気弱な公爵夫人に転生しました

randge

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 「奥様!」

 そこにいたのは顔を真っ赤にして怒っているセリアがいた。彼女が何で怒っているのかは大体想像できた。

 「ノックくらいしたらどう?」
 「今日来た人たちは何なんですか?」

 彼女は私の言葉に耳を貸すことなく私が予想していた通りの質問をして来た。

 「何って、新しい使用人候補よ?今日私が面接したの」
 「はっ、使用人候補ですって!?この屋敷には十分に使用人外出いるではないですか」
 「そうかしら?それにしては屋敷の手入れが行き届いていないように見えるけど?特に、私の部屋の掃除や私の身の回りの世話とか」

 もちろん、セリア達ががいまだに私への嫌がらせとして私に関する仕事を放棄していることは知っている。今はアリアがセリア達が放棄した仕事をやってくれているけど、いつまでも一人でやらせるのは申し訳ない。

 「それは……そ、そうかもしれませんね」

 セリアは悔しそうにしながらもそのことを認めた。

 「ですが、どうして使用人を補充する許可を私に取らなかったのですか?」
 「あなた馬鹿なの?女主人である私がどうしてあなたなんかの許可をいちいち取らなきゃいけないの?」
 「っ……覚えとけよ」

 セリアは何かをボソリと呟くと私には何も言わずに部屋を出ていった。

 「いい気味、今までサラにして来たことをこれからもっと後悔させてあげる」


 ***

 無事に面接を受けに来た20人の中から15人を選び終わったところでトールさんからバイオリンの完成を知らせる手紙が届いた。

 "あなたが注文した楽器が完成しましたので、いつでも受け取りに来て下さい"

 「ついに完成した~!」

 私はさっそくバイオリンを受け取りに行くことにした。

 「ハーベル、今から外出するからアリアとスミスを呼んでおいてくれる?」
 「かしこまりました」

 「奥様、アリアです」
 「入っていいわよ」
 「失礼します。どうかなさいましたか?」
 「外出の準備を手伝ってくれる?前にトールさんに注文したものが出来上がったから今すぐに取りに行きたいの」

 私は早くバイオリンを弾きたい思いでソワソワしていた。

 「分かりました。私もついていっていいですか?」
 「もちろんいいわよ!」

 私は準備を終わらせてトールさんのところへ向かった。


 ***

 コンコンッ

 「はい、どちら様ですか?」

 私が着くと作業着を着た青年が迎えてくれた。

 「以前に注文を出していた。サラ=ポートマンです」
 「分かりました。ではこちらへどうぞ」

 その青年に案内された部屋に入って待っているとトールさんが前世にもあったようなバイオリンのケースとバイオリンを持ってきた。

 「ついに完成しました!」
 「ありがとうございます。それにケースまで」
 「これくらいはお安い御用です。ところで、この楽器の名前は?」
 「そうね……"バイオリン"なんてどうですか?」

 ネーミングセンスが皆無な私は無難に前世と同じ名前をつけることにした。

 「バイオリン……いい名前ですね。では、今日できた楽器を演奏するのは無理だと思いますが、バイオリンの音を聞かせてください」

 そう言うと彼は私にバイオリンを渡して来た。持った感触や重さなど、全てが前世私が使っていたものにそっくりだった。
 (これなら弾けそう)

 「アリア」
 「はい」
 「最初にアリアに披露してあげるって約束してたよね?今ここで披露するってことでいい?」
 「もちろんです!」

 私は何を演奏しようか迷った。そもそも、この世界にある曲を演奏するのか、それとも前世の曲を演奏するのか?
 結局、前世で私が好きでよく弾いていた"タイスの瞑想曲"を引くことにした。
 私は立ち上がってバイオリンを構えた。
 (観客は二人だけど、最高の演奏にしよう!)


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