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第一章 王族から追放されました
2.王子、変わったフェンリルに翻弄される
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何周回ったのだろうか。目が回って食べられるかもしれないという気持ちはどこかへ行ってしまった。気持ち悪くて動くのもやっとだ。
『拙者に初めての友達が出来たぞ! お主名前は?』
解放された僕はゆっくりと顔を上げる。大きな体でもふもふとした毛。後ろで大きな尻尾をブンブンと振っている。
話ができるなら高位の魔物で間違いない。しかも、見た目がウルフ系なら思い当たるのは、伝承の生き物と言われているフェンリルだ。
街に降りてきたら一瞬にして破壊するほどの力を持つと言われているフェンリル。そんな伝承の生き物が僕の目の前にいる。
「僕はアドルだ。お前ってフェンリルか?」
話せるなら直接何者か聞いた方が早い。
フェンリルは首を傾げて少し考えていた。太陽に照らされて光る牙が眩しい。
ひょっとしたら聞くことを間違えたのだろうか。
『はにゃ? 拙者コボルトだぞ?』
僕の聞き間違いだろうか。コボルトと言えば下位の魔物で、ゴブリン・コボルト・スライムと駆け出し冒険者が倒す最初の魔物達だ。
あまりにも衝撃的な言葉に僕は何度も聞き返すが、ずっとコボルトだと言っていた。
証明するためにコボルト特有の二足歩行で僕の周りを走っている。ただ、動くのが早すぎて僕には残像にしか見えない。
『アドルはなぜこの島にいるんだ?』
「あー、あっちの島に行こうと思ってたら間違ってこっちに来たらしい」
僕が隣に見える島を指差すと、フェンリルはその場で震えていた。
『あそこは魔境だ。アドルみたいな小さいやつが無言で襲ってくるぞ!』
それはきっとこいつがフェンリルだからだろう。追い出すために攻撃をしたのをこいつは恐れて逃げただけだ。
流石に僕の王国でも、フェンリルが現れたら全力で戦うだろう。
『今も何かに追われているではないか! 解除しておくぞ!』
フェンリルは指を鳴らすと、どこかで音が鳴っていた。
それにしても僕は誰に追われているのだろうか。
そもそもウルフ系とコボルトは体の作りが違うため、二足で立っている方がおかしい。むしろ気持ち悪い。
そして魔法も使えたら確実にフェンリルだ!
とりあえず、離れた方が良いと思い僕は向きを変えた。
『アドルをあの島に行かせないぞ!』
いつのまにか体が浮くと、気づいた時にはフェンリルの肩の上に乗っていた。
おいおい、フェンリルに肩の上に乗るとか死ぬ覚悟をしないといけない。
落ちないようにがっちりと捕まえられた。
どうやら僕は逃げることができないようだ。
ただでさえこの島から出る方法を探さないといけないのに……。
「とりあえず名前はなんて言うんだ? 僕だけ自己紹――」
名前を聞くとフェンリルはグルグルと唸り声を上げていた。また何かしたのではないかと思ったが、どうやら違うようだ。
『これが自己紹介というやつか!』
いや、単に名前を聞かれただけで喜んでいた。
『拙者はコボスケだ!』
フェンリルはコボスケと言っていた。明らかに名前と見た目が合っていない。まだフェンスケなら納得はできる。
本当に自分のことをコボルトだと思っているのだろう。
「コボスケはどうやって生活しているんだ?」
『拙者か?』
「この島に食べ物はあるのか? これだけ大きな森だと獰猛な魔物とか動物がいないか?」
実際、ここには獰猛だと思われる魔物がいる。自分のことを言われているのに気づかないのか、首を傾げている。
『はにゃ? 拙者果実とかしか食べないぞ』
うん、ツッコミどころがありすぎて何にも言えない。この体格で果実しか食べないとか、どこかのダイエット中の令嬢だ。
『アドルはお腹が減ったのか? ちょっと待ってろよ』
その場で降ろしてもらうと、コボスケはどこかへ走って行く。
