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6.じいじ、覚悟を決める
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『にゃああああああああ!』
ベヒモスは大きく咆哮を上げた。
だが、見た目が短い手足に愛くるしい顔のマンチカンのため、咆哮すら甘えた声に聞こえる。
「じいじ、あのネコちゃんはテイムできるのかな?」
「いや……ベヒモスって中々難しいと思うぞ」
ベヒモスって高耐久力で協力な物理攻撃をするイメージがある。
それに見た目からして、明らかに序盤で出会うような敵ではないだろう。
ひょっとしたら、ワールドボスって稀に出てくるレアモンスターなのかもしれない。
「ハルキ逃げるぞ!」
わしはハルキの腕を取って勢いよく走り出す。
その瞬間、ベヒモスの一撃が繰り出された。
――ドン!
チラッと地面に目を向けると、大きな穴が開いていた。
明らかに今のレベルでは戦ってはいけない存在だ。
近くに他に人がいないか探すが、どこにも見当たらない。
グリーファングやMPKだと思われるかもしれないが、それが一番逃げるのに適している。
「じいじ、なんで逃げるの? テイムできないの?」
「ああいうのは弱らせないとテイムできないんだ! それに感覚遮断の設定はしているのか?」
「あっ……」
どうやらハルキは感覚遮断をしていないようだ。
感覚はある程度遮断できるが、今さっき川で溺れかけているところを見ると、感覚はあるのだろう。
感覚遮断していない方が自分の体にあったプレイができると、初めの設定で説明されていた。
そんなわしも感覚は遮断していない。
一撃で即死するレベルのベヒモスの攻撃を喰らったら、痛みで精神がおかしくなりそうだ。
それにハルキは大人と違って、子どもだからな。
『にゃああああああ!』
再びベヒモスは声を上げて、もふもふした手を振り下ろす。
――バキバキバキ!
近くにあった木は全て薙ぎ倒されていく。
見た目は可愛いが、攻撃は全く可愛くない。
「じいじ、あそこに家があるよ!」
【アイテム情報】
アイテム 隠れの家
詳細 敵から視覚認知されないセーフティゾーンがある家
持ち主不明
明らかにベヒモスから逃げるように設定されている家を見つけた。
さすが脳卒中から復活するだけの運を持ち合わせている。
「あそこに飛び込むんだ!」
「うん!」
わしとハルキは家に向かって、大きく飛び込む。
『にゃあああああ!』
わしの横をベヒモスの強力な一撃が落ちてくる。
すぐに体を反転させて、ギリギリのところで避けていく。
まさか病気になって、こんな動きをするとは思いもしなかった。
『にゃにゃ……?』
だが、その結果攻撃が当たることなく、隠れの家に入ることができたようだ。
ベヒモスが周囲を見渡しているところを見ると、本当にわしらの姿が見えないのだろう。
どこに行ったのか、周辺をクルクルと回っている。
「じいじ、ネコちゃんってかわいいね」
見た目は手足の短い大きなマンチカンだ。
あいつにもふもふできたら、誰だって一瞬で虜になるだろう。
だが、よく考えてみなさい。
「あいつはラスボス級のベヒモス……いや、ラスボス級のマンチカンだ!」
可愛いからって飛び込んだら、一瞬にして叩かれて終わりだろう。
「そうだよね……。わがままは良くないもんね」
「ぐぬぬ……」
悲しそうなハルキの顔を見ると、わしも心苦しくなる。
ただ、あのベヒモスだけは話が別だ。
「でも、あの子と仲良くなりたいな……。ダメかな?」
「おい、ハルキそれ以上は……」
「じいじ、お願い!」
【お願いごと】
詳細 ベヒモスをテイムさせる。
明らかに難易度が桁違い過ぎて、わしは絶句した。
きっとこのお願いごとは叶えてあげられないだろう。
まさかゲームを初めて数時間で、ステータスが90%も下がる縛りプレイをすることになるとはな……。
「じいじはゲームがうまいんでしょ?」
ここで断ると、すぐにわしのステータスは90%低下する。
「ねーねー、ネコちゃんテイムしたいー」
わしの隣でハルキが甘えた声でお願いごとをしてくる。
ここで逃げ出したら、元ゲーマー……いや、祖父としてみっともないだろう。
それにリハビリの兄ちゃんよりも、カッコいい姿を見せないといけないからな。
「わかった! 少し待ってろ!」
わしはハルキの願いごとを聞き入れた。
だが、心の中では冷や汗が流れる。
これで失敗したら、一生ハルキとはゲームができない気がする。
今の攻撃力は最高で8だから、90%の低下を受ければ実質1以下。
つまり、お願いごとを断れば、ベヒモスに対抗するどころか、ちょっとした敵にも簡単に倒されるようになる。
「もう後がないな……」と、内心では呟きながら覚悟を決める。
わしには孫のハルキといることで、ステータスは2倍になる。
その結果、運もかなり高くなる。
今までの人生はどうにかなったから、今回もどうにかなるだろう。
『にゃーん』
わしらが見つけられずに、ベヒモスはキョロキョロしながら立ち去ろうとする。
そんなベヒモスに、ゆっくりと近づき、わしは大きくT字杖を叩きつける。
――ダメージ0
『にゃ?』
「へっ?」
そこに表示されたのはダメージ0という文字だった。
ベヒモスは大きく咆哮を上げた。
だが、見た目が短い手足に愛くるしい顔のマンチカンのため、咆哮すら甘えた声に聞こえる。
「じいじ、あのネコちゃんはテイムできるのかな?」
「いや……ベヒモスって中々難しいと思うぞ」
ベヒモスって高耐久力で協力な物理攻撃をするイメージがある。
それに見た目からして、明らかに序盤で出会うような敵ではないだろう。
ひょっとしたら、ワールドボスって稀に出てくるレアモンスターなのかもしれない。
「ハルキ逃げるぞ!」
わしはハルキの腕を取って勢いよく走り出す。
その瞬間、ベヒモスの一撃が繰り出された。
――ドン!
