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序章 アンジェラス1は、世界を救う
15話 そして、何もなくなった
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この世界、神を産んだものに関する情報は一向に掴めない。
エルフやドワーフ、人狼に頼んでも魔族というだけで怖がられているために、顔を合わせてさえくれなかった。
地上で産まれた種族は、光の神から作りだされている為、当然とも言えた。
『はぁ……道のりは長いか……』
一度目過去に戻った時から、何故か銀狐には一度も会えていない。
記憶がないのかどうか知らないが、接触は難しいだろう。
太古から生きているのは、エルフとドワーフと銀狐である為、どの種族でもいいから情報を集めたいのだが伝手が無さすぎる。
「魔王様、如何されましたか?」
全身水色の水土の魔人ホワイトが、何故か胸で茶を運んでくる。
『胸で運んで暑くないのか……』
「全く熱くありませんわ。それより、今あったかいですわよ?」
たぷんっと、胸を揺らすホワイト。
『確かに、"茶は"あったかいな。』
「むぅ~魔王様のいけずぅ~」
『はいはい。』
軽くあしらいながら、どう情報収集するか必死に考える。
もう、頭が痛くなるほど考えているが、全く方法が見つからない。
邪神に聞いたところで何も得られない為、一人で考えるしかない。
「魔王様、何かお困りごとがあるのでしたら、ホワイト達相談に乗りますわよ?」
『いや……』
邪神に関する事を部下に話したところで、黒剣を持つ資格のない者たちは、見る事も出来ないし、ソレに関する話も言葉として認識できない様になっている。
『大したことではないから、気にするでない。』
ホワイトには悪いが、ここは引き下がってもらうしかない。
「ねぇ、魔王様。」
急に、ホワイトの口調が変わった。
「私達の事、そんなに信頼できないの?」
『そんな事ないが……』
「なら、どうして何も言ってくれないんですか?いきなり魔王やめるとか言い出して、その理由だって話してくれないし……私達は魔王様の力になりたいんです、魔王様に守られるだけじゃなくて背中を預けられる様な、そんな関係になりたくて、貴方の側にホワイトもアーガイルも、馬鹿だけどファイストだっているんです。」
『っ……』
切実な青い瞳で、悲しそうにジッと見つめられる。
「魔王様の事だから、きっとホワイト達が考えられないほど重大な事を抱えているんだと思います。ホワイト達じゃ相談相手にもなれないほど……でも、心配するホワイト達を雑に扱わないでください!!」
一番言いたかった事を言い切った様で、少し目尻に涙が溜まっている。
『……すまない』
今は、これだけしか言えない。
部下に構ってやれるほど、今の我に余裕はないのだ。
悲しそうに歪んでいく顔を、変えてあげたくても今の我には、何もしてやれない。
『本当に、すまない……』
ポロポロと涙をこぼしながら、出て行ったホワイトが座っていた場所を暫く呆然と見つめる。
段々と、重くなる仲間への罪悪感。
もう、本当に全てを放り出したくなる。
『どう、すれば良いというのだ……』
泣きたいのはこっちだと、思ってしまうのは唯の八つ当たりだと分かっている。
もし、今の情けない顔を部下が見ると、呆れるだろうか?それとも、怒るだろうか?
