童顔商人は聖騎士に溺愛される

彩月野生

文字の大きさ
7 / 13

こんな姿を見られたくなかった

しおりを挟む

ダラスにソファに押し倒された。
ゼルフォン様が助けようとしてくれて駆けよって来てくれたが、ダラスは何故か余裕な笑みを浮かべている。

「ラハンを放せ、彼は私の伴侶になる者だ」
「ほう? ラハンは承諾しているのですか?」
「なんだと?」

やばい、なんか険悪な空気だ。
ゼルフォン様のこんな険しい表情初めて見たぞ!
 
「どうなんだ? ラハン」
「ひぇ?」

ダラスを見上げながらゼルフォン様について考える。
……俺が、ゼルフォン様を好きかって事だよな?

視線だけ、ゼルフォン様に向けた。 
真剣な蒼の瞳に見つめられて、心臓は早く脈打つ。

「ラハン、お前は婚姻を受け入れているのか」
「あ、えっと」

あれ、やっぱり俺、迷ってるんだ。

「ラハン」
「ゼルフォン様……」

視線をそらせない。
それどころか、目の前に来られた。
ダラスにヤられそうになってるのに、恥ずかしい。

「ラハン?」
「どうしたラハン、俺が嫌なら暴れればいいだろう?」
「あ、あ……」

首筋に吸い付かれ、敏感になった体が跳ねる。
俺は、ダラスに抱かれた時の快楽をどうしても思いだしてしまって、突き飛ばすことができない。

「ははははっ! やはり淫乱な男だ! お前には男娼の素質があるな!」

そんな気持ちを見抜かれて盛大に笑われる。
こいつ、本当にムカつくな!

