無才能で孤独な王子は辺境の島で優雅なスローライフを送りたい〜愛され王子は愉快なもふもふと友達になる才能があったようです〜

k-ing /きんぐ★商業5作品

文字の大きさ
42 / 71
第五章 スローライフに刺激を

42.王子、妹をいじめる

しおりを挟む
「終焉なる魔法神よ! 我が――」

 メアリーは呪文を唱えて周囲の魔力を集める。魔力を集めて放つことができるということは、魔法の才能に長けているということだ。

 基本的に魔法は自分の中にある魔力を使う。一方のメアリーは自分の魔力を少なくして、周囲の魔力を利用して魔法を放つことができるのだ。

 これが魔法神の申し子と呼ばれるようになった理由だ。

『なんだあの魔力は?』
『アドルきゅんには悪影響ね』
『なら拙者が飛ばすよ』

 コボスケは手を大きく振ると、風でメアリーに集まった魔力を吹き飛ばした。目では見えないが、確かに風で魔力が吹き飛んでいる気がする。

「なぁ、私の魔力が……それならブラックダスト!」

 あれは上位闇属性魔法だろう。

 闇属性の適性を持っている者はあまりいない。それを無詠唱で放てるのは、それだけ魔力コントロールの才能があるってことだ。

 僕にはできないメアリーの才能。

 闇属性魔法がレアなのはその威力と言われている。ブラックダストは触れた物を吸収して消滅させる。

 それが闇属性魔法の変わった特徴だ。

『この黒い塵邪魔ね! お肌に悪いわ!』

 カマバックは糸を出すと、ブラックダストをくっつけて一つにまとめる。クルクルと巻かれたブラックダストは大きな糸の塊のようだ。

「なっ……なんで私の魔法が効かないの……」

 ああ、あれは心が折れているような気がする。元々才能がないと知っている僕ならどうも思わない。

 "才能がないからな"で済んでしまう。

 でも、魔法神の申し子と言われ続けているメアリーは違うのだろう。

 その場で崩れ落ちるように泣いている。

 ここにいるのはフェンリルに白虎、そして最強蜘蛛乙女オネエなのだ。他にもおかしなやつが勢揃いしている。

 カマバックに関しては、何の種族かもわからない。とりあえず乙女オネエという種族なんだろう。

「ちょっとお前達ごめんね」

『アドルきゅんどこにいくの?』
『拙者は離れないぞ』
『ふん!』

 どうやら僕を離す気はないようだ。ヒツジに関してはさっきから口には言わないものの、尻尾を絡ませて行かせる気がないのだろう。

「私のお兄様に気安く触るなんて……呪い殺してやる!」

 再びメアリーに魔力が集まっていく。それは目で見て分かるほど禍々しい。

 もう状況が判断できてないんだろう。その魔法をこいつらに向けたら、隣にいる僕は即死する。

 どうにか止めないといけない。

「あれって止められるか?」

 僕はみんなに聞くと頷いていた。頼りになる仲間達でよかった。

 だが、そのせいでメアリーにトラウマを植え付けることになるとは思いもしなかった。

『拙者、アドルに頼られたぞ!』
『いや、あれはワシに言ったんだ!』

 メアリーの両脇からコボスケとヒツジが近づいていく。

『アドルきゅんは乙女オネエである私が守ってあげないとね!』

 カマバックはそのまま正面から突撃するようだ。

 ああ、もうこれだけで過剰に止めている。メアリーも戸惑いながらその場で震えている。

『オラ達も遊びに行こうか!』

 そこに紛れるように焼き鳥、もも、ささみが走って……いや、転がっていく。あいつら本当にフェニックスなのか。そもそも、コウモリにも見えないぞ。

『あー、私はこれを投げておきますね』

 低く腰を下ろして構えるリザードマン。後ろに重心を落とすと、そのままフォークを投げた。

『ご飯かな?』

 それなのに音に反応して土の中からアースドラゴンが顔を出した。

 唯一何もしていないのは、空中歩行の練習をしているコカスケだけだ。

 物語に出てくる伝説の生き物が存在するだけでも驚きなのに、自分を目掛けて襲ってくるとどうなるのか。

「お兄様助けてくださいー」

 メアリーはその場で泣きながら助けを求めていた。
しおりを挟む
感想 13

あなたにおすすめの小説

聖女の力は「美味しいご飯」です!~追放されたお人好し令嬢、辺境でイケメン騎士団長ともふもふ達の胃袋掴み(物理)スローライフ始めます~

