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四章【焦がれを抱きて】
六話
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「泰正!!」
邪気の塊はまたたくまに泰正に入り込み、彼はその場にくずおれた。
「しっかりしろ!」
泰正を抱きかかえる英心を、永響が無理やり引き剥がす。
「退け!」
「うぐ!?」
ただ肩に触れられただけなのに、英心は後方に吹き飛ばされた。
師匠が名前を呼びながら駆け寄ってくる。
「英心! 無茶をしおって!」
「も、申し訳ありません、しかし泰正が……」
「あの奇妙な存在には迂闊に手を出してはならん!」
叱責する師の心情は理解できるが、はやく泰正を助けなければと焦った。
師から身体を離して起き上がり、泰正の傍に駆け寄ろうとしたのだが……とんでもない光景を目にして心臓が跳ねた。
永響が泰正に顔を寄せて、唇を塞いでいたのだ。
「――っ」
言葉にできぬ激情がこみ上げて拳を握りしめ、唇を噛みしめる。
口づけを終えた永響が、英心に振り向いて声をかけてきた。
「泰正を、頼む」
「……なっ!?」
そう告げた永響は、泰正を地に寝かせると、姿が薄れ、はらはらと花びらとなりかき消えていくではないか。
英心は驚嘆して走り寄るが、永響はすでに見る影もない。
泰正を抱えて胸に耳を押し当てる。
――息はある。
眠っているだけだ。邪気も感じない。
――口づけだけで、泰正に入り込んだ負を吸い上げたというのか。
異変は帝にも起きていた。
「う、うぐ……な、永響が……朕の、永響が……」
ふらついた帝が膝をついた瞬間、その姿はあっという間に消えてしまった。
「帝!?」
残されたのは、英心、泰正、忠行、そして鬼憑きだった者達……。
急に異空間に静寂がもたらされ、戸惑いと困惑にため息をつく。
「いったい、どうなっているのだ?」
「英心、事情は後ほど話す。今はともかく戻らなければ」
『おふた方、すまなかった』
突然聞こえた声は、晴明の声である。
英心は声に応えた。
「晴明殿! どうなっている!?」
『私がおもうより、永響は泰正殿の影響を受けていたようだ。我らの助けなど不要であったな』
苦笑しているような声音に、英心は師匠に顔を向けて肩をすくめる。
英心は泰正を抱きかかえて先に異空間から戻り、鬼憑きだった者達を師匠と共に運び出した。
殿舎では、長い眠りについていた帝が、目を醒ましていた。
それに気づいた者達のわめく声を聞きながら、帝は小さな声を上げて泣いた。
「顔を見て話せたのじゃ……それで良い……」
邪気の塊はまたたくまに泰正に入り込み、彼はその場にくずおれた。
「しっかりしろ!」
泰正を抱きかかえる英心を、永響が無理やり引き剥がす。
「退け!」
「うぐ!?」
ただ肩に触れられただけなのに、英心は後方に吹き飛ばされた。
師匠が名前を呼びながら駆け寄ってくる。
「英心! 無茶をしおって!」
「も、申し訳ありません、しかし泰正が……」
「あの奇妙な存在には迂闊に手を出してはならん!」
叱責する師の心情は理解できるが、はやく泰正を助けなければと焦った。
師から身体を離して起き上がり、泰正の傍に駆け寄ろうとしたのだが……とんでもない光景を目にして心臓が跳ねた。
永響が泰正に顔を寄せて、唇を塞いでいたのだ。
「――っ」
言葉にできぬ激情がこみ上げて拳を握りしめ、唇を噛みしめる。
口づけを終えた永響が、英心に振り向いて声をかけてきた。
「泰正を、頼む」
「……なっ!?」
そう告げた永響は、泰正を地に寝かせると、姿が薄れ、はらはらと花びらとなりかき消えていくではないか。
英心は驚嘆して走り寄るが、永響はすでに見る影もない。
泰正を抱えて胸に耳を押し当てる。
――息はある。
眠っているだけだ。邪気も感じない。
――口づけだけで、泰正に入り込んだ負を吸い上げたというのか。
異変は帝にも起きていた。
「う、うぐ……な、永響が……朕の、永響が……」
ふらついた帝が膝をついた瞬間、その姿はあっという間に消えてしまった。
「帝!?」
残されたのは、英心、泰正、忠行、そして鬼憑きだった者達……。
急に異空間に静寂がもたらされ、戸惑いと困惑にため息をつく。
「いったい、どうなっているのだ?」
「英心、事情は後ほど話す。今はともかく戻らなければ」
『おふた方、すまなかった』
突然聞こえた声は、晴明の声である。
英心は声に応えた。
「晴明殿! どうなっている!?」
『私がおもうより、永響は泰正殿の影響を受けていたようだ。我らの助けなど不要であったな』
苦笑しているような声音に、英心は師匠に顔を向けて肩をすくめる。
英心は泰正を抱きかかえて先に異空間から戻り、鬼憑きだった者達を師匠と共に運び出した。
殿舎では、長い眠りについていた帝が、目を醒ましていた。
それに気づいた者達のわめく声を聞きながら、帝は小さな声を上げて泣いた。
「顔を見て話せたのじゃ……それで良い……」
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