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式をあげてから初めての性交は、とても甘いものだった。
一つ一つの仕草がぴりぴりと肉体を駆け巡り、アダルの呼吸を乱れさせる。
シルヴィオの肉体は熱くて、アダルの四肢を、精神を甘くとかす。
「あ、あうぅ」
「気持ちいいか?」
「は、はい」
唇が触れる箇所が切なく痺れて、吐息がせわしなく漏れる。
裸体を絡めあい、まさぐるように抱き締めあう。
シルヴィオと繋がる秘部が熱くてたまらない。
「へいかあっ」
「名前を呼べ」
「し、しるヴぃおさまあ」
「シルヴィオだ」
「しるヴぃおおっ」
奥に愛する王の生命の源を注がれて、アダルは理性を失い喘ぎながら受け止めた。
落ち着いた頃、シルヴィオの腕に頭を乗せる形で微睡んでいると、ふいに視線を感じて瞳を開く。
「起こしたか」
「……いえ」
いつもならおどおどしてしまうのに、今は不思議と心穏やかに見つめていられる。
不思議といえば、どうしても腑に落ちない事があった。
「寝てていいぞ」
「不思議なのですが」
「ん?」
「あんなに私を嫌っていたシルヴィオ様が、何故、私と結婚をされたのか」
思いきった質問だった。
シルヴィオが苦い顔つきになり、怒っているような声を吐き出す。
「それはな、お前が悪いんだぞ」
「は、はい?」
詳しく聞いてみると、アダルが素直に「愛してます」と告白しなかった為に、苛ついて辛く当たっていたという話だった。
さらに。
「私のものになってくださいなんて言えるわけがありません!!」
「意気地のない奴だな」
「私の立場と性別をお考え下さい!」
「お前はいつまで堅苦しい言葉遣いでいるつもりだ?」
「はい?」
そのあとも色々と文句を言われたが、どれも理不尽な内容ばかりで項垂れた。
つまりは、アダルが要らない謙虚さを出し過ぎたせいで、シルヴィオは意地になり、アダルが素直にならない限り決して優しくしないと決めたという。
ルアになり、想いを伝えて来た事実はシルヴィオを混乱させたようだが、最終的には愛しさが勝り、許してしまった。
そんな話を聞きながら、幸せな眠りへと落ちていく。
異変は明け方に起こった。
「ん」
目を覚ましたアダルは、隣にシルヴィオがいない事に気づいて起き上がる。
なんとなく不安になり、その姿を探すために着替え終わった時だった。
突如、轟音が響き渡る。
「ひっ!?」
――な、なんだ!?
アダルはよろけながら音がした方角へ、次々に駆けつけた臣下達と共に庭園に飛び出した。
「なっ……」
広がっている光景に唖然とする。
庭は無惨に焼け焦げ、辺りには数十人の男が転がっている。
兵士たちのようだ。
中心にはシルヴィオと、ジェイム、フェリクスが向き合って立っていた。
「やっぱり強いねえ」
「なぜ、カルバスと組んだ?」
「面白いからあ」
「ジェイム様、もうやめて」
フェリクスがジェイムに抱きついて懇願している。
今にも泣き出しそうだ。
アダルは傍に駆け寄ろうとするが、シルヴィオに手で制される。
ジェイムが肩をすくめた。
「仕方ないな、出直そう」
「……くっ」
ジェイムの背後から怪我をしているカルバスが見えた。
フェリクスはアダルを見ると微笑み、三人は瞬時に消えてしまう。
「シルヴィオ様、お怪我は?」
「俺は無傷だ、問題ない」
「ですが……」
「お前を渡せと喧嘩を売られてな、ジェイムがたきつけたんだろう」
「……彼は、シルヴィオ様の何なのですか? あんな、美しい青年に化けて私を騙したり」
「美しい?」
「ええ、あの姿にはうっかりときめいて……?」
シルヴィオから先ほどよりも凄まじい殺気を感じて、アダルは後ずさる。
傍にいた臣下や、カルバスには荷担しなかった兵士達が、そそくさと離れていく。
「お前は倒れた奴等の手当てをしておけ、後で処分は下す」
「は、は?」
「俺は、あいつらを追う」
「まさか追いかけるつもりですか!?」
「止めるな!」
「お待ちください!」
アダルは思わずシルヴィオに抱きついて、共に空へと舞い上がる。
「うわ、と、とんだあ!?」
ざわめく皆の声がどんどん遠くなり、城や、町が眼下に見えた。
星と月が近い。
「綺麗だ」
驚き恐怖心を覚えながらも、自然と感動の呟きが漏れる。
「度胸があるな」
「あ」
背中に腕を回されてどぎまぎする。
「まだ国の中にいるな、掴まっていろ」
「は、はい!」
陛下の自信に満ちた笑み。
その横顔に惚れ惚れしながら、アダルは必死にその身体にしがみつく。
まさかこの追跡劇が新婚旅行につながるとは、夢にも思わなかった。
