~幽世ノ華~ 江戸天竜堂検死秘帖

横溝周一郎

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一章 天竜堂のおろく医者

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 「勇五郎っ、勇五郎はいるか?」
 「はい。」
 北町奉行所の一角、吟味室。先程まで吟味に関する書類を運んでいた近藤勇五郎こんどうゆうごろうは、上役である神山平蔵こうやまへいぞうに呼び付けられていた。勇五郎の父親・清左衛門せいざえもんは北町奉行所の筆頭与力で、奉行に代わって奉行所の諸々を取り仕切る重役。年若だが文武両道に長け人品にも優れ、他の先輩や年配の同心からも「立派になられた」と称賛される程だ。
 「検死ですか?」
 勇五郎には理由が解っており、思わず言葉を零した。見習いを終えたばかりの勇五郎にとって上役から指図を頂けるのは身に余る光栄だが、毎度用事が同じだと正直うんざりする。だが勇五郎は襟を正し、上役の指図を聞く。
 「話が早くて助かる、山王門前町にて男と女の首括りの死骸が見つかったのだ。」
 「男と女の・・・・。」
 「そうだ、ちと厄介な案件だ。」
 平蔵は淡々と、事件の概要を述べる。
山王門前町に、男と女の首括りの死骸が発見された。勇五郎には、この一件を見定めに言って欲しいと言う指図だった。
 この地域には山王信仰の神社「日枝神社」がある。この日枝神社では水無月十五日、江戸三大祭りに数えられている山王祭が盛大に開催される。この山王祭で出される神輿や山車は縁起物とされ、武家屋敷や江戸城内を闊歩する事も許されていた。近頃は幕府の政策によって極端なまでに贅沢や娯楽を取り締まる傾向にあるが、この祭りだけは見逃されている。この盛大な祭りが執り行われる賑やかな時節に、その死骸は発見された。
 死骸の様子を聞いた勇五郎は、「何と・・・。」と思わず言葉を詰まらせた。神社で死骸が見つかったと言うだ けでも罰当たりと言う物なのに、その死骸の有様は更に勇五郎を驚かせた。
「北の鬼平」と言われ、常に冷静沈着な平蔵が珍しく難しい顔を浮かべている。それには、見つかった死骸の有り 様が由来している。
 「相対死・・・?」
 「そうだ、俺が厄介と言うのはこれよ。」
 「寺町で死骸とは、罰当たりな・・・。」
 「全くだ。事が事だけに、自死なのか人手に掛かったのか、念の為見定めに行って欲しい。」
 平蔵が現場へ臨場する事を命じたその理由には、今回の事件には相対死すなわち心中自殺である可能性があるからだ。。当時幕府は、こうした相対死を厳しく禁じていた。心中という行為が、近松門左衛門ちかまつもんざえもんなどの戯曲により「現世で結ばれぬのなら来世で」等と著しく美化され、元祿頃から流行する傾向にあり、風俗退廃、延いては心中が江戸幕府の批判、治世を憂いで死ぬと言う政治批判につながるという考えからだった。
相対死は不義密通の罪として、厳罰刑に処された。一人が生き残った場合は死刑、二人とも生き残った場合は晒し刑ののち、士農工商から外れる身分に堕ちる。そしてその罪は、遺族にまで及んだと言う。これだけの厳罰だから、頭からそうだと決めつける事は出来ない。もしその疑惑が残る場合は、より正確な調査が求められる。
 「死骸の身元は?」
 「うむ、御用聞きの藤七とうしちの話では死骸の身元は三島屋伊兵衛みしまやいへえの娘でおはつ。年は十九。男と並んで首を括っているのを、近所の物が見つけたとの事だ。男の方は三島屋の番頭で名は松助まつすけ、年は三十。まだ首を括って新しいと見えて、腐敗は進んでいないとの事だ。」
