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空の上で絆されて

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シルヴィオに誘導されるまま、その身体にしがみつき、空の旅路を続けていると飛翔する舟を見つけた。

その入り口の窓から顔を覗かせると、二人に気づいた船員が慌てて入り口を開けた。

「陛下!? と、アダル様!?」
「すまないな、休ませてくれ、それと内密に頼む」
「は、はい!」

船員はアダルとシルヴィオを見てあわてふためき、急いで部屋を用意してくれた。

「久々に飛んだから疲れたな」

シルヴィオが借りた部屋の椅子に乱暴に腰掛け、骨をならす。
その隣に佇んでいたアダルは、すかさず肩を揉もうと背後に回ろうとした。
が、手首を掴まれて無理やり抱き込まれてしまう。

「!?」
「甘やかしてやると言っただろう」
「こ、ここでですか!?」
「甘やかすのに、場所は関係ないだろ」
「ひぇ」

抵抗する間もなく、シルヴィオの膝の上に座らされ、恥ずかしさに混乱する。

「甘えろって言ってるだろ」
「し、しかし」
「好きなようにしろ」
「……」

と、言われても……。
膝から落ちそうなので、どうしてもシルヴィオの背中に腕を回してしまう。
ぎゅっとして、はっとしては体勢を崩して慌てる。

シルヴィオがだんだんと不機嫌になっていき、空気がおかしくなった。

――ま、まずい。

いざ甘えろと言われても、甘え方なんて、全然思い浮かばない。
そもそも誰かと付き合った経験もなければ、逢瀬を楽しんだことも……。

「あ、そうか」

アダルはルアだった時、シルヴィオと買い物をした記憶を思い出していた。

「どうした」

顔を覗きこんでくるシルヴィオに、アダルは咳払いをする。

「あの、ルアだった時を思い出してました。あの時にできなかった事を……し、します」
「ああ、いいぞ」
「は、はい」

なんだこれは。
と、内心で自分に突っ込みを入れつつ、勇気を振り絞る。

思い切り頭をシルヴィオの胸にこすりつけて、そのニオイを鼻腔いっぱいに吸い込む。

「はうはああああああっ♡」

――シルヴィオさまのにおいぃいいいっ♡

ぐりぐりと顔を押し付けて堪能していると、呆れた声をかけられた。

「こんな事をしたかったのか、お前は……変態だな……」
「ぶふっ」

はっきり言葉にされると身も蓋もないが、仕方ない。
端から見れば、まさに変態なのだから。

アダルはそっと顔をあげると、シルヴィオから視線を逸らして膝から降りようとしたのだが、肩をガシリと掴まれて阻止された。

「……へ、陛下?」
「何逃げようとしてる?」
「は、恥ずかしいからです!」
「もっと甘やかしてやる」
「い、いや、いいです!」

さらに強く体を固定されてしまい、ジタバタと暴れるとイライラさせてしまい、最後にはアダルが必死に謝っていた。
シルヴィオに抱きついて頭をぺこぺこ下げる。

「すみません、すみませんでした! 申し訳ありません!」
「……まあ、もういい。で、何かしてほしいことは?」
「し、してほしい事ですか?」

アダルはシルヴィオの膝に座ったまま、思案した。
様々な記憶、思い出が頭を過る。
その中には、まだ側近になったばかりの記憶もあった。

――思えば、浮かれていたな。

アダルはおずおずと希望を口にしてみた。
その内容に、シルヴィオは目を丸くする。
意外だなと目が言っていた。

やはり、無理なお願いだったろうか。

顔を背けると頬を片手で掴まれて、強引に唇を奪われた。
ぬちゅっと舌が入り込み、アダルは自ら絡める。

「ふにゅうっ♡」

――しまっ、は、はずかしい、こえがあっ……。

頭を掴まれて激しく舌を絡めあい、呼吸が苦しくなる。
視界が滲み、意識が朦朧としてきた。

ただただ、熱い。
するりとシルヴィオの掌がアダルの下半身に伸びていき、布越しに塊を愛撫される。

「苦しそうだ」
「ひう」

耳元で囁かれ、背中がゾクゾクする。
この声はアダルにとっては、快感の源だ。
性器を取り出され、ブルンッと反り返り、涎を垂らす様をじっくり観察されて、さらに羞恥で四肢が火照る。

「あ……へい、かあ」
「イかせてやる」
「あひぃ?」

突然、指使いを激しくされて、ぐちゅぐちゅとしごかれた。
アダルは身をのけぞらせ、床に落ちそうなくらいに体をはねさせてしまう。

「あうんっ♡ はああぁああっ♡  ひゃめえっ♡」
「……かわいいな、お前は」

ぐぷううううっ

「くひぃいいいいっ!?」

ペニスがシルヴィオの口の中に包まれて、その肉壁の感触と熱さに翻弄されるまま、アダルはあっという間に絶頂してしまう。

「あぁおおおおっ♡」

ドプリッ!!

「ん……」

口の中に精液を放たれたシルヴィオが、小さな声を出すと喉をごくりと鳴らす。

飲んでしまった。

「し、シルヴィオさま!?」
「早いな、そんなに良かったか?  なら、今夜は愛撫をしつこくしてやろう」
「え」

ニヤニヤ笑う顔は意地悪で、その声はやたら甘く、アダルは心臓がうるさくて瞳を閉じた。

「へ、へいかあ」
「明日は早速お前の行きたい場所に行くぞ……そこでお前がどこまで俺との性交にたえられるか試してやる」
「……っ!?」

それは、どういう意味ですか!?

その言葉は、再びペニスをいじり始めたシルヴィオの指使いによって飲み込むしかなくて、アダルは快楽に身もだえるしかなかった。
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