど、それでも柚子が私に歌わせている間、どれだけ刺激をしても私が採点不可になるほど歌えない状況になるわけがない。そうなれば、柚子も諦めて私の身体には触れてはくれないだろうし、その上での勝負なんて何も楽しくない。
だから、これでいい。これでいいのだ、と自分を落ち着ける。
「……いつもより、点数低い」
「……まあ、私に触られてたからね」
本当は私が歌ったうえでの点数だったから、一瞬だけ嫌味かな、と思う自分がいたけれど、そんな言葉は飲み込んでおく。ここからは私にとって楽しいだけの時間がやってくるだけなのだから。
◇
一旦小休止、というわけでもないけれど、喉が渇いていたらしい柚子はドリンクバーへと自分の飲み物を取りに行った。私は如何せん喉が渇いていることはなかったけれど、なんとなく彼女の様子が気になって、一応その後ろをついていく。
……まあ、後ろう姿を見ても、いつも通りの柚子でしかない。どこかうつらうつらとしている様子は拭えないけれど、それでも私たちを知らない誰かが覗いても、普通の女子高生に見えるだろう。
(でも、さっきまでめちゃくちゃ潮吹いてたんだよなぁ)
こんなに普通の振舞いをしているけれど、柚子はさっきまで私の指でイかされていた。それを思うと、今普通のように振舞っている姿、うつらうつらとしている様子は心にぐっと来るものがある。性的なことをしていたのを隠しているような、それでいて隠せていないような、そんなもどかしい気持ち。
本当にお姉ちゃんは可愛いな。
そんな感慨を抱きながら、私たちはカラオケのルームに戻ってきた。
◇
「それじゃあ次は、私の番、だね」
私はそう言葉を発しながら、機械を操作して自らが歌う曲を考えながら選んでみる。
柚子に身体を遊んでもらう機会はそうそうない。そうであるのならば時間の長い曲を選んで、柚子の遊びに期待するのも悪くはない。
けれど、それで高得点はとれるだろうか。私の望みとしては、柚子に身体へと触れられながら、彼女へと優位に立てるような完全な勝利。そうであるのならば、長い曲を選択するのは得策ではないかもしれない。
……でも。
(別に私が負けても、今更柚子はえっちしない、とか言い始めないだろうしな)
結局のところ、柚子は私の指先に抗うことができない。
この前まで行っていた禁欲行為が彼女の頭の中に残っているからか、もう性行為を止めるような行為はしてこないし、してきていない。なんなら、触れられることを少しだけ私のせいにしながら、その体を私に委ねてくる。そんな彼女が今さら、姉妹の関係だとか、女性同士だとか、そのような言葉を紡ぐことはないだろう。
そうであるのならば、彼女はこの勝負で勝ったら何を願うのだろうか。
(……いや、別にどうでもいっか)
どうしようもなくなった時には策がある。もし嫌な雰囲気を感じ取ったときには、ずるいけれど策を講じてしまえばいい。
柚子には悪いけれど、この勝負は勝たせてもらう。
そう心に決意しながら、私は選んだ曲を機械に送信した。
◇
「ほ、本当にやるの……?」
ピッ、という電子音がなり、私がマイクを手に持つと柚子は不安そうな顔で私にそう聞いてくる。
「やるよー? だって、お姉ちゃんもやったわけだし、私がやらなかったら平等じゃないじゃん?」
「それは、そうかもだけど……」
柚子はやはり不安そうな表情で私のことを見てくる、責めることに慣れていないからこそ、彼女は不安なのだろう。
「もしやらなかったら、私が不戦勝っていうことになるけど──」
「……それは、その」
柚子はそれでもためらう様子を見せてくる。結局、私がお姉ちゃんに勝ってもやることは柚子の快楽に繋がっていく。だから、彼女にとっては勝っても負けてもご褒美、という具合なのかもしれない。
そうであるのならば、きちんと柚子が勝負に参加できるように条件を整えなければいけない。彼女が嫌がるような、そんな条件を差し出せば、自ずと積極的に私を責めてくれることに注力してくれるだろう。
「──もし、私が勝ったらね、この前よりももーっとお姉ちゃんには我慢してもらおうかなー?」
「えっ──」
「ほら、我慢した後にイくの、めちゃくちゃ気持ちよかったでしょ? だから、このままだとお姉ちゃんに我慢してもらうことになるけれど──」
実際、私がお姉ちゃんに勝ったらしようとしていることは、それとほぼ同じようなことだ。
──ポリネシアンセックス。一週間、焦らしに焦らすだけのプレイ、最後には快楽を解放されて、身も心も温かさに支配されるような、そんな一週間。
だから、嘘はついていない。ついていない、けれど。
「──それは、だめっ」
私の言葉を聞いて、柚子は反発するように勢いよく言葉を挙げる。
「あれは、だめ、だめだもん……」
お姉ちゃんは私が予想したとおりというべきか、曇った表情を浮かべながらそう言葉を続ける。実際に私が勝ったら似たようなことをするから、結局は覚悟をしてもらわないといけないのだけれど──。
「──それなら、やらなきゃ、ね?」
私の言葉に、柚子は視線を私の目に向けてくる。
覚悟が決まったような、そんな目。
私を責める、という決意が滲んでいる、背徳的な視線。
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