5 / 87
■第1章 突然の異世界サバイバル!
0020 ブーンズ誕生!
しおりを挟む一度手元の画面を確認すると『achievement:達成』の文字がポップアップで表示されていた。
「まさか、うそだろ……」
「ぎっ、銀ちゃ……」
その声に視線を向けると、いつの間にかキャラクターが美怜のそばに近寄っていて、美怜が硬直したまま小刻みに震えていた。
「み、みれちゃん、大丈夫だよ! そのキャラクターは攻撃力はなくて、そのっ……、ゲームでいうところの魔法元素みたいな存在だから!」
「へ……、……?」
慌てて叫んで駆け寄った。美怜にも見えるようにタブレットを掲げた。
いつ間にか、画面がPortfolio:作品集に切り替わっている。キャラクターの名前や説明書きが書けるスペースが表示され、たった今、銀河がいった言葉が音声認識されてそのまま自動的に文字表記されていた。
美怜がこわごわとキャラクターと画面と銀河を見る。
「こ、この白いの、ぎ、銀ちゃんが、出したの……?」
「そうみたいだ……。試しでギブバースっていうコマンドを選択したら、こいつが出てきた……」
「なんて……いうの?」
「え?」
「名前……」
美怜にいわれて頭を巡らせた。このキャラクターはなにかを想定して描いたというよりかは、常に銀河の中にあったイメージが、手の赴くままに形になったようなものだった。それでも、銀河には直観があった。
「イコ」【※6】
そういうと、ポートフォリオの名前の枠に『イコ』と表示された。新たにポップアップ表示が出ると、ピロンッと通知音が鳴った。
「ブーンズに名前をつけました! レベルが上がりました。BPが上がりました。LPが上がりました。DPが上がりました」
「ブ、ブーンズ……?」
「こ、これなに、ゲーム? これも銀ちゃんがつくったの?」
「い、いや……」
混乱しながらも、イコが恐ろしいものではないとわかった美怜が、そうっと人差し指でツンツンし始めた。
「イコ……。は、はじめまして、私は小南美怜だよ……」
「……」
「……あれ、しゃべれないの?」
そういわれて銀河はまた画面に目を落とした。
(イコは、いわゆるファンタジーにおける元素とかマナみたいなもの。それがまとまって形を成したものなんだ。高い知能はなく、ただふわふわと存在するだけで、できることといったら、少し空気を温かくできたり涼しくできたりするくらい。大きくなるまでは喋れない。……というか、大きくなっても人の声を真似するだけで、言葉の意味は理解しないんだ)
驚いた。今思ったことが、そのまま説明書きに表示されていった。
「す、すごい……。このタブレット、僕が思ったことをリアルタイムでそのまま表示してる……」
「え……っ?」
「このキャラクター、ずっと好きで描いてたんだけど、仕事としては、まあ、使い道がなくて……。でも僕の中ではキャラ立ちしているんだ。といっても、ただふわふわしてそこにいるだけで、なんの役にも立たないキャラクターなんだけど……」
「そうなんだ。怖い子じゃなくてよかった……。でも、どうしてこんなことが突然できるようになったの?」
「このGBってアプリのせいみたいだ……」
「あれっ、Gre……グレイテストブーンズ? アプリの名前が変わってるね。ロゴマークのGBは一緒だけど……」
「うん、僕もさっき気が付いたんだ」
どういうことだろう。摩訶不思議が連続して起こりすぎて、もはや頭の中がいっぱいだ。
ふたりのそばではさっきからずっとイコがとぼけた顔でふわふわと揺れている。それを見つめながら銀河は思った。……都合が良すぎるかもしれない。でも、ひとつの仮説が頭に思い浮かんでいた。
「みれちゃん……、もしかするとの話をしてもいいかな……」
「うん……」
「僕たち、今、地球じゃないんじゃないかな……」
「えっ……。あ、うん……」
美怜の瞳が動揺で大きく揺れた。だが、不安を抑え込むようにひとまずうなづく。
「気がついたら、突然見たことのない場所にいて、体が若返っていたりする話、聞いたことあるんだ……」
「あっ……! う、宇宙人に改造されて、他の惑星に連れて来られて……きたの……かな……?」
「そうかもしれない。けど、これって僕がよく読んでるラノベの展開によく似てるんだ」
「ラノベ……って、ライトノベル?」
「うん。僕たち、この世界に勇者として召喚されたんじゃ……」
「え、勇者……? ってゲームの……?」
「ゆ、勇者じゃなくても! さ、最近はそういう話がたくさんあるんだよ……」
「う~ん……? でもそれって、作り話だよね……?」
突拍子もない話というのはわかっている。もしかするとの仮設が正しかったとしても、現時点では、わからないことが多すぎる。落ち着いて検証するべきだろう。
銀河と美怜は互いに向き合ってそこへ座った。イコがそのそばから離れず、プカプカとただ浮いている……。
「現状を整理しよう……」
「う、うん」
宇宙人の連れ去りなのか、勇者の召喚なのかはわからない。
だが現在はっきりしているのは、ここは、危険な大蛇が出るような森の中。それなのに銀河と美怜は無防備で、しかも小学生の姿になって存在している。
手元にはいくつかの道具はあるが、水や食料や寝床を確保しなければ、恐らく生き永らえることができない。それらはこのあとふたりで探しに行くとして、次なる疑問は、銀河のタブレットと、突如現れたこのブーンズなる存在だ。
「改めて見てみてんだけど……」
35
あなたにおすすめの小説
『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?
