90 / 94
第5部 悪役令嬢の厄落とし! 一年契約の婚約者に妬かれても、節約して推しのライブ予約してあるので早く帰りたい。だめなら胃腸薬ください!
ご令嬢はいつでも笑みを心に太陽を
しおりを挟む(ベアトリス視点)
――思い返すと、エバンの突然のプロポーズ。あれは私にと言うよりもあきらかにヨウコにしていましたわね。
あっという間でしたわ、五年という歳月は。
でも、今になって思うとそれはあながち間違いではなくて、いいえ、むしろ運命と呼んでも良かったかもしれないとさえ思いますの。
「ほらっ、ヨウコ~、ヨウコ~! お父様だぞ~っ!」
「げふんっ! オェッ」
「ああっ、ちょっとエバン! ヨウコにあまり近づかないでちょうだい!」
「なっ!? 近づくなとは、お、俺は父親だぞ!」
今、私の腕の中には、ミルクを飲んだばかりの美しい珠のような女の子。
世界で一番愛しいこの子の名はヨウコ。私とエバンの初めての子ですわ。
名前は当然、決まっていましたわ……、生まれる前から!
……だって、この子がお腹に宿ったとわかったとき、私にはすぐにわかりましたもの。
私の中にあるエネルギーがこの子にぐんぐんと移っていくのが。
生まれたその日から、私の大食体質がなくなったから、間違いありませんわ。
マーガレットお姉様にもこの子がヨウコの魂の生まれ変わりのような気がするということを話したら、すぐに請け負ってくださったわ。
偉そうであの口の悪い変な頭の白い馬、どうやらユニコーンというらしいのですけれど。
そのユニコーンが追い続けていたヨウコの魂の輪廻の糸を、私たちに繋いでくれたらしいのですわ!
わからず屋の頑固者だと思っていたけれど、――ふふんっ、なかなかいい馬でしたわね!
エバンが私の周りをそわそわしながらヨウコの顔を見ようと必死になっていますわ。
でも、ヨウコは前世の記憶が影響しているせいなのか、まだお腹が弱いみたい。
特に、エバンの顔を見ると、すぐにミルクを吐き出してしまうんですの。
「もうっ、エバン! ヨウコが落ち着くまであっちへ行っていてくださいな!」
「ぬっ、うぬぅ~っ……!」
「まあ、そのしかめ面! ヨウコが怖がるからおやめになって」
「はっ! こ、怖くない、私の顔は、こ、怖くな~いぞぉ~、ヨ~ウコ~!」
エバンったら、どうやらヨウコにちょっぴり嫌われているみたいなんですのよね。
前世で、あんな大嘘をつかれたんですもの。エバンには当然の報いですわ。
ヨウコはまだしゃべれないけれど、私とヨウコにはわかるんですの。
私は、幼いころあなたの魂に助けてもらったベアトリスよ。
ヨウコは、私と前世で深くを関わりをもった献身的で誠実な魂の持ち主。
そして今世のヨウコ、あなたは、私とエバンの愛と加護によって、この世界で最も幸福な娘となるために、私たちの間に生まれてきたのですわ!
あなたには、私のすべてとヴィリーバ家の財力と権力、そしてエバンの労働力とささやかなる庇護力をもって、この世のありとあらゆる幸せと喜びをあげますわ!
あなたが求め望むのなら、どんな手を使っても、その願いこの母が叶えて差し上げますわよ~っ!
「おっ、おい、ベアトリス! 今、悪人面になっていたぞ。なにを考えていたんだ」
「なにも考えておりませんわ。ヨウコが幸せになること以外は」
「悪どいことはしないという約束だぞ。それも、ヨウコのためならなおさら」
「わかっておりますわ」
まったく、エバンと来たら、あれ以来私のお目付け役を買って出て、あれこれと指図をするんですからたまりませんわ。
でも、ヨウコがせっかく私の罪を謝罪して回ってくれたのだから、それを無にすることなどできませんでしたわ。
ですから、私は心を入れ替えて、以来正統でまっとうな人生を歩んでまいりましたの。
もちろんマーガレットお姉様とも円満ですし、悪女やら毒花とやらの二つ名も、いまや遠い過去の彼方ですわ!
