【3章】GREATEST BOONS ~幼なじみのほのぼのバディがクリエイトスキルで異世界に偉大なる恩恵をもたらします!~

丹斗大巴

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■第1章 突然の異世界サバイバル!

0092 魔石発見

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 美怜の思いもよらなかった非難の声に、銀河は再び目を丸くした。銀河には全く意味がわからない。

(どうして? こんなに面白いアイデアなのに……。)

 新しいものをつくり出すクリエィティブな仕事はアイデアが命だ。面白いアイデアが生まれたら、それを形にして表現したい。それを多くの人に楽しんでもらいたいと思うのは、ごくごく自然なことだ。

「え、なんで? 僕はすごく面白いと思ってるんだけど……」
「だけど、大蛇は命なんだよ。自分の意思で生きているんだよ? 銀ちゃんがもし同じことされたらどう思う? 瓢箪の中に吸われて閉じこめられて、強制的に使役されて自由を奪われて、自分じゃない姿に変わらされて、自分の意思じゃなく戦わされるんだよ……?」
「へ……?」

 耳から入った言葉が、じわじわと銀河の体に染みて行った……。なにが間違っていたのか。美怜が気付いて銀河が気付かなかったその最大の理由は、銀河がクリエイターとしてキャラクターとそのアイデアにこれ以上ない愛情を注いでいたからだ。だがその愛情は、あくまでもキャラクターが本当の命を持たないキャラクターとして存在する世界でだけ通用するもの。ブーンズパワーという不思議な力で生かされているブーンズたちは、採集に走れば疲れるし、戦えば消耗し、討たれれば死ぬ。きっと銀河や美怜と同じように。有限であり個体特有の自由と尊厳を持つひとりにひとつの命なのだ。自分の中だけで育てていたファンタジーな作り物の世界と目の前にある本物の命の間にある大いなる隔たり。銀河は自らの気付きにショックを受けた。

(……み、みれちゃんのいうとおりだ……。ここはゲームに似てるけど虚構の世界じゃないんだ……。そりゃあ、大蛇を瓢箪に吸い込まなきゃ僕とみれちゃんは無事では済まなかっただろう。でも、ヒシャラにしたのと同じことを僕が受けたら……。それに大蛇を使役化して無理やり戦わせるなんて……。まるで闘犬や闘鶏……いや、奴隷と同じじゃないか……! それに、人間の僕が人間じゃなくなるなんて……? か、考えもつかないよ!)

 気が付いたら、銀河はヒシャラの前に駆けつけていた。

「ヒシャラ、ごめん……! 僕が考えなしだった! もっとよく考えてブーンズを生み出すべきだったのに、自分が描いた君をどうしても現実にこの目で見たくて……。本当にごめん、君が怒るのは無理もないよ……!」
「……」

 ヒシャラがようやく真正面から銀河を見つめた。美怜が小さく息をついて立ち上がり、銀河の隣にやってきて、その腕に手を置いた。

「銀ちゃん、ヒシャラの使役を解くことはできるの?」
「う、うん、どうだろう……」
「もし解けるなら、この森を出るときに解いてあげようよ」
「うん、そうだね……」

 ヒシャラの目がキラッと輝いた。
 そう、ゲームはゲーム、ファンタジーはファンタジーだから楽しい。モンスターをゲットしてボールの中に入れるのも、テイムや使役魔法を使って魔獣を従えるのも、モンスターをハントして輪切りにして焼いて楽しむのも、それは現実の自分とは全く切り離された虚構だから楽しめるのだ。だが今銀河と美怜はその世界に生身を置いてしまっている。今心と体が感じてしまったこの感覚。ブーンズやモンスターの命を自分の命と同じように大切にしたいと思う感覚。これが芽生えてしまった以上、無下にはできない。
 美怜がひょいっとヒシャラの隣に腰掛けた。

「ヒシャラは……、あ、大蛇のときの名前はあるの?」
「……」
「あ、そっか、そうだよね」
「……み、みれちゃん、ヒシャラはなんて?」
「俺は俺のことを俺って呼んでたって」
「……なるほど」
「使役が解けるまではヒシャラって呼ばせてもらうね。さっきはヒシャラのおかげで助かったよ。本当にありがとう。靴も取り戻してくれてありがとうね」
「……」
「私たち、森を無事に抜けるまでヒシャラの力が必要なの。これからも助けてもらえるかな?」

 ――コクッ。
 ヒシャラが無言で頷く。銀河と美怜がホッとして笑顔を浮かべた。
 そうしていると。草葉の陰からむーむーという声が聞こえてきた。

「あっ、ヒトエタン、クラウンタン!」
「無事だったか、よかった!」
「むー!」
「むー!」

 ぶるぶると震えるヒトエタンを銀河が、クラウンタンを美怜が抱きしめた。

「あれっ、ユリタンは……?」

 タブレットで位置を見ると、ユリタンはこちらに向かってきている最中だった。そして、戻ってきたユリタンの花の中には、なんとアジが四匹入っていた!

「ユリタン、すごいな君、海まで行ってくれたのか!?」
「むー!」
「へぇ……! 急な崖で浜に降りることはできなかったけど、触手を伸ばして釣ってくれたんだって」
「でかした! 恋しかったんだよ~、塩分が!」
「朝ごはんにはちょっと遅いけど、早いお昼ごはんにしよう!」
「うん!」

 食事の準備をし始めて銀河が気付いた。さっきからやけに地面がキラキラしていると思ってよく見てみたら、小さなガラスの粒のようなものが落ちている。一粒拾い上げてみる。大きさは五ミリ弱くらいだ。

「……ん、なんだこれ……? ……えっ、ま、魔石!」
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