「ラハン……」
「う」

ゼルフォン様むずかしい顔をしてる。
ごめんなさい。

「何か盛られたのだろう?」
「え」
「特殊な媚薬か? お前から最近花のような強い香りがしている」
「香りが?」

自分じゃ気づかなかったな。
花ってどんな……まさか。

「あの、もしかして薔薇の香り?」
「ああ、そうだ」

やっぱりそうか。
ダラスの奴……睨み付けると口の端を吊り上げた。
俺が想像している通りみたいだな。

「お前が手にいれた媚薬に手を加えたものだ」
「媚薬だと?」
「おや、心当たりがありそうですな騎士殿」
「……」

押し黙るゼルフォン様のわずかな表情の変化に気づいたか。
まあ、俺がゼルフォン様に目をつけられたきっかけだしなあ。

「私のは特別製でな、これを飲んで始めに抱かれた相手の肉体の虜になるのだ」

「は?」

そんな、馬鹿な。
いくらなんでも、そんな効能を付加できるなんてあり得ないだろ。

すり。

ダラスが頬をさすってくると、いきなり体が疼いて中心が熱くなる。
おさまったかもなんて甘い考えだった。

「すぐによくしてやる」
「ひゃ」

下着ごとずりおろされていく。
嫌なのに……ダラスから離れられない。
どうしよう。
俺、本当にダラスの体を欲してる。

「何をする!」
「痛くないようにします、安心して下さい」
「そういう話をしているのではない!」

怒り顔のゼルフォン様をダラスが嗤うのがムカつく。
ダラスが懐から小瓶を取り出すと、中身を俺の太ももにたらす。
ひやりとしてびくんと体が跳ねた。

「ん、う!」

もう見慣れたその青い液体は、性交用に使うスライムだ。
するすると尻孔に入り込んでいく。
蠢く感触がゆるく中を刺激して、自然と腰を動かしてしまう。

「あ、ああんっ♡」

妙な声が出た。恥ずかしい。

「気持ちいいか? 素直に身を預けろ」
「ん、くううんっ♡」

スライムが、俺の尻の奥を解して綺麗にしていくのが分かる。

じゅぽっと飛び出て蒸発した。
ダラスが自分の股間をまさぐって、そのイチモツを取り出すと、俺の両足を広げて尻孔に擦りつけてくる。

「あ……」

イれられる。

目を瞑ってゼルフォン様が見えないようにした。

「待て」

ゼルフォン様の声に、そっと目を開ける。
俺を覗き込む蒼い目と視線が会う。

心臓がうるさくなる。

「ぜ、ゼルフォン様?」
「このままこの男に、お前を抱かせるわけにはいかない」

強い口調なのに、どこか余裕のない表情だな。
頬を指でなぞられて背筋がぞくりと震えた。

「ならば、一緒にこの商人を可愛がってやりましょう」
「な?」

ダラスのとんでもない言葉に俺は間抜けな声を出す。
まさか、そんなことをゼルフォン様が了承するわけが。

「媚薬のせいでこやつは私の体から逃れられない、今は快楽を与えてやる事を優先しませんか」
「だ、ダラスお前」

ふざけた事言いやがって!
そう叫びたいのに、俺はすっかり欲情していて、ダラスの反り返った男根に釘付けになっていた。




                     
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

異世界にやってきたら氷の宰相様が毎日お手製の弁当を持たせてくれる

七瀬京
BL
異世界に召喚された大学生ルイは、この世界を救う「巫覡」として、力を失った宝珠を癒やす役目を与えられる。 だが、異界の食べ物を受けつけない身体に苦しみ、倒れてしまう。 そんな彼を救ったのは、“氷の宰相”と呼ばれる美貌の男・ルースア。 唯一ルイが食べられるのは、彼の手で作られた料理だけ――。 優しさに触れるたび、ルイの胸に芽生える感情は“感謝”か、それとも“恋”か。 穏やかな日々の中で、ふたりの距離は静かに溶け合っていく。 ――心と身体を癒やす、年の差主従ファンタジーBL。

希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう

水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」 辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。 ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。 「お前のその特異な力を、帝国のために使え」 強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。 しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。 運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。 偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!

【完結】愛されたかった僕の人生

Kanade
BL
✯オメガバース 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。 今日も《夫》は帰らない。 《夫》には僕以外の『番』がいる。 ねぇ、どうしてなの? 一目惚れだって言ったじゃない。 愛してるって言ってくれたじゃないか。 ねぇ、僕はもう要らないの…? 独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。

巻き戻りした悪役令息は最愛の人から離れて生きていく

藍沢真啓/庚あき
BL
11月にアンダルシュノベルズ様から出版されます! 婚約者ユリウスから断罪をされたアリステルは、ボロボロになった状態で廃教会で命を終えた……はずだった。 目覚めた時はユリウスと婚約したばかりの頃で、それならばとアリステルは自らユリウスと距離を置くことに決める。だが、なぜかユリウスはアリステルに構うようになり…… 巻き戻りから人生をやり直す悪役令息の物語。 【感想のお返事について】 感想をくださりありがとうございます。 執筆を最優先させていただきますので、お返事についてはご容赦願います。 大切に読ませていただいてます。執筆の活力になっていますので、今後も感想いただければ幸いです。 他サイトでも公開中

ブラコンすぎて面倒な男を演じていた平凡兄、やめたら押し倒されました

あと
BL
「お兄ちゃん!人肌脱ぎます!」 完璧公爵跡取り息子許嫁攻め×ブラコン兄鈍感受け 可愛い弟と攻めの幸せのために、平凡なのに面倒な男を演じることにした受け。毎日の告白、束縛発言などを繰り広げ、上手くいきそうになったため、やめたら、なんと…? 攻め:ヴィクター・ローレンツ 受け:リアム・グレイソン 弟:リチャード・グレイソン  pixivにも投稿しています。 ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。

批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。

異世界転移してΩになった俺(アラフォーリーマン)、庇護欲高めα騎士に身も心も溶かされる

ヨドミ
BL
もし生まれ変わったら、俺は思う存分甘やかされたい――。 アラフォーリーマン(社畜)である福沢裕介は、通勤途中、事故により異世界へ転移してしまう。 異世界ローリア王国皇太子の花嫁として召喚されたが、転移して早々、【災厄のΩ】と告げられ殺されそうになる。 【災厄のΩ】、それは複数のαを番にすることができるΩのことだった――。 αがハーレムを築くのが常識とされる異世界では、【災厄のΩ】は忌むべき存在。 負の烙印を押された裕介は、間一髪、銀髪のα騎士ジェイドに助けられ、彼の庇護のもと、騎士団施設で居候することに。 「αがΩを守るのは当然だ」とジェイドは裕介の世話を焼くようになって――。 庇護欲高め騎士(α)と甘やかされたいけどプライドが邪魔をして素直になれない中年リーマン(Ω)のすれ違いラブファンタジー。 ※Rシーンには♡マークをつけます。

鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる

結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。 冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。 憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。 誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。 鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。

処理中です...