【3章】GREATEST BOONS ~幼なじみのほのぼのバディがクリエイトスキルで異世界に偉大なる恩恵をもたらします!~

丹斗大巴

文字の大きさ
44 / 87
■第1章 突然の異世界サバイバル!

021 異世界の洗礼(2)※

しおりを挟む
※ お知らせ ※ このページには一部において暴力描写があります。気になる方や読みたくない方は、スルーして次のページへお進みください。このお話はフィクション(創作)です。現実の社会では、どのような場合であっても、暴力や犯罪行為は許されません。それをご理解いただける場合のみご覧ください。このお知らせの意味が分からない場合は、周りにいる頼れる大人に相談してみて下さい。


  穏やかな夜が過ぎ――。
 次の朝もいつものように迎えられると思っていた銀河と美怜だったが、突然の騒々しい音に目を覚ました。
 ――ドカッ、ドグッ!

「ぐはっ!」

 明らかにもみ合うような音と、なにかの打撃を受けた声。声の主はジルドに違いなかった。

「ピッカランテッカラン、コール!」

 慌てて叫んだとき、隣で寝ていたはずの美怜が悲鳴を上げた。ピッカランテッカランが興奮して順番どおりに並んでくれない。灯りがついたり消えたりしている。

「ピッカランテッカラン、ちゃんと整列しろ!」

 そのとき、ネルの声が甲高く響いた。

「だめぇっ、おねえちゃんの鞄はなしてぇっ!」
「離れろっ、ガキ!」

 ――ガスッ、ドサッ!

 その音と振動に、銀河と美怜は一瞬で背筋が寒くなった。銀河はさらに鋭く声を上げた。

「ピッカランテッカラン、いますぐ早く整列しろ!」

 複数の何者かがかけ去っていく音。ようやくピッカランテッカランが整列して明かりがともったとき、ジルドとネルが血を流してそこに倒れていた。

「ジ、ジルドッ! ネル!」
「なっ、なにが、なにがあったんだい!?」

 ナラが叫び、ムナが手探りで事態を把握しようと必死になっている。ジルドは殴られ、蹴られたらしい腹を抱えてうめいている。ネルは意識すらない。

「ぎ、銀ちゃん……!」
「みれちゃん、無事!? リュックは?」
「と、盗られたみたい……」
「ああっ、ジルド! ネル!」
「怪我かいっ? 誰からやられたんだね!?」

 ムナとナラ、そして美怜が必死にふたりを介抱し始めていた。それを見て、銀河の頭が、かあっと熱くなった。

(どうして、こんな……っ、許せない……!)

 ジルドが忠告してくれたのに、もっと慎重にするべきだったのかもしれない。でも、彼らと仲良くなれたことがうれしくて、自分のつくったものを喜んで使ってもらえる、そのことに喜んでいる美怜を見ている自分も幸せで、すっかりこの街に溶け込めたような気がしてしまっていた。油断した。町に着いたことで、人がたくさんいることで、楽観視をしすぎたのだ。こんなの、森にいたほうがまだ安全じゃないか。モンスターよりも人のほうがはるかに凶悪だ。銀河は腹の底がぐらぐらと燃えるような気がした。

「銀ちゃん、どうしよう……! マロカゲ……ッ」

 銀河は素早く治療系ブーンズをコールした。光りと共に突然現れたカタサマ、マロカゲ、マチドリに、ナラが驚き、銀河と交互に見つめる。

「こ、これは……?」

 説明するほどの冷静さもなく、銀河はただ目を走らせていた。ジルドは大量の血を吐きながら、お腹を抱えてジタバタと蠢いている。どう見ても、口が切れた程度の出血量じゃない。多分内臓から血が出ている。マロカゲで外傷だけ直したとしても意味がない。

 ネルは呼吸と脈はあるが、ひどく殴られたらしい頭はわずかに陥没していて、血が流れるとともに完全に気を失っている。こんな小さな体でよく悪漢に逆らってリュックをまもろうとしてくれたものだ。無謀を通り越して、もはや尊敬の念すら感じる。

「銀ちゃん、お願い、助けてあげて……っ!」

 美怜がポロポロ涙を流してネルの手を握っている。

「できる限りのことをやってみるよ、みれちゃん! マチドリ、まずはふたりに麻酔だ!」
「ミーッ!」
「な、なに、なにをしているの?」
「なにがおこってるんだね?」
「ナラさん、ムナさん、できる限り、今手当てを、銀ちゃんがしてくれるって!」

 マチドリがお尻の針をそれぞれに注射した。ネルは変わりなかったが、ジルドはすぐに大人しくなり、すうっと眠りについた。

「ジッ、ジルド!?」
「大丈夫、眠っただけだよ……!」

 美怜の説明でナラとムナが開きかけた口を閉じる。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?

釈 余白(しやく)
児童書・童話
 毒親の父が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い、残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。  その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。  最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。 連載時、HOT 1位ありがとうございました! その他、多数投稿しています。 こちらもよろしくお願いします! https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394

運よく生まれ変われたので、今度は思いっきり身体を動かします!

