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しおりを挟む私は、この世界にバイオリンがあるかどうかを確かめるために楽器屋に行くことにした。
「そもそも楽器屋ってあるのかな?それに、楽器屋に行くとしたら屋敷の外に出ることになると思うけど、そのためには使用人と護衛騎士を連れて行かないといけないのよね。護衛騎士ならまだしも、私について来てくれる使用人なんて居るのかしら?」
この屋敷では、厨房で働いている料理人と別の建物で暮らしてる騎士はサラと直接関係を持つことがなかったからサラのことを噂でしか知らないはずだから、私の護衛をしてくれる騎士はすぐに見つかるはず。
最悪、私について来てくれる人が居なかったら私の権限で命令すればいいだけのこと。
「一応明日の朝募ってみようかしら」
***
流石に昨日のこともあってか今朝、セリア達は時間通りにやって来た。
とはいえ、仕事は雑だし乱暴だったけど、ここで昨日みたいに怒ったりするのも面倒だし、一人でするよりも朝の準備が楽になったからにも言わないことにした。
「セリア、今日1日時間を取れそうな使用人を全員集めてくれる?」
「ここの使用人は全員忙しいからそんな人は居ませんよ」
今まで私の世話すらろくにやってこなかったのに何が忙しいのよ。
「分かったわ。なら、今いる使用人全員集めてくれるかしら?」
「はぁ、分かりました」
「ありがとう」
***
「大広間に全員集めました」
「今行くわ」
大広間に行くと、男女合わせて20人くらいの使用人が居た。私はこの中から一人だけ選んで連れて行くつもりだ。
「急に呼び出してしまってごめんなさいね。実は今日外出しようと思っているのだけど、私の付き添いをしてくれる人はいるかしら?」
「……」
やっぱり私と一緒外出してくれる人なんていないと思って誰を指名しようかと考えていると
「あっ、あの、もし私でよろしければお供します!」
いた!!
「良いの?」
「はい!もちろんです!」
その使用人は快く承諾してくれた。
「ならあなたにお願いするわ。名前はなんでしたっけ?」
「アリアと申します」
「それじゃあ、アリアと行くことにするから。他の人は仕事に戻っていいわよ」
他の人が仕事に戻っていく中、セリアとその取り巻きだけがのこっていた。
「何か用かしら?」
「アリアを連れていくんですか?」
「そうだけど?」
「彼女は今日やらなければならない仕事が沢山あります。返してください」
「彼女がやらなければいけない仕事は"女主人のお供"に変わったのよ」
ここまで言ったらセリアは何も言わずに戻っていった。結局はセリアも権力には逆らえないのでしょう。
「それじゃあアリア、騎士団が居るところに行くわよ」
「はい!」
アリアって子は私に対してすごい好意的だった。
私が騎士団のところまで行くと、すでに修練が始まっていたから、団長に声を掛けた。騎士団には良い印象を与えられるように気をつけないと。
「団長さん、ごきげんよう。突然訪ねてしまってごめんなさいね」
「これは、奥様。このような場所まで足を運ばれるなんて、何か御用でしょうか?」
「ええ、今日外出したくて護衛が必要なの」
「それなら専属の護衛を……失礼しました。では、私の方からお選びしましょうか?」
私には専属の護衛がいない。そもそも外出することがなかったから作る必要も無かった。
「なら、貴方にお願いしようかしら。」
「分かりました。何人ほど?」
「1人でいいわよ」
「えっ?1人だけですか?」
「ええ、1人で十分よ。ありがとう」
「分かりました。それでは、副団長のスミスに行かせます」
やっぱり騎士団の方は特に問題なさそうね。普通に接してくれてるし。
「奥様、副団長のスミスです。今日はよろしくお願いします」
「こちらこそ、よろしくお願いしますね」
「奥様!馬車の用意が来ました!」
「ありがとう。それじゃあ行きましょう」
***
馬車の中でアリアと色々な話をした。その中に私がとても気になる話があった。それは、アリアの仕事内容について。
アリアは前からサラへの虐めに加担していなかったからセリアたちの仕事を押し付けられたりと嫌がらせを受けていたらしい。
「それでセリアはわたしがあなたを連れて行くのを嫌がってたのかしら?」
「多分そうだと思います」
しばらくすると私の目的地の王都が見えてきた。この都は「ここで買えないものは無い」と言われるくらい栄えてるらしい。
「奥様、もうすぐ王都に着きますけど、どちらまでお連れいたしましょう?」
御者が窓を開けて聞いてきた。
「なるべく大きな楽器屋までお願いできるかしら?」
「分かりました」
「奥様、到着いたしました。ではごゆっくり」
御者と別れてアリアとスミスと共に楽器屋に入っていった。
この世界にバイオリンがあることを願って。
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