 「左様でございますか。」
 「済まぬが行ってくれぬか?他の者は手が塞がっているのだ。」
 「いいえ、光栄でございます。」
 「そう言ってもらえると、俺も救われる。」
 「行ってくれるか?済まねえな。」
 「はい、お任せください。ところで、検死には何処の者が請け負ったのですか?」
 「うん、岡崎町住まいの表御番医、片桐朴庵かたぎりぼくあんと聞いておる。」
 今回の事件に手を貸す医者の名前を聞き、勇五郎は表情を曇らせる。これには相応の事情があっての事である。
 「朴庵でござるか、承知致しました。では行って参ります。」
 「うむ、何かあったら使いを寄こすのだぞ?くれぐれも無茶はするな?江戸屋えどやには先程使いをやり、仁吉はもう門前にいるとの事だ。」
 「承知仕った、では行って参ります。」
 —事もあろうに朴庵かよ・・・。
 吟味所を後にした勇五郎は、ため息交じりに不満を零した。
 やれやれと言った様子で門前に向かうと、外では相棒の仁吉にきちが腕を組んで待っていた。年の頃は勇五郎と同様に二十歳頃の若者で、勇五郎が最も信頼する十手持ちの一人だ。実家は深川伊勢崎町でも評判の口入れ屋「江戸屋」で、大親分として有名な父・長兵衛ちょうべえの言い付けで十手持ちをしている。
 「若旦那、話は済みやしたか?」
 「おぅ、待たせて済まねえな。では行こう。」
 挨拶も早々に二人は歩き出す。しかし、行き先は山王門前町ではない。
本来ならこのまま呉服橋を渡り、山下御門を潜り日枝神社へ直行する所だ。しかし、山下御門を目指さずに両名は地蔵橋通りを目指し竹島町へと向かった。ある場所を目指す為だ。
 「良いんですかい若旦那、勝手に医者を連れって行って?」
 「検死を請け負う医者が片岡朴庵と聞いちゃあな、彼奴はついこの間まで長屋の片隅で効くのか効かねえのか解らねえ丸薬を作っていた様な男だ。どうせ役に立たねえ。」
 「そうでしたねえ、よくあんな奴が表御番医になれたもんですねえ。するってえと旦那、兄貴を頼るんですね?」
 「解り切った事聞くなよ。」
朴庵と言う医者に関する文句とある医者に関する話を述べながら、二人はある場所を目指し足を運ぶ。
看板にある「天竜堂診療所」、ここが二人の目指す場所だ。
                       ◆◇◆
 江戸の朝は、裏長屋を歩き回る鶏の鳴き声や、棒手振りの威勢の良い声で始まると言って良い。
 高柳凌雲たかやなぎりょううんは、ゆっくりの目を開けた。机の上に置かれた南蛮物の置時計に目をやる。丈夫では金属細工の風見鶏が右に左に体を揺らしている。刻限は時期に朝五つ辰の刻(午前8時)になろうとしていた。
 「次期に患者が来るな。」
 そう思っていると、大声が静寂を破った。
 「先生!起きてるかい!」
 声の主は長屋の大家、大黒屋幸兵衛だいこくやこうべえの女房であるお喜代きよだ。格子戸を乱暴に叩く音に、凌雲は「はいはい、起きてますよ。」とぶっきらぼうに応じる。
 「おぅお喜代さん、家賃はもう払ったはずだが?」
 「家賃じゃありませんよ、そろそろ朝飯時だと思ってね。美沙殿ったら料理が苦手だろ?滅多なもの食べて、腹壊されちゃ敵いませんからねぇ。」
 カッカッカと笑うお喜代の後ろから「悪かったですね。」と言う女性の声が聞こえた。件の藤川美沙ふじかわみさだ。
 「おはようございます先生、御目覚めですか?」
 「ああ、外で飛び回る鶏のお陰でな。」
 「それは何より、準備を致しますね。」