「その顔はわかってないだろ!?」
「まあ、なんのことかしら? ヨウコほどの見目を持ち将来を嘱望される令嬢に相応しい椅子は、王妃の座くらいなものだと思っていただけですわ。だとすれば、母であるこの私が、有象無象の芽を早々に摘み取っておいてなんの不思議があるかしら」
「ベアトリス……!」
エバンが額に手をやってため息をつきましたわ。
ふふっ、困ればいいのです。
だって、あなたはヨウコのために私の横暴や我がままを、全部受け止めると言ったんですもの。
実際、エバンはこれまで常にそうしてくれましたわ。
私のデザートやドレスやメイクやエステにかけるお金にも糸目はつけませんし、渋々ながらも記念日や家族の集いは必ず優先してくれますわ。
ヴィリーバ家の婿として領地運営についてもお父様の元で学んでいますし、私の格に恥じない昇進もしてくれましたわ。お父様の後押しもあって、いまやデコラム子爵の右腕ですもの。まあ、お義兄様はもともと実力があったのだと甘めにおっしゃるけれど、……まあそうですわね。私もそろそろ認めてあげてもいいですわ。
「わ、わかっていると思うが、お前が迷惑をかけていいのは俺だけだぞ……っ! お前の我がままや横暴は全て俺が受け止める。不満や願いがあればまず俺に話してくれ。なんであれお前の望みは俺が聞くから……!」
ふふっ、そうですわ! その意気ですわよエバン!
婚約当初はそうとうな無理難題を吹っ掛けたこともありましたわね。
三日月を今すぐ満月にしてとか、鯨のつがいを我が家の水槽に入れてとか、真冬に庭を赤いバラで埋め尽くしてとか、雪の結晶を八角形にして、なんていって大いに困らせてやりましたわ。
けれど、今ではエバンにまかせておいた方が大抵のことがうまくいくんですの。
言葉と性格はきついところがあって、ちょっと融通が利かないところもありますけど、いつでもエバンは義を重んじて誠実に筋を通す。
だから、ことのほかいろんなことをうまく取り計らってくれるんですの。
その結果、総じてエバンは夫として、そう、なかなか悪くありませんわ。
「そうですわ。私の望みはこの子の望みでもあるのですから、あなたがしっかり聞いてくれなくてはね、エバン?」
「ああ……。だから、むやみに他家の令嬢を攻撃するのはやめてくれ。なにも知らないヨウコがどんなとばっちりを受けるかわからんではないか……」
そんなこと、わかっておりますわ。私もそこまで浅はかではありませんのよ。
それはさておき、エバンはどのようにしてヨウコを王妃にしてくれる気かしら? 楽しみだわ!
わが国の王位継承権の第一位はミラ・アウローラ姫だけれど?
他の王族でも擁立して王位剥奪をもくろむつもりかしら? ヨウコが年頃になるころにちょうどいい年齢の王族の殿方がいたかしらね。
どっちにしても、ヨウコの夫となる殿方は、全てにおいて完璧でなければ認められませんことよ!
そのとき、従者が予定していた来客を告げた。
「若旦那様、若奥様、へティ・ジャスティス様がお見えになりましてございます」
「ああ、来たのね! さあ、早くここへ通してちょうだい!」
その後すぐにやってきたへティ、ああ、懐かしいへティ!
なんて久しぶりなの、五年ぶりね、また会えてうれしいわ!
「ベアトリス様……っ! ああっ、お目にかかれてうれしゅうございます!」
へティは爽やかなブルーグリーンのドレスと同じ色のリボンの帽子と手袋をつけ、まったく文句のつけようのないジャスティス家の名を背負った貴婦人となっていた。そのすぐ後ろには、ああ! あなたが……、手紙に書いてあったへティの子ね?
「へティ、久しぶりだな。元気そうだ」
「エバン様、ご無沙汰しております」
「へティ、さあ、抱いてちょうだい。この子が私たちのヨウコよ!」
へティが私の腕からそっとヨウコを受け取ると、深い感慨と共に優しく抱いてほほ笑んだ。
「まあ……! なんて美しい姫様でございましょう。目元口元はベアトリス様、お髪の色はエバン様似でございますね」
「ええ、そうなの。でも、髪はエバンよりもずっと艶々して癖がないでしょう? あちらの世界のヨウコがそうだったから、きっとその美しさを引き継いだんだと思うわ。百万歩譲っても、世界で一番の美人になるとしか思えないでしょう?」
「まあ、それはとても不思議ですこと……。でも本当に。今から成長が楽しみでございますね」
この五年、私たち以上に生活が変わったヘティ。
驚くべきことに、ヨウコが与えたきっかけが、その大きな変化をもたらしたのですわ。
お姉様に帰省を命じられたヘティは、ヨウコに言われたとおり、贈られた帽子と手袋をして屋敷を発ったそう。
ヘティは土地を持たない下級貴族の長女で、ヘティの稼ぎで家族一同がなんとか暮らしを立てていましたの。実家でのんびり休息するはずだったのが、突如ヘティの元にジャスティス家からの仕事が舞い込む。それは、ヘティのおばに当たる人物がそれまでジャスティス家で働いていたのだけれど、腰を痛めて急遽代わりの人が必要になったから。休む間もなくおばの代わりにジャスティス家に向かったヘティは、ジャスティス家の次男エリックに見初められ、子を宿したのですわ。まあ、私の侍女ですもの、そのくらいの魅力はあって当然ですわね。