まだ、怒ってくれるのなら希望があるが、呆れられるだけなら……そう考え始めたところで、頭を振る。
マイナスな事を考えたところで、今は何も変わらない。
神同士の戦で、魔族を守るには全て魔王である我にかかっているのだ。
我儘な光の神が勝てば、魔界まで侵略されてしまう。そんな事だけはさせない。
先代が守っていた土地だけは、絶対に。
『まだまだ、始まったばかりだ。』
勇者だって、光の神に延々と同じ時間を繰り返えされて来たのだ。
目的もなく繰り返される世界と比べたら、まだ目的のある繰り返しをしている我の方がマシだ。
目的がある限り、我は我を忘れずに済む。
『エルフの説得は、最優先事項だ。』
絶対に、勇者が狂う前にエルフを説得してみせる。出来なくとも説得させる材料だけでも。
「ーー断らせてもらう。」
『何故だ。』
「貴様の話が真実だったとて、光の神を敵に回して我らが得をすることなどない。」
『だが、いつかは滅びる可能性があるのだぞ。』
「あくまでも可能性の話だろう。それに、光の神が我らを滅ぼすわけがない。」
結局、エルフの答えは変わらず。
次はドワーフの国へ足を運ぼう。
「魔族!?」
『はなし』
「帰るのじゃ!光の神の逆鱗に触れるなどできん!!」
ドワーフは、異常なほどに光の神を恐れている。
だから、また無理で最後に人狼の元へ。
「人狼族に、滅べと言いたいのか。」
『そう言うわけでは』
「ならば、去れ。」
淡々とした会話で追い返され、結局なんの成果もない。
そして、時間は過ぎ去ってーーー
「アハッ!アハハッッ!!!!」
狂った勇者と、出会う。
この世界では、初めて対面するが本当に狂気に満ち溢れている。
コレを、聖剣の力なしに対峙しようとしていたのかと思うと笑いが溢れる。
『勇者よ、さらばだ。』
部下が無惨に殺される前に、自身の首を刎ねる。
そういえば、魔王を殺せるのは聖剣だけだから勇者を殺す時は黒剣を奪わなければならぬな……なんて思いながら、また過去に戻る。
***
ーーー過去に戻って3回目。
エルフ、ドワーフ、人狼にどれだけ頼み込もうとなんの成果もなく終わった。
そして、勇者に殺される前に聖剣で首を刎ねて終わった。
ーーー過去に戻る事4回目
今度は、頼み込まずに自分で情報を集めようとした。
でも、調べたい所は全てエルフやドワーフの管理下にあり、調べることも出来なかった。
そして、また勇者に殺される前に自殺。
ーーー5回目
不法侵入で、捉えられそうになった。
エルフに魔王城を攻められたが、余裕で侵略を止められた。
けれど、ソレに乗じて狂った勇者まで来て聖剣を奪われて嬲り殺された。
ーー5回目
勇者が怖い。まだ、脳裏に痛みが残ってる。
でも、今度はドワーフのところへ侵入した。
同じく勇者に嬲り殺される。
やはり、古代から生きているだけあってドワーフも強い。
ーー6回目
人狼の領地へ侵入した。でも、何故か見逃してくれた。
勇者に嬲り殺されずに死ねた。やはり、自殺が一番楽に死ねる。
ーー7回目
エルフ、ドワーフ、人狼の共通点に気がついた。
三つの種族には、魔族は神殿となっているが、遺跡に神を呼び出す為の水晶があった。
とうやら、エルフとドワーフは光の神を呼び出す専用のもので、人狼は両方呼び出せるらしい。
邪神に聞いてみれば、共に作り出したのが人狼らしく味方でも敵でもないらしい。
だから、攻めてこなかったのかと納得した。つまりは、中立という事なのだろう。
因みに銀狐は、人狼の出来損ないらしい。
また、自殺で過去に戻る。
ーーー8回目
新しい情報が手に入って、人狼に協力を仰ごうと頼み込んだが中立を護ると頑なに動いてはくれなかった。
また、自殺をした。
ーーー9回目
なんだか、勇者の狂う時期が早くなって来ている気がする。
しかも、自殺しようとすると阻止しようとする。邪神の話だと、死体で遊んでいるらしい。
もう、勇者は勇者でない。
ーー10回目
