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序章 登録試験編
EP5 秘策 <キャラ立ち絵あり>
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ゴリ押し。それはおそらく、生物が最初に手にした戦法。
攻撃を受けながらも突破し、目標を制圧する。それがゴリ押し。
戦略がないのが戦略。それを地で行くのがゴリ押しである。
効果的な方法がない場合を除けば、極力避けたい戦法であるが、今がその場合であると清也は悟った。
だが、このまま採石場へ向かえば、自分は死ぬ事になるというのも悟っていた。
そこで早速、アルバイトとして耳にした話が活きた。
「たしか、パーティを組むのは名簿に名前がなければ無理だけど、クエストを手伝ってもらうのはその限りではなかったはず!」
その話を頼りに、ギルドの扉を開いた。そして、手当たり次第に様々なパーティの人、特に作戦上重要な回復職に手伝いを頼んだ。
「お金は報酬に無いんだよね?装備には困ってないんだ。いやいや、3ファルゴじゃ足りないよ。」
「あなた弱そうだもんね。名簿に名前が載ってから出直してきな。え?剣も持ってないの?私たちをからかってるの?」
「テメェみたいなヒョロガキに頼もうなんて、相当切羽詰まってんだな。あの鍛冶屋、腕はいいがここまでかもな。ガッハッハ!」
誰一人受け入れてはくれなかった。
嘲笑と軽蔑の視線が清也の細い体に突き刺さり、その心をへし折ろうとする。その場にいる誰もが、彼を軽んじている。
彼はその感覚が、堪らなく嫌だった。それではまるで、前世と同じでは無いかと思ったからだ。
誰からも必要とされず、その場にいる事が疎まれる。それは間違いなく、会社での自分と何も変わらなかったーー。
~~~~~~~~~~~~
ギルドを後にした清也が一人、途方に暮れて帰ろうとしているとーー。
「あっ、あの・・・。」
不意に声をかけられ、振り返ると薄い緑髪の綺麗な女の人が立っていたーー。
「一緒に戦ってくれる回復職の人を探しているんですよね?
私ちょっと変わった方法なのですが、れっきとした回復職なんです!私が付いていくのではダメですか?」
こんな美人な人が手伝ってくれる。少し幼い面はあるが、れっきとした男である清也は勿論即答だった。
「本当に来てくれるのですか!?ありがとうございます!」
嬉しさで涙が出そうになったが、堪えて一つだけ質問をした。
「変わった方法、と言うとどのような技なのですか?」
もし"自己犠牲を伴う回復職"なのだとすれば、申し訳なくてお願いできないが、そんなことはなかった。
「私、材料があれば瞬時に調合して、傷に合わせた回復魔法を生み出せるんです!
傷に合わせて作れる分、効果は高いという自負はあります!
ただ、呪文を唱えるだけの回復職の人と比べると少し遅いし、なにより材料がないとどうしようもないんです。
なので、なかなか受け入れてもらえなくて・・・。あと、1日に一度しか使えない攻撃技もあります!」
流石に、どんな技なのか聞くのは野暮だと思ったので、深くは聞かないことにした。
それはそれとして、聞くところによれば十分に頼りになりそうだ。
「凄いじゃないですか!確かに変わった技ではありますが、個性的で僕は全然良いと思います!
能力まで聞いておいて、名乗らないのは変ですね。僕の名前は」
そこまで言って、清也は思い出した。良い人そうだが、一応気をつけておこう。
「セーヤ・・・セーヤ・フリーズです!生まれはここ、ソントの町です!」
咄嗟に嘘をついたが悪くない名前だ。これなら転生者とはバレないだろう。
「わっ、私は・・・フラウ、フラウ・キャンフォーです。」
「では、早速行きましょう!フラウ!」
「わかりました!セーヤ。」
お互いの名を確認した清也とフラウは、意気揚々と駆け出して行った!
攻撃を受けながらも突破し、目標を制圧する。それがゴリ押し。
戦略がないのが戦略。それを地で行くのがゴリ押しである。
効果的な方法がない場合を除けば、極力避けたい戦法であるが、今がその場合であると清也は悟った。
だが、このまま採石場へ向かえば、自分は死ぬ事になるというのも悟っていた。
そこで早速、アルバイトとして耳にした話が活きた。
「たしか、パーティを組むのは名簿に名前がなければ無理だけど、クエストを手伝ってもらうのはその限りではなかったはず!」
その話を頼りに、ギルドの扉を開いた。そして、手当たり次第に様々なパーティの人、特に作戦上重要な回復職に手伝いを頼んだ。
「お金は報酬に無いんだよね?装備には困ってないんだ。いやいや、3ファルゴじゃ足りないよ。」
「あなた弱そうだもんね。名簿に名前が載ってから出直してきな。え?剣も持ってないの?私たちをからかってるの?」
「テメェみたいなヒョロガキに頼もうなんて、相当切羽詰まってんだな。あの鍛冶屋、腕はいいがここまでかもな。ガッハッハ!」
誰一人受け入れてはくれなかった。
嘲笑と軽蔑の視線が清也の細い体に突き刺さり、その心をへし折ろうとする。その場にいる誰もが、彼を軽んじている。
彼はその感覚が、堪らなく嫌だった。それではまるで、前世と同じでは無いかと思ったからだ。
誰からも必要とされず、その場にいる事が疎まれる。それは間違いなく、会社での自分と何も変わらなかったーー。
~~~~~~~~~~~~
ギルドを後にした清也が一人、途方に暮れて帰ろうとしているとーー。
「あっ、あの・・・。」
不意に声をかけられ、振り返ると薄い緑髪の綺麗な女の人が立っていたーー。
「一緒に戦ってくれる回復職の人を探しているんですよね?
私ちょっと変わった方法なのですが、れっきとした回復職なんです!私が付いていくのではダメですか?」
こんな美人な人が手伝ってくれる。少し幼い面はあるが、れっきとした男である清也は勿論即答だった。
「本当に来てくれるのですか!?ありがとうございます!」
嬉しさで涙が出そうになったが、堪えて一つだけ質問をした。
「変わった方法、と言うとどのような技なのですか?」
もし"自己犠牲を伴う回復職"なのだとすれば、申し訳なくてお願いできないが、そんなことはなかった。
「私、材料があれば瞬時に調合して、傷に合わせた回復魔法を生み出せるんです!
傷に合わせて作れる分、効果は高いという自負はあります!
ただ、呪文を唱えるだけの回復職の人と比べると少し遅いし、なにより材料がないとどうしようもないんです。
なので、なかなか受け入れてもらえなくて・・・。あと、1日に一度しか使えない攻撃技もあります!」
流石に、どんな技なのか聞くのは野暮だと思ったので、深くは聞かないことにした。
それはそれとして、聞くところによれば十分に頼りになりそうだ。
「凄いじゃないですか!確かに変わった技ではありますが、個性的で僕は全然良いと思います!
能力まで聞いておいて、名乗らないのは変ですね。僕の名前は」
そこまで言って、清也は思い出した。良い人そうだが、一応気をつけておこう。
「セーヤ・・・セーヤ・フリーズです!生まれはここ、ソントの町です!」
咄嗟に嘘をついたが悪くない名前だ。これなら転生者とはバレないだろう。
「わっ、私は・・・フラウ、フラウ・キャンフォーです。」
「では、早速行きましょう!フラウ!」
「わかりました!セーヤ。」
お互いの名を確認した清也とフラウは、意気揚々と駆け出して行った!
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