国政の混乱に乗じて力を失ったジャスティス家とはいえ、五大伯爵家としての権威はなおも強く、ヘティはエリックの妻となったものの、一家の態度は冷たいものだったそう。そんなおり、エリックがはやり病で倒れて亡くなると、ジャスティス家は乳飲み子を抱えたままのヘティを追い出したの。実家に戻ったヘティは働きに出ることもできず、一家はますます貧困の一途。どうにもならなくなったヘティは窮状を私に訴えてきたのですわ。
「エリックの求婚を受け、ベアトリス様のもとに戻って来る約束を果たせなかったにも拘わらず、あのときは私とこの子、そして私共一家にお情けをかけて下さったこと……、五年もの長きにわたる間、有給休暇をいただきましたこと、本当に感謝しております。この子も四歳になりまして、私の手を離れることができるようになりました。本日からは、またお側でお役に立てるよう励んでまいります」
「なにを言っているの、ヘティ。あなたは私とヨウコの一番の理解者ですもの。それに有給休暇はあちらの世界では働く者の当然の権利なのよ。こんなことを言ったらあなたは怒るかもしれないけれど、有能なあなたがジャスティス家に取られなくてよかったとさえ思っているの! これからはずっと、私とヨウコのそばにいてちょうだい。もちろん、その子も一緒にね」
「はい、よろこんで誠心誠意、若奥様とヨウコお嬢様にお仕えいたします!」
戸籍の上では伯爵家の一員となったにも関わらず、子爵家の私に今までと同じように頭を下げるヘティ。
ヘティがそばにいてくれた日々、そしてお互いの状況やヨウコについてを取り交わした手紙の数々、ああ、いままでもこれからも、私にとってへティは人生になくてはならない存在だわ。
「頼むわね、ヘティ。ところであなたの息子はスノーマンだったかしら?」
「はい、若奥様。さあ、スノーマンご挨拶なさい」
ヘティの少し後ろに控えていた男の子が一歩前に出た。
「スノーマン・ジャスティスと申します。ご恩あるヴィリーバ家にお仕えできてうれしく存じます。若旦那様、若奥様、どうぞよろしくご指導ご鞭撻のほどお願い申し上げます」
「まあ……っ!」
「驚いたな……、まだ四歳だというのにしっかりしている」
私とエバンは思わず顔を見合わせてしまった。
スノーマンは子ども特有の照れや浮ついた様子もなく、じっと私たちを見つめて訓練されたとはっきりわかる貴族らしい礼をして見せた。
これは……、さすがヘティの息子だわ! いえ、そうでなくとも、たったの四歳でこの言葉遣いに身のこなし。追われたとはいえジャスティス家の血を引いているのもうなずける。並みの子どもとは思えませんわ。
「体は小さいですが、スノーマンはこれでなかなか賢い子なのです。文字の読み書きや計算もできますし、教師を付けもしないのに歌も得意なのです。まだ体を使った仕事は頼りにはできませんが、それ以外なら遠慮せずどんどん仕事を与えてくださいませ」
「えっ、読み書きがもう!?」
「け、計算もだと……!?」
「はい、家では幼い子の子守や、年上の子らには字を教えておりました」
「「よっ、四歳で!?」」
お、驚いたわ……! スノーマンのような子をまさに、神童というのだわ!
……神童……、そうだわ!
こんな子がヨウコのそばに仕えてくれたら、ヨウコにとって素晴らしいに違いないわ!
「スノーマン! あなたは今日からヨウコの遊び相手をなさい! ヨウコがあなたのように読み書きや計算ができるようにしむけるのがあなたの仕事ですわよ!」
「はい、若奥様」
「べ、ベアトリス!? いくらなんでも、ヨウコはまだ首も座ってないのだぞ!?」
「いずれ覚えるものですもの、早いに越したことはございませんわ!」
オタオタするエバンに私は自信たっぷりに言い返した。
私の宝であるヨウコには、なににおいても最高の環境と人材を用意してあげるのが当然ですわ!
目の前にこんな素晴らしい先例があるんですもの、これを使わない手はなくってよ!
ヘティも嬉しそうに頭を下げていますわ。この顔、相当自信があるときの顔ですわね。
「スノーマンはきっとお役に立ちますわ」
「あの、僕もヨウコお嬢様にご挨拶してもよろしいでしょうか?」
ええ、もちろん。四歳にしてこの立ち振る舞い、なかなかできるものではなくってよ。本当に賢い子。分もしっかりとわきまえているようですわ。ふふっ、これは結構な掘り出しもののようですわね。
ヘティが少し腰を下げて、スノーマンにヨウコの顔が見えるようにした。
ヨウコを見た瞬間、スノーマンの顔に柔らかなほころびが見える。
ええ、この子にして間違いなさそうですわ。
まあ、ヨウコの愛くるしい姿を見て微笑まずにいられる人間など、この世にいないでしょうけれど!
