運命の時・・アリサ・・そしてアリシア姫とアジェンダ王の物語

のの(まゆたん)

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楽し気な遠出と竜人の守護者

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「くそおお 必ず一矢報いてやる」白の宗主シューツオンは 痛む片眼や顔の傷に
顔をしかめながら 呟いている
美しい顔も無残な有様だ

そして 宗主の異母弟フェルナンドは 占領された
白の王都を丘から隠れて見下ろし 唇を噛みしめている

一日の惨い略奪や多くの虐殺があったものの
シューツオンの支配よりは 今はとても比べられない程の
活気と人々の笑顔があった

僅か1か月足らずの事である

老人たちや病の者達は無料病院で手厚く保護され守られている
親のいない子供達は 優しい神官達がいる場所で保護される

アジェンダの作った神殿の神官達の
施設で飢えも寒さに震える事もなく 安心して学びながら施設で寝起きしていた

悪行の限りをつくした奴隷商人達は追われ、あるいは捕まり殺され
捕まった娘たちや少年たちの多くは解放された

街の商人達は戻って来て 店を再開して市場はどこも賑やかだ

王都の治安は黒の騎士達が守り 穏やかな日々が訪れている

長年の憎しみと忘れられない略奪の1日の事を天秤に計り
王都の民の心は複雑だった

更には 石を投げ、悪口を言い立てた 
王の婚約者アリシア姫やヴァインズ子爵ことサリューンは
よく王都に来ては 慈善に力を入れている

ヴァインズ子爵(サリューン)はアリシア姫の警護をしながらであるが・・

白の民の一人の少年 後の大神官が
アリシア姫とサリューンに頭を撫でられ 仲良く小一時間程
お茶を共にした

「うふふ 可愛い」「そうですね 神官になりたいとか」

「はい白の癒しの神殿は この新たな黒の国から来た癒しの神殿と統合する事で
再び力を取り戻しました 僕はこの神殿を支える神官になりたいです

力なき民を助ける神殿・・沢山の孤児や老人達 病になった者達が救われてます
黒の国から来た神官様達に感謝しております」

「頑張ってね」「本当に・・」

「・・・いつか我らは遠からず黒の国に去るだろう
だが 灯した火が残る事を祈ってる」

「シューツオンは問題が在りすぎる しかし 彼が白の国の正式な支配者
そして ここは白の国の王都だ」サリューン

「・・そうね こればかりは仕方ない事ね」アリシア


シューツオンの支配の時代
祭りは行われず 王都の民は飢えや密告による処刑に怯えるばかりであった
病で多くが亡くなり 美しい娘たちや少年達は奴隷商人やならず者達の悪行に怯えていた
立場の弱い病がちな老人達や病を持つ者達は家族に迷惑をかけまいと多くが死を選んだ

街に飾られるのは 処刑された生首や死体の数々である

悪夢の時代の一つと後々に語られる事となる



そんな中、晴れた良い天気

狩りやハイキングにはとても良い一日となりそうな予感がある

「うふふ なんて良い天気」アリシア姫達は嬉しそうである


計画通り 森への遠出 狩りや魚釣り ハイキングが目的である

間もなく冬の季節の到来 その前に森へと向かった

狩りでは アジェンダが沢山の獲物を狩った
サリューンは 手伝いに集中した

「狩りは得意なんですね」サリューン

「ふふ まあそんな処だ 死んだアラム達とよく狩りや魚釣りをしたよ」
自分が死に追い込んだ 幼い頃から兄弟のように暮らしたアラム達の事を思い出して
少し寂しげな表情を見せるアジェンダ