釈 余白(しやく)
児童書・童話
毒親の父が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い、残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。
その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。
最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。
連載時、HOT 1位ありがとうございました!
その他、多数投稿しています。
こちらもよろしくお願いします!
https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394
『ラーメン屋の店主が異世界転生して最高の出汁探すってよ』
髙橋彼方
児童書・童話
一ノ瀬龍拓は新宿で行列の出来るラーメン屋『龍昇』を経営していた。
新たなラーメンを求めているある日、従業員に夢が叶うと有名な神社を教えてもらう。
龍拓は神頼みでもするかと神社に行くと、御祭神に異世界にある王国ロイアルワへ飛ばされてしまう。
果たして、ここには龍拓が求めるラーメンの食材はあるのだろうか……。
異世界転移が決まってる僕、あと十年で生き抜く力を全部そろえる
谷川 雅
児童書・童話
【第3回きずな児童書大賞 読者賞受賞作品】
「君は25歳の誕生日に異世界へ飛ばされる――準備、しておけよ」
そんなリアルすぎる夢を見たのは、中学3年・15歳の誕生日。
しかも、転移先は「魔法もあるけど生活水準は中世並み」、しかも「チート能力一切なし」!?
死ぬ気で学べ。鍛えろ。生き抜け。
目指すのは、剣道×農業×経営×工学を修めた“自己完結型万能人間”!
剣道部に転部、進学先は国立農業高校。大学では、園芸、畜産・農業経営・バイオエネルギーまで学び、最終的には油が採れるジャガイモを発見して学内ベンチャーの社長に――
そう、全部は「異世界で生きるため」!
そしてついに25歳の誕生日。目を覚ますと、そこは剣と魔法の異世界。
武器は竹刀、知識はリアル、金は……時計を売った。
ここから始まるのは、“計画された異世界成り上がり”!
「魔法がなくても、俺には農業と剣がある――」
未来を知る少年が、10年かけて“最強の一般人”になり、異世界を生き抜く!
※「準備型転移」×「ノンチートリアル系」×「農業×剣術×起業」異色の成長譚!
星降る夜に落ちた子
千東風子
児童書・童話
あたしは、いらなかった?
ねえ、お父さん、お母さん。
ずっと心で泣いている女の子がいました。
名前は世羅。
いつもいつも弟ばかり。
何か買うのも出かけるのも、弟の言うことを聞いて。
ハイキングなんて、来たくなかった!
世羅が怒りながら歩いていると、急に体が浮きました。足を滑らせたのです。その先は、とても急な坂。
世羅は滑るように落ち、気を失いました。
そして、目が覚めたらそこは。
住んでいた所とはまるで違う、見知らぬ世界だったのです。
気が強いけれど寂しがり屋の女の子と、ワケ有りでいつも諦めることに慣れてしまった綺麗な男の子。
二人がお互いの心に寄り添い、成長するお話です。
全年齢ですが、けがをしたり、命を狙われたりする描写と「死」の表現があります。
苦手な方は回れ右をお願いいたします。
よろしくお願いいたします。
私が子どもの頃から温めてきたお話のひとつで、小説家になろうの冬の童話際2022に参加した作品です。
石河 翠さまが開催されている個人アワード『石河翠プレゼンツ勝手に冬童話大賞2022』で大賞をいただきまして、イラストはその副賞に相内 充希さまよりいただいたファンアートです。ありがとうございます(^-^)!
