【3章】GREATEST BOONS ~幼なじみのほのぼのバディがクリエイトスキルで異世界に偉大なる恩恵をもたらします!~

丹斗大巴

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■第1章 突然の異世界サバイバル!

0101 ジョブが更新された!

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 美怜があからさまに身をすくめた。
 ポートフォリオによれば、スライムは初級しかもレベル1のモンスター。その低級モンスターにこれほどの忌避感を持つとなると正直心配だ。
 しかも美怜に戦闘能力は期待できそうになく、美怜だけが狙われた理由もまだわかっていない。こればかりは楽観できそうにないが、今はヒシャラがいる。あれだけの強さだ。森を無事に抜けられると信じたい。

「あこれ見て。ブーンズのみんな、それぞれレベルやステータスが順調に上がっているよ。あと僕達も」
「え、私達も?」

 タブレットを見ると、いつの間に銀河はレベル3、美怜はレベル2になっていた。LP、BP、DPのカウンター値も大きくなっている。心配だった銀河のLPもレベルに応じてなのか、徐々に上昇率も上がってきているようだ。【※36】

「わあ、本当にゲームみたいだね」
「うん、ここも見て」

 銀河は転生者リーインカーネーションパーソンからBoons creatorブーンズクリエイターに、美怜はInventory holderインベントリーホルダーという肩書に変っていた。

「本当だ……。あっ、インベントリーホルダーって、私のこと?」
「うん、インベントリの能力に目覚めたからジョブが変わったみたいだね」
「銀ちゃんのブーンズクリエイターって、なんかかっこいいね!」
「えへへ……、実は僕もそう思う!」

 かっこいい、といわれてうれしくなる銀河。照れ隠しに水を飲んでいたコップを少し上に掲げた。

「ところで、このコップすごく使いやすいよ!」
「あ、うん! 軽いしすぐ乾くし、すごく良い素材だったみたい。取っ手があるからスパークレオンに吊るしておけば歩いているときにもすぐ使えるよ」
「カラビナに付けて歩くのって、なんかアウトドア上級者っぽくてカッコイイなぁ!」

 美怜がにっこりと、この先の食環境について明るい未来を示した。

「お皿もできたからお湯も沸かせるし、海水が手に入ったらスープが作れるよ」
「スープか、いいね!」
「うん、ここで木のブロックを見つけられたお陰だね」
「よし……、じゃあ、そろそろ出発する?」
「うん」

 ふたりで後片付けをしたあと、寝ているヒシャラを起こした。

「みれちゃん、忘れ物はないよね?」
「あ、うん、ちょっと待ってて」

 美怜が石かまどのそばに、そっとなにかを置いた。五つの輪っかがついた飾り結びだ。この結び方を梅結びという。

「ここにあった木のブロックのおかげで、私たちのサバイバルが少し楽になったから。ここに残してくれた人のお陰だね……。ありがとうございます……」

 供養の花に見立ててお供えして、そっと石かまどの石をひとつとり、飛んでいかないように重しにした。
 美怜が手を合わせて目を閉じる。それを見て銀河も習った。
 ブーンズのほとんどはふたりがなにをしているのかよくわかっていなかったが、ヒシャラは興味深そうに美怜の置いた梅結びのあたりをじっと見ていた。

「よし、じゃあ行こう!」
「うん」

 お腹も満たされて元気いっぱいに歩き出したふたり。
 今朝の経験を踏まえて、手には武器になりそうな枝を常に持ち歩くことにした。歩いて行く間に、長く使いやすい枝があったら次々と交換していくのだ。そのうち、枝に石をくくり付けた原始的な武器や投石器を作ってみてもいいかもしれない。

「みれちゃん、ひとまず海が近いってわかったから、海を目指していかない?」
「いいね! あ、でもその前に……」

 美怜がクンクンと自分の袖を嗅いだ。スライムの液は不思議とほとんど水と同じで臭いもぬめりもなかったが、実際のところどんな菌やウイルスがついているのかわからない。美怜はずっと気にしていたのだ。

「途中に川があったら洗濯したいな……。あと水浴びも」
「そうだね……。ヒトエタン、ユリタン、安全な川ってどこにあるの?」
「むー」
「むー」

 二体は揃って同じ方向を触手で指した。

「よし、まずは川に行ってみよう」
「うん!」

 ヒトエタン、ユリタンの案内で森の中をひたすら進む。倒木や草深い場所。湿気が多く足を取られる柔らかい湿った土やごつごつとした岩肌の続く場所。
 慣れない森の中を山歩きに慣れていない子どもの脚で進むのは苦労だったが、モンスターに出くわすこともなく、一時間くらいで涼やかな水音が耳に届き始めた。川に出ると一気にさわやかな風と開かれた景色が目の前に広がった。

「ふわぁ~、ようやく川だぁ~っ!」
「わあ、マイナスイオンを感じる~っ」
「魚がこんなにいっぱいいるよ……! 手づかみでも獲れそうだよ、みれちゃん!」
「本当だね! 塩があればたくさん獲って干物にしておけるのにね」

 川幅は目測で十メートルほど。どうやら川の始まりは湧水になっているらしく、冷たくてきれいな水にヤマメがすいすい泳いでいるのが見えた。
 ヒシャラの目がぎらっと輝き、忙しそうにヤマメを目で追っている。ブーンズのみんなは思い思いに川のそばでのんびりし始めた。

「銀ちゃん、私、さっそく洗濯していい?」
「あ、じゃあ僕が火をおこすね」

 銀河と別れて河原まで降りて行くと、美怜はさっそく汚れた靴下とスライムにびしょびしょにされた靴、それからパーカーとキュロットを順番に洗っていった。
 川の水が思ったより冷たい。水浴びをしたいと思ったが、洗濯と水浴びの同時はちょっと難しそうだ。手や足、首など手の届くところを洗うだけに留めておいたが、それだけでも十分気持ちがすっきりした。
 洗った衣類をぎゅっと強く絞って、火をおこした銀河の元に戻った。【※37】

「銀ちゃん、なんか物干しになる枝ないかな?」
「うんあるよ、うわっ……! ご、ごめん!」

 何気なく振り返った銀河に、下着姿の美玲が目に入った。赤くなって慌てて顔を背けた銀河に、美怜が苦笑い。

「こんな状況だもん、しょうがないよ。私たち姿は小学生だし、ここは割り切っちゃおうよ」
「う……うん、そうだね……」

 さすがみれちゃんだ、と思う銀河だった。
 恥ずかしがった自分のほうがいやらしい気がして、銀河は急いで頭の中を切り替えた。
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