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■第1章 突然の異世界サバイバル!
0040 ブーンズはお腹が空かない?
しおりを挟む一方の銀河は、GBアプリの仕組みやステータスについて検証し、おおよそのことを理解し推定することができた。
(まず……。僕とみれちゃんは転生者。そしておそらくここは地球とは別の異世界。とはいえまだ宇宙人による連れ去りや、改造の可能性がゼロというわけじゃないけど、タブレットや眼鏡が表すことを前提に、状況を僕なりに肯定したとしよう)
タブレットの数値を目で追う銀河。
(この世界のステータスの主たる項目はLPとBP。LPはライフポイント。おおよそ体力と考えてよさそうだ。これはみれちゃんが行って帰ってくるたびにじわじわ目減りしていることからも明らかだ)
銀河は次の数字に目を移す。
(次にBP、これはブーンズポイント。イコをもう一体生み出したらカウンターが減少したから、これも間違いない。今のところ、僕はブーンズを生むことでBPを消費する)
眼鏡越しに美怜を確認する。
(みれちゃんにもBPがあるということは、みれちゃんにも同じ能力があるのかもしれない。あるいは、全く別の種類の才能やスキルかもしれないけど、今のところみれちゃんのBPは全く減っていない。そして、これがゲームだったら、一晩寝ればこれらの数値は回復する、というのがセオリーだけど、それは寝てみなきゃわからないな)
銀河は新たに生み出したもう一体のイコを見つめた。
(次にブーンズ。ブーンズを生み出すにはこのタブレットに表示されている量のBP消費が必要となる。いつの間にかポートフォリオにそれらの情報が更新されていたけれど、残念ながらこの数値は僕の意志では変えられない)
まさにゲームシステムのようななにかの制御が働いているようだ。EXPを貯めてレベルを上げる。そうするとステータスが上がり、できることが増えていく。このあたりもゲームシステムと似ている。
(ひとまずGBアプリのシステムは、僕が知っているようなゲームと同じに捉えて今のところ問題なさそうだ。僕の残りのBPは301。ポートフォリオの中で生み出せそうなものはいくつかあるけど、できれば身の安全を守るためにも戦えるキャラクター、まずはヒシャラがいい)
とにかくよく考えて使わないと、BP切れでいざというとき困ってしまう。顎に手をやって、銀河はさらに考える。
(……それと、よくわからないのが、ブーンズのステータスがBP、LPの順で表示されていること。これが人のつくったシステムなら単純なミスかとも思うけど、多分、これには意味があるんだろうな……)
ブーンズにとっては、LPよりもBPのほうが重要だということを表しているのだろう。もしかしたら、LPがゼロになっても死なないけれど、BPがゼロになったら死んでしまうのかもしれない。
(その逆で、僕らはBPを使い切っても死なないけど、LPを使い切ったら……。そんなことにはならないように気をつけるしかないけど……。これが普通のゲームと同じで、セーブポイントやリセットボタン、あるいはライフが複数あるというわけじゃなければ、僕たちは決して、この命をやり直すことはできないんだ……)
イコのステータスに目を向ける。
(そして、目下一番の謎はこれか、DP。これは言い方は難しいけど、多分、やる気。……気力とでもいうんだろうか)
タンズは三体ともレベルが上がり、BP、LP、DP、EXPが上昇した。そのあとも、不規則的にDPとEXPが上昇した。初めはなぜか全然わからなかったけれど、美怜を見ていたら気がついた。
(みれちゃんがイコやタンズの名前を呼んだり、褒めたり、なでたりするタイミングでいつも通知音が鳴ったからな。ブーンズたちは多分、人に可愛がられたり認められたりすることで成長するんだろう。まあ、それは普通に人が育つのと同じだから、不思議ではないよな)