こちらは他サイトにも掲載しています。
運よく生まれ変われたので、今度は思いっきり身体を動かします!
克全
児童書・童話
「第1回きずな児童書大賞」重度の心臓病のため、生まれてからずっと病院のベッドから動けなかった少年が12歳で亡くなりました。両親と両祖父母は毎日のように妾(氏神)に奇跡を願いましたが、叶えてあげられませんでした。神々の定めで、現世では奇跡を起こせなかったのです。ですが、記憶を残したまま転生させる事はできました。ほんの少しだけですが、運動が苦にならない健康な身体と神与スキルをおまけに付けてあげました。(氏神談)
14歳で定年ってマジ!? 世界を変えた少年漫画家、再起のノート
谷川 雅
児童書・童話
この世界、子どもがエリート。
“スーパーチャイルド制度”によって、能力のピークは12歳。
そして14歳で、まさかの《定年》。
6歳の星野幸弘は、将来の夢「世界を笑顔にする漫画家」を目指して全力疾走する。
だけど、定年まで残された時間はわずか8年……!
――そして14歳。夢は叶わぬまま、制度に押し流されるように“退場”を迎える。
だが、そんな幸弘の前に現れたのは、
「まちがえた人間」のノートが集まる、不思議な図書室だった。
これは、間違えたままじゃ終われなかった少年たちの“再スタート”の物語。
描けなかった物語の“つづき”は、きっと君の手の中にある。
村から追い出された変わり者の僕は、なぜかみんなの人気者になりました~異種族わちゃわちゃ冒険ものがたり~
楓乃めーぷる
児童書・童話
グラム村で変わり者扱いされていた少年フィロは村長の家で小間使いとして、生まれてから10年間馬小屋で暮らしてきた。フィロには生き物たちの言葉が分かるという不思議な力があった。そのせいで同年代の子どもたちにも仲良くしてもらえず、友達は森で助けた赤い鳥のポイと馬小屋の馬と村で飼われている鶏くらいだ。
いつもと変わらない日々を送っていたフィロだったが、ある日村に黒くて大きなドラゴンがやってくる。ドラゴンは怒り村人たちでは歯が立たない。石を投げつけて何とか追い返そうとするが、必死に何かを訴えている.
気になったフィロが村長に申し出てドラゴンの話を聞くと、ドラゴンの巣を荒らした者が村にいることが分かる。ドラゴンは知らぬふりをする村人たちの態度に怒り、炎を噴いて暴れまわる。フィロの必死の説得に漸く耳を傾けて大人しくなるドラゴンだったが、フィロとドラゴンを見た村人たちは、フィロこそドラゴンを招き入れた張本人であり実は魔物の生まれ変わりだったのだと決めつけてフィロを村を追い出してしまう。
途方に暮れるフィロを見たドラゴンは、フィロに謝ってくるのだがその姿がみるみる美しい黒髪の女性へと変化して……。
「ドラゴンがお姉さんになった?」
「フィロ、これから私と一緒に旅をしよう」
変わり者の少年フィロと異種族の仲間たちが繰り広げる、自分探しと人助けの冒険ものがたり。
・毎日7時投稿予定です。間に合わない場合は別の時間や次の日になる場合もあります。
ノースキャンプの見張り台
こいちろう
児童書・童話
時代劇で見かけるような、古めかしい木づくりの橋。それを渡ると、向こう岸にノースキャンプがある。アーミーグリーンの北門と、その傍の監視塔。まるで映画村のセットだ。
進駐軍のキャンプ跡。周りを鉄さびた有刺鉄線に囲まれた、まるで要塞みたいな町だった。進駐軍が去ってからは住宅地になって、たくさんの子どもが暮らしていた。
赤茶色にさび付いた監視塔。その下に広がる広っぱは、子どもたちの最高の遊び場だ。見張っているのか、見守っているのか、鉄塔の、あのてっぺんから、いつも誰かに見られているんじゃないか?ユーイチはいつもそんな風に感じていた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