克全
児童書・童話
「第1回きずな児童書大賞」重度の心臓病のため、生まれてからずっと病院のベッドから動けなかった少年が12歳で亡くなりました。両親と両祖父母は毎日のように妾(氏神)に奇跡を願いましたが、叶えてあげられませんでした。神々の定めで、現世では奇跡を起こせなかったのです。ですが、記憶を残したまま転生させる事はできました。ほんの少しだけですが、運動が苦にならない健康な身体と神与スキルをおまけに付けてあげました。(氏神談)

生まれたばかりですが、早速赤ちゃんセラピー?始めます!

mabu
児童書・童話
超ラッキーな環境での転生と思っていたのにママさんの体調が危ないんじゃぁないの? ママさんが大好きそうなパパさんを闇落ちさせない様に赤ちゃんセラピーで頑張ります。 力を使って魔力を増やして大きくなったらチートになる! ちょっと赤ちゃん系に挑戦してみたくてチャレンジしてみました。 読みにくいかもしれませんが宜しくお願いします。 誤字や意味がわからない時は皆様の感性で受け捉えてもらえると助かります。 流れでどうなるかは未定なので一応R15にしております。 現在投稿中の作品と共に地道にマイペースで進めていきますので宜しくお願いします🙇 此方でも感想やご指摘等への返答は致しませんので宜しくお願いします。

生贄姫の末路 【完結】

松林ナオ
児童書・童話
水の豊かな国の王様と魔物は、はるか昔にある契約を交わしました。 それは、姫を生贄に捧げる代わりに国へ繁栄をもたらすというものです。 水の豊かな国には双子のお姫様がいます。 ひとりは金色の髪をもつ、活発で愛らしい金のお姫様。 もうひとりは銀色の髪をもつ、表情が乏しく物静かな銀のお姫様。 王様が生贄に選んだのは、銀のお姫様でした。

村から追い出された変わり者の僕は、なぜかみんなの人気者になりました~異種族わちゃわちゃ冒険ものがたり~

楓乃めーぷる
児童書・童話
グラム村で変わり者扱いされていた少年フィロは村長の家で小間使いとして、生まれてから10年間馬小屋で暮らしてきた。フィロには生き物たちの言葉が分かるという不思議な力があった。そのせいで同年代の子どもたちにも仲良くしてもらえず、友達は森で助けた赤い鳥のポイと馬小屋の馬と村で飼われている鶏くらいだ。 いつもと変わらない日々を送っていたフィロだったが、ある日村に黒くて大きなドラゴンがやってくる。ドラゴンは怒り村人たちでは歯が立たない。石を投げつけて何とか追い返そうとするが、必死に何かを訴えている. 気になったフィロが村長に申し出てドラゴンの話を聞くと、ドラゴンの巣を荒らした者が村にいることが分かる。ドラゴンは知らぬふりをする村人たちの態度に怒り、炎を噴いて暴れまわる。フィロの必死の説得に漸く耳を傾けて大人しくなるドラゴンだったが、フィロとドラゴンを見た村人たちは、フィロこそドラゴンを招き入れた張本人であり実は魔物の生まれ変わりだったのだと決めつけてフィロを村を追い出してしまう。 途方に暮れるフィロを見たドラゴンは、フィロに謝ってくるのだがその姿がみるみる美しい黒髪の女性へと変化して……。 「ドラゴンがお姉さんになった?」 「フィロ、これから私と一緒に旅をしよう」 変わり者の少年フィロと異種族の仲間たちが繰り広げる、自分探しと人助けの冒険ものがたり。 ・毎日7時投稿予定です。間に合わない場合は別の時間や次の日になる場合もあります。

14歳で定年ってマジ!? 世界を変えた少年漫画家、再起のノート

谷川 雅
児童書・童話
この世界、子どもがエリート。 “スーパーチャイルド制度”によって、能力のピークは12歳。 そして14歳で、まさかの《定年》。 6歳の星野幸弘は、将来の夢「世界を笑顔にする漫画家」を目指して全力疾走する。 だけど、定年まで残された時間はわずか8年……! ――そして14歳。夢は叶わぬまま、制度に押し流されるように“退場”を迎える。 だが、そんな幸弘の前に現れたのは、 「まちがえた人間」のノートが集まる、不思議な図書室だった。 これは、間違えたままじゃ終われなかった少年たちの“再スタート”の物語。 描けなかった物語の“つづき”は、きっと君の手の中にある。

少年騎士

克全
児童書・童話
「第1回きずな児童書大賞参加作」ポーウィス王国という辺境の小国には、12歳になるとダンジョンか魔境で一定の強さになるまで自分を鍛えなければいけないと言う全国民に対する法律があった。周囲の小国群の中で生き残るため、小国を狙う大国から自国を守るために作られた法律、義務だった。領地持ち騎士家の嫡男ハリー・グリフィスも、その義務に従い1人王都にあるダンジョンに向かって村をでた。だが、両親祖父母の計らいで平民の幼馴染2人も一緒に12歳の義務に同行する事になった。将来救国の英雄となるハリーの物語が始まった。

大人で子供な師匠のことを、つい甘やかす僕がいる。

takemot
児童書・童話
 薬草を採りに入った森で、魔獣に襲われた僕。そんな僕を助けてくれたのは、一人の女性。胸のあたりまである長い白銀色の髪。ルビーのように綺麗な赤い瞳。身にまとうのは、真っ黒なローブ。彼女は、僕にいきなりこう尋ねました。 「シチュー作れる?」  …………へ?  彼女の正体は、『森の魔女』。  誰もが崇拝したくなるような魔女。とんでもない力を持っている魔女。魔獣がわんさか生息する森を牛耳っている魔女。  そんな噂を聞いて、目を輝かせていた時代が僕にもありました。  どういうわけか、僕は彼女の弟子になったのですが……。 「うう。早くして。お腹がすいて死にそうなんだよ」 「あ、さっきよりミルク多めで!」 「今日はダラダラするって決めてたから!」  はあ……。師匠、もっとしっかりしてくださいよ。  子供っぽい師匠。そんな師匠に、今日も僕は振り回されっぱなし。  でも時折、大人っぽい師匠がそこにいて……。  師匠と弟子がおりなす不思議な物語。師匠が子供っぽい理由とは。そして、大人っぽい師匠の壮絶な過去とは。  表紙のイラストは大崎あむさん(https://twitter.com/oosakiamu)からいただきました。

処理中です...