無才能で孤独な王子は辺境の島で優雅なスローライフを送りたい〜愛され王子は愉快なもふもふと友達になる才能があったようです〜

k-ing /きんぐ★商業5作品

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第四章 衣食住、服を着てオシャレをします

31.王子、フェニックスの謎を知る

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 森の中を歩いて目的地である山の麓に向かっていく。

『あっ、変な虫が飛んでるぞ!』

 最近僕の周りに変な虫が飛んでいることが多く、コボスケやヒツジが倒してくれる。そんなに僕は臭いのだろうか。

 いつかは僕も沼パックを全身でする必要性が出てくるのかもしれない。

 あの虫がいるところに入るのか……。

 考えただけで鳥肌が止まらない。

『アドル、そろそろ着くぞ!』

 山の麓に着くと懐かしい洞窟があった。ささみはわずかに記憶があるのか、少しワクワクとしている様子だ。

 僕達は洞窟の中に入っていく。

 前回ならすでに焼き鳥にぶつかったところのはずが、奥に行っても焼き鳥に出会う様子もない。

「おーい、焼き鳥どこにいるんだ?」

 僕の声が洞窟内に響く。この穴にいればきっと聞こえるはずだ。

『オラはここにいるぞ……』

 光が照らされているが、前よりも弱くチカチカしている程度だ。

 急いで灯りに向かって走っていく。

「焼き鳥?」

 そこにはぐったりとした焼き鳥とももが倒れていた。特に怪我はしていないが、見た感じ痩せ細ってフェニックスのように見える。

 いや、本当のフェニックスはこの体型なんだろう。

「おい、大丈夫か?」

『お腹減った……』

 どうやらお腹が減って倒れているようだ。じゃあ、よく童話で出てきたフェニックスはみんな餓死寸前だったことになる。

 新たな発見に驚きながらも、焼き鳥とももをコボスケに抱えてもらい、急いで家に帰ることにした。





 家に帰るとみんな驚いた顔で集まってきた。やはりこの姿のフェニックスは知らないようだ。

 僕達は急いで食べ物を持ってくるように頼む。その間にヒツジとすぐに焚き火を作り、そこに焼き鳥とももを置く。

 決して、本当に焼き鳥を作るわけではない。

 焼き鳥とももは体が冷え切っており、ささみのように体に暖かさを感じないのだ。

「ヒツジここに運んできてくれ!」

『おう!』

 ヒツジも体の冷たさと軽さにびっくりしている。

『アドル、野菜を持ってきたぞ!』
『私も虫を持ってきました!』

 僕は木を手に持ち、急いで虫に刺していく。気持ち悪いやつでも、命が関わっていたらそんなの気にしない。

 まずは目の前の命を助けることが優先だ。

 そのまま虫を焚き火のところに置いて炙る。その間に無理やり口を開けて、生野菜を入れていく。

 何か口に入ったのに気づいたのか、焼き鳥は少しずつ咀嚼していく。

 だが、ももは食べる様子もない。

 ささみも家族を助けようと、必死に火を吐いてその場を暖めようとしている。ちゃんと家族思いに育って僕は嬉しい気持ちになる。

『んっ……オラは……』

 どうやら焼き鳥は目を覚ましたようだ。急いでももに近づくが、ぐったりとしたももを見て途方に暮れていた。

「おい、お前ももの親だろうが! まだ諦めるなよ!」

『クケクケェ!』

 ささみも同じことを思っているのだろう。今も兄弟を必死に温めている。こんな時に僕に回復魔法の才能があれば、どうにかなったのに……。

『肉を食べさせてみたらどうですか? 私もそれで元気になりましたし』

 艶肌が以前と同様に戻ったリザードマンが焼けた虫を持ってきた。香ばしい匂いがももを起こすかもしれない。

 だって、フェニックスって食いしん坊だからな。

 僕はその場で虫の皮を剥ぎ取ると、ももの口に突っ込む。なるべく口の奥に、しっかりと飲み込めるように……。

『クッ……クケェー!』

 どうやら僕の読みが当たったようだ。ももは目を覚まして、一生懸命虫を食べている。

 ひょっとしたら虫は万能な食べ物なのかもしれない。
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