魔将軍から、休めと土下座でお願いされた。
仕方ないから、一回くらい休んで自殺して終わった。今回は勇者が来る前に自殺した。
ーー11回
なんで、繰り返してるのか分からなくなって来た。八方塞がりで、勇者に魔王は殺される運命というけれど、やっぱりそうなのかなって、思う。
あぁ……苦しいな。
ーーー12
過去に戻っても、何も意味がない。
なんの収穫もない。部下と楽しい時を過ごして、時が来たら自殺した。
ーー13
銀狐が接触を図って来た。
でも、光の神からバレて勇者に殺されちゃった。
とうやら、殺されると記憶を過去へ引き継げないらしい。
神以外の協力者が居なくなってしまった。
ーーー14
勇者に殺されそうになってた銀狐を助けてあげた。
殺そうとしてた癖に、勇者は銀狐が居なくなって寂しそうにしてた。
そして、狂った勇者は銀狐を楽しそうに惨殺してた。
ーー15
そして、何も無くなってしまった。
エルフやドワーフ、人狼に頼んでも魔族というだけで怖がられているために、顔を合わせてさえくれなかった。
地上で産まれた種族は、光の神から作りだされている為、当然とも言えた。
『はぁ……道のりは長いか……』
一度目過去に戻った時から、何故か銀狐には一度も会えていない。
記憶がないのかどうか知らないが、接触は難しいだろう。
太古から生きているのは、エルフとドワーフと銀狐である為、どの種族でもいいから情報を集めたいのだが伝手が無さすぎる。
「魔王様、如何されましたか?」
全身水色の水土の魔人ホワイトが、何故か胸で茶を運んでくる。
『胸で運んで暑くないのか……』
「全く熱くありませんわ。それより、今あったかいですわよ?」
たぷんっと、胸を揺らすホワイト。
『確かに、"茶は"あったかいな。』
「むぅ~魔王様のいけずぅ~」
『はいはい。』
軽くあしらいながら、どう情報収集するか必死に考える。
もう、頭が痛くなるほど考えているが、全く方法が見つからない。
邪神に聞いたところで何も得られない為、一人で考えるしかない。
「魔王様、何かお困りごとがあるのでしたら、ホワイト達相談に乗りますわよ?」
『いや……』
邪神に関する事を部下に話したところで、黒剣を持つ資格のない者たちは、見る事も出来ないし、ソレに関する話も言葉として認識できない様になっている。
『大したことではないから、気にするでない。』
ホワイトには悪いが、ここは引き下がってもらうしかない。
「ねぇ、魔王様。」
急に、ホワイトの口調が変わった。
「私達の事、そんなに信頼できないの?」
『そんな事ないが……』
「なら、どうして何も言ってくれないんですか?いきなり魔王やめるとか言い出して、その理由だって話してくれないし……私達は魔王様の力になりたいんです、魔王様に守られるだけじゃなくて背中を預けられる様な、そんな関係になりたくて、貴方の側にホワイトもアーガイルも、馬鹿だけどファイストだっているんです。」
『っ……』
切実な青い瞳で、悲しそうにジッと見つめられる。
「魔王様の事だから、きっとホワイト達が考えられないほど重大な事を抱えているんだと思います。ホワイト達じゃ相談相手にもなれないほど……でも、心配するホワイト達を雑に扱わないでください!!」
一番言いたかった事を言い切った様で、少し目尻に涙が溜まっている。
『……すまない』
今は、これだけしか言えない。
部下に構ってやれるほど、今の我に余裕はないのだ。
悲しそうに歪んでいく顔を、変えてあげたくても今の我には、何もしてやれない。
『本当に、すまない……』
ポロポロと涙をこぼしながら、出て行ったホワイトが座っていた場所を暫く呆然と見つめる。
段々と、重くなる仲間への罪悪感。
もう、本当に全てを放り出したくなる。
『どう、すれば良いというのだ……』
泣きたいのはこっちだと、思ってしまうのは唯の八つ当たりだと分かっている。
もし、今の情けない顔を部下が見ると、呆れるだろうか?それとも、怒るだろうか?