一つ一つの仕草がぴりぴりと肉体を駆け巡り、アダルの呼吸を乱れさせる。
シルヴィオの肉体は熱くて、アダルの四肢を、精神を甘くとかす。
「あ、あうぅ」
「気持ちいいか?」
「は、はい」
唇が触れる箇所が切なく痺れて、吐息がせわしなく漏れる。
裸体を絡めあい、まさぐるように抱き締めあう。
シルヴィオと繋がる秘部が熱くてたまらない。
「へいかあっ」
「名前を呼べ」
「し、しるヴぃおさまあ」
「シルヴィオだ」
「しるヴぃおおっ」
奥に愛する王の生命の源を注がれて、アダルは理性を失い喘ぎながら受け止めた。
落ち着いた頃、シルヴィオの腕に頭を乗せる形で微睡んでいると、ふいに視線を感じて瞳を開く。
「起こしたか」
「……いえ」
いつもならおどおどしてしまうのに、今は不思議と心穏やかに見つめていられる。
不思議といえば、どうしても腑に落ちない事があった。
「寝てていいぞ」
「不思議なのですが」
「ん?」
「あんなに私を嫌っていたシルヴィオ様が、何故、私と結婚をされたのか」
思いきった質問だった。
シルヴィオが苦い顔つきになり、怒っているような声を吐き出す。
「それはな、お前が悪いんだぞ」
「は、はい?」
詳しく聞いてみると、アダルが素直に「愛してます」と告白しなかった為に、苛ついて辛く当たっていたという話だった。
さらに。
「私のものになってくださいなんて言えるわけがありません!!」
「意気地のない奴だな」
「私の立場と性別をお考え下さい!」
「お前はいつまで堅苦しい言葉遣いでいるつもりだ?」
「はい?」
そのあとも色々と文句を言われたが、どれも理不尽な内容ばかりで項垂れた。
つまりは、アダルが要らない謙虚さを出し過ぎたせいで、シルヴィオは意地になり、アダルが素直にならない限り決して優しくしないと決めたという。
ルアになり、想いを伝えて来た事実はシルヴィオを混乱させたようだが、最終的には愛しさが勝り、許してしまった。
そんな話を聞きながら、幸せな眠りへと落ちていく。
異変は明け方に起こった。
「ん」
目を覚ましたアダルは、隣にシルヴィオがいない事に気づいて起き上がる。
なんとなく不安になり、その姿を探すために着替え終わった時だった。
突如、轟音が響き渡る。
「ひっ!?」
――な、なんだ!?
アダルはよろけながら音がした方角へ、次々に駆けつけた臣下達と共に庭園に飛び出した。
「なっ……」
広がっている光景に唖然とする。
庭は無惨に焼け焦げ、辺りには数十人の男が転がっている。
兵士たちのようだ。
中心にはシルヴィオと、ジェイム、フェリクスが向き合って立っていた。
「やっぱり強いねえ」
「なぜ、カルバスと組んだ?」
「面白いからあ」
「ジェイム様、もうやめて」
フェリクスがジェイムに抱きついて懇願している。
今にも泣き出しそうだ。
アダルは傍に駆け寄ろうとするが、シルヴィオに手で制される。
ジェイムが肩をすくめた。
「仕方ないな、出直そう」
「……くっ」
ジェイムの背後から怪我をしているカルバスが見えた。
フェリクスはアダルを見ると微笑み、三人は瞬時に消えてしまう。
「シルヴィオ様、お怪我は?」
「俺は無傷だ、問題ない」
「ですが……」
「お前を渡せと喧嘩を売られてな、ジェイムがたきつけたんだろう」
「……彼は、シルヴィオ様の何なのですか? あんな、美しい青年に化けて私を騙したり」
「美しい?」
「ええ、あの姿にはうっかりときめいて……?」
シルヴィオから先ほどよりも凄まじい殺気を感じて、アダルは後ずさる。
傍にいた臣下や、カルバスには荷担しなかった兵士達が、そそくさと離れていく。
「お前は倒れた奴等の手当てをしておけ、後で処分は下す」
「は、は?」
「俺は、あいつらを追う」
「まさか追いかけるつもりですか!?」
「止めるな!」
「お待ちください!」
アダルは思わずシルヴィオに抱きついて、共に空へと舞い上がる。
「うわ、と、とんだあ!?」
ざわめく皆の声がどんどん遠くなり、城や、町が眼下に見えた。
星と月が近い。
「綺麗だ」
驚き恐怖心を覚えながらも、自然と感動の呟きが漏れる。
「度胸があるな」
「あ」
背中に腕を回されてどぎまぎする。
「まだ国の中にいるな、掴まっていろ」
「は、はい!」
陛下の自信に満ちた笑み。
その横顔に惚れ惚れしながら、アダルは必死にその身体にしがみつく。
まさかこの追跡劇が新婚旅行につながるとは、夢にも思わなかった。
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