夏見ナイ
恋愛
侯爵令嬢リリアーナは、王太子に「地味で役立たず」と婚約破棄され、食糧難と魔物に脅かされる最果ての辺境へ追放される。しかし彼女には秘密があった。それは前世日本の記憶と、食べた者を癒し強化する【奇跡の料理】を作る力! 絶望的な状況でもお人好しなリリアーナは、得意の料理で人々を助け始める。温かいスープは病人を癒し、栄養満点のシチューは騎士を強くする。その噂は「氷の辺境伯」兼騎士団長アレクシスの耳にも届き…。 最初は警戒していた彼も、彼女の料理とひたむきな人柄に胃袋も心も掴まれ、不器用ながらも溺愛するように!? さらに、美味しい匂いに誘われたもふもふ聖獣たちも仲間入り! 追放令嬢が料理で辺境を豊かにし、冷徹騎士団長にもふもふ達にも愛され幸せを掴む、異世界クッキング&溺愛スローライフ! 王都への爽快ざまぁも?

【土壌改良】で死の荒野がSランク農園に!食べただけでレベルアップする野菜で、世界最強ギルド設立

黒崎隼人
ファンタジー
「え? これ、ただのトマトですよ?」 「いいえ、それは食べただけで魔力が全回復する『神の果実』です!」 ブラック企業で働き詰めだった青年は、異世界の名門貴族の三男・ノアとして転生する。 しかし、授かったスキルは【土壌改良】という地味なもの。 「攻撃魔法も使えない役立たず」と罵られ、魔物すら寄り付かない死の荒野へ追放されてしまう。 だが、彼らは知らなかった。 ノアのスキルは、現代の農業知識と合わせることで、荒れ果てた土地を「Sランク食材」が溢れる楽園に変えるチート能力だったことを! 伝説の魔獣(もふもふ)をキュウリ一本で手懐け、行き倒れた天才エルフを極上スープで救い出し、気づけば荒野には巨大な「農業ギルド」が誕生していた。 これは、本人がただ美味しい野菜を作ってのんびり暮らしたいだけなのに、周囲からは「世界を救う大賢者」と崇められてしまう、無自覚・最強の農業ファンタジー!

もふもふと始めるゴミ拾いの旅〜何故か最強もふもふ達がお世話されに来ちゃいます〜

双葉 鳴
ファンタジー
「ゴミしか拾えん役立たずなど我が家にはふさわしくない! 勘当だ!」 授かったスキルがゴミ拾いだったがために、実家から勘当されてしまったルーク。 途方に暮れた時、声をかけてくれたのはひと足先に冒険者になって実家に仕送りしていた長兄アスターだった。 ルークはアスターのパーティで世話になりながら自分のスキルに何ができるか少しづつ理解していく。 駆け出し冒険者として少しづつ認められていくルーク。 しかしクエストの帰り、討伐対象のハンターラビットとボアが縄張り争いをしてる場面に遭遇。 毛色の違うハンターラビットに自分を重ねるルークだったが、兄アスターから引き止められてギルドに報告しに行くのだった。 翌朝死体が運び込まれ、素材が剥ぎ取られるハンターラビット。 使われなくなった肉片をかき集めてお墓を作ると、ルークはハンターラビットの魂を拾ってしまい……変身できるようになってしまった! 一方で死んだハンターラビットの帰りを待つもう一匹のハンターラビットの助けを求める声を聞いてしまったルークは、その子を助け出す為兄の言いつけを破って街から抜け出した。 その先で助け出したはいいものの、すっかり懐かれてしまう。 この日よりルークは人間とモンスターの二足の草鞋を履く生活を送ることになった。 次から次に集まるモンスターは最強種ばかり。 悪の研究所から逃げ出してきたツインヘッドベヒーモスや、捕らえられてきたところを逃げ出してきたシルバーフォックス(のちの九尾の狐)、フェニックスやら可愛い猫ちゃんまで。 ルークは新しい仲間を募り、一緒にお世話するブリーダーズのリーダーとしてお世話道を極める旅に出るのだった! <第一部:疫病編> 一章【完結】ゴミ拾いと冒険者生活:5/20〜5/24 二章【完結】ゴミ拾いともふもふ生活:5/25〜5/29 三章【完結】ゴミ拾いともふもふ融合:5/29〜5/31 四章【完結】ゴミ拾いと流行り病:6/1〜6/4 五章【完結】ゴミ拾いともふもふファミリー:6/4〜6/8 六章【完結】もふもふファミリーと闘技大会(道中):6/8〜6/11 七章【完結】もふもふファミリーと闘技大会(本編):6/12〜6/18

大自然を司る聖女、王宮を見捨て辺境で楽しく生きていく!