チラッと地面に目を向けると、大きな穴が開いていた。
明らかに今のレベルでは戦ってはいけない存在だ。
近くに他に人がいないか探すが、どこにも見当たらない。
グリーファングやMPKだと思われるかもしれないが、それが一番逃げるのに適している。
「じいじ、なんで逃げるの? テイムできないの?」
「ああいうのは弱らせないとテイムできないんだ! それに感覚遮断の設定はしているのか?」
「あっ……」
どうやらハルキは感覚遮断をしていないようだ。
感覚はある程度遮断できるが、今さっき川で溺れかけているところを見ると、感覚はあるのだろう。
感覚遮断していない方が自分の体にあったプレイができると、初めの設定で説明されていた。
そんなわしも感覚は遮断していない。
一撃で即死するレベルのベヒモスの攻撃を喰らったら、痛みで精神がおかしくなりそうだ。
それにハルキは大人と違って、子どもだからな。
『にゃああああああ!』
再びベヒモスは声を上げて、もふもふした手を振り下ろす。
――バキバキバキ!
近くにあった木は全て薙ぎ倒されていく。
見た目は可愛いが、攻撃は全く可愛くない。
「じいじ、あそこに家があるよ!」
【アイテム情報】
アイテム 隠れの家
詳細 敵から視覚認知されないセーフティゾーンがある家
持ち主不明
明らかにベヒモスから逃げるように設定されている家を見つけた。
さすが脳卒中から復活するだけの運を持ち合わせている。
「あそこに飛び込むんだ!」
「うん!」
わしとハルキは家に向かって、大きく飛び込む。
『にゃあああああ!』
わしの横をベヒモスの強力な一撃が落ちてくる。
すぐに体を反転させて、ギリギリのところで避けていく。
まさか病気になって、こんな動きをするとは思いもしなかった。
『にゃにゃ……?』
だが、その結果攻撃が当たることなく、隠れの家に入ることができたようだ。
ベヒモスが周囲を見渡しているところを見ると、本当にわしらの姿が見えないのだろう。
どこに行ったのか、周辺をクルクルと回っている。
「じいじ、ネコちゃんってかわいいね」
見た目は手足の短い大きなマンチカンだ。
あいつにもふもふできたら、誰だって一瞬で虜になるだろう。
だが、よく考えてみなさい。
「あいつはラスボス級のベヒモス……いや、ラスボス級のマンチカンだ!」
可愛いからって飛び込んだら、一瞬にして叩かれて終わりだろう。
「そうだよね……。わがままは良くないもんね」
「ぐぬぬ……」
悲しそうなハルキの顔を見ると、わしも心苦しくなる。
ただ、あのベヒモスだけは話が別だ。
「でも、あの子と仲良くなりたいな……。ダメかな?」
「おい、ハルキそれ以上は……」
「じいじ、お願い!」
【お願いごと】
詳細 ベヒモスをテイムさせる。
明らかに難易度が桁違い過ぎて、わしは絶句した。
きっとこのお願いごとは叶えてあげられないだろう。
まさかゲームを初めて数時間で、ステータスが90%も下がる縛りプレイをすることになるとはな……。
「じいじはゲームがうまいんでしょ?」
ここで断ると、すぐにわしのステータスは90%低下する。
「ねーねー、ネコちゃんテイムしたいー」
わしの隣でハルキが甘えた声でお願いごとをしてくる。
ここで逃げ出したら、元ゲーマー……いや、祖父としてみっともないだろう。
それにリハビリの兄ちゃんよりも、カッコいい姿を見せないといけないからな。
「わかった! 少し待ってろ!」
わしはハルキの願いごとを聞き入れた。
だが、心の中では冷や汗が流れる。
これで失敗したら、一生ハルキとはゲームができない気がする。
今の攻撃力は最高で8だから、90%の低下を受ければ実質1以下。
つまり、お願いごとを断れば、ベヒモスに対抗するどころか、ちょっとした敵にも簡単に倒されるようになる。
「もう後がないな……」と、内心では呟きながら覚悟を決める。
わしには孫のハルキといることで、ステータスは2倍になる。
その結果、運もかなり高くなる。
今までの人生はどうにかなったから、今回もどうにかなるだろう。
『にゃーん』
わしらが見つけられずに、ベヒモスはキョロキョロしながら立ち去ろうとする。
そんなベヒモスに、ゆっくりと近づき、わしは大きくT字杖を叩きつける。
――ダメージ0
『にゃ?』
「へっ?」
そこに表示されたのはダメージ0という文字だった。
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