〜特別編 聖なる夜には奇跡が起きる〜

R.K.

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まさか、クリスマスの日だなんて……

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 これは、一週間も空いたある日のこと。

「ねえ、マリア。どうして、これを私が使わなきゃいけないの?」

「どうせ暇でしょうし、遊びに行くだけなんですから、行ってきたらいいじゃないですか」

「いや、それがどうして異世界に行くことになるの!」

「知り合いの知人のお母さんのお友達の父親の知り合いの友達から貰ったものなわけですし、使わないともったいないじゃないですか」

「それはただの赤の他人でしょ! そんなわけわからないもの、使わないに限るでしょ!」

「私は少し興味あるけど、シズが本当に嫌だっていうなら、普通に諦めるから気にしなくてもいいわよ」

 いや、マギアのその一言は反則。
 でも、興味がないわけではない。
 なんなら、帰れる可能性もあるわけなんだから、それもいい気がする。

「ところで、それってどこに行くことになるの? それと、帰って来れるんだよね?」

「……? 一応、その人が一番の理想郷の行けますよ。向こうの世界の日暮れに帰れるらしいですよ」

 それなら、いい気がする。
 正直、元の世界に帰るのはちょっと嫌だけど、親に感謝の気持ちを伝えたいし、一度帰るのはいいかもしれない。

「それで、どうするんですか?」

「行こう、かな。ところで、二人はどうするの? 来るよね?」

「ああ、これなんですけど、人数制限がありまして、二人までなので、マギアさんとシズさんで行ってきてください」

「それって、シズと二人っきりてこと?」

 うわっ……。なんかマギアがすごい気持ち悪い笑みを浮かべてる。

「それじゃ、二人とも行くみたいなので、使いますね」

 そう言われて、私は急な眠気に襲われ、意識が持ってかれた。

━━━━━━━━━━━━━━━━━

「ねえ、お姉ちゃん! 本当に帰って来れたよ!」

「もう、もう少し抑えて! それで、どこ行く? やっぱり、秋葉原だよね!」

 私とお姉ちゃんは死ぬ前にいた世界に帰ってきていた。
 どっかのバカが禁忌のポーションを作ったとかで、私たちのもとに届けられた。
 なにが起こるかわからないからって。
 で、調べてみると、それは死ぬ前にいた世界に帰れるものだとわかったので、使うことにした。
 やることもないし。時間も一日ぐらいが限界らしいし。

 そして、今戻ってきた。

「いや、お姉ちゃんの方こそもうちょっと興奮抑えて」

「はいはい。それじゃ、とにかく秋葉原に行こう!」


 そうして、私とお姉ちゃんは秋葉原に行き、オタクグッズなんかを見たりして楽しんだ。
 クレーンゲームなんかもしたし、音ゲーはお姉ちゃんが少し苦戦してたけど、しっかりと楽しんでいた。
 まあ、なぜかクリスマスの日だったんだけどね。帰ってきた日。

「はあ……。ここに来れば、もしかしたらあの子に会えるかもと思ったんだけど」

 私はそうぽつりと溢し、前を向くと、綺麗な夕焼けが見えた。

━━━━━━━━━━━━━━━━━

「……起きて。……起きてよ」

 私はゆさゆさと誰かに揺すられながら目を覚ます。

「あっ、やっと起きた」

「う~ん、マギア……?」

「なに、寝ぼけてるの?」

「あれ、ここどこ?」

「あれを使ったの忘れたの?」

 あー、いろいろ思い出してきた。
 てか、ここ、私の部屋だ。
 なんなら、すごい散らかっててちょっと恥ずかしい。

「あっ、そうだ。マギア、この服に着替えておいて。私、したいことがあるから」

「わかったわ」

 そうして、マギアに一着の服を渡す。

「あっ、ここで待っててね」

 そして、私は一階に降りると、目的の人物は台所にいた。

「あっ、お母さん。その、ありがと」

「うん? 急にどうしたの?」

 お母さんは振り向かずにそう言った。
 やっぱ、お母さんはお母さんだなと思う。
 まあ、当たり前なんだけど。

「なんとなく、言いたくなったの」

「そう。まあ、そう思う気持ちがあるなら、勉強しなさいよ」

「はいはい」

 相変わらず、お母さんは変わらなかった。
 でも、したいことはできたし、とりあえず満足かな。
 それに、マギアを待たせてるし。

 そして、私はマギアを呼びに行くと、ある場所に向かった。


「たくさんの人がいるわね。中央都市のようなものかしら?」

「まあ、そんなとこ。ほら、はぐれると困るから、しっかりと手を繋いでおいて」

 私とマギアは秋葉原に来ている。
 というか、私が行きたい場所なんて、ここ以外に特にない。
 友達だって、もう……いないし。
 それに、ここぐらいしかまともに案内できないしね。

「でも、私の服のはずなのに、どうして私よりも着こなしてるのさ」

「えっ……? これってやっぱり、シズなの? 最高じゃない」

 一体、なにが最高なのか、今すぐ問い詰めた気持ちもあるけど、時間は有限なんだし、そういうのは帰ってからすればいいか。
 それじゃ、まずはあそこに行くかな。

「バカなこと言ってないで、しっかりと手を繋いでおいてよ」

「言われなくても、一生手を離さないわよ!」

 いや、一生ってのは困るというか、嫌なんだけど、今はまあいいか。
 そうして、私はあそこに向かった。

「腹立つわ! どうして取れないの!」

「お客様。その、台を叩くのはやめてください」

 ここに来るまでの間に気づいたことの一つに、今日がクリスマスであるということがある。
 そう、まさかのクリスマスの日に私は帰ってきてしまったんだ。
 明日にすればよかった!
 で、なんでこんなにも現実逃避をしてるかというと、近くでマギアが暴れて、周りから白い目で見られてるから。
 で、私はその知人だと思われない位置にいながら、傍観してる。

「おかしいわ! 全然動かないじゃない!」

「ですから、お客様。台を叩くのはお辞めください」

 そして、なぜかマギアが私の方に近づいてくる。
 いや、私は知らない人だから。
 だから、こっちに来ないでよ? やめてね?
 けど、マギアは明らかに私を見ながら近づいてくる。
 やめて。こっちに来ないでー!