 「頼む。」
 美沙は挨拶も早々に中へと入り、準備をし始めた。美沙は恩師の娘で、以前は小石川養生所に上意として属してい た。しかしひょんな事から、凌雲の下へ来たしだいだ。あくまでも凌雲の助手だが、養生所では内科医お呼び本草学者として活動していただけあり、凌雲の代わりに患者を診察する事も多い。稼ぎ男にくり女房と言う例えのあるこのご時世、女医者と言うだけでも珍しいのに、「医者小町」と称されるその外見の美しさから美沙目当ての客も多かった。
 美沙が入ると同時におぼつかない足取りで二人の男が入って来た。肩を貸しているのは左官職人の八助はちすけ、肩を借りているのは大工の熊五郎くまごろうだ。二人とも泥まみれと言うか、ボロボロだった。
 「先生え、起きてますかい?」
 八助達の訪問にいち早く気が付いたのは、お喜代だった。
 「何だい八っつあんも熊さんも、ボロボロじゃないか?」
 「へえ、伊勢藤の仕事が片付いたんで熊と飲んでたんですが酒が過ぎましてね。目が覚めたら石階段の下でおねんね。あっしは大した事ねえんですが、熊の方がボロボロでして。」
 「馬っ鹿だねえ、家賃は貯めるわ酒でしくじるわ本当にもう。」
 小言幸兵衛と言われる亭主に似て、お喜代も小言っぽい。今にも大説教が始まる所を、凌雲が止める。
 「まあまあお喜代、まずは治療だ。熊、入れ。」
 「へ、へーい。」
 酒がまだ残っている様で、やや酒臭い。凌雲は熊五郎のだらりと垂れ下がった手首を素手で掴み、骨の並びを確かめるように指を走らせる。どうやら医師階段を転げ落ちた際、肩の骨が外れた様だ。
 「熊よ、酒は過ぎると毒だぞ。ほどほどにせぬと、今に仏の仲間入りだぞ。」
 「へーい。」
 「美沙殿、添木と包帯を頼む。」
 「はい。」
 奥から「はい、先生」と、清廉な声と共に美沙が現れる。
 「熊五郎さん、またやりましたね。」
 「こればっかりはどうも・・・。」
 「まったく、どうなっても知りませんよ?」
 ブツブツと熊五郎に文句を言いながら彼女が手際よく道具を並べる横で、凌雲は「少し響くぞ」と言うが早いか、熊五郎の手をグイと捻った。
 「ギャアッ!」
 「……よし、嵌まった。二、三日は大人しくしてろ。美沙、後はよろしく頼む。痣がある場所には、少し強めの湿布薬を貼ってやってくれ。」
 「先生、御代は十六文で?」
 「どうせ文無しだろうが、俺に払う暇があれば家賃を入れろ。今に追い出されるぞ?」
 「ありがとうございやす。」
 凌雲の処置は、一見荒っぽく見えて寸分の狂いもない。その上、薬礼はある時払いの催促なし。これが凌雲を名医として、一風変わった変人として認知する理由だ。十六文と言うのは、患者が覚えやすい最安値。二八蕎麦と同様の値段だ。この決まりから凌雲は「天竜堂の十六文先生」、「八丁堀の二八医者」と呼び慕われているのだ。
気が付くと、香しい味噌の匂いが漂って来た。天竜堂の台所では、お喜代と美沙が真剣な面持ちで包丁を握っている。医学の知識に関しては凌雲も舌を巻く彼女だが、料理となると話は別だった。
 「ちょいとちょいと、そんな事しちゃ駄目ですよ先生。」
 お喜代の慌てる声が聞こえて来た。美沙が真剣な面持ちで包丁を握っている。医学の知識に関しては凌雲も舌を巻く彼女だが、料理となると話は別だった。
 「根深汁の葱はそんな薄っぺらじゃいけないよ、それにお豆腐をこんなに細かにしては直ぐに崩れちまうよ。」
 優しく諭すように言いながらも、有無を言わさぬ手際で奪い取った。
 「済みません、お喜代さん。中々医学の様には行きませんねぇ。」
 「まあ人それぞれ、向き不向きが有りますからねぇ。」
 お喜代は笑って誤魔化しているが、あからさまにあきれ果てている。その様を見ていると、凌雲は思わず笑えて来た。美沙は誰かの嫁になると言う普通の女が歩むであろう人生を拒否し、医者になる道を選んだのだが、「あの様子では、どもみち嫁の貰い手はないな」と思えて来た。
 「さあ美沙殿、台所は良いから診察の準備をしてくれ。」
 「台所仕事は、御役御免ですか。」
 あからさまに膨れて見せた美沙、あまり美沙を怒らせると後が怖い。これ以上は、触らぬ神に祟りなしだ。
 美沙が診察の為に次の間へ入った、その時だった。長屋の表から、慌ただしい足音と野太い声が響いてきた。
 「先生、起きてたかえ?」
 「よぅ勇さん、おはようさん。」
 早朝に訪ねて来た知り合いに軽く挨拶をするが、どこか「来ちまったか」とでも言いたげな、曇った表情だった。
 「その様子だと、検死だな?」
 「朝早く済まねえな、山王門前町で男と女の首括りの死骸が見つかった。」
 「寺町でか?罰当たりな話だな。」
 「ああ、だが死骸に疑わしい点があり検死の必要があるとの事だ。今死骸は寺社方の承認を受け、小石川養生所に運んだ。」
 「不帰之蔵ふきのくらか・・・、だが勇さん、今は南町奉行所の月番ではないか?」
 疑惑を投げかける凌雲に対し、付け加える様に仁吉が言った。
 「ああ、案の定南町奉行所は医者を用意して小石川養生所へ向かっているようだぜ。」
 「ほぅ、誰だ?」
 「片桐朴庵だよ。」
 「ああ、あ奴か。」
 医者の氏名を聞き、先程の勇五郎同様に溜め息を付いた。
 凌雲は後ろを振り返り、奥で準備をしている美沙に声を掛ける。
 「美沙殿、御役目だ。」
 「検死ですか?」
 「そうだ、美沙殿は俺に代わって患者を診ていてくれぬか?もし器具の調子が悪ければ、丈吉じょうきちを呼んで手入れをしておいてくれ。」
 「お忙しければ私も・・・。」
 「いいや、一人で良い。折角頼って来た患者を、追い出すわけにもいかぬ。」
 「かしこまりました、しっかり天竜堂は御守致します。存分にお勤めなされませ。近藤様、きっちり御手当てが頂きますよ?」
 「解っているとも、美沙殿も泰然先生に似て来たなぁ。」
 「一緒にしないでください。」
 美沙に向かって頷くと、凌雲は仁吉と勇五郎に声を掛ける。
 「仁吉、案内致せ。勇さん、吟味室の神山様にはすぐに駆けつけると伝えてくれ。」
 「解った、向かっていてくれ。」
 「じゃあ兄貴、駕籠屋を用意してあるからよろしく頼む。」
 「よし、「済まねえお喜代さん、兄貴を借りるぜ。」
 「はいよ、御清めを忘れるんじゃないよ。」
 凌雲は籠に押し込まれる様に乗り込む。その姿を来院ししようとしていた患者が発見する。その言葉を聞いた仁吉と勇五郎は、引っ張る様にして凌雲を現場まで連れて行った。
 それにすれ違った客の一人が呆気にとられ、お喜代に聞く。
 「美沙先生、お喜代さん、先生が勢いよく出て行っちまったけど?往診かえ?」
 「往診と言えば往診だね・・・、今日は美沙先生が見てくださるよ。」
 「往診なら、仕方がないねぇ・・・。」
 「まあ、魂の無い患者だけどね・・・・。」
 「さあさ、患者さんは順番に入ってください。」
 美沙に促された患者は、天竜堂にドヤドヤと入って行く。
 「全くうちの先生は、医者だか役人だか解らないねえ。」
 「あればかりは仕方ありませんわ、先生の置かれている立場を考えれば、無下に嫌だとも言えません。私も父に頼まれ此処に来た以上、患者様の為に力になります。」
 「よろしくお願いいたしますよ、美沙先生。」
 愚痴を言い合う二人の言葉は、他の患者には聞こえていない様だ。
 多くの医者が住むこの町内では、凌雲は若手の部類に入る。最初この地の住人は、藪医者か、それにも満たぬ筍医者ではないかと疑った。だが、その懸念は杞憂に終わった。この凌雲、他の医者など比べ物にならない技量の持ち主だった。外科治療に長け、他の医者が匙を投げる様な患者も治療して見せた。また本道(内科)や本草学、新旧整骨、果ては産科の技量まで習得していた。加えて凌雲は商売っ気がない。ある時払いの催促なしは当たり前で、裏長屋に住む様な患者からは治療代は何れも十六文。払いが溜まったとしても催促は一切せず、周りに言われて「そうだったな」と気が付く始末だ。そんな様子だから、多くの患者が訪れる。
 しかし、その患者達は揃って凌雲に関して思うところがある。検死や研究の事になると、居ても立っても居られなくなると言う事だ。以前にもおかしな死骸が見つかったと噂を聞きつけると、患者を待たせて検死に向かってしまった事がある。
 「患ったのなら天竜堂に行きな」
 と言う言葉の後に必ず―
 「成程いい先生だが、あれさえなければねぇ・・・。」
 この愚痴を付け加える。
 自身の周りでそんな陰口をひそひそ言われているとも知らず、凌雲は勇五郎らと共に件の現場へと駆けて行くのだった。

 現在原因不明の死骸が発見された際は、たとえ病死であっても「異常死体」として取り扱われ、「行政検視」または「司法検視」が行なわれる。例えば自宅で人が死亡した時には、それが「自然死」、「事故」、「自殺」、「他殺」の何れに該当するかを示す医師の死亡診断書がければ、葬式も出来ない場合がある。事前に決められた「かかりつけ医」ないし「主治医」がいれば事は簡単ではあるも。しかし、例えば高齢者が健康のまま老衰で死亡すると、電話しても医者はやって来ない事があり死亡診断書が手に入らず、「異常死体」として警察が介入する事になる。原因不明の死体はたとえ病死であっても「異常死体」として取り扱われ、「行政検視」または「司法検視」が行なわれる。「行政検視」とは警察官が死亡状況や死因を調査する事であり、死因が犯罪に関係していると疑いがある場合には「変死体」として扱われ、検察官が「司法検視」を行なう。
 医学が発展し法医学教室や監察医務院と言った司法解剖を業とする医療機関が存在するが、まだ発展していない江戸時代も、検視は重要な役目であった。
 およそ二百六十年間に、一万以上の法が制定された。そのなかで検視が重視されたのは、傷害を受けそれが原因で死亡したのか、あるいは死因は負傷とは関係のない余病のためか等、医者の知見が必要とされたからである。また、変死者や手負いの病人が出た場合、それを隠匿し届け出なかった者に対しては多額の罰金が科せられ、変死者を内緒で葬った寺院には五十日間の閉門が命ぜられたお触れ書きも存在する。
 享保十八年、旅路で発見された死骸に関する御定め書きには、「死者の郷国がわかれば、遠国であっても通知し、親類縁者が引き取りに来た場合証文を取り引き渡す事。身元不明の場合には3日間さらし、病人の様子を書いた札を建てて土葬にするべし」とある。死因に不審な場合には検視をするが、当時は医師の立会いで検視が行なわれていた。
 凌雲はこの検死を引き受ける公儀検使役であり、自らに検使の役目を引き受ける彼の事を、世間では「おろく医者」と呼んでいる。
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