無才能で孤独な王子は辺境の島で優雅なスローライフを送りたい〜愛され王子は愉快なもふもふと友達になる才能があったようです〜

k-ing /きんぐ★商業5作品

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第七章 家庭訪問編

61.王子、ウニョウニョを探す

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「あー、誰か住人増えないかな?」

「やっぱり私が誘拐こえかけして――」

「いや、メアリーは大丈夫だぞ」

 僕は家の中でテーブルに伏せていた。今日も村は賑やかだ。

『ボクこの服着てみたいな!』

『カクレコにはきっとこれが似合うわね!』

 カクレコが来てから服がオシャレになった。前はただのシャツだったが、そこにデザイン性が増えた。

 ただ、カマバックが扱う糸にも種類があるため、生地が変わらないのは本人も悩んでいた。何か新しい糸が提供できたら一番良いのだろう。

 移住者勧誘の時に一緒に探すのもいいかもしれない。

 そんなオシャレなカクレコは魔石を食べたことでダンジョンをどこにでも作れるようになる能力を手に入れた。

 魔石を食べることで少しずつダンジョンも増やせるようになるらしい。これで土地が足らないという問題はなさそうだ。

 むしろ住人は増えないのに、能力を使ってさらに土地が増えてしまった。

 結果、家の横に茶畑という名のダンジョンが完成した。

 魔物もトラップも出せないカクレコらしいダンジョンだ。

 天気もその都度変えられるため、環境に合わせて、様々な野菜を作ることができるだろう。

 季節を制御できるだけで利点ばかりだ。

 そもそも野菜作りにダンジョンを使う人はいないだろう。

『アドルさん今いいですか?』

 声をかけてきたのはドラゴニュートだ。一緒の村にはいるが、いつも水の中にいるため特に関わりが多いわけでもない。

 そんなやつから声をかけてくるとは珍しい。

『肉について相談したいんですが』

 肉といえばみんなが大好きな、ウニョウニョ動く足がたくさんついたやつだ。段々と見慣れたのもあり、今じゃ肉畑で飼育している。

「何かあったのか?」

『肉達がいなくなりました』

「ああ、そうか」

『えっ? 驚かないんですか?』

 肉畑は引き続きドラゴニュートに管理を任せている。沼にいた時も虫の管理をしていたため、適任だと思った。

 そんな彼らも生きているため、ウニョウニョしてどこかに行ってもおかしくない。地中にはアースドラゴンもいるため、食べられた可能性も捨てきれない。

「お兄様、そのままにしておいたら寝ている時に顔に――」

「それはすぐに探そうか!」

 流石に寝ている時に寝室にあいつらが侵入してきたら恐怖でしかない。

 寝返りしたらウニョウニョ動くやつらがいる。

 ムズムズしたらウニョウニョ動くやつらがいる。

 目を開けたらウニョウニョ動くやつらがいる。

 どれを想像しても恐怖にしか感じない。

 まずは肉畑に行って、何が原因か探る必要性があるだろう。

 僕とメアリーは肉畑に向かうことにした。





「何者かに食べられた跡ですかね?」

 肉畑に行くと無数の穴が空いていることに気づいた。アースドラゴンに食べたか聞くと、健康を意識して野菜を食べているから、つまみ食いはしていないと言っていた。

 ドラゴンが野菜を食べるって思ったよりもシュールな光景だよな。

 虫を食べる姿も中々不思議だが……。

 穴の中を覗いても虫はいないため、何者かに掘られて食べられたのかもしれない。

 焼き鳥達が餌を取られたこともあるため、もう少し注意する必要があるだろう。

 とりあえず、ヒツジに頼んで柵を作ってもらい、そこに何か魔法をかけて侵入者が来た時にわかるようにしてもらおう。

 アースドラゴンなら地中から出入りできるため、対策するのは地上と空中だろう。

「じゃあ、また何かあったら教えてね」

『わかりました』

 ドラゴニュートに挨拶すると、こっちに向かって何か飛んできているのに気づいた。

「おい、あれなんだ?」

「何か変わった形をしていますね」

 どこか角が生えた小さな生物は、あまり見たことない姿をしている。

 僕を見つけると、後ろに回り込み壁のようにして押し出していく。

「おいおい、これはなんだ!?」

「助けてほしいってことですかね?」

 確かにさっきから何かに追われているような気がした。ってことはここに何かが向かってきているということだ。

「はぁはぁ、謎の生物はどこに行ったのかなぁー?」

 どこかで聞いたことのある声が森の方から聞こえて来た。メアリーも同じことを思ったのだろう。

 僕達はゆっくりとその声がする方に近づいていく。

「おーい、俺の実験台になってくれー!」

 突然草から飛び出して来た人物に僕は驚いた。対抗する手段もなく僕は捕まってしまった。

「えっ、アドル!?」

 どうやら僕は兄であるアーサーが待っている網に捕まったようだ。
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