狩りに飽きると今度は魚釣りである
釣りも得意で これまた大量

「氷室に入れてと・・あるいは干し魚や塩に漬けるか ふふ」アジェンダ

「ですね」サラとサリューン

「すごい・・」アリシア

「姫の方は釣りはどうかな?」「全然です」

アシャは黒猫なので 素手で次々と捕まえる
「うふ~~~っ」

「・・・・・・」

野生の本能だな そっと思うサリューンやアジェンダ

夫であるアーシュことサラは沈黙してる

アリシアは楽しそうに拍手してる


「ふふ・・獲物で これは氷室が一杯になりそうだ」コック役のサラ(アーシュ)は
にこにこと笑いながら言う

手は忙しそうに獲物を捌いている

手が足りずに付き添いの女官たちにも
手伝ってもらう

アシャは獲物を破壊してしまったので
彼女はシクシクと半泣きしながら 黙ってみてる

「あんんん・・すいませんんん」「どうやったら 粉々に砕け散るアシャ?」サラ

「くすんんん」アシャが泣いているとアリシアやサリューンが頭をナデナデして慰める

アジェンダは目を見開き 粉々になった獲物を見てる
「・・・これは不器用というものらしい」ポツリと独り言

やがて お昼の食事の時間

サラことアーシュの料理 お茶のセットなども持ち込んでいる
サリューンとアシャが果実を収穫してきたので それも食べる

「スコーンが美味しい うふ」

「お茶もいけるな 白の国の紅茶は美味だ
それに貿易で入って来た遠方の東洋の果実のライチの実の飲み物が美味しい」

「作り方がわかれば ここでも栽培出来ますね」サラ

「・・そうだな それが可能なら良いが
それに白の国の果実だが とてもこれも美味だ
サリューンとアシャは詳しいな」

「・・・ふふ 客には白の国の人間もいましたから
それに国境近くの売春宿でしたから 仲間に白の民もいましたので」

本当は白の国での人質時代にリアンやエイルに教わったとは
流石に言えない

果物の皮を小刀で剥き アジェンダや他の者達に手渡す
サリューン

「・・・・そうか すまぬサリューン アシャは?」

「え・・えええっと」

「アシャは貿易の仕事もしてましたから客に白の国の民も
多かったです アジェンダ様」サラのフォロー

皆 楽し気に会話をして 笑いあっていた


弓で狙っている者がいた

アジェンダを狙い 弓を弾き絞る

ポンを背中を軽く叩く者

「ちょっととおお そんな事されちゃうと困るんですけどお
フェルナンド王子様ああ」アシャ

「全くだ」「そうだな」サラとサリューンもすぐ傍に立ってる

「・・・逃がしてやるから さっさと行け
白の王族のリギシア王か 白の大貴族ルセア伯爵の処に行くがいい

二人は善人で 宗主家を大事に思っている」サラ

「・・・その声 覚えがある 前に処刑される直前
牢屋から逃がしてくれた

ヴァインズ子爵と同じ顔 片眼が赤い瞳 一体お前は・・あ 幽体か?」

「俺は彼の双子の兄 死者だがな」

「何故 助けた? ヴァインズ子爵は王の愛人なのに
子爵も知っているとは どういう事だ」

「さあな・・・リュース公爵アントレ様が悲しむから
という事にしておこうか」

「行け 気が付かれるぞ」「・・・・・・」何も言わずフェルナンドは逃げ出した

三人もアジェンダ達に気が付かれぬように戻る

また魚釣りをして 別荘に戻っていった

別荘に客人が一人来ていた
リュース公アントレである それと数人の竜人達

「・・・・アジェンダ様 お元気そうで何よりです
アリシア姫もサリューンも大変でしたね もう大丈夫ですか?

ああ・・サリューン 足を引きずって可哀そうに」

「それから手紙で話は聞いていたが
そっくりですね サラ 初めまして リュース公アントレです」
白の貴公子は そう言って微笑んだ

竜人の一人に 目を見開き驚くアジェンダ
「・・・・長年 現れないから 私には竜人の守護者はいないと思っていた
稀にそんな場合もあるから

あるいは出現する前に死んでしまったものと思っていた」

「・・・ようやくお会いできて嬉しいです
私が貴方様の守護者です 長年 白の国の捕虜として囚われておりました」

手を握り合うアジェンダと竜人


「あの・・ところで こちらの方は・・王族ですね
片眼が潰れておられますが 両眼は火焔の赤ですか?」

「・・・・私が貴方の守護者です 王族の方 もう一人の幽体の方もです」
幼い竜人の子供がサリューンとサラに向かって言った

「この子は私の友人の子ですアジェンダ様 王族の方 
親に死なれ 身寄りがなく私が面倒をみておりました」

「何故そんな顔をされるのですか皆さま?
私も感じます この方は王族です とても濃い血だ

姫様にも王家の血を感じますが この方はアジェンダ様同様に濃い」


「あ・・・」呆然とするサリューン


その子供の姿は本来の守護者である
 未来に現れるセルトによく似ていた

「・・・・セルトの先祖にあたる一人」
ポツリと小さな声でサラことアーシュが言う
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