まだ、怒ってくれるのなら希望があるが、呆れられるだけなら……そう考え始めたところで、頭を振る。
マイナスな事を考えたところで、今は何も変わらない。
神同士の戦で、魔族を守るには全て魔王である我にかかっているのだ。
我儘な光の神が勝てば、魔界まで侵略されてしまう。そんな事だけはさせない。
先代が守っていた土地だけは、絶対に。
『まだまだ、始まったばかりだ。』
勇者だって、光の神に延々と同じ時間を繰り返えされて来たのだ。
目的もなく繰り返される世界と比べたら、まだ目的のある繰り返しをしている我の方がマシだ。
目的がある限り、我は我を忘れずに済む。
『エルフの説得は、最優先事項だ。』
絶対に、勇者が狂う前にエルフを説得してみせる。出来なくとも説得させる材料だけでも。
「ーー断らせてもらう。」
『何故だ。』
「貴様の話が真実だったとて、光の神を敵に回して我らが得をすることなどない。」
『だが、いつかは滅びる可能性があるのだぞ。』
「あくまでも可能性の話だろう。それに、光の神が我らを滅ぼすわけがない。」
結局、エルフの答えは変わらず。
次はドワーフの国へ足を運ぼう。
「魔族!?」
『はなし』
「帰るのじゃ!光の神の逆鱗に触れるなどできん!!」
ドワーフは、異常なほどに光の神を恐れている。
だから、また無理で最後に人狼の元へ。
「人狼族に、滅べと言いたいのか。」
『そう言うわけでは』
「ならば、去れ。」
淡々とした会話で追い返され、結局なんの成果もない。
そして、時間は過ぎ去ってーーー
「アハッ!アハハッッ!!!!」
狂った勇者と、出会う。
この世界では、初めて対面するが本当に狂気に満ち溢れている。
コレを、聖剣の力なしに対峙しようとしていたのかと思うと笑いが溢れる。
『勇者よ、さらばだ。』
部下が無惨に殺される前に、自身の首を刎ねる。
そういえば、魔王を殺せるのは聖剣だけだから勇者を殺す時は黒剣を奪わなければならぬな……なんて思いながら、また過去に戻る。
***
ーーー過去に戻って3回目。
エルフ、ドワーフ、人狼にどれだけ頼み込もうとなんの成果もなく終わった。
そして、勇者に殺される前に聖剣で首を刎ねて終わった。
ーーー過去に戻る事4回目
今度は、頼み込まずに自分で情報を集めようとした。
でも、調べたい所は全てエルフやドワーフの管理下にあり、調べることも出来なかった。
そして、また勇者に殺される前に自殺。
ーーー5回目
不法侵入で、捉えられそうになった。
エルフに魔王城を攻められたが、余裕で侵略を止められた。
けれど、ソレに乗じて狂った勇者まで来て聖剣を奪われて嬲り殺された。
ーー5回目
勇者が怖い。まだ、脳裏に痛みが残ってる。
でも、今度はドワーフのところへ侵入した。
同じく勇者に嬲り殺される。
やはり、古代から生きているだけあってドワーフも強い。
ーー6回目
人狼の領地へ侵入した。でも、何故か見逃してくれた。
勇者に嬲り殺されずに死ねた。やはり、自殺が一番楽に死ねる。
ーー7回目
エルフ、ドワーフ、人狼の共通点に気がついた。
三つの種族には、魔族は神殿となっているが、遺跡に神を呼び出す為の水晶があった。
とうやら、エルフとドワーフは光の神を呼び出す専用のもので、人狼は両方呼び出せるらしい。
邪神に聞いてみれば、共に作り出したのが人狼らしく味方でも敵でもないらしい。
だから、攻めてこなかったのかと納得した。つまりは、中立という事なのだろう。
因みに銀狐は、人狼の出来損ないらしい。
また、自殺で過去に戻る。
ーーー8回目
新しい情報が手に入って、人狼に協力を仰ごうと頼み込んだが中立を護ると頑なに動いてはくれなかった。
また、自殺をした。
ーーー9回目
なんだか、勇者の狂う時期が早くなって来ている気がする。
しかも、自殺しようとすると阻止しようとする。邪神の話だと、死体で遊んでいるらしい。
もう、勇者は勇者でない。
ーー10回目
魔将軍から、休めと土下座でお願いされた。
仕方ないから、一回くらい休んで自殺して終わった。今回は勇者が来る前に自殺した。
ーー11回
なんで、繰り返してるのか分からなくなって来た。八方塞がりで、勇者に魔王は殺される運命というけれど、やっぱりそうなのかなって、思う。
あぁ……苦しいな。
ーーー12
過去に戻っても、何も意味がない。
なんの収穫もない。部下と楽しい時を過ごして、時が来たら自殺した。
ーー13
銀狐が接触を図って来た。
でも、光の神からバレて勇者に殺されちゃった。
とうやら、殺されると記憶を過去へ引き継げないらしい。
神以外の協力者が居なくなってしまった。
ーーー14
勇者に殺されそうになってた銀狐を助けてあげた。
殺そうとしてた癖に、勇者は銀狐が居なくなって寂しそうにしてた。
そして、狂った勇者は銀狐を楽しそうに惨殺してた。
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