「はじめてお目にかかります。ヨウコお嬢様。お嬢様の遊びのお相手を拝命いたしましたスノーマン・ジャスティスでございます。以後お見知りおきください」
「う……?」
あらっ! スノーマンの四歳とは思えない挨拶に、ヨウコが早速興味を持っているようですわ!
さすが、さすが、私の子ですわ!
「うー、ぉっ、うーぉっ!」
「はい、ヨウコ様、僕はスノーマンのスノーでございます。真っ白な雪が降り積もる日に生まれたからスノーです」
「うぅおぉっ、ぅうおぉっ!」
「よろしくお願いいたしますね、ヨウコ様」
まあ、まあ……っ!
ヨウコと言葉が通じているのかしら?
神童とは、まこと、神童のなせる技があるのかしら……!?
ヨウコ、そうですわ、その意気ですわよ! その調子でスノーマンのような賢さを身に着けるのですわ!
そうしたら、その美貌と賢さとで、誰も追随できないくらいの素晴らしい令嬢になれること間違いなしですわ~っ!
「うー、ぉっ、ぅうおぉーっ!」
まあまあ! ヨウコったら興奮して! スノーマンのことがすっかり気に入ったのね。
私はヘティからヨウコを受け取って、その腕にしっかりと抱いた。
ああ、なんてかわいい笑顔かしら……!!
あなたの前途に、さんさんと輝く太陽の光りが満ち満ちているのが、見えるかしら?
ヨウコ、私は幸せ者よ。
あなたが笑うと、この胸は喜びでいっぱいになるの。
私の心の中に広がる世界は、温かい光に満ち溢れて、優しい香りに包まれて、祝福のベルが鳴り響くのよ。
あなたの笑顔がその光、あなたの甘い匂いがその香り、あなたの笑い声がそのベル。
あなたの全てが私に笑顔をくれる。
あなたの全てが私の体中に生きるエネルギーをくれるの。
あなたが笑う度、あなたをこの腕に抱くたび、私、泣きたくなるくらい胸が熱くなるの。
私の中の愛が、あなたを愛したくてたまらないって、叫んでいるのよ!
愛おしくって、たまらない。
心からあなたに感謝してる!
ああ、今だって、叫びだしたいくらいよ!
私の可愛い天使、私の光、私の宝物。
いつまでも、いつまでも、その笑顔……。
この私が守り続けて差し上げるわね……!!
***
(エバン視点)
いつものことながら、ヨウコのことになると周りが見えなくなるベアトリスには困ったものだ。
だが、実際スノーマンには驚かされた。
四歳でこの落ち着き、明瞭とした言葉運び、聡明さと謙虚さ、そして幼いヨウコを見る優しい眼差し。
確かに、尋常ならざる力を感じさせる。
それに、このヘティの息子なら、間違いもなさそうだ。
「うー、ぉっ、ぅうおぉーっ!」
それに、ヨウコも今までにないほどに喜んでいるようだしな。
それにしても珍しい。
幼いヨウコがここまではっきりと俺やベアトリスではない他の者に興味を示すとは。
……いや、俺の場合は興味と言うより、単に吐き気……というか、嫌悪にすぎぬかもしれないのだが……。
成長に伴って、ヨウコが俺を許し慣れてくれるようになるといいのだが……。
そのとき、ヨウコがスノーマンに対して短い腕を伸ばした。
「あらまあ? スノーマンがそんなに気になるのかしら? ミルクを飲んだからしばらくしたら眠くなると思ったのに」
「若奥様、私が代わりますわ。少しお体をお安めになってください」
「そうね、ありがとうヘティ。やっぱりあなたって気がきくわ」
「恐れ入りましてございます」
ヘティがヨウコを預かって揺り椅子に腰を掛けると、ベアトリスも産後の体をカウチに沈めてゆったりとくつろいだ。
ベアトリスにとって信頼できる侍女がそばにいるということが、どれほどの安心をもたらしてくれるのかを、まさにありありと見るようだった。
「うー、ぉっ、うーぉっ!」
「ヨウコお嬢様、お腹がいっぱいで少しおねむではありませんか?」
「うぅおぉっ、ぅうおぉっ!」
「あらあら、元気いっぱい。よしよし、いい子でございますね」
「僕が子守唄を歌って差し上げたいと存じますが、いいでしょうか?」
スノーマンがヘティの揺り椅子の脇に立った。
そういえば、さっきスノーマンは歌が得意だと言っていたな。
ベアトリスが面白そうなものを見る目でうなづいたので、スノーマンが小さく息を吸った。
「 ♪ ねぇねぇ ちょっと待って 聞こえないよ? More please
Mayday 今日はここで 射止めたいの So freeze
こんなにも目と目合うのに しらんぷりは悲観主義
On the heat 止まらないのに Killer Tune は interval に ♪ 」
スノーマンが歌いだしたのは、リズムもメロディも歌詞も聞いたことのない、不思議な抑揚の歌だった。
こ、子守唄というにはいささか……というか、耳慣れないためか、かなり妙な感じの曲のようだが……?