今がチャンスだと思った僕は全力で逃げるように走り出す。だが、その考えは甘かった。
『アドルどこいくんだ?』
気づいた時には目の前にコボスケが立っていた。
『拙者に初めての友達が出来たぞ! お主名前は?』
解放された僕はゆっくりと顔を上げる。大きな体でもふもふとした毛。後ろで大きな尻尾をブンブンと振っている。
話ができるなら高位の魔物で間違いない。しかも、見た目がウルフ系なら思い当たるのは、伝承の生き物と言われているフェンリルだ。
街に降りてきたら一瞬にして破壊するほどの力を持つと言われているフェンリル。そんな伝承の生き物が僕の目の前にいる。
「僕はアドルだ。お前ってフェンリルか?」
話せるなら直接何者か聞いた方が早い。
フェンリルは首を傾げて少し考えていた。太陽に照らされて光る牙が眩しい。
ひょっとしたら聞くことを間違えたのだろうか。
『はにゃ? 拙者コボルトだぞ?』
僕の聞き間違いだろうか。コボルトと言えば下位の魔物で、ゴブリン・コボルト・スライムと駆け出し冒険者が倒す最初の魔物達だ。
あまりにも衝撃的な言葉に僕は何度も聞き返すが、ずっとコボルトだと言っていた。
証明するためにコボルト特有の二足歩行で僕の周りを走っている。ただ、動くのが早すぎて僕には残像にしか見えない。
『アドルはなぜこの島にいるんだ?』
「あー、あっちの島に行こうと思ってたら間違ってこっちに来たらしい」
僕が隣に見える島を指差すと、フェンリルはその場で震えていた。
『あそこは魔境だ。アドルみたいな小さいやつが無言で襲ってくるぞ!』
それはきっとこいつがフェンリルだからだろう。追い出すために攻撃をしたのをこいつは恐れて逃げただけだ。
流石に僕の王国でも、フェンリルが現れたら全力で戦うだろう。
『今も何かに追われているではないか! 解除しておくぞ!』
フェンリルは指を鳴らすと、どこかで音が鳴っていた。
それにしても僕は誰に追われているのだろうか。
そもそもウルフ系とコボルトは体の作りが違うため、二足で立っている方がおかしい。むしろ気持ち悪い。
そして魔法も使えたら確実にフェンリルだ!
とりあえず、離れた方が良いと思い僕は向きを変えた。
『アドルをあの島に行かせないぞ!』
いつのまにか体が浮くと、気づいた時にはフェンリルの肩の上に乗っていた。
おいおい、フェンリルに肩の上に乗るとか死ぬ覚悟をしないといけない。
落ちないようにがっちりと捕まえられた。
どうやら僕は逃げることができないようだ。
ただでさえこの島から出る方法を探さないといけないのに……。
「とりあえず名前はなんて言うんだ? 僕だけ自己紹――」
名前を聞くとフェンリルはグルグルと唸り声を上げていた。また何かしたのではないかと思ったが、どうやら違うようだ。
『これが自己紹介というやつか!』
いや、単に名前を聞かれただけで喜んでいた。
『拙者はコボスケだ!』
フェンリルはコボスケと言っていた。明らかに名前と見た目が合っていない。まだフェンスケなら納得はできる。
本当に自分のことをコボルトだと思っているのだろう。
「コボスケはどうやって生活しているんだ?」
『拙者か?』
「この島に食べ物はあるのか? これだけ大きな森だと獰猛な魔物とか動物がいないか?」
実際、ここには獰猛だと思われる魔物がいる。自分のことを言われているのに気づかないのか、首を傾げている。
『はにゃ? 拙者果実とかしか食べないぞ』
うん、ツッコミどころがありすぎて何にも言えない。この体格で果実しか食べないとか、どこかのダイエット中の令嬢だ。
『アドルはお腹が減ったのか? ちょっと待ってろよ』
その場で降ろしてもらうと、コボスケはどこかへ走って行く。
今がチャンスだと思った僕は全力で逃げるように走り出す。だが、その考えは甘かった。
『アドルどこいくんだ?』
気づいた時には目の前にコボスケが立っていた。
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