気弱な公爵夫人に転生しました

randge

文字の大きさ
3 / 11

3

しおりを挟む
 

 
 私は、この世界にバイオリンがあるかどうかを確かめるために楽器屋に行くことにした。

 「そもそも楽器屋ってあるのかな?それに、楽器屋に行くとしたら屋敷の外に出ることになると思うけど、そのためには使用人と護衛騎士を連れて行かないといけないのよね。護衛騎士ならまだしも、私について来てくれる使用人なんて居るのかしら?」

 この屋敷では、厨房で働いている料理人と別の建物で暮らしてる騎士はサラと直接関係を持つことがなかったからサラのことを噂でしか知らないはずだから、私の護衛をしてくれる騎士はすぐに見つかるはず。
 最悪、私について来てくれる人が居なかったら私の権限で命令すればいいだけのこと。

 「一応明日の朝募ってみようかしら」


 ***


 流石に昨日のこともあってか今朝、セリア達は時間通りにやって来た。
 とはいえ、仕事は雑だし乱暴だったけど、ここで昨日みたいに怒ったりするのも面倒だし、一人でするよりも朝の準備が楽になったからにも言わないことにした。

 「セリア、今日1日時間を取れそうな使用人を全員集めてくれる?」
 「ここの使用人は全員忙しいからそんな人は居ませんよ」

 今まで私の世話すらろくにやってこなかったのに何が忙しいのよ。

 「分かったわ。なら、今いる使用人全員集めてくれるかしら?」
 「はぁ、分かりました」
 「ありがとう」
 

 ***


 「大広間に全員集めました」
 「今行くわ」

 大広間に行くと、男女合わせて20人くらいの使用人が居た。私はこの中から一人だけ選んで連れて行くつもりだ。

 「急に呼び出してしまってごめんなさいね。実は今日外出しようと思っているのだけど、私の付き添いをしてくれる人はいるかしら?」
 「……」

 やっぱり私と一緒外出してくれる人なんていないと思って誰を指名しようかと考えていると

 「あっ、あの、もし私でよろしければお供します!」

 いた!!

 「良いの?」
 「はい!もちろんです!」

 その使用人は快く承諾してくれた。

 「ならあなたにお願いするわ。名前はなんでしたっけ?」
 「アリアと申します」
 「それじゃあ、アリアと行くことにするから。他の人は仕事に戻っていいわよ」

 他の人が仕事に戻っていく中、セリアとその取り巻きだけがのこっていた。

 「何か用かしら?」
 「アリアを連れていくんですか?」
 「そうだけど?」
 「彼女は今日やらなければならない仕事が沢山あります。返してください」
 「彼女がやらなければいけない仕事は"女主人のお供"に変わったのよ」

 ここまで言ったらセリアは何も言わずに戻っていった。結局はセリアも権力には逆らえないのでしょう。

 「それじゃあアリア、騎士団が居るところに行くわよ」
 「はい!」

 アリアって子は私に対してすごい好意的だった。

 私が騎士団のところまで行くと、すでに修練が始まっていたから、団長に声を掛けた。騎士団には良い印象を与えられるように気をつけないと。

 「団長さん、ごきげんよう。突然訪ねてしまってごめんなさいね」
 「これは、奥様。このような場所まで足を運ばれるなんて、何か御用でしょうか?」
 「ええ、今日外出したくて護衛が必要なの」
 「それなら専属の護衛を……失礼しました。では、私の方からお選びしましょうか?」

 私には専属の護衛がいない。そもそも外出することがなかったから作る必要も無かった。

 「なら、貴方にお願いしようかしら。」
 「分かりました。何人ほど?」
 「1人でいいわよ」
 「えっ?1人だけですか?」
 「ええ、1人で十分よ。ありがとう」
 「分かりました。それでは、副団長のスミスに行かせます」

 やっぱり騎士団の方は特に問題なさそうね。普通に接してくれてるし。

 「奥様、副団長のスミスです。今日はよろしくお願いします」
 「こちらこそ、よろしくお願いしますね」

 「奥様!馬車の用意が来ました!」
 「ありがとう。それじゃあ行きましょう」


 ***


 馬車の中でアリアと色々な話をした。その中に私がとても気になる話があった。それは、アリアの仕事内容について。
 アリアは前からサラへの虐めに加担していなかったからセリアたちの仕事を押し付けられたりと嫌がらせを受けていたらしい。

 「それでセリアはわたしがあなたを連れて行くのを嫌がってたのかしら?」
 「多分そうだと思います」

 しばらくすると私の目的地の王都が見えてきた。この都は「ここで買えないものは無い」と言われるくらい栄えてるらしい。

 「奥様、もうすぐ王都に着きますけど、どちらまでお連れいたしましょう?」

御者が窓を開けて聞いてきた。

 「なるべく大きな楽器屋までお願いできるかしら?」
 「分かりました」

 「奥様、到着いたしました。ではごゆっくり」

 御者と別れてアリアとスミスと共に楽器屋に入っていった。
 この世界にバイオリンがあることを願って。



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】離縁されたので実家には戻らずに自由にさせて貰います!

山葵
恋愛
「キリア、俺と離縁してくれ。ライラの御腹には俺の子が居る。産まれてくる子を庶子としたくない。お前に子供が授からなかったのも悪いのだ。慰謝料は払うから、離婚届にサインをして出て行ってくれ!」 夫のカイロは、自分の横にライラさんを座らせ、向かいに座る私に離婚届を差し出した。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

婚約者の幼馴染?それが何か?

仏白目
恋愛
タバサは学園で婚約者のリカルドと食堂で昼食をとっていた 「あ〜、リカルドここにいたの?もう、待っててっていったのにぃ〜」 目の前にいる私の事はガン無視である 「マリサ・・・これからはタバサと昼食は一緒にとるから、君は遠慮してくれないか?」 リカルドにそう言われたマリサは 「酷いわ!リカルド!私達あんなに愛し合っていたのに、私を捨てるの?」 ん?愛し合っていた?今聞き捨てならない言葉が・・・ 「マリサ!誤解を招くような言い方はやめてくれ!僕たちは幼馴染ってだけだろう?」 「そんな!リカルド酷い!」 マリサはテーブルに突っ伏してワアワア泣き出した、およそ貴族令嬢とは思えない姿を晒している  この騒ぎ自体 とんだ恥晒しだわ タバサは席を立ち 冷めた目でリカルドを見ると、「この事は父に相談します、お先に失礼しますわ」 「まってくれタバサ!誤解なんだ」 リカルドを置いて、タバサは席を立った

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

処理中です...