そう思うものの、銀河はポリポリと頭を掻く。
(……とはいえ、ブーンズ相手でもうまくコミュニケーションが取れる、みれちゃんがいたからこそ気がついたけど、僕ひとりだったらいまだわからなかったかもしれないな。ゲームの経験値カウンターは気にするけど、やる気値カウンターがあってもステータス設定のタイミングでは大して重要視しないもんな……。やる気、気力……そうだな、一応DPはDrive pointと呼ぶことにしよう)
頭の中がある程度整理されたところで、香ばしい匂いが漂ってきた。
驚いてしまった。いつの間にか、もう太陽の位置があんなに低いところへ来ている。検証に夢中になりすぎていたかもしれない。
「銀ちゃん、お魚焼けたみたいだよ」
「あっ、うん……!」
呼ばれて行ってみると、なにもない森の中だったというのに、原始的ながらこぢんまりとしたそれらしい食卓が整っていた。チリチリと燃える焚き火。枝で作った箸。皿代わりの大きい葉っぱの上には摘みたてのベリー。【※11】
火に当てられ、串に刺さってジュワッと滴らせているヤマメのような魚の焦げ具合……! 急に空腹の虫が騒ぎ出す。
「みれちゃん、いつの間にこんなに……!? ていうかなにからなにまでごめん……! 僕ひとつも手伝わなくて……」
「この子たちがいたから大丈夫だったよ。それにすごく集中してるみたいだったから」
「む~」
「む~」
「む~」
「次は僕もやるから……! こんなにたくさんの準備、すごく大変だったよね……!」
「うん、火おこしだけ初めてだから、ちょっと難しかった。友達と一緒にキャンプに行ったときにち少し手伝ったくらいだったけど、思い出しながらやったら意外とできたから、自分でも驚いちゃったよ~。さっ、食べよ~!」
差し出された串焼きの匂いがそそられて、銀河は魚にかぶりついた。
「う、うま……っ。はふっ、焼き立てって、おいしいね!」
「ほんと? よかった~! 塩があればもっとよかったけどね」
美怜は魚を葉っぱのお皿の上でほぐした。
「はい、ヒトエタン、クラウンタン、ユリタン、イコもどうぞ」
「む、む~……」
ヒトエタン、クラウンタン、ユリタンが互いの顔を見合わせている。イコは黙ったまま、とぼけた顔で美怜を見つめていた。
「あれっ、……君たちもしかしてお魚食べられないの……?」
その様子を見て銀河は、はっとした。
「みれちゃん、わかった! ブーンズは人間と同じものを摂取しないんだよ!」
「えっ、そうなの?」
「うん、これ見て!」
銀河はタブレットでタンズのステータスを美怜に見せた。
「僕たちはLP、BPの順番で表示されるよね。でもブーンズはその逆だ。BP、LPの順番ということは、BPがブーンズにとっての生命活動の源のエネルギーってことなんだと思う」
「え、え~……? はわ~……そ、そういうこと~……? 不思議だとは思ってたけど、ますます不思議だね……。じゃあ、君たちお腹は減らないの?」
「む~」
「む~」
「む~」
美怜は目を丸くしたあと、すぐさまうなずく。
「そっかあ、そうなんだね」
「えっ、みれちゃん、今のでわかったの?」
「あ、うん、なんとなくだけど、この子たち、よしよしって撫でてあげると喜ぶの。だからそうして欲しいのかなって」
「みれちゃんて、すごいな……」
「そんなことないよぉ~、この子たちブーンズの生みの親の銀ちゃんのほうがすごいって」
屈託なく笑う美怜の褒め言葉にほのかに心ときめきながら、銀河は魚を口いっぱいにほおばった。ベリーもみずみずしく熟していて美味しかった。
いや、現代の味に慣れたふたりにとって、調味料もない淡白な魚は味気なかったし、ベリーだって食べつけていない渋みや酸味もあった。けれど美味しく感じたのは、一緒に食べる人がいたからだ。
【※11】森で採れた木の実や茸を食べる方法 …… 情報602
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