「ねえ、シズ。シズもそう思うでしょ」

 やめて。話しかけないで。知らない人でーす。

「ねえ、シズ。聞いてるの? ちょっと」

「ああ、もう! ちょっと貸して!」

 私はもう空気に耐えきれなくなり、マギアの手を引っ張って、ぬいぐるみが景品になってるクレーンゲームの台に近づいていき、一枚の硬貨を投入する。
 そして、間髪入れずにクレーンを操作し、見事に一発で景品を取ってみせた。

「はい! これでいいでしょ!」

 そして、周りからは謎の拍手があり、店員さんも唖然して驚いている。
 いや、そんなにすごいことじゃないし、そもそも見せ物でものんでもないから!

「シズっ……! 天才だわ!」

「いや、これぐらいやってればできるようになるから! てか、こんなこと、ここ以外じゃなんの役にも立たないから!」

「そんなことないわ。だって、私があれだけやっても取れなかったものをシズは、一発で取ったんだから」

 本当にそこまですごいこでもないんだけど……。
 あっ、そうだ。
 私はいたずらする前の子供のような笑みを浮かべると、こう言った。

「それなら、もっとすごいものを見せてあげる」

 そして、マギアの手を引っ張ってある場所に向かった。
 なんか、ぞろぞろ見物客らしき人たちも来てたけど。
 金とるぞ!


「し、シズっ……! それ、どうやってるの? ちょっとまって! すごすぎて目で追えないし、頭が全然追いつかないわ」

 ここまで想像通りの反応されると少しむず痒い気持ちになるけど、やっぱりこれなんだよね。

「まあ、私たからね」

「さすがシズね。略して、さすシズよ!」

 マギアからさすシズいただきましたー。
 ちなみに、私たちが今いるのは音ゲーのフロア。
 そこで、私がいろいろな音ゲーの最高難易度をクリアしてってる。
 太鼓のやつとか、そんなやつら。
 見物客があちこちで声を上げて驚いてるけど、やっぱり金とろうかな。

「本当に天才よ!」

 そうして、私たちは十分に楽しんだのだった。

 そして、もう日も暮れようとしてるそんなとき、見覚えのある顔の人とすれ違った。
 死んでしまった友人にそっくりな顔で、思わずその時を思い出してしまう。

「どうしたのシズ?」

「ううん。なんでもない」

 私がそう言い終えたときだった。

「もしかして、雫?」

「えっ、どうして私の名前を?」

「やっぱり雫だ! お姉ちゃん、よかった。会えたよ」

「そっか。この子が……かわいい」

「えっと、だれ?」

「私だよ。マホ」

「えっ? でも、死んだはずじゃ──」

「あっ、うん。死んだんだけど、その、いろいろあって、今は異世界で暮らしてるの。ほんと、いろいろあって。で、まあ、いろいろあって戻って来たってところ」

 本当に、いろいろあったらしい。
 マギアはこの状況についていけてないみたいだけど……。まあ、いっか。

 そうして、そのあと、時間の許す限り二人の現状を話し合った。
 異世界のこととか。魔王のこととか。

「でも、よかった。会えないと思ってたよ」

「私も。……って、私はもう時間みたい」

 そして、私とマギアの体は透け始める。

「それじゃ、またいつかね。会えたら」

「うん、またね」

 そう言い終えると、私は完全に意識を失った。

─────────────────

 次、目を開けると、またベッドの上にいた。

「あっ、上手く戻って来れたみたいですね。夜ごはんの支度はしてあるので、みんなで食べましょう」

 今度はマギアではなく、マリアがそこにいた。
 こうして、私の不思議な一日は終わった。

━━━━━━━━━━━━━━━━━

「帰っちゃったね」

「私たちもそろだよ」

「そっ……か。お母さんに会っておけばよかったかな?」

「そんなことしたら、お母さんは卒倒しちゃうよ。喜び過ぎて」

「そっか」

 そして、私とお姉ちゃんは真っ白な光包まれる。
 次の瞬間には、見慣れた我が家だった。
 今の私たちの家。

「楽しかった」

「そうだね」

 そうして、私とお姉ちゃんの不思議な一日も終わりを告げたのだった。

━━━━━━━━━━━━━━━━━

 あとがき的なもの。

 まず、読んでくださった方々、ありがとうございます!
 そして、作者であるアールケイさんは泣きながら、本日これを書いておりました。
 なんで、クリスマスなんて日に一人でこんなことをしているのだと。
 同士の方。慰めてくだされ。
 まあ、クリスマスよりも前に書いておけばよかったなんて正論がありそうですが、言わないでー(泣)
 そして、本編の方は、片や完結、片や連載中と、対極的な二作品ですが、たぶん本編よりもこっちのが面白いという事実がありそうなので、まあ、よかったら読んで頂けると嬉しいです。

 まあ、そんなわけで、もう一度言わせてください!
 読んでくれた方に、感謝を!

(アニメのエイトにごちうさ買いに行きました! 詳しくは、明日の日記なんちゃらで話します! そちらも、できればよろしくお願いします!)
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