向原 行人
ファンタジー
旧題:聖女なのに婚約破棄した上に辺境へ追放? ショックで前世を思い出し、魔法で電化製品を再現出来るようになって快適なので、もう戻りません。 土の聖女と呼ばれる土魔法を極めた私、セシリアは婚約者である第二王子から婚約破棄を言い渡された上に、王宮を追放されて辺境の地へ飛ばされてしまった。 とりあえず、辺境の地でも何とか生きていくしかないと思った物の、着いた先は家どころか人すら居ない場所だった。 こんな所でどうすれば良いのと、ショックで頭が真っ白になった瞬間、突然前世の――日本の某家電量販店の販売員として働いていた記憶が蘇る。 土魔法で家や畑を作り、具現化魔法で家電製品を再現し……あれ? 王宮暮らしより遥かに快適なんですけど! 一方、王宮での私がしていた仕事を出来る者が居ないらしく、戻って来いと言われるけど、モフモフな動物さんたちと一緒に快適で幸せに暮らして居るので、お断りします。 ※第○話:主人公視点  挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点  となります。

没落した建築系お嬢様の優雅なスローライフ~地方でモフモフと楽しい仲間とのんびり楽しく生きます~

土偶の友
ファンタジー
優雅な貴族令嬢を目指していたクレア・フィレイア。 しかし、15歳の誕生日を前に両親から没落を宣言されてしまう。 そのショックで日本の知識を思いだし、ブラック企業で働いていた記憶からスローライフをしたいと気付いた。 両親に勧められた場所に逃げ、そこで楽しいモフモフの仲間と家を建てる。 女の子たちと出会い仲良くなって一緒に住む、のんびり緩い異世界生活。

侯爵家の愛されない娘でしたが、前世の記憶を思い出したらお父様がバリ好みのイケメン過ぎて毎日が楽しくなりました

下菊みこと
ファンタジー
前世の記憶を思い出したらなにもかも上手くいったお話。 ご都合主義のSS。 お父様、キャラチェンジが激しくないですか。 小説家になろう様でも投稿しています。 突然ですが長編化します!ごめんなさい!ぜひ見てください!

10歳で記憶喪失になったけど、チート従魔たちと異世界ライフを楽しみます(リメイク版)

犬社護
ファンタジー
10歳の咲耶(さや)は家族とのキャンプ旅行で就寝中、豪雨の影響で発生した土石流に巻き込まれてしまう。 意識が浮上して目覚めると、そこは森の中。 彼女は10歳の見知らぬ少女となっており、その子の記憶も喪失していたことで、自分が異世界に転生していることにも気づかず、何故深い森の中にいるのかもわからないまま途方に暮れてしまう。 そんな状況の中、森で知り合った冒険者ベイツと霊鳥ルウリと出会ったことで、彼女は徐々に自分の置かれている状況を把握していく。持ち前の明るくてのほほんとしたマイペースな性格もあって、咲耶は前世の知識を駆使して、徐々に異世界にも慣れていくのだが、そんな彼女に転機が訪れる。それ以降、これまで不明だった咲耶自身の力も解放され、様々な人々や精霊、魔物たちと出会い愛されていく。 これは、ちょっぴり天然な《咲耶》とチート従魔たちとのまったり異世界物語。 ○○○ 旧版を基に再編集しています。 第二章(16話付近)以降、完全オリジナルとなります。 旧版に関しては、8月1日に削除予定なのでご注意ください。 この作品は、ノベルアップ+にも投稿しています。

幼女はリペア(修復魔法)で無双……しない

しろこねこ
ファンタジー
田舎の小さな村・セデル村に生まれた貧乏貴族のリナ5歳はある日魔法にめざめる。それは貧乏村にとって最強の魔法、リペア、修復の魔法だった。ちょっと説明がつかないでたらめチートな魔法でリナは覇王を目指……さない。だって平凡が1番だもん。騙され上手な父ヘンリーと脳筋な兄カイル、スーパー執事のゴフじいさんと乙女なおかんマール婆さんとの平和で凹凸な日々の話。

処理中です...