不思議に思って見ていると、突如としてヨウコが暴れ出した。
「うぅおぉっ、ぅうおぉっ!」
い、いや……っ、あ、暴れているのではない……!?
スノーマンの子守歌に合わせてその小さな体を拙く、精一杯揺らしているようだ。
「 ♪ ああ、だってそう~ 気になってるんでしょう~
いつ認めるの My favorite 待っているの 愛の一歩
わたしが君のライフセーバー 溺れるまえに手を取って! ♪ 」
「うおっ、ぅうおっ、うぉっ、うぅおぉっっ!!」
ま、まるで合いの手、掛け声とでもいうべきか。
幼子が必死に子守唄に合わせて手を突き上げ、体を揺らし、大声で叫んでいる。
ヨ、ヨウコが、顔を真っ赤にし、目をランランと輝かせて、スノーマンを凝視していた。
な、なんだ……!?
こ、この子守唄、なにか妙な力でもあるのか……!?
「ああっ、わかりましたわ、この歌!」
「はい、若奥様!」
そのとき、ベアトリスとヘティが申し合わせたように顔を見合わせて笑った。
「ヨウコ様の歌っていたあの歌でございます」
「ええ、そうよ! ヨウコがあちらの世界で大好きだったあの歌! あなた、スノーマンに聞かせていたのね!?」
「あの頃のヨウコ様の思い出をなにか残したくて、ヨウコ様がよく歌ってらっしゃったこの歌を我が子に子守唄代わりに聞かせていたのでございます。そのおかげか、スノーマンもあっという間に歌を覚えて、今では私よりすっかり上手なのでございます」
「本当に、あのときの曲そっくりそのままよ! なんて上手なの!」
ヨ、ヨウコの好きだった曲……!?
そういえば、ヨウコがときどき鼻歌や微かなメロディを口ずさむようなことがあったが、あれがこの歌だったのか……!
「 ♪ 君だってそう~ 気になってるんでしょう~
いつ認めるの My favorite パーフェクトな ありのままを
わたしが君のライフセーバー 照れていないでこっち見て!
ああ、だってそう~ 気になってるんでしょう~ ♪ 」
「うおっ、ぅうおっ、うぉっ、うぅおぉっっ!!」
「 ♪ Love so sweet! Yeah! ♪ 」
「 ♪ あぅ ぉぅ ぅいいっ! いえぃっ!! ♪ 」
な、なんとっ……!?
合いの手ばかりか、最後は一緒になって歌ったぞ!?
まさか、今まさにヨウコの記憶とこの歌が一体になった瞬間では……!?
ヨウコが息を切らして目を潤ませ、スノーマンをうっとりと見つめながら満足そうな笑みをうかべている!
「ぅうおあぅあぁ……! ぅあいおぉう……っ!!」
ツノ様、最高。いつかのヨウコが言っていたときと同じように、そう言っている気がした。
……ということは、もしや、……いや、まさか、でも、もしかして……?
俺は一瞬のうちに振ってきたひらめきのままに、スノーマンを凝視していた。
まさか、まさか……?
まさかとは思うが、スノーマンは、ツノの生まれ変わりでは……!?
俺の動揺などひとつも気づかないベアトリスが、きゃあと悲鳴を上げて嬉しそうに手を叩いている。
「すばらしいっ! 素晴らしいですわ、スノーマン!
ご覧なさいな、ヨウコがこんなに喜んでいるわ!
スノーマン、あなたこれから毎日その歌をヨウコに聞かせてあげなさいな!」
「承知しました、若奥様」
「喜んでいただけてよかったわね、スノーマン」
「はい、母上。ヨウコお嬢様のために、僕は一生懸命お仕えいたします」
にこっと笑うスノーマンに、俺の奥底に深く沈んで眠っていたはずの嫉妬がむくむくと起き上がる。
ちょっと、待て……っ!?
本当にスノーマンがツノの生まれ変わりだったらどうするんだ……!
ヨウコがあれほど夢中になっていたツノが、ツノが……、この幼い我が子の目の前に現れた、だと!?
ふっ、ふざけるなあぁぁっ!
ヨウコは、ヨウコは、まだ首も座ってないんだぞおぉぉぉっ!!
「待てっ、ベアトリス! そうことを急ぐな!」
「あら、エバン、どうしたの? 恐い顔をするとまたヨウコに泣かれますわよ」
「スノーマンをヨウコの遊び相手とするには、まだ! まだ、まだ時期が早すぎると思うのだが!」
「そんなことありませんわ! ヨウコはスノーマンをこのように気に入っておりますし、スノーマンは子守りの経験もあるということですもの。ヘティと一緒に私とヨウコに仕えてもらいますわ」
「だから、ちょっと待て!」
――だあぁぁっ、それではヨウコはいずれツノ……いや、スノーマンに恋してしまうではないか!
いくらジャスティス伯爵家の血を受け継ぐ子だとはいえ、従者との結婚はなにかと問題が多いし、世間体もあるし、それにまだこんな小さく可愛いヨウコを、他の男にみすみす取られるなどとは……っ!
「んまあっ、父親とは狭量なものですわね。ヨウコがいいというのなら、私は従者だろうがかまいませんのよ?」
「……はあっ!? だが、さっきはヨウコは王妃の座に相応しいなどと……」
「それはその通りですわ。ヨウコが望むなら私はどんなことだって叶えてあげるつもりなのです。ですから、ヨウコがスノーマンを望むのなら、スノーマンを側においてあげるのが当然というものではありませんか」
「そっ……っ!? それでは、ヨウコがスノーマンに取られてしまうではないかぁっ!」
俺の渾身の叫びに、ベアトリスとヘティが目を丸くして顔を見合わせた。
ベアトリスがしばらく考えるように斜め上を見て、すぐに口を開いた。
「それの何がいけませんの? スノーマンはヘティと共にジャスティス伯爵家を追われた身とはいえ、血統は由緒正しい五大伯爵家の血そのもの。主従の差や世間体なんてどうとでもなりますわ。貴族の娘の結婚ほどままならないものはございませんもの。それは私を見ればお分かりのはずでしょう? 娘が望むのならそれをかなえてやりたいと思わぬ母がどこにいるとお思い?」
「しっ、しかし……」
「……とはいえ、そうねぇ……。私のヘティを冷遇したジャスティス家に、かつてのような≪義≫があるとはいいがたいわね? この際ですからいっそ、我がヴィリーバ家の力で、ジャスティス家を乗っ取って、スノーマンを伯爵に据えて、ヨウコを五大伯爵家の女主人として君臨させるのも悪くありませんわねぇ……!」
べッ、ベアトリス……!?
悪人顔から邪なオーラがだだもれているぞ!
ヘッ、ヘティまで、うんうんとうなづいている場合ではない!
ベアトリスを止めてくれっ!
「エバンッ! 作戦変更ですわ! ヨウコは王妃よりもジャスティス家の伯爵夫人にいたしましょう!」
「若奥様ならきっと可能でございますわ! 亡き夫エリックも草葉の陰から泣いて喜びましょう!」
「ちょっ、ちょっと待て、ふたりともぉ!!」
俺は慌ててスノーマンとヨウコを見やった。
スノーマンは、大人たちの話題についていけず、ぽかんと見渡しているではないか。
ヨウコに至ってははしゃぎすぎて疲れたのか、うとうとし始めていた。
この無垢な子どもたち……。
なにも知らない我が子の人生をいたずらに振り回すことなど許されない。
ベアトリスの野望や、ヘティの復讐に子どもたちが利用されてたまるか……っ!
「とにかく落ち着くんだ、ベアトリス……!」
「私は落ち着いておりますわよ、エバン」
「ヘティも気持ちはわかるがベアトリスを焚きつけるのはやめてくれ……!」
「失礼いたしました。でも、私の仕事は若奥様とヨウコ様のお役に立つことでございますので」
そうだ、まずは俺が落ち着かねば……!
ヨウコの幸せを守れるのは、俺しかいない……っ!
そうだ、今こそ冷静になれ。
ベアトリスのかじ取りは今までだってなんとかうまくやって来たではないか。
ヘティはその助けになると思っていたが、ことによると火に油。
スノーマンだとて、下手に家督争いに巻き込まれれば痛手をこうむらないとは限らない。
我々がどう扱うかによって、この少年の未来は大きく変わってしまうだろう。
スノーマンがやや不安そうに俺を見上げていた。
「あの……旦那様、僕は伯爵になろうとかそういうことは望んでいません……」
「スノーマン……」
「僕はただ……」
スノーマンが視線を落とし、ふっとその頬に笑みを浮かべた。
「僕の歌を聞いてヨウコ様が喜んでくださったのが嬉しかったのです……。僕の歌でヨウコ様がこうして楽しくお過ごしになって下さったら、僕はそれだけで満足です」
スノーマンの視線の先を見ると、ヨウコがふくふくと幸せそうな笑みを口元に浮かべて、眠りに入るところだった……。
おお……。なんという眼福……。
ああ……、まさにその通りだ……。
ヨウコがこうして生きていてくれる、それだけで、俺の心の巣くう罪は洗い流され、代わりに喜びで満たされる。
スノーマンがツノの生まれ変わりだろうとなかろうと、ジャスティス家での立場がどうであろうと、ヨウコが幸せならば、それでいいではないか。
さっきはつい、ヨウコを取られると早合点して、大人げなくうろたえてしまった。
だが、いかなる未来が来ようと、どのような未来をヨウコが選び取ろうとも、俺は心は最初からひとつだったではないか。
ヨウコ、お前には、いつでも笑顔で、人生の楽しみや喜びを謳歌し、そして慰めやぬくもりや慈しみに包まれて、心温かに健やかにすごしてほしい。
俺が願うことは、お前の幸せ、ただそれだけなのだ。
「まあ、将来のことはわかりませんわね。今はただ、この子が幸せそうに笑っていてくれればそれでいいのですわ……!」
ヨウコを見つめてベアトリスがゆったりと笑って見せた。
結局のところ、ヨウコの父母として、望むことは互いに同じ。
俺もぷっくりとして朗らかなヨウコの寝顔を見つめた。
なんと愛らしい寝顔か……。夢の中では、あの歌を歌って笑っているのかもしれない。
俺は請け負う。ああ、何度だって、請け負うだろう。
ヨウコ、お前の幸せを、この世に描くために。
俺はベアトリスの横に進んで立った。
「その通りだ。ヨウコの笑顔をきっと守って行こう」
「ヨウコは世界で一番笑顔と幸福の似合う令嬢なんですもの、当たり前ですわ!」
ご愛読ありがとうございました! この後は、あとがきです!
なお、お手間でなければ、10いいね(各話10回押せます)、感想、お気に入り、エール(動画再生3回できます)、シェアで、丹斗太円の応援ぜひよろしくお願いします! 読者様からの反応があると、大変励みになります!
10
あなたにおすすめの小説
転生皇女セラフィナ
秋月真鳥
恋愛
公爵家のメイド・クラリッサは、幼い主君アルベルトを庇って十五歳で命を落とした。
目覚めたとき、彼女は皇女セラフィナとして生まれ変わっていた——死の、わずか翌日に。
赤ん坊の身体に十五歳の記憶を持ったまま、セラフィナは新しい人生を歩み始める。
皇帝に溺愛され、優しい母に抱かれ、兄に慈しまれる日々。
前世で冷遇されていた彼女にとって、家族の愛は眩しすぎるほどだった。
しかし、セラフィナの心は前世の主・アルベルトへの想いに揺れ続ける。
一歳のお披露目で再会した彼は、痩せ細り、クラリッサの死を今も引きずっていた。
「わたしは生涯結婚もしなければ子どもを持つこともない。わたしにはそんな幸福は許されない」
そう語るアルベルトの姿に、セラフィナは決意する。
言葉も満足に話せない。自由に動くこともできない。前世の記憶を明かすこともできない。
それでも、彼を救いたい。彼に幸せになってほしい。
転生した皇女が、小さな身体で挑む、長い長い物語が始まる。
※ノベルアップ+、小説家になろうでも掲載しています。
死に物狂いで支えた公爵家から捨てられたので、回帰後は全財産を盗んで消えてあげます 〜今さら「戻れ」と言われても、私は隣国の皇太子妃ですので〜
しょくぱん
恋愛
「お前のような無能、我が公爵家の恥だ!」
公爵家の長女エルゼは、放蕩者の父や無能な弟に代わり、寝る間も惜しんで領地経営と外交を支えてきた。しかし家族は彼女の功績を奪った挙句、政治犯の濡れ衣を着せて彼女を処刑した。
死の間際、エルゼは誓う。 「もし次があるのなら――二度と、あいつらのために働かない」
目覚めると、そこは処刑の二年前。 再び「仕事」を押し付けようとする厚顔無恥な家族に対し、エルゼは優雅に微笑んだ。
「ええ、承知いたしました。ただし、これからは**『代金』**をいただきますわ」
隠し金庫の鍵、領地の権利書、優秀な人材、そして莫大な隠し資産――。 エルゼは公爵家のすべてを自分名義に書き換え、着々と「もぬけの殻」にしていく。
そんな彼女の前に、隣国の冷徹な皇太子シオンが現れ、驚くべき提案を持ちかけてきて……?
「君のような恐ろしい女性を、独り占めしたくなった」
資産を奪い尽くして亡命した令嬢と、彼女を溺愛する皇太子。 一方、すべてを失った公爵家が泣きついてくるが、もう遅い。 あなたの家の金庫も、土地も、働く人間も――すべて私のものですから。
婚約破棄された悪役令嬢の心の声が面白かったので求婚してみた
夕景あき
恋愛
人の心の声が聞こえるカイルは、孤独の闇に閉じこもっていた。唯一の救いは、心の声まで真摯で温かい異母兄、第一王子の存在だけだった。
そんなカイルが、外交(婚約者探し)という名目で三国交流会へ向かうと、目の前で隣国の第二王子による公開婚約破棄が発生する。
婚約破棄された令嬢グレースは、表情一つ変えない高潔な令嬢。しかし、カイルがその心の声を聞き取ると、思いも寄らない内容が聞こえてきたのだった。
《完》義弟と継母をいじめ倒したら溺愛ルートに入りました。何故に?
