【3章】GREATEST BOONS ~幼なじみのほのぼのバディがクリエイトスキルで異世界に偉大なる恩恵をもたらします!~

丹斗大巴

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■第1章 突然の異世界サバイバル!

0083 お皿づくり

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 まるで豆腐でも切ったかのような感覚だ。切った木の断面も電動鋸刃で切ったかのように綺麗な年輪模様が浮かんでいる。驚かないと思っていたが、空気のように軽い木材、しかも豆腐のように柔らかく切れる。こんな木の材料が自然界にあるなんてびっくりだ。

「そ、そっか、ここは不思議の世界だもんね……。私が知らない材料があるのはきっと当たり前なんだ……」

 一皿分のブロックに切り分けるのに、今夜一晩くらいかかるだろうと覚悟していたのに、ものの数分で大きなブロックがすべて目的の大きさに切り分けられた。正直、きゅうりやにんじんを切るよりずっと簡単だ。でもこれだけ加工しやすいとなれば、目当てのものに掘り出す工程も予想より楽にできる気がする。

「よーし、やってみよう」

 ハンドッゴにはナイフの他にプラス・マイナスのドライバーや、缶切りややすり、錐やドリルなどがついているが、美怜が注文したこの道具には彫刻刀をセットしてもらっている。

 キャンプのとき火を焚いたり星を見たり、音楽や釣りを楽しんだりするのと同じように、クラフトやギア作りを楽しむキャンパーがいる。友達にキャンプに誘われたとき、美怜は拾った木や松ぼっくりやクルミで、ちょっとしたクラフトをつくって楽しもうと思っていたのだ。
 その彫刻刀がここで役に立とうとは。丸刃と三角刃。これがあればまずまずの木彫が可能だ。

「それじゃあ、早速あれを使って……」

 次の工程は、お皿用のブロックに再び線を引いていく。ここで今日手に入れた釘が活躍。木材の真ん中をアマノジャックマキジャックで正確に割り出し、今度はアマノジャックマキジャックのテープの取っ手部分の穴に釘を入れ、その釘を木材の中心にハンマーで軽く打ちとめる。木材の辺の一番長いところに合わせてテープとマルチミニペンを持ち、コンパスの要領で線を引けば、あっという間に正確な円が描き上がる。
 その円に合わせて三角刃で溝を入れる。この内側を掘っていけば、お皿になるのだ。
 ――シュル、シュル、サクサク。

「うわあ、削りやすい」

 三角刃はまるで消しゴムハンコでも彫っているときのように力要らず。丸刃もまるで発泡スチロールやコルク、あるいはソフトセラミックのような軽い彫り心地で、思いのままにサクサク彫れていく。
 手慣れている美怜には簡単すぎるくらい簡単に、一枚の深皿を彫り出すことができた。外側も整えれば、普通のカレー皿よりやや深め、サラダボウルにはやや浅めの丸い木の深皿が出来上がった。【※31】

「できた……。こんなに簡単に出来ちゃったけど、本当に使えるのかな……。水を入れたら染み出してきたりして……」

 そんな不安もよぎったが、手を動かしていると不安がまぎれる。美怜は次のブロックに取り掛かった。

 ――ピーヒョロロロロ、ピュン、ピュン……。
 気が付くと、辺りがすっかりと明るく、鳥の鳴き声がしていた。

「あれ……、集中してたら、朝になっちゃった……」

 石かまどの火もすっかり白い灰になっていた。辺りを見渡す美怜の前には、二人分の深皿とスプーンとコップが仕上がっている。不思議と削りかすは風もないのにどこかへ消えていた。イコが出来上がった木の食器と美怜の周りをくるくると浮遊している。

「朝ごはんの支度をしないと……。あ、その前に、銀ちゃんは平気かな……?」

 まだ寝入っている銀河をタブレットで確認すると、LPもBPも全回復していた。

「よかった~……。タンズのみんな、起きて……、そっとね」
「む~」
「む~」
「む~」
「銀ちゃんよくなったみたいだから、水と食べ物を取って来てもらえる? 今日はちゃんと食べれると思うの」
「むー」
「むー」
「むー」

 三体が朝の森に消えていくのを見守って、美怜は羽根のように軽い食器を手に取った。

「さてと、水が漏れないかどうか、まず確認してみないとね……」

 そうつぶやく美怜のすぐ後ろに、小さく草を揺らす者がいた。水のゼリーのように透明な物体。質感はエコロとそっくりだが、色がなく気泡もない。そしてエコロなら被っているはずの帽子もない。
 ――ガサッ。
 それが草から飛び出すと、突然ビタッと美怜の脚に張り付いた!

「きゃあっ!?」



【※24】エコロ …… ブーン101 
【※25】サバイバル生活のトイレ …… 情報604
【※26】飾り結び …… アイテム008
【※27】飾り結びの作り方 …… 情報614
【※28】釘を抜く方法 …… 情報618
【※29】サバイバルで拾ったものを活用する方法 …… 情報619
【※30】石かまどの作り方 …… 情報608
【※31】木のスプーンの作り方 …… 情報610
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