見えない想いの行く末

花戸あみ

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side 真紀

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 どうやって買い物をして帰って来たのか分からない僕がいた。
 偶然出会った関根は僕の知らない人のようだった。ベッドに横になっている僕は何度もあの瞬間を思い出していた。

「はぁ~。カッコ良かった」

 街灯の下、ボタンダウンのブルーのシャツに黒の襟なしのレザージャケット、それに明るいネイビーのスリムフィットチノパンとカジュアルワークブーツを履いている姿は、180センチをゆうに越すガタイの良い関根が着ていると、まるでモデルがそこにいるかのようだった。

『どうかしたか?』
『関根って身長いくつ?』
『185』
『体重はいくつ?』
『75キロ。ってなんだ?』
『なんでもないです……』

 あの時は何か話さなければって思った僕だったけれど、急に恥ずかしくなってしまって、なんで自分が関根の身長、体重を聞いたのかも分からない。

「絶対、変に思われた~」

 ベッドの上で枕を抱きしめてゴロゴロと暴れ回った

 それにしても、すごく足が長かった。レザージャケットが大人ぽかった。全てがカッコよかった。考えただけで、頬が熱くなる。

「はぁ~本当にカッコ良かった~」

 あのドキドキはなんだった?
 びっくりしたことによるドキドキ?それじゃあ、吊り橋効果ってことかな?でも、それじゃ、ギュってなんだ?
 僕は好きなのか?
 好きってなんだろう?
 本当に分からない。

 違う違う、今は未優のことだ、僕のことはどうでも良い。未優の話を関根としなければ。

 今日は休もう。
 今日は眠ろう。眠って目覚めればきっと冷静になって考えることができるはず。

 眠ろう
 眠ろう………。
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