桐生桜月姫
恋愛
公爵令嬢たるクラウディア・ローズバードは自分の前に現れた天敵たる天才な義弟と継母を追い出すために、たくさんのクラウディアの思う最高のいじめを仕掛ける。
だが、義弟は地味にずれているクラウディアの意地悪を糧にしてどんどん賢くなり、継母は陰ながら?クラウディアをものすっごく微笑ましく眺めて溺愛してしまう。
「もう!どうしてなのよ!!」
クラウディアが気がつく頃には外堀が全て埋め尽くされ、大変なことに!?
天然混じりの大人びている?少女と、冷たい天才義弟、そして変わり者な継母の家族の行方はいかに!?
お人好しの悪役令嬢は悪役になりきれない
あーもんど
恋愛
ある日、悪役令嬢に憑依してしまった主人公。
困惑するものの、わりとすんなり状況を受け入れ、『必ず幸せになる!』と決意。
さあ、第二の人生の幕開けよ!────と意気込むものの、人生そう上手くいかず……
────えっ?悪役令嬢って、家族と不仲だったの?
────ヒロインに『悪役になりきれ』って言われたけど、どうすれば……?
などと悩みながらも、真っ向から人と向き合い、自分なりの道を模索していく。
そんな主人公に惹かれたのか、皆だんだん優しくなっていき……?
ついには、主人公を溺愛するように!
────これは孤独だった悪役令嬢が家族に、攻略対象者に、ヒロインに愛されまくるお語。
◆小説家になろう様にて、先行公開中◆
悪役令嬢ってもっとハイスペックだと思ってた
nionea
恋愛
ブラック企業勤めの日本人女性ミキ、享年二十五歳は、
死んだ
と、思ったら目が覚めて、
悪役令嬢に転生してざまぁされる方向まっしぐらだった。
ぽっちゃり(控えめな表現です)
うっかり (婉曲的な表現です)
マイペース(モノはいいようです)
略してPUMな侯爵令嬢ファランに転生してしまったミキは、
「デブでバカでワガママって救いようねぇわ」
と、落ち込んでばかりもいられない。
今後の人生がかかっている。
果たして彼女は身に覚えはないが散々やらかしちゃった今までの人生を精算し、生き抜く事はできるのか。
※恋愛のスタートまでがだいぶ長いです。
’20.3.17 追記
更新ミスがありました。
3.16公開の77の本文が78の内容になっていました。
本日78を公開するにあたって気付きましたので、77を正規の内容に変え、78を公開しました。
大変失礼いたしました。77から再度お読みいただくと話がちゃんとつながります。
ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。
転生者はチートな悪役令嬢になりました〜私を死なせた貴方を許しません〜
みおな
恋愛
私が転生したのは、乙女ゲームの世界でした。何ですか?このライトノベル的な展開は。
しかも、転生先の悪役令嬢は公爵家の婚約者に冤罪をかけられて、処刑されてるじゃないですか。
冗談は顔だけにして下さい。元々、好きでもなかった婚約者に、何で殺されなきゃならないんですか!
わかりました。私が転生したのは、この悪役令嬢を「救う」ためなんですね?
それなら、ついでに公爵家との婚約も回避しましょう。おまけで貴方にも仕返しさせていただきますね?
ヒロインしか愛さないはずの公爵様が、なぜか悪女の私を手放さない
魚谷
恋愛
伯爵令嬢イザベラは多くの男性と浮名を流す悪女。
そんな彼女に公爵家当主のジークベルトとの縁談が持ち上がった。
ジークベルトと対面した瞬間、前世の記憶がよみがえり、この世界が乙女ゲームであることを自覚する。
イザベラは、主要攻略キャラのジークベルトの裏の顔を知ってしまったがために、冒頭で殺されてしまうモブキャラ。
ゲーム知識を頼りに、どうにか冒頭死を回避したイザベラは最弱魔法と言われる付与魔法と前世の知識を頼りに便利グッズを発明し、離婚にそなえて資金を確保する。
いよいよジークベルトが、乙女ゲームのヒロインと出会う。
離婚を切り出されることを待っていたイザベラだったが、ジークベルトは平然としていて。
「どうして俺がお前以外の女を愛さなければならないんだ?」
予想外の溺愛が始まってしまう!
(世界の平和のためにも)ヒロインに惚れてください、公爵様!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる


