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普通じゃない(1)
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桜那は次の撮影に不安を覚えていた。いつもの作品と趣が異なり、三人の男に拉致されてレイプされるという、いささかハードな内容だったからだ。
AVにはよくありがちな内容だが、監督が臨場感を求めた為、演技力が要求された。その為縛られたり、首を絞められるシーンなども極力本気で行くとの事だった。
普段の桜那なら、それも厭わずやってのけただろう。だが今の精神状態では、役に入り込むのですらままならなかった。
そしていよいよ撮影の日を迎えた。
桜那はいつものように前日から誰とも会わず、役へ入り込むのに集中していた。ヘアメイクの間も、顔をこわばらせ一言も喋らず精神統一していた。
……大丈夫、今日は震えてない。
桜那は手のひらをじっと見つめ、ぐっと握ってはパッと離す動作を繰り返した。
声がかかると、深呼吸して頭を切り替えてから撮影に臨んだ。
今日の撮影は、内容がハードなだけにスタッフやマネージャーも固唾を呑んで見守っていた。
桜那は暗い地下道を一人歩き、そこで台本通り三人の男に車へ押し込まれ、連れ去られる。ここまでは普段どおりの集中力で演じる事が出来た。
次はいよいよ本番のシーンだ。古い倉庫に連れ込まれ、二人の男に押さえられて、無理矢理服を脱がされた。
その時だ、男優が服に手をかけた瞬間、桜那は心の底から恐怖を感じて悲鳴を上げた。
「いや‼︎やめて‼︎」
桜那は本気で抵抗していた。
「うるせぇ!静かにしろ!」
男優が怒鳴り、桜那の顔に平手打ちをした。
臨場感を出す為に、このシーンは手が顔に多少当たっても構わないと伝えていたが、桜那が本気で抵抗した為まともに喰らってしまった。
桜那が倒れ込み、頭がクラっとして起き上がれずにいると、すかさず結束バンドで後ろ手に縛られた。髪を掴まれ、無理矢理顔を上げられると、叫ぶ間もなく口唇を押し当てられ舌を捩じ込まれた。男優の唾液が喉奥に流れ込む。桜那は嫌悪感から身の毛がよだち、涙を流した。
……いや!気持ち悪い!宏章!助けて!
だが非情にも撮影は止まる事なく続いた。
男三人にかわるがわる体を弄ばれ、桜那は必死に抵抗した。
桜那は頭では撮影だと理解していても、体が拒絶反応を起こしていた。
二人の男優に身体中を貪られながら、もう一人の男優にペニスを喉奥まで突っ込まれた。桜那は苦しさのあまり、思わず「うっ!」とえずいて咽せてしまった。普段の撮影は集中してフェラの加減をコントロールしていたので、苦しさで咽せたのは初めてだった。
大量の唾液を吐き出し、桜那は我に返った。
……しっかりしろ!集中して!苦しい表情も意識するんだ!
桜那は自分に言い聞かせて、顔を上げた。
その時、自分を取り囲むすべての目に戦慄を覚えた。
まるで周囲を猛獣に取り囲まれて、逃げ道を無くした四面楚歌の獲物の様に。
桜那は悲鳴を上げ、もう撮影という事も忘れて、泣き叫びながら本気で抵抗した。
桜那は思い切り暴れるが、男三人がかりでは到底力で敵うはずもなく、簡単に抑えられてしまった。
台本通りだと、ここで挿入されながら首を絞められるという流れだ。だが、桜那のあまりの暴れぶりに、男優も首を締める手に思わず力が入ってしまい、苦しさで桜那は意識が遠のいた。その後は朦朧とする意識の中、わずかに残されたプロ意識でなんとか撮影をこなした。気づいたら、男優三人に顔射されて撮影が終了していた。
その後はもう、どうやって帰宅したのかも覚えておらず、いつの間にか自宅の玄関でへたり込んでいた。
手のひらに視線を向けると、小刻みに震えていた。次第に体まで震え出し、桜那は体をぎゅっと押さえて泣き出した。
激しくしゃくり上げ、桜那はトイレに駆け込んで嘔吐した。吐いてもなお涙と震えは止まらず、何度も吐いて、とうとう胃液まで吐き出した。全てを吐き出して胃が空っぽになると、ようやく震えは治まった。
桜那は涙と鼻水を流したまま、便器をぼんやりと見つめ、しばらくそのままへたり込んでいた。
「桜那!」
壁に寄りかかり目を閉じると、自分の名前を呼ぶ、優しい笑顔の宏章の顔が浮かんだ。
……もう何もいらない、私はただ「普通」になりたいだけ。
……後ろめたさを感じる事なく、ただ純粋に宏章を愛したいだけなの。
AVにはよくありがちな内容だが、監督が臨場感を求めた為、演技力が要求された。その為縛られたり、首を絞められるシーンなども極力本気で行くとの事だった。
普段の桜那なら、それも厭わずやってのけただろう。だが今の精神状態では、役に入り込むのですらままならなかった。
そしていよいよ撮影の日を迎えた。
桜那はいつものように前日から誰とも会わず、役へ入り込むのに集中していた。ヘアメイクの間も、顔をこわばらせ一言も喋らず精神統一していた。
……大丈夫、今日は震えてない。
桜那は手のひらをじっと見つめ、ぐっと握ってはパッと離す動作を繰り返した。
声がかかると、深呼吸して頭を切り替えてから撮影に臨んだ。
今日の撮影は、内容がハードなだけにスタッフやマネージャーも固唾を呑んで見守っていた。
桜那は暗い地下道を一人歩き、そこで台本通り三人の男に車へ押し込まれ、連れ去られる。ここまでは普段どおりの集中力で演じる事が出来た。
次はいよいよ本番のシーンだ。古い倉庫に連れ込まれ、二人の男に押さえられて、無理矢理服を脱がされた。
その時だ、男優が服に手をかけた瞬間、桜那は心の底から恐怖を感じて悲鳴を上げた。
「いや‼︎やめて‼︎」
桜那は本気で抵抗していた。
「うるせぇ!静かにしろ!」
男優が怒鳴り、桜那の顔に平手打ちをした。
臨場感を出す為に、このシーンは手が顔に多少当たっても構わないと伝えていたが、桜那が本気で抵抗した為まともに喰らってしまった。
桜那が倒れ込み、頭がクラっとして起き上がれずにいると、すかさず結束バンドで後ろ手に縛られた。髪を掴まれ、無理矢理顔を上げられると、叫ぶ間もなく口唇を押し当てられ舌を捩じ込まれた。男優の唾液が喉奥に流れ込む。桜那は嫌悪感から身の毛がよだち、涙を流した。
……いや!気持ち悪い!宏章!助けて!
だが非情にも撮影は止まる事なく続いた。
男三人にかわるがわる体を弄ばれ、桜那は必死に抵抗した。
桜那は頭では撮影だと理解していても、体が拒絶反応を起こしていた。
二人の男優に身体中を貪られながら、もう一人の男優にペニスを喉奥まで突っ込まれた。桜那は苦しさのあまり、思わず「うっ!」とえずいて咽せてしまった。普段の撮影は集中してフェラの加減をコントロールしていたので、苦しさで咽せたのは初めてだった。
大量の唾液を吐き出し、桜那は我に返った。
……しっかりしろ!集中して!苦しい表情も意識するんだ!
桜那は自分に言い聞かせて、顔を上げた。
その時、自分を取り囲むすべての目に戦慄を覚えた。
まるで周囲を猛獣に取り囲まれて、逃げ道を無くした四面楚歌の獲物の様に。
桜那は悲鳴を上げ、もう撮影という事も忘れて、泣き叫びながら本気で抵抗した。
桜那は思い切り暴れるが、男三人がかりでは到底力で敵うはずもなく、簡単に抑えられてしまった。
台本通りだと、ここで挿入されながら首を絞められるという流れだ。だが、桜那のあまりの暴れぶりに、男優も首を締める手に思わず力が入ってしまい、苦しさで桜那は意識が遠のいた。その後は朦朧とする意識の中、わずかに残されたプロ意識でなんとか撮影をこなした。気づいたら、男優三人に顔射されて撮影が終了していた。
その後はもう、どうやって帰宅したのかも覚えておらず、いつの間にか自宅の玄関でへたり込んでいた。
手のひらに視線を向けると、小刻みに震えていた。次第に体まで震え出し、桜那は体をぎゅっと押さえて泣き出した。
激しくしゃくり上げ、桜那はトイレに駆け込んで嘔吐した。吐いてもなお涙と震えは止まらず、何度も吐いて、とうとう胃液まで吐き出した。全てを吐き出して胃が空っぽになると、ようやく震えは治まった。
桜那は涙と鼻水を流したまま、便器をぼんやりと見つめ、しばらくそのままへたり込んでいた。
「桜那!」
壁に寄りかかり目を閉じると、自分の名前を呼ぶ、優しい笑顔の宏章の顔が浮かんだ。
……もう何もいらない、私はただ「普通」になりたいだけ。
……後ろめたさを感じる事なく、ただ純粋に宏